紅魔館に拾われた少年はゆっくり暮らしたい   作:ユキノス

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こんにちは、相変わらず宿題をほっぽってるユキノスです。
今回は、タイトルの割には……まあ、ほのぼのかな?って話ではありません。普通にタイトル通り。あ、基本的には霊夜×鈴仙です。
ではどうぞ。


血濡れのトラウマ

今日も1人、薬の調合をする。確か今は風邪、切り傷、擦り傷、頭痛の薬が少ない筈……うん、少ない。えーと、薬草は……

「永琳!開けるぞ!」

「何?そんなに急いで……って、何よその傷!?」

「だから急いでんだよ!」

妹紅とメイド―確か咲夜と言ったか―が、大慌てで駆け込んで来た。その腕に、血だらけで片目の潰れた霊夜を抱いて。

「……ああもう、何だってこんな時に……ウドンゲ!今すぐ来て!」

「こんな時?」

「今切り傷用の薬が少ないのよ!急いで調合しないと……!」

「何ですかししょ……うわっ、酷い傷!」

「私は薬の調合をするわ!貴女は応急措置をして!」

「はっ、はい!」

バタバタと忙しなく動くウドンゲの声を聞きながら、私は切り傷用の薬を大量に――それこそ当初の予定を大きく上回る量を作らなくてはならなくなった。

 

―*―*―*―*―*―*―*

 

――気付けば、自分がやや透けている。声を出すことも、動く事も出来ないけれど。

 

――ああ、俺は死んだのか。間に合わなかったか。……そうか。悲しませてしまったか。

 

――ふと、妖怪の樹海―人里の裏辺りにある―に目をやると、銀髪の女狼がいた。

 

――彼女は狂喜しながら人を嬲り殺し、死肉を食い千切り、返り血を舐めて快楽を得ていた。

 

――そんな彼女の、紅い硝子の様な瞳が、こちらを向いた。

 

――一瞬にして眼前に迫っていた彼女は、綺麗な顔だった。しかし、そのあぎとを開いた瞬間、俺は彼女への評価が間違っている事を悟った。

 

――鋭い牙、不定形なものが蠢いている口内、喉から奥は虚無にも等しいレベルの暗さだった。彼女はそのまま、臼の様な歯で俺を噛み―――――――――――――

 

 

「―――うわあああああっ!……はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ……」

「わわわ、大丈夫ですか?随分(うな)されてましたけど……汗もかなりかいてますし」

「え?……あっ……ああ……」

――悪夢だ。そうとしか言えない。自分そっくりの化け物に食われる夢なんて、誰が良い夢だと言えようか。

「……君、霊夜君!」

「っ!?……な、なんだ?」

「やっと返事した……汗拭きますから、服脱いでください」

「わ、悪い……」

消毒液の匂いがする、真っ白な甚平の上を脱ぎ、傷の状態を確認。右目は……潰れたままだ。微かに霊力を感じるから、破魔の札と似た様な物で治癒が邪魔されているのかもしれない。だが、体中にあった切り傷はほぼ治っていた。

「……しかし、凄い筋肉ですよねー……羨ましいです」

「えっ、そうか?俺の中の鈴仙は華奢な兎(笑)だったんだが……」

「(笑)ってなんですか(笑)って……これでも月の軍人なんですよ?」

「へー……軍人ねぇ……」

「あっ、今失礼な事考えましたね!?」

「いやいや違うよ。鈴仙みたいな女性も、月じゃ戦わされてたんだなぁって思っただけさ」

ほんとですかー?と疑ってくる鈴仙の顔は、少しだけ膨れている。ちょっと可愛い。

「あの、霊夜君」

「ん、なんだ?」

「……弾幕ごっこの時どうするんですか?」

「あー……霊力とか頑張って感知しようかな」

「ゑっ、そんな事まで出来るんですか?」

「んー……まあ、完全ではないけど。あと、どれくらい寝てた?」

「えー、と……4日ですね」

「4日ぁ!?」

「わ、びっくりした」

……通りで色々細い訳だ。あー、また肉付けなきゃなぁ……

そう頭の中で呟いた瞬間、あの妙に生々しい喰われる感触が蘇った。

「……うぶっ……鈴仙、洗面器か何か無い?」

「え、今ですか!?ち、ちょっと待っててくださーい!」

気持ち悪い、と言うか……何だろう、いつか感じた『矛盾』みたいな……そうじゃない様な……

――ねえ、聞こえる?霊夜。

誰だ!と声に出したら絶対吐くので口にはしない。だが伝わりはしたらしく、声の持ち主―紫と会った時に聞こえたものと同じ女声だが、あの時より優しい雰囲気がある―は自分は何者かを語り始め――

「はいっ、こちらに!」

――る前に、洗面器を持った鈴仙が戻ってきた。

そこに吐いたのは、胃酸だった。思えば、4日間昏睡という事は何も食べていない。

――なのに、吐き気は止まらない。涙も出てきた。

「かはっ、うぉえ……っ」

何も出なくなったが、まだ止まらない。――トラウマ、だろうか。それとも、あの悪夢の反動か。

色々な事があって、頭の中はぐちゃぐちゃになっている。様々な処理が頭の中で行われているが、これ以上考えていたら狂ってしまいそう。そう感じた俺は、意識を手放した。




因みに俺(作者)の中の鈴仙は、真面目な苦労人って感じです。涙目がよく似合(殴)
最後の方の声、何者でしょうかね?
ではまた次回。
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