紅魔館に拾われた少年はゆっくり暮らしたい   作:ユキノス

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こんにちは、七夕とかいうイベントをすっかり忘れていたユキノスです。
今回はなんと、1週間以上過ぎている七夕特別編になります。はいそこ、特別編にしかレミィ出てないとか言わない。
ではどうぞ。


特別編:笹の葉さらさら

「ここで、七夕を?別に構わないけど、そもそも七夕って何?」

「分からないのに了承したのか……そもそも七夕というのはだな」

レミィに七夕とは何かを説明し、途中でフランが来た為また1から説明した。仕方無いだろ、フランも興味ありげに聞いてきたんだし。

「……という言い伝えがある訳なんだ。七夕ってのは、それをお祝いするイベントみたいなもんだよ」

「へえ……面白そうね。取り入れてみましょう」

「私も賛成!なんだかロマンチックだもん!」

勢いでOKを出してるけど大丈夫かレミィ、別の奴に騙されたりしないだろうか。普通に心配である。

「……あ」

「どうしたの?霊夜」

「笹って……今まだあるかな……」

「「笹……?」」

はて、と言いたげな顔で、鏡の様に首を傾げる2人。ほんとに何も知らずに了承したんだな、ある意味凄いが無茶な賭けにもなり得るから注意してもらいたい。

「ちょっと行ってくるー!」

「あっちょ、どこへ行くのよ!」

「笹持ってそうな美鈴の所ー!」

完っ全に勘である。いやだって、全体的に中国だもん。なんか持ってそうじゃん。

 

―*―*―*―*―*―*―*

 

「あっ霊夜ー、ちょっとこの……う、わぁっ!?」

「っととととと!颯忌か、どした?」

「あー、射命丸(新聞屋)さんがこんなの持ってきたからさ。そろそろ七夕だなーって」

「そうだなー、もう今日だぜ今日。早いもんだよ」

「ほんとに。……ところで、何をそんなに急いでるの?急がなくても、目標は逃げたりしないわよ?」

「いや、分からないんだなこれが……笹ってまだ人里に売ってたっけ?」

「うわっ、それは分かんないなぁ……美鈴さんとか持ってそうだけど持ってなさそう」

「……そもそも割ってる説あるぞ」

「ありそう」

クスクスと笑う颯忌だが、こうやって普通の女の子やってれば可愛いのに。どうして外ではツンツンしてるんだか。人見知りか。俺と同じか。

颯忌も一緒に来ることになり、走るのを止めて歩いて行くことに。……しかし、2人してまともに七夕を祝った事が無い事に気付き、揃って苦笑い。俺は先生の陰に隠れていたし、颯忌はそもそもしていなかったんだそう。話せば話すほど、颯忌が中々に貧しい家庭だった事が分かる。のだが、何故あそこまで上等な服(ボロボロだったが)を着ていたのだろうか。……分からない。普通に分からない。

「なあ、颯忌」

「何?」

「……自分が産まれてから、最初の記憶ってどこに居た?」

「えっ、と……人里近くの草むら辺り。でも何でそんな事を?」

「いやな?まともに祝った事が無い程に、颯忌が過ごしていた家が貧しかったのは何となく分かるんだ。でもな、俺は物凄い不思議に思うんだ。()()()()()()()()()()?」

「言われてみれば……()()()()()()()()()()()()。……ねえ、何が聞きたいの?」

「……似てるな……そもそも普通の服なら俺が小さくされた時にだぼだぼだった筈……」

「霊夜?りょーうーやー?」

「となると紫が用意したのは嘘なのか?だとしたら颯忌も同じって事に辻褄が合う……でも誰が?俺と颯忌を知っていて、必ずサイズの合う服(こんなもの)を作れる程の人物……」

「むうぅ……そりゃっ!」

「わぎゃ!」

どうやら、深く考え事をしていたらしい。颯忌は、ここに来てからよく笑い、滅多に不機嫌な顔をしなかったのだが、物凄い不機嫌な顔で俺の尻尾を引っ張るぐらいには不機嫌にしてしまったらしい。失敗失敗。

「いつつ……えーと、今言ってたのが聞こえてたならあまり言う事は無いんだけど、要するに俺も似たような状況だったんだ。この服も何だかんだ言ってずっと着てるし」

「……そうなの?じゃあ同じ所で産まれたのかもね」

「そうだな、同じかどうかは別として近くかもな」

「生き別れの兄妹だったりして」

「えぇー?」

でも気のせいか、俺と居る時はかなり楽しそうだったりする。でも1番懐いているのはミオである。俺は咲夜に続いて3番目。

さてさて、そんな事考えてたら玄関に着いた。今は昼なので門番か庭師として居る筈なので、まあここしか行く場所が無い。と言うか美鈴と聞いたら自然と庭か正門へ向かう程だ。

「……寝てるな」

「寝てるね」

「ぐー……」

なんとまあ、最近暑いのに凄いものである。そんなんだからナイフ刺された所だけ日焼けしなくて、変なぶち模様が出来るんだ。因みに言うと、再生した時、皮膚の状態が元に戻るからである。

と、その足元に見慣れたサイドテールが揺れていた。

「あれ?大妖精も一緒なのか」

「……となると、この水溜まりはチルノちゃん?」

「正確には、チルノだったものだけど……まあチルノだろ。いいや、俺達も寝ちゃおうぜ」

「またぁ?咲夜さんに怒られるよ?」

「……ま、そん時ゃそん時さ」

もう……とか何とか言いながらも、結局一緒に寝ている颯忌は、ひょっとしたら押しに弱いのかもしれない。……なんだ今日の俺、やけに推理してんな。もしかしたら昨日読んだ『シャーロック・ホームズの冒険』が原因だろうか。多分そうだ。となるとワトソン君は誰だ。分からん。

「ぅぅ……ん、むにゃむにゃ」

おっと、寝入る前に大妖精が目を覚ました。面白そうなので起きとこう。

「ん……ふあぁ……あ、霊夜君……おはよ……」

「おはよう、大妖精。……あーもう、大妖精って言いづらい……」

「ふふふっ。……でも一応、ホントの名前は言わないでくださいね?」

「分かってるよ。登場してる本読んだけど、結構な大役だったしな」

「え、そんなのあったんですか!?あうぅ、知らなかった……」

顔どころか耳まで赤くして俯いた大妖精だが、俺は(少しの間とは言え)ホントに凄い妖精に育てられていたんだなぁとしみじみ思う。……しかし、あの本に書いてあったのはもうちょい大人だった筈だが……まあ、そんな事はいいか。

しかし冗談抜きに眠くなってきたので、とりあえず昼寝する事に。1つ欠伸をして、一言断ってから寝る。ま、一応ね?

 

―*―*―*―*―*―*―*

 

「ふあぁ……うげ、もう夕方?」

「おそよう、結構焼けてるよー」

「え、マジか……いたたたたたっ、痛いからペちペちするな!本気で痛い!」

「あははっ、面白ーい」

……目的を完全に忘れていたが、美鈴に笹持ってないか聞くんだった。丁度美鈴も起きた事だし、早速聞いてみた所――

「え?私は持ってませんが……笹なら迷いの竹林にありませんか?」

「……あのな美鈴、実は笹と竹って似てるけど別物なんだよ」

「え、そうだったんですか!?」

「はえー、知らなかった……」

意外と知られていないが、本当に別物である。嘘は言ってない。というか同じだったら美鈴に聞かずとも迷いの竹林にひとっ飛びしてる。

「……確かに。うーん……となると……」

「笹ならさっき買ってきたわよ?」

さてさて、ここで出たのは咲夜さん、ほんとにハイスペックメイド過ぎて。絶対レミィが可決した途端に買いに行ってただろ。

「本当!?咲夜さん!」

「ええ、本当よ。ほら」

「わぁ……ありがとう!」

ぴょんぴょんと跳ねて喜ぶ颯忌を見て、咲夜が普通に笑っている。……あれ?今俺かなり珍しいものを見たのでは?

「さて、そんじゃレミィに行ってくるか。なんか要らない白紙で短冊作る」

「もう作ってあるわ。やるなら完璧にしたいもの」

たまに抜けてるけどな

「何か言った?」

「い、いえ何も。美鈴も颯忌も、短冊に願い事書こうぜ」

「うんっ!」

「そうですね」

 

―*―*―*―*―*―*―*

 

という訳で、大図書館。

「むぅ……願い事、と言われてもねぇ……そんな非科学的なの……」

「まーまー、ゲン担ぎみたいなものだって。『病も気から』って言うだろ?」

「……ま、そうね。なら私は……」

紅魔館メンバー全員が集まり、そして最早恒例となった魔理沙が乱入しての短冊書きとなった。こいつどんだけ紅魔館(ウチ)に来るんだ。

「こあは何にした?」

「うふふー、内緒です。霊夜君は?」

「うんにゃ、見せる前に決まってない。何にしようかねぇ……」

思ったが、こうした日常ってのは良いものだ。異変やら異変やら異変やらで大変で、だからこそ日常がありがたいのだろう。異変に感謝。しかし規模は考えろ。

「……あれにするか」

「でーきた!早速飾ってくるね!」

「あら、フランは書けたのね」

「って言ってるレミィは全く書いてないけど……」

「あらパチェ、私は願いを『叶えてもらう』じゃなくて『叶える』方だからいいのよ」

ふふん、とドヤ顔するレミィだが、それが無ければカッコ良かったのに。いっその事『カリスマが欲しい』とでも書いとけ。

 

 

「……ん、しょっと」

妖精メイド全員の分も飾ったら流石に笹が折れる上に見えないので、それぞれの班長だけにさせてもらった。許せ、多過ぎて未だに覚え切れてない妖精メイド達よ。

「ミオで最後?皆飾った?」

「はーい!」と妖精メイド達&颯忌とフラン。「はい」とその他のメンバー。さて、こいつはどこに飾るか……

「これ屋上に飾るか?それとも中庭?」

「屋上にしましょう。その方が広いし」

「よし、皆続けー」

「「おーっ!」」

……しくじった。運ぶんなら運んだ後で飾れば良かった。でもまあ、美鈴がどうにかバランス取りながら飛んでるので大丈夫だと信じよう。

 

少女行進中……

 

「はー、けっこう擽ったい……」

「まあ、あんだけわしゃわしゃしてりゃあな。それよりほら、空見てみ」

「え?……わあ!」

俺の言葉を聞いて全員が一斉に上を向くと、そこには――

 

空いっぱいに、星の列が広がっていた。それはまさしく川の様で、説明しなくともあれが天の川であると分かるだろう。他にも、夏の大三角、射手座、ヘルクレス座等々……

「あ、あれ龍座じゃないか?」

「みたいね。美鈴、貴女の星座あったわよ」

「私は龍じゃないんですが……あ、流れ星!」

「えっ、どこどこ!?」

……いや、違う。これは……

「……流星群だ……!」

「綺麗……」

晴天の夜空に星が降る様子は、とても幻想的で美しかった。

 

 

――――――――――――――――――――――

 

因みにそれぞれの願い事は、

美鈴:昼寝しても怒られませんように

こあ:不明(かなり難しい魔法文字だった)

パチェ:喘息が少しはマシになってほしい

咲夜&レミィ:書いてない

フラン:また皆で遊べますように

颯忌:皆が仲良く過ごせますように

俺:平穏に暮らせますように

だった。妖精メイドの班は結構あるので残念ながら割愛。




はい、1週間遅れて七夕特別編が出された訳ですけども。昨日から書き始めたにしてはかなり多い文字数じゃないでしょうか。因みに4186文字でした。
そして、今回の「忘れてた事案」は10対0で俺に非があります。心待ちにしていた皆さん、大変申し訳ありませんでした。

ではまた次回。
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