前回、今までに無いぐらい不穏な終わり方しましたが、今回はどうなるんでしょうか。
関係は無いですが、前書き→本文→後書きの順に書いていて、またプロットを書いていないので、疑問形はほんとに疑問に思ってます。
ではどうぞ。
「パチェ……?」
「霊……夜……」
確かに、喘息で吐血した事は何度かあった。だが吐血なんてレベルじゃない。だって、そもそも――腕が無い。
「そ、その腕……どうしたんだよ……?」
それまで、少しだけ上下していたパチェの胸が、止まった。
「嘘だろ……?おい、パチェ!?パチェ!生きてるんだろ?返事をしてくれよ!」
手を握った時、あまりに冷たかったので、「ひっ……」という裏返った声が出た。首に手を当てても、脈は感じない。呼吸もしていない。
「う……あ……っ、うわあああああああああああああああああ!」
「魔法は万能ではない」というのはパチェの言葉だが、確かに失われた命を蘇らせる魔法などありはしない。やがて1つの事を思い出すまで、俺は声を枯らすまで絶叫した。
―*―*―*―*―*―*―*
「……どうするのよ、あれ……拘り過ぎたんじゃないの?」
「うん……私も、今そう思ったわ……霊夜が泣き叫んでるの、初めて見たもの」
別室で、魔水晶越しに
「趣味が悪いにも程があるわよ?誰が
「……うう、ごめんなさい……」
「全く……って待った、霊夜ったらどこへ行くのかしら……えっ!?」
「ど、どうしたの?」
「なんで……一体どうして、ここに……いや、ここには……」
「パチェ?パーチェー?」
「っ、急ぐわよ!じゃないと……」
「じゃないと……?」
「
「ええ!?」
大声を出したりするのは柄ではないし、滅多にしない。だが、それも致し方ないのだ。何故なら、霊夜が今行こうとしている場所は――呪術、呪法、その他呪いに関するものばかり。その中には、1冊だけあった筈だ。
―*―*―*―*―*―*―*
「……ああ、あった……」
見るからに禍々しい雰囲気の本。前に1度だけ見て、パチェに怒られた事もある1冊。没収される直前、確かに見た。前の方は読めなかったが、
「パチェ……今、生き返らせる……」
傍から見たら、ヤバい本を持った生気の無い奴だと思われるのだろう。だが、血の繋がった家族が居ない俺は、親しい誰かが殺される事が途轍も無く嫌なのだ。
パチェの遺体の前に立ち、本を開く。その術のページを見つけ、そこに書かれている魔法文字を読み上げる。
「ヴェルツィ……フャゥエル……マェザュル……」
「霊夜!」
ああ、パチェの声まで聞こえる。黄泉の国から帰ってきているのだろうか?
「……やめなさい!今すぐに!」
普段のパチェからは想像出来ない程の声で、俺の体に水が巻き付いた。無詠唱でここまで出来る魔法使いなどそう居ない。口も封じられているのでそのまま振り向くと、パチェが居た。
「なんで……いや、幻覚でも見て……」
「ぜえっ……いいえ、本物よ!ぜえっ……ぜえっ……あの
がっしと肩を掴まれ、最近の幻覚は触れる事も出来るのか……とはたらかない頭で考えた所で、はっと気付く。
「……パチェ?」
「ぜえっ、ぜえっ……ええ!」
見れば、大きく肩で息をしているのが分かる。喘息の発作がギリギリ出ない程度の速度で飛んできたのだろうその体は温かく、俺の中の何かが弾けた――気がした。目尻に涙が浮かんでいるのが分かる。感情の奔流が、行き場の無かった喪失感を押し流してくれている。
俺は、パチェの胸に額を押し当て、声を殺さず泣いた。恐らく《偽物》を作った張本人であろうアリスも優しく微笑んでいる。
「うわぁぁぁぁ〜〜〜……パチェ〜〜〜……」
「よしよし、泣かないの。……誕生日おめでとう、霊夜」
「霊夜ー!誕生日おめで……と……?」
「あら、フランちゃん……ええと、あれはね……」
苦笑しつつ頬を掻きながら説明するアリスには目もくれず、俺はただただ泣き続けた。
……因みにこの後、どうしても生きているかどうかが不安になってしまい、パチェの所で寝たのは内緒。
Q.霊夜に誕生日は無いだろ!
A.無いと言うより不明なので、大妖精が『霊夜を見付けた日』を誕生日にしていました。本人がそう説明していた為、割と色んな人が知っています。
という訳で、なんと誕生日のサプライズでした。なんつー恐ろしく縁起の悪いサプライズだ……(戦慄)
ではまた次回。