今回はその内の1つ、文々。新聞の取材。あやややや。
ではどうぞ。
今日も今日とて紅魔館の修理…いや修復作業をしていた私は、正門前…正確には美鈴の居る辺りに、黒い影が降り立った所を見かけた。よく見れば、珍しく起きている美鈴と何か話しているらしい。
――全く、またサボってるのかしら…
と思わず考えてしまうのは、日頃の美鈴の行いだろう。
「霊夜、美鈴を見てきてもらえるかしら?」
「えぇー…そういうの咲夜の仕事だろ…」
「私が居ないとペンキが乾くまで時間が掛かるじゃない」
「…分かったよ行くよ」
それならペンキ塗ってから行けば良いのに…とか言いながら降りていく霊夜だけど、それだと私がかなり疲れる。ペンキを塗って、そこの時間を加速させるという事は、能力を使いっぱなしにしなくてはならない。流石にそれは骨が折れる。
「…本音を言うと、単に面倒だったからなんだけどね」
―*―*―*―*―*―*―*
「おーいめーりーん」
「あれ?ペンキ塗りはもう良いんですか?」
「いや?美鈴見張って来いってさ」
「あ、あはは…」
まぁ実際もう少しで終わるのだが。…と言うか、
「…アンタ誰?」
「こんにちはペンキ塗りさん!鴉天狗の清く正しい射命丸文です!ってあれ、怒ってます…?」
――どうやらこの鴉天狗は、人を怒らせるのがかなり上手い様だ。
いくら俺でも、「誰がペンキ塗りだ!」と言わない程度には大人である。ある、のだが…
「…新月霊夜」
「はい?」
「俺の名前。ペンキ塗りって呼ばれんのは嫌だしな」
「まぁ確かに嫌ですね。…えー、霊夜さん。貴方に幾つか質問をさせてください」
「…良いけど、あまり長くは離れられないぞ?それとさん付けはやめてくれ」
「はいはい、じゃあ手短に。まず、
おっといきなりそう来たか。いやでも…関係って言われるとちょっと首傾げるな…友達とも違うし…これが良いか。
「これは美鈴だけじゃなく、紅魔館の皆に言える事なんだが…義理の家族みたいなもんかな」
「おぉー、義理の家族ですか!」
ポケットからメモ帳を取り出し、スラスラとペンでメモを取ってから、「因みに生い立ちは?」と聞いてくる。
「生い立ち…」
実を言うと、言いたくない。隠す事でも無いが、あまり思い出したくないのだ。
「…悪いな、それは言えない」
「あやや…それは残念」
「でもそうだな…人間と魔法使いの混血、とだけ」
「おおっ、ありがとうございます!」
この後幾つか―と言っても30個近くあったのだが―の質問に答えた所でようやく「ありがとうございましたー!」と猛スピードで飛び立った鴉天狗の文に1つだけ思う事がある。すなわち、
「変な事書かないでくれよー!?」
という事である。俺だって、ある事無い事で騒ぎ立てられるのは好きではないのだ。答えは――無かった。
「はぁ…美鈴、寝るんじゃないぞ」
「大丈夫です、起きてますよ」
それより、と美鈴は続ける。
「霊夜君って混血だったんですね」
「まあな。…捨てられたけど」
親の事を口にすると、苦虫を噛み潰した様な顔になるのはこれが理由だ。…って、ヤバいこれ内緒だった。
「…霊夜君……」
目に涙を浮かべ、美鈴がヨロヨロと歩いてきて――俺は、昔を思い出していた。
―*―*―*―*―*―*―*
あの頃、確か俺が4歳の時だ。その頃既に親からは捨てられていて―顔すら覚えていない―、慧音先生の所で育てられていた俺―確か当時の一人称は『僕』だった―は、かなり陰湿なイジメ、嫌がらせを受けていた。チルノや大妖精、ルーミアと遊んでいた所を寺子屋の生徒に見られ、『妖怪とばかり関わりたがる人間みたいなヤツ』と言われた。先生に見付かった場合は即刻
それから暫くして、口数が減り、笑わなくなった俺に「どうした?何があったんだ?」と聞いてきた先生を、俺は突き飛ばして夜の人里に飛び出し、人里さえ飛び出して、霧の湖まで走った所で緊張の糸が切れ、そのままばったりと倒れて―――
…君?……夜君!
―*―*―*―*―*―*―*
美鈴の言葉にハッと気付くと、美鈴が心配そうに見てきて、抱き締めてくる。暖かく優しく、また柔らかいその感触を手放したくなくて、「…なぁ、美鈴…もう少し、このままでいてくれないか」と無意識に言っていた。返事はイエスで、その後暫く、子供の様に泣きじゃくった。
あれぇ…思ったより重くなったぞぉ…?いやまぁ、設定としては考えてましたよ?でもこのタイミングで…まさかこいし…?(笑)
ではまた次回。
キャラクターメモ
種族:妖怪
年齢(紅霧異変時):不明(紅魔館メンバーでは最年長)
能力:気を使う程度の能力
説明:紅魔館の門番兼庭師。よく昼寝しているが、咲夜に刺されたり霊夜に脅されたりして(霊夜はたまに一緒に寝ている)起こされる可哀想な人。
霊夜には武術と体術を教えている……が、手合わせでヒートアップし過ぎて壁を壊す事もしばしば。酷いときは橋をも壊した。
普段は朗らかで、ちびっこ達の遊び相手になる事もある(霊夜はこの時美鈴に会っている)が、本気で怒った時は紅魔館が半壊した(小悪魔談)。