紅魔館に拾われた少年はゆっくり暮らしたい   作:ユキノス

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こんにちは、豹牙です。
タイトルに深い意味はありません(白目)。ようやく萃夢想5人目、PADちょ(骨が砕ける音)。
あと、昨年末(12月10日ぐらい)に眼鏡を買いました。報告超遅いですが、友達には「似合わない」と不評でした。
ではどうぞ。


ぺったんぺったんつるぺったん

宴会が始まってから早4週間、意外にも気付いた人は少ないらしい。気付いたのは私、霊夜君、魔理沙さん、パチュリー様、アリス、そして咲夜さん。と言っても、咲夜さんは霊夜君から聞き出した(因みにその後、霊夜君がやけに嬉しそうにしていたけど、それが何を示すのかはまるで不明だ)らしいけれど。

「…皆さん、無意識に来ているんでしょうか……」

「? 美鈴さん、どうしたんですか?」

「ああいえ、独り言ですよ」

彼女―大妖精は、妖精の中ではかなり頭が良く、そこそこに勘が鋭い。普段大雑把なチルノや、ふわふわとしたルーミアとよく一緒に居る所を見掛けるが、寺子屋(妖精や妖怪も子供なら行かせてくれるらしい)ではさぞかし良い成績なのだろう。

「大ちゃーん!一緒に遊ぼー!」

「あっ、今行くー!また遊んでください、美鈴さん!」

「はい、是非とも」

妖怪蛍の少女(少年?)に呼ばれた大妖精が、背中の羽根を慌ただしく動かして飛んでいくのを見送った時、今日開かれる宴会の準備で博麗神社に行っている咲夜さんと霊夜君の事が浮かんでいた。

 

―*―*―*―*―*―*―*

 

今日も開かれる宴会の準備として、今日も準備に出向いた俺と咲夜だが、近くで作業している時にぽそっと聞こえた

「…さて、萃香とやらはどこ?」

という台詞に、

「ん?霧の一粒一粒がそうだが」

と返した所、僅かに目を見開いて口をぽかんと開けるという間抜けな顔をした。ああもう、文はこういうのを撮れば良いのに。団扇で起こした風でスカート捲りなんざしないで。変態かあの鴉。変態だったわ。

「…どう戦えば良いのよ」

「そうだなぁ…境内の端、人が居ない所で呼び掛けると姿を現すから、話はそっからだな」

「…面倒な鬼ね」

咲夜はそう言うが、ぶっちゃけ言うと萃香は戦いたいだけなのだ。霧の状態になっている自分に気付ける程の実力者と、命を懸けたとは言わずとも全力で。

「まあまあ、そう言いなさんな。あのちっさな大酒飲みはシャイなんだ」

「なんだか力が抜けそうな印象ね……でも、強いのには変わり無いんでしょう?」

「ああ、そりゃもうとんでもなく。肉弾戦なら俺と美鈴のお墨付き」

それを聞いても作業の手を止めず、このゴザボロボロじゃない、なんて愚痴り始める始末。聞いてるのか聞いてないのか分からないな…。

「ま、実力なんて宴会が始まれば直に分かるわ。串刺しにしてやればしばらくは動けないでしょう?」

「…うぅ、思い浮かべたら鳥肌が……」

「なんで思い浮かべたのよ」

全くである。

「あんたら仲良しねー。で、準備も進めずイチャついてる訳?」

「そんな事無「いいえ、絶対にあり得ないわ」……」

早い。俺の台詞に被ってたぞ。

「うん、まあ絶対じゃなくとも準備は進めてるさ。霊夢はゆっくり休んどけ」

「あー、そんじゃ後頼むわー」

「いや昼寝しろって意味じゃない!」

……兎も角、萃香はあと何回宴会をさせるつもりだろうか。全員が気付くまでとか言ったら泣く。

 

―*―*―*―*―*―*―*

 

「あと何回宴会をやるか?んー…博麗の巫女が気付くか、私が負けたらだね」

「やっぱそうなんのか…頼む咲夜勝ってくれ……」

「いやいや、お前さんも不意を突くってのは良かったんだよ?実際驚いた」

「腕を鞭みたいに振るやつなら金輪際やりたくないけどな」

そりゃそーだ、と萃香が酒を煽る。因みに今は神社の屋根(裏側)に座って話しているが、そうじゃなくて萃香の持ってる瓢箪。ぐびぐび飲み続けるからどんだけ入ってんだよと聞いた所、なんと無くならないらしい。伊吹瓢と言って、鬼の秘宝の1つなんだとか。

「無限って事は、味はそこまででもないのか?」

「うんにゃ、結構美味いよ。飲んでみるかい?」

「え、ああ……うー…イタダキマス」

「なんで片言なのさ。安心しな、ちょっと強いだけさ」

「その《ちょっと》が怖いんだよ。元々酒には弱いんだ」

萃香が喜んで飲む程度だ、俺にはどれだけ強いのか想像もつかない。

「あーもー、ほれっ!」

「んぐふっ、げほっげほっげほっ!」

あのさ、これ美味いよ。美味いんだよ。美味いんだけど強過ぎんの。胃の中に直接アルコールをぶちまけられたみたいにえげつない。

「…うぅ~……」

「おいおい、大丈――」

そこからは記憶に無い。

 

―*―*―*―*―*―*―*

 

「伊吹萃香とやら、居るんでしょう?出てきなさい」

シーン……

「……………」

「…あー、悪いんだけどちょいと待っておくれよ。こいつ酔い潰しちゃってさ」

屋根の上からひらりと飛び降りてきた小鬼――の背中には、見慣れた人物が乗っていた。

「あら、霊夜じゃない。また潰れたの?」

「ん~……」

霊夜は軽いけど、それでも片手で持ち上げられる程ではない筈。それを軽々と持ち上げるとは、それだけでも充分な実力者である事が窺える。

「霊夜はこちらで引き取るわ。元よりこちらの妖怪だしね」

「ああ、そういや一昨日調教してたねえ」

「罰を与えていたと言って頂戴。……可愛かったけど」

語尾をごにょごにょ濁しておいて、さっさと倒―――す前に。

「貴女、覗いてたの?」

「いやぁ、霊夜がその後どうしてるかなーと思ってちょっとくっついてたんだよ。そしたらソレが見えた」

…どうやらこの覗き魔、いい趣味を持っている。これはどちらにせよ叩きのめさなければならなさそうだ。主に、紅魔館のプライバシー保護の為に。

「貴女は私が成敗させてもらうわ。これ以上お嬢様達の生活を覗かれる訳にはいかないもの」

「なーに、もう離れてるよ。それに、いい肴も見付かった事だしね」

「それをやけ酒の肴に変えてあげるわ」

それと同時に時間を止め、大量のナイフを投げる。避けられるギリギリのスペースだけを残した物だが、さてどう避けるのかと考えながら時間を動かし――

「うおっとお!?」

萃香が、()()()()()()()()()

「――っ!」

ナイフが通り過ぎた所を、霧が集まってきて萃香となった。…いやいや、反則じゃないかしら。あれで避けてたら絶対に当たらないわよね?

「……ちょっと、流石にそれは駄目なんじゃないかしら?」

「いやぁ、急に来られちゃ驚くさ。ただ安心しな、もう使わないよ。それに、5分間避けるだけにしよう。それで当てられたらお前さんの勝ちだ」

「本当でしょうね?」

呟きながらもナイフを投げ続け、たまに加速させたり時間を止めて投げたりと変則的に投げてみるも、綺麗に全て避け切ってみせ――はさせない。

「はっ!」

「おわったったっ!?」

萃香の避けた所、その足元にナイフを投げる事でバランスを崩させる。そこに大量のナイフを投げて投げて、時間を止めて落ちたナイフを拾って投げて――2本、当たった。

「うげっ……」

「私の勝ちね。さあ、異変を終わらせて頂戴」

「ちぇー、負けちまったかぁ…」

「……咲夜?誰よそいつ」

「あら霊夢。今起こってる異変の犯人よ」

「……は?異変?」

「やっ。私が宴会を起こしてたんだよ」

「は?はぁ?はあぁぁぁ!?確かに『やけに宴会があるなー』とは思ったけど…」

「いつつ……それ、裏を返せば気付いてないって事じゃないか?」

鈍く痛むのだろう頭を振り、むっくりと起き上がった霊夜に事実を指摘され、むぐっと奇妙な声を出す霊夢だが、何かを思い付いたのかニタリと笑った。

絶対に変な事思い付いたわね……という私の予想に反せず、霊夢は分かりやすく猫撫で声を出した。

「ねぇ咲夜、その手柄私に譲ってくれたりは……」

「しないわよ。情報をくれた霊夜や美鈴は兎も角、気付きもしなかった貴女には何がなんでも譲らないわ」

「なんですってえ!?あーもうあったまきた、アンタら纏めて退治してやるわ!霊夜、アンタもよ!」

「俺もー?風評被害だろ…あと頭痛いから大声出さないでくれ」

「問答無用!さっさとやられなさい!」

「だぁっ、だから頭……うぉあっ!」

いきなり霊夜に札を投げるが、霊夜は流石の反射神経――あるいは生存本能で避け、木を足場にして屋根に飛び乗った。私?私はとっくに登ってるわ。時間を止めてね。多分萃香も――

「いやぁ、危ない危ない。こりゃまた、今代の博麗の巫女は恐ろしいもんだねぇ」

「ほんとだよ…まあ、先代はちょっと真面目過ぎた感はあるけど」

「ぶつくさ言うならとっとと退治されなさーい!」

「ちょっ、怖い怖い!」

下――つまり境内では、何やらざわざわと聞こえる―萃香に驚く者も居れば、霊夢を怖がる者も居た―が、今は本物の鬼も逃げる鬼ごっこを逃げ切らなければ。

「待ちなさいって、のっ!」

「おっと危ない!」

「鬼さんこちら、手の鳴る方へ…ってね」

「呼んだかい?」

萃香(貴女)じゃなくて霊夢よ」




5人目終了、6人目スタートって所で次回に続きます。命を懸けた(多分)鬼ごっこ、果たして誰が制するんでしょう?
ではまた次回。
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