前回、こまっちゃんが出てきて終わりました。つか終わらせました。さてそっからどうなる……?
ではどうぞ。
「あたいはねぇ……死神さ」
「……!」
「なるほど、死神……だからって、生身の人間を怖がらせるのはどうかなぁ」
「んー、最もな意見どうも。悪いね嬢ちゃん、怖がらせるつもりは無かったんだ」
赤いツインテールの髪を揺らしてカラカラと笑う様は確かに警戒心が解かれるが、女の子の視線はさっきから死神のやや上――鎌にしか向いていない。そりゃまあ、あんな物騒な刃物隠しもせずに担いでりゃ視線も向くか。むしろ驚かない俺の方が変なのだ。――いや、それも少し違うか?
「なあ、その鎌本物か?なんか、反射の仕方とか違う気がするんだが」
「へぇ……よく気付いたね。こいつは偽物さ」
「だってよ。あれは斬れないってさ」
「……それもあるけど」
いつの間にか距離を取っていた女の子は、恐らく護身用と思われる脇差しを抜いていた。その蒼い瞳には、明らかな警戒の色が浮かんでいる。
「アンタ、妖怪でしょ?」
「逆に人間だと思う?」
「思わない。だからアンタも、私を殴って、蹴って、犯すんでしょう!?」
「……はい?」
なんだそのよく分からん前情報。そっかー俺人里でそんな風に思われてたの……いや、これよくよく考えたら俺限定じゃないわ。男の妖怪全体への奴だ。
「……あー、だからそんなボロボロなのか。ずっとそこに居たからだけだと思ってた」
「それもある。……でも、きっと皆迎えに来てくれる……」
「それでどれだけ経った?」
「……1週間。」
1週間もの間、飲まず食わず(そして目の隈から恐らく寝ず)の状態で、ずっとこの
「……将来を願って付ける名前に、忌むの字を使ってる時点でちゃんちゃらおかしい両親だな」
「同感。望まない子供だったのかねぇ」
「……つか、アンタ名前何」
「ん、あたい?小野塚小町ってんだ。こまっちゃんとも小町とも、何とでも呼んでよ。そっちは?」
「新月霊夜。霊夜と呼んでくれ。……さて小町、1つ質問」
「はいはい」
先程からずっと、物凄い険悪な雰囲気の女性がイライラしながらこっちを見ているのだ。そら気になる。という訳で小町に知り合いかどうか聞いてみた所、小町は顔を真っ青にして振り向いた。釣られて振り向くと、死神も真っ青で逃げ出す程に(比喩である。小町は逃げていない)怒らせると怖そうな緑髪の、帽子を被った女性が、何か……
「小町……私は何度も言いましたよね?この時期、真面目に働けと」
「い、いやぁ……あたいが休めば、その後に仕事する面々も仕事が無くなる訳で……そ、そう!これはあたいからの休暇プレゼント……」
「問答無用ォーッ!」
「ぎゃー!ごめんなさい四季様ー!」
何だこの茶番、と思いながらも、俺は1つの重要な事を忘れていた。それは――颯忌が、脇差しを持っているという事。
「ッ……!」
気を抜いていた。鈍痛がして横腹を見ると、服に血が滲んでいる。その中央に突き立っているのは、短めの刀身を半分ほど埋めた脇差し。
「……颯忌。お前、本当は分かってたんだろう?自分は、人里から捨てられたんだと」
「ふざけないでっ!私は、捨てられてなんか……」
「はぁ……じゃあ、なんで今泣いてるんだ?」
「ッ……!それ、は……寂しいから……」
叱られている小町と、ズキズキと断続的に訪れる痛みは一旦無視し、颯忌に歩み寄る。その涙を拭い、頭を撫でていると、安心してくれたのか、膝から崩れ落ちて涙を流し始めた。今度は隠さず、喚き声も上げて。
「だとしてもさ……娘を悲しませていると分かっててほっとくなんて、親がする事じゃない。クズがする事だ。……あのな、『そこから動くな』みたいな事言われたのかもしれないけど、
「うぐっ……うぇぐっ……」
颯忌は、泣きながらも小さく頷いた。
その傍で、小町を叱っていた緑髪の女性が説教を止め、きょとんとした顔でこちらを見ていた。……小町の襟をしっかりと掴みながら。
今回は割と早めに書けた気がします。と言うか皆さん忘れてるかもしれませんが、今時系列的には花映塚なんです。それっぽい事はゆうかりんと(命懸けの)お茶会しただけだったので、一応。
ですが、EXはもう書いてます。妖々夢のデジャヴ……。
ではまた次回。