紅魔館に拾われた少年はゆっくり暮らしたい   作:ユキノス

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こんにちは、ユキノスです。 なんて言ってる場合じゃねえんです!この小説のUAが、3万を越えたんです!
という報告と共に、キャラ紹介には出てるのに本編に出ていない『宵呼 颯忌』というキャラについてのお話をします。
彼女は本当は、霊夜が太陽の畑に来た時点で登場する予定だったんですが、あんな感じになってしまいました。
申し訳ありません(´・ω・`)
ではどうぞ。


忌み嫌われた少女

無縁塚。

その名の通り、縁の無い物が弔われる場所であり、外の世界で使われなくなったガラクタが流れ着く、言わば『忘れられた者の終着点』。そこに、少女は座っていた。彼岸花が咲く真ん中に。悪霊も、彼女に興味を示さない。少女が特異体質なのか、それとも死んでいると思われているのか。

そんな事は、少女にとってはどうでも良かった。何故なら、《災禍の獣》と呼ばれる妖怪の出現により、その手下だと言われ、挙句里を追放された。『瞳が蒼かったから』という、理不尽にしか思えない理由で。

「っく……えっ、く……」

だから、少女は朝も夜も泣いていた。里の人々を、愛していたから。たまに来る鴉天狗も、稀に来る人形遣いも、半獣の先生も、一瞬だけ姿を見た赤い髪の子も。皆、少女()愛していた。

愛していた人に捨てられた事は、まだ幼い少女にとってどれほどショックだっただろうか。少なくとも、何日もの間動かず、長く艶やかだった髪がボサボサになり、衣服も肌も汚れ、飲まず食わず、曇ってしまった瞳から延々と涙を流し続けている程度にはショックを受けている、という事しか分からない。

「皆……違うよね……?私を、守ろうとしてくれてたんだよね?」

蚊の鳴くような声で呟いた言葉は、悪霊と怨霊にしか聞こえなかった。

「早く……早く、《災禍の獣》を……」

そう必死に祈るが、5分前にも同じ事をしている。だからこそ悪霊は、興味を示さない。しかし、怨霊は別である。

『なあ、嬢ちゃんよぉ。いい加減諦めたらどーだい?もう3日だぜ、とっとと壊れてくんねーとこっちも』

「う る さ い ……!うるさいうるさいうるさいウルサイウルサイウルサイ五月蠅い五月蠅い五月蠅い五月蠅い五月蠅いうるさいウルサイウルサイうるさいうるさいうるさぁぁぁぁぁぁいッ!私がっ!何を思おうとっ!どんなふざけた希望を持とうとっ!私の勝手でしょおっ!?怨み残して死んだアンタに!ゴチャゴチャ言われる筋合いは無いの!」

乾ききった喉で叫んだ少女に対し、怨霊はケタケタと、他人事の様に笑っただけだった。

『ああそうかい、分かったよ。じゃあ死ネ』

人魂に覆われた巨大な髑髏の顔を震わせ、怨霊はその姿を変えていった。どういう原理か背骨が生え、針の様に尖った肋骨が生え、鎌の様な骨が生え、骨盤が生え、百足を思わせる大量の足(の様な骨)が生え、更には――

「あ……ああっ……」

『グ、ギ、ガガガガアアアアア!』

みるみる内に巨大化し、少女の背どころか周りの木すら越える大きさになった。赤い人魂の様な物が蠢いている瞳で少女を見下ろし、ケタケタと愉快そうに笑った。少女はあまりの恐怖に失禁、意識も朦朧としてきた――

「……おいおい、なんだこりゃ。またでっけー怨霊さんだなぁ……どんだけ怨みあるんだ」

『ア゛?』

「よっ、こんちは。ちょいとそこの女の子に用事があってね、悪いけど引き取らせてもらうよ」

高く綺麗だけど、ちゃんと男の子の声。聞いていると不思議と安心出来る、優しい声――

『ブザゲル゙ナ゙ァァァァァァ!ゴイヅハァァァ、オレノモンダァァァ!』

「アルノュフデルカョマェフゥテンセルゾエネーフルダプサーベル」

長く複雑な言葉を一息で言い切り、化け物と化した怨霊(元々化け物に近いが)に右手をかざし――――

 

ドッ、ゴォォォォォォォォン!

 

「うあちっ、あちちちちち!威力出し過ぎた!悪い、舌噛むなよ!」

「え……ちょっ!?」

唐突に少女を抱き上げ、真上に飛び上がる赤毛の少年を、少女は見た事があった。

「……アンタ、あの時の……慧音先生のとこにいた……」

「すまない、その話後にしてくれ!それと下見るな!」

「え?あっ……」

下を見た少女は、そのまま霊夜にしがみついた。――高いのだ。幻想郷で一番高いのは妖怪の山だが、それよりも高い。だが何より、

「きっ、来てる!逃げて!」

「そりゃ勿論!つーかあれでピンピンしてるとかどんだけ怨み強い怨霊だよ!」

「あの、怨霊は除霊とか御札とか無いと駄目じゃ……」

「うん、出来ないな俺。でも、出来る知り合いは居る。……やってくれるかは微妙、でも賭ける価値は十二分にある!」

「も、もしかして……博麗の……わぷっ」

「しっかり掴まってろ、落ちたら死ぬぞ!」

男性の割にはとても長い、良い匂いのする髪と、ふわふわした尻尾に気を取られていたが、この少年、かなりゴツい。

「………っ」

途端に意識しだした少女は、ぎゅっと目を閉じた。だからこそ、少女は分からなかった。

 

怨霊が、一瞬にして消えた事に。

 

「いやー、()()()()サボってみるもんだ!危ないとこだった、大丈夫かいお二人さん?死ぬかい?」

「死にとうないし、二人とも大丈夫。ところでどちらさんで?」

「あたいかい?あたいはねぇ……死神さ」

一瞬で近づいてきて囁かれた言葉に、少女は死を覚悟した。




キャラクターメモ

宵呼《よいよび》 颯忌(さつき)

種族:人間
年齢(紅霧異変時):12歳
能力:無し
説明:瞳が蒼かったからという理由だけで捨てられた過去を持つ、こちらは本当の少女。
妖怪に何度も襲われ、犯された事もあり、元人間の霊夜にも敵対的な反応を示した。
颯忌というのは首から提げていた札に書いてあったが、名字はレミリアが命名。名前の由来は聞きたくないんだとか。
クールな性格と言動とは裏腹に、容姿は可愛いげのある美少女。瞳は前述の通り蒼く、艶やかで短めな黒髪、背は低め。胸はそこまでは無い。声はハスキーだが、これがコンプレックスらしい。霊夜の綺麗な声が羨ましい(本人談)。
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