という事で、タイトル通りコラボです!2回目となります、音無雨芸さんの《東方蒼夢録》とのコラボ小説!
今回は続きものとなります。こちらは
という訳で、下記リンクです↓
https://syosetu.org/novel/139245/
ではどうぞ。
朝、目を覚ます。重たい瞼をこじ開け、窓を見ると。
「……? なんで、泣いて……」
思い出せない。何か……大切なものを失くした。でもそれが分からない。思い出そうとすると、頭の中が虚ろになる。……何故だ?何故俺は、────
青い薔薇の花弁なんか見て、泣いている?
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昼過ぎになって、紅魔館の皆に聞いても、青薔薇の花弁について知っている人は誰も居なかった。美鈴は庭師らしく大興奮していたが、そこまで興奮するということは、紅魔館のどこを探しても青薔薇なんて咲いていない。どこに咲いていようと、必ず美鈴は知っているからだ。
それはつまり、《手掛かりは紅魔館に無い》と示された訳だ。となると、他は……幻想郷全土になる。三途の川や無縁塚は流石に無いだろうが、人里は華扇かもこ姉を通して聞くしか無さそうだ。……いい加減、里の中ぐらい入れてほしいものだが。
「妖怪の山……も無さそうだよな。いや、でも……椛が知ってるか?」
「何ぶつぶつ言ってんの霊夜、頭打った?」
「知らないかもしれないな……あーでも見た事はありそう、行ってみる!」
「ってあっ、ちょっとー! 夕飯までには帰ってきてって、咲夜に言われてるでしょー!?……聞こえてないのかなぁ、もう……」
「出来るだけ早めに帰るー!」
「……聞こえてたんだ」
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妖怪の山中腹 白狼天狗の詰所
ズダンッ!
「な、なんだなんだ!」「敵襲か!?」
土煙でもうもうとした詰所入口付近の、その真ん中。衝撃でヒビが入った石畳に、膝を曲げて立っている人影──いや、狼影が見えた。
「……ちょっとごめんなさい、通りまーす」
人集り──もう人でいいや──を掻き分け、土煙を起こした張本人であり、最近は訳あってこちらに出入りしている狼を見つけた。人差し指で肩をつつき、こちらを向かせる。
「何を急いでいるんですか、霊夜君」
「はっ……はっ……もみ、頼み、が……」
「とりあえず水飲んでください。何が言いたいか分かりません」
丁度その辺にあった空の水筒に湧き水を注ぎ、急ぎ過ぎて過呼吸になっている彼に飲ませる。ぐびぐびと一気に飲み干し、呼吸も落ち着いてきた頃、また鬼気迫る顔で肩を掴まれた。……思ったより筋力あるな、って痛たたた!
「ちょっ、痛い痛い、痛いです。……落ち着いて、ゆっくり話してください」
「ご、ごめん……実は、」
少年説明中……
「……青薔薇に、関係のある人? 男か女かも分からないのに、探せっていうんですか?」
「無理難題なのも、支離滅裂なのも理解してる。でも、探さなきゃ……見つけなきゃ、ならないんだ」
「またどうしてそんな……ああもう、分かりましたよ。やります、やってみます!」
どこぞのブン屋──上司だとかは関係無い──は冗談交じりに言ってくるが、彼は言ってしまえば《嘘が下手な人》なので、嘘か本当かぐらいは理解出来る。……今回は本当のようだ。
全く、何故私はここまで苦労せにゃならないのか。数百年前から考えているが、未だに分からない。
「んー………」
「見えたら教えてくれ。……俺も、出来るだけ見てみる」
「キミの場合は見ても分からないでしょうに。……それと、着替えてきたらどうです? 気づいてないかもですけど、キミまだ寝間着ですよ?」
「え、あっ……着替えてきます」
「見つけたら知らせますから、それじゃ」
……紅魔館でも寝間着でうろつく事は無い──というのは門番の話だが、それでも寝間着で来たということは余程急いでいたのだろう。……その、《青薔薇の人》とやらの為に。
「男か女かも分からないのに、何故探さないといけないのやら……あれっ?」
今、何かがちくりと刺激された。物理的にだったら間違いなく文さんだけど、今回は概念的に。場所的には、太陽の畑。風見幽香の家辺りに、何かが居た。
「アレは……?髪は蒼いけど、でもだからって決めつけるのもなぁ……」
「あや、何やってるんです?椛」
「あぁ、文さんでしたか」
「その嫌そうな顔をやめてください、結構傷つきます。……で、何をやってるんです?」
「はぁ……めんどくさ。霊夜君が、《青薔薇の人》を探しているらしくて……それも急いだ様子で」
「あっ今めんどくさって言いましたね!? それ部下としてどうなんです!? ……あや? でもその人、彼は会ったことがある筈ですが……」
「ええ?なら何故『分からない』と……」
「……相変わらず履き慣れないな、下駄ってのは」
「あっ、良い所に」
「……?」
文さんから大体の話を聞いた霊夜君だが、彼はその事を《覚えていない》と言うより《知らない》に近い反応を示した。何故か、と聞いた所、「考えると頭の中が真っ暗になるみたいな感じがする」と返された。余計にこんがらがってしまった。
だがまあ、太陽の畑には行ってみるらしい。と言っても、写真から見るに蒼髪の女性が《青薔薇の人》で間違いは無さそうだが。
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霊夜が青薔薇の花弁を見つける前夜
「……違う。《アレ》は、
「……何回繰り返すつもり? 夕飯、冷めるわよ」
「………はい、いただきます」
虚ろな目。引っ掻き回しすぎて、ぼさぼさになった髪。目は真っ赤に晴れていて、頬には涙が伝った痕。誰が見ても元気が無い。空元気を出す気力すら残っていないのか。
実際残っていないのだろう。帰ってきて早々に泣きつき、アレは私じゃない、アレは私じゃないとうわ言のように呟いていたぐらいには。
「……はぁ。 いいわ、持ってくるから。 貴女はそこで座ってなさい」
「……いえ、大丈夫です。……今、行きますね」
「座ってなさい。聞こえなかった?私は、座ってなさいと言ったの」
「……分かり、ました」
大人しくベッドに座ったのを確認し、戸を閉める。
今更してきた頭痛を意識から振り払い、夕飯を取りに行った。
―*―*―*―*―*―*―*
「──どうだって良いじゃん。 認めなよ、貴女は私だって。 どれだけ善人でいようが、笑顔を振り撒いていようが、結局
……違う、違う違う違う。私は、藍里。貴女とは──■■■■とは違う。
「──変なの。 違わないよ。いくら枝分かれしても、いくら片方だけを育てても、結局根っこは同じでしょ? 私と貴女は、そんな関係。 青薔薇っていう《器》に入ったからって、それは変わらない」
辞めて
「──ましてや、会ったばかりの妖怪だよ? 夢見るのも大概にしなよ」
…辞めてっ……
「──信じるから、裏切られる」
辞めて───!
「……下まで響いてるわよ。 何を
……幽香さんは、分かるのだろうか。会ったばかりの、でも何故か友達になれそうな人に、会ったことを無かった事にされた場合が。
「……それで、貴女はどうしたいの?」
「──私は」
そこで息が詰まる。外に居た頃の《私》ではなく、ここに居る《藍里》として言いたいこと。それを、ゆっくり、確実に述べていく。
「…………私は、あの
「……そう。好きになさい。夕飯はもう冷めてるけど」
「……はい」
相変わらず厳しい幽香さんだけど、それでも優しさや気遣いがあちこちに見て取れる。
その優しさに顔が綻んでしまうが、それも仕方の無い事かな……と考えた。考えたのだが、幽香さんに睨まれてしまった。
ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*
《青薔薇の人》に会うため、太陽の畑に向けてフルスロットル。 顔写真も見せてもらったが、何故か──理由は不明なれど──顔が見えないのだ。 いや、椛や文、その他他の人妖は問題なく見える。 ただ、《青薔薇の人》に関するものだけが不鮮明、もしくは見えないのだ。 何故か? そんなの分かってたら苦労しない。
「っ……」
まだ、多少ふらつく。無理もない、妖怪の山に飛んだ時点で既に無茶をしているのだ。主に肉体的に。
日と共に自分も傾いているような気がした。──いや、実際傾いている。斜め下を向いているのに、真下に向けて加速している。……まずい、このままだと……
落下中、意識が途切れた。
***
「う、うぅ……」
ふと、意識が覚醒した。頬に当たっているのは、草のようなチクチクする感触でも、岩のような硬い感触でもない。ふわふわした、枕みたいな……いや待て。枕だこれ。オマケにベッドで寝ている。となると、落ちた後誰かがここへ持ってきた?何故?
「い、つつつ……。 やっぱ筋肉痛かぁ、くぁぁ……」
昨日は飛び立つ時、全身に強化魔法を掛けていたせいか──実はその都度掛け直す方が効率が良いのだが、その時は焦って考えもしなかった──身体中が痛い。具体的に言うと、起き上がるのも億劫だ。
「そういや……ここは、どこだ?」
重たい瞼を擦って周りを見ると、窓から沢山の向日葵が見えた。……なるほど、太陽の畑か。
「あっ、起きた! 良かった……」
戸を開け、1人の女性が入ってきた。パッと見た年齢は、俺と同じくらいか。1つだけ、確かに違うのは──顔に
「このまま起きなかったらどうしようって……」
「……!」
「っ、…………やっぱり、そう、だよね。あんな事言って……傷つけて。それで即座に許してくれる、なんて虫のいい話……ある訳、無いよね」
「あ、あう、あ……」
突然、言葉が出なくなった。出そうとすると詰まっているので、どうにももどかしい。
今すぐにでも、聞きたいのに。
どうして、自分をそんなに責めるんだ。
俺は君の何なんだ。
──君は、誰なんだ。
せめてそこまで声に出そうと、少ない空気を振り絞ったが──突如、大穴が空いた。飛べない。落ちる。落ちる、落ちる、落ちる────────。
暗い、暗い底に到達する直前。靄が晴れ、《青薔薇の人》の顔が見えた、気がした。
―*―*―*―*―*―*―*
「ぐ、う、うぅ……っあ!はっ、はっ、はっ………あれ?」
目が覚めた。見慣れた暗い紅の天井が視界に入る。趣味の悪い色だ、とは毎回思う。
ふと気になって、頬を触る。涙の跡は無い。窓に映った目を見る。普通だ。そして窓際には──何も、無かった。
「……夢、だったのか?あれ、全部が?」
でも、変だな。だとしたら、何故俺は───
あの時詰まった喉の感触と、靄が晴れた時の感動をしっかりと覚えているのか?
となると、既に1度会っているのは本当の筈。なのに、何故──
「……え? 今、藍里って……あ、あ、ああ、全部、全部──思い、出した!」
あの日。 俺と藍里で、妖怪の山の麓まで行った。 玄武の沢から流れる水にはしゃぎ、豊穣の神に秋の味覚の素晴らしさを教えられ、日も傾いた頃。 1人の、白狼天狗と出会った。名は、
俺はもう血にも痛みにも慣れて(しまって)いるのでどうもいう事はないが、問題は藍里。 彼女は、自分が悪いと呟き続けるだけの木偶人形になってしまったレベルで精神的ダメージを負っていた。 これではまずいと考えたパチェが、藍里──と、ついでに俺の記憶を封じ、鎖を掛けた。
……まあ、その鎖を今ほどいちゃった訳なんだけど。
ともかく、これが事のあらましだ。と思う。まだ封じられているのはあるかもしれないからだ。
「って、そんな事してる場合じゃねえやな……っと。さて、飯食って行きますか、太陽の畑。いやー、すっきりしたぁ」
―*―*―*―*―*―*―*
「……霊夜はもういいの?」
「はい……きっと彼も、私なんかと居るよりはむぐっ!?」
「静かに。……聞こえる、感じる。霊夜よ」
「んっ………んん、ん……? (えっ………なん、で……?)」
「私が知るもんですか。ほら、行ってきなさい」
「えっちょっ、わわ、わ!」
ぶつかる──というか転ぶ──!
と思ったら、ふわりと身体が浮いた。どうやら、着地するより先に私を抱えてくれたらしい。
「あ、あのえっと、その……あり、がと……」
「なーに固くなってんのさ、
「え……?」
友達。ともだち。トモダチ。 今、そう言った? あんなに、酷いことを言われて? 《無かった事にされた》事を、《縁がなかっただけだ》と一蹴したのに?
「──分からないなぁ。何度か会っただけの妖怪にトモダチって言われても、こっちは実感が湧かない。それに、さ。私とキミの間には、縁ってものが無かった。それは紛れもない事実だよね?」
「……ああ。 事実だ。 でも、残念ながら今は……名前も知らない貴女じゃなく、藍里に言ってるんだよ。 俺にとって、藍里は十分に大切な友達だ。 例えそれが、違う種族で、何度かあっただけだとしても。 ……それに、縁が無いって?
「──」
パクパクと口が動き、頭の中で《意味わかんない》の声が響いたのを最後に、身体の主導権が
「ごめんね……ごめんね……っ!」
「ああ泣くな泣くな、後で幽香に殺られそうだから……それと、いきなり消えてごめん」
「ほんとに……ほんとのほんとのほんとに、心配したんだよ?」
「あはは……ごめん」
……やられるのは、多分無いだろうと思う。うん。多分きっと。恐らく。……ね?
そう思っていた時期が私にもありましたとさ。ちゃんちゃん。
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「ごめんなさい、霊夜君……キミが、《あの人》に会うのは、出来るだけ避けたいんです」
本来はほのぼので行くつもりでしたが、音無さんの小説を読んで「えええここで終わるの!?」という感想を抱いて着手した為、どこか変な所がありましたら教えていただけると幸いです。
ではまた次回。それと、東方蒼夢録共々よろしくです!