紅魔館に拾われた少年はゆっくり暮らしたい   作:ユキノス

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こんにちは、4日連続で4時半に寝た(最後はオールした)ユキノスです。

さてさて、ようやっとEXが終わって事後談。
という訳でどうぞ。今回、さりげなく初めての新月の日の話です。


新月の夜

月が夜空から消える。そんな日が、ひと月に1度だけある。そう、新月だ。妖怪は力を失い、出来損ない()は力を得る。そんな日。

でも、今の俺は妖狼の肉体を持った為、俺の能力(チカラ)と月の影響が相殺されて何も変わらない。

で、だ。新月である今日は《信頼のおける者を連れていく》という条件でのみ、外出が許されている。

「という訳で、もこ姉に来てもらったんだ」

「なるほどね。それで、何するつもり?」

「実は何も決まってない。何せ、庭に出る事すら禁止されてるから身体が鈍っちゃっててさ」

そう、「いつ監視されているか分からないから」とほんとに館の中しか行動出来ないのだ。なので手合わせも、花の手入れも出来ない。お陰でインドア派になる所だった。

「なら手合わせでも……いや、辞めとこうか。折角の外出許可だ、手合わせは無粋だろうし」

「そうだね。……となると………あっ、そうだ!ミスティアが『屋台始めたからぜひ来てねー』って言ってた」

なんでも、鳥を食べさせない為にヤツメウナギの屋台をやるんだとか。同胞が喰われている所を見るのは、やっぱりキツいものがあるんだろう。俺だってキツい。

「じゃあそこに行くか。場所は聞いてるの?」

「……聞いてません」

「ダメじゃん」

「い、いやでも見えてきたから……」

「嘘吐け絶対……あったわ。何だこの示し合わせたみたいな偶然」

「まあまあ、あったんだし良いじゃない」

「……それはそうなんだけど」

やっほ、という挨拶と共に顔を出し、ミスティアが「いらっしゃーい」と返した。お品書きを見ると、人里の居酒屋や魚屋でも売られている魚の刺し身や、『ヤツメウナギの蒲焼き』『雀酒』といった珍しいものもあった。と、ここで気付いた。焼き鳥──というか、鶏肉を使った料理が1つも無いのだ。

いやまあ、ミスティアは夜雀だから出せないのは分かる。しかし、それを言ってしまったらキリが無いのだ。

「──まあ今はいいや、ヤツメウナギを……」

「2つ。それと酒も頼むよ」

「……もこ姉、もしかしなくても常連さん?」

「ん?ああ、割と最初の方から通ってるよ。赤髪の死神なんか、呑み仲間になれた」

「呑み仲間て……今度から、赤髪の死神が屋台に居たら仕事終わったか聞いてから呑ませてやって。ミスティアももこ姉も」

「はいはーい、忘れず言っとくよー。はいこれ、お酒」

「ん、ありがと」

そう言うと同時にお猪口を渡され、酒を注がれたので困惑していると、もこ姉が「いいよいいよ、呑みな」と言いたげな表情(かお)をしていたので、お言葉に甘えて1口。

「……!」

「美味しいでしょ。気に入ってるんだ」

「うん……すっごく美味い。弱い訳じゃないんだけど強過ぎない、それでいてさっぱりしてる」

「ははは、霊夜にも好評だよ。だから自信持ちなって、ミスティア」

「お、お客さん……からかわないでちょうだいな」

ふいっ、と赤面してそっぽを向いたミスティアが何となくおかしくて、もこ姉と2人で吹き出してしまう。もー!と慌てているが、ヤツメウナギが焼けた為一時的に収まった。顔は赤いままだが。

「……はい、ヤツメウナギ2人分!」

「怒ること無いだろうに……ねえ?」

「そうだそうだー」

「霊夜は酒に弱過ぎ、もう軽く酔ってるじゃない……お猪口2杯分で酔える人も今時珍しいわ」

「昔っからそうだよ、こいつは鋭いと思ったら抜けてて抜けてると思ったら鋭いんだから」

「へぇ、妹紅さんにそこまで言わせるとは……霊夜、案外凄いんだねぇ」

「んぇ~?」

「……ダメだこりゃ、完全に酔ってやがる。ほら、ヤツメウナギ食べな」

「んー、いただきまーす……あむっ、む、ん……美味し」

「だろ?結構気に入ってるんだ」

名前の通り鰻ではあるのだが、普通の鰻よりも身は柔らかくほわほわした食感。

「幸せそうな顔してるねぇ……あっ、口の端にタレ付いてる」

「んむぅ……ぱくっ」

「ひゃあ!?」

「えへへぇ……おねーちゃーん」

「わっちょっ、擽ったい!ああもう、ミスティアも手伝って!」

「え、あっうん!って、私に出来る事そんな無いんだけど……」

 

―*―*―*―*―*―*―*

 

「むにゃ……」

「起・き・な・さ・い!」

「っんぅ、耳痛くなるからやめてぇ……」

「もう昼よ。珍しいわね、貴方が昼まで寝てるなんて」

「……ほえ?」

瞼を擦り、外を見る。太陽の位置を見るに、なんと本当に昼だ。

「……あれま」

「あれま、じゃないの。貴方の分の朝食は時間を止めてあるけど、ブランチにするからね」

「はぁーい分かってまぁす。……今日は何やろうか」

「ふふ、貴方本当にインドアの方が向いてるんじゃない?」

クスリと笑う咲夜も珍しい──いやちょくちょく見るのだが。でもそうか、インドアの方が向いている、か……

「悪かないかもなー。それじゃ、今日は宝物庫の探検でもしますか」

「そこは危険物があるからやめろと言われてるじゃないの」

「いででででで耳引っ張らな……あっちょっと擽りもしな、あはっ、あははははは!」

暫くの間、ほんっとにのんびり出来そうだ。




霊夜そこ変われ(何度目だ)。
妹紅と一緒にミスティアの屋台に行きたい人生でした。

さてさて、あと事後談(0~2回あるかも?)と宴会挟んで、いよいよ風神録です。バグマリ使えよ、捗るぞ(未プレイ)。
ではまた次回。
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