ではどうぞ。今回は宴会事後談的なアレです、アレ。
「ん……ぅ」
「あら、おはよう。 時間的にはこんばんはだけどね」
「そう、かぁ…結構寝てたんだなぁ……ふぁ……」
文字通り何でもありの──それに弾幕ごっこではない喧嘩が含まれるのかは謎だが──宴会が終わり、全員揃って──ちびっこは美鈴が運んでいる──紅魔館へと帰る途中、寝ぼけ眼をこじ開けて起床した。
「…………」
「そんなに赤くなって……どうしましたー?」
「酔ってた時の記憶普通にあるしやってる事がもう黒歴史でしかない……うぅ〜〜〜〜……」
「ふふ、あの時の霊夜君可愛かったですよ〜♪」
「わーっ、わーっ! 止めてくれよこあぁ!」
ぽかぽかとこあを叩くが、勿論こあに痛みは無い。 と言うか、(自分で言うのも何だが)美鈴相手にある程度は互角に闘える俺に本気で叩かれたらそこの骨は間違いなく数本イくのだが。
「こあ、その辺にしときなさい」
「はーい」
「──あ!霊夢に『片付け手伝う』って言ってたの忘れてた……」
「……うーん、間に合わないんじゃないですか? もう紅魔館見えてますし」
「うわぁ、今度会う時が怖い……」
「そ、その時は私も行きますよ」
「ありがとう美鈴……ただ昼寝し過ぎ」
頬を掻きながらあははと笑う、呑気で人懐っこい美鈴が怒った時には─そう怒らないし、怒ってほしくもない─無表情で紅魔館を誇張無しに半壊させた、という逸話を聞いたのでまぁ大丈夫じゃないか? とは思う。 でも情報源がこあだから、からかっただけって説が俺の中で渦巻いている。
「なぁ、こあ」
「はいはい、何ですか?」
「……今のレミィにカリスマのカの字も見当たらないんだが」
「……ふふっ、それはそれで良いんじゃないですか?」
だって、咲夜におんぶされて、幼さの残る──いや幼さしか無い顔ですやすやと寝息を立てているのを見て、どつやってカリスマを感じろと。
「吸血鬼は夜行性、だよなぁ……」
「人間の昼寝と変わらないんじゃない?」
「それもそうか。 まあ美鈴は昼寝し過ぎなんだが」
「ナンノコトダカサッパリデスネー」
「おいこら」
「……霊夜、おんぶされながら言っても説得力が無いわよ」
「あぅ」
パチェには昔から頭が上がらない。幼少期から魔法を教えてくれた恩もあるが、一番は魔物が封印されていたらしかった魔導書を開いてしまい、そこを助けられて滅茶苦茶怒られたからだろう。 あの時は本当に驚いた。 半泣きになってるパチェを見たのは、今のところそれだけ。 いや泣かせてたまるか。
それはそうと……
「あと、今更だけどさ……」
「?」
「あの、その……えと」
「……ふふふ」
笑われた。柔らかい、天使の様な──ってのはなんか変だな。
「昔から甘えてくれたじゃないですか。 勿論今も、甘えてくれて良いんですよ?」
「……言われなくてもそのつもりだよ」
「なら良かったです」
「えへへ……」
何だか小っ恥ずかしくなってきた。 頬がかーっと熱くなってるのが分かる。
(……まだ酒が残ってるのかな)
「……さて、明日からまた修復作業よ。後少しだからさっさとやっちゃいましょ」
「……ん。 そうだな……今日は、もう…寝る……」
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これは、後に聞いた話だ。 俺が魔法を使える事をパチェが魔理沙に話したらしく、そのせいか―とパチェは愚痴っていた──ヴワル魔法図書館の魔導書が度々盗まれ始めた。