紅魔館に拾われた少年はゆっくり暮らしたい   作:ユキノス

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こんにちは、ユキノスです。

ところで皆さん、コラボ小説は面白かったでしょうか。違和感は出来るだけ無いように作ったつもりですが、それでも多少は出てしまうのは人が違うからという事で()。

さてさて、小説本編の話をば。 前回、えーと……(見直し中)妖怪の山の宴会場へ向かう途中で終わったんでしたね。今回はもう着いてて、宴会始まるぐらいの所からスタートします。
ではどうぞ。


山を統べる者

さて、まあ色々あって俺は宴会場に到着した訳だが、早速天魔─名前ではなく、称号らしい─の邸宅に招かれたのであった。 てけてん。

じゃねーんだよなんでいきなり山の頂点に立つ人物なんだよ。百歩譲って秋の神様二柱とかにしてほしかった。

 

「天魔様、新月霊夜をお連れしました」

 

「入れ」

 

「はっ」

 

低く、威厳のありそうな声が部屋から届き、椛が襖を開けた。 さて一体どんな爺様が出てくるんだと思ったら。

 

「おう、よく来た! お前さんが霊夜か? 俺は……そうさな、天魔って呼ばれてんだ。よろしく頼む」

 

「え、え、あの……よろしく」

 

めっちゃフレンドリーな青年が出てきて、少し笑いそうになった。 つか笑った。 ただ、衣服からして他の天狗──それこそ大天狗とも掛け離れており、綺麗な(すみれ)色の着物を羽織っている。 他は大差無いが、胸に黒い刺繍が為されている。 ……これは、何だ?

 

「ん、ああこれか? 山のトップの証みてーなもんさ。夏は暑ぃんだぜ、こいつ」

 

「そ、そうなんだ……で、本題は何か聞いても?」

 

「まあまあ待て待て、そう焦んなっての。伊吹様も、頼むから俺の部屋から酒ちょろまかしてかないでください」

 

「まーまー、減るもんじゃないんだしさぁ」

 

「それは伊吹瓢(お前の瓢箪)だけだろ」

 

額に音を立てて手刀を浴びせた─ビシッという音は、俺の骨にヒビが入った音だ─ら、天魔が引き気味に苦笑い、椛は顔を真っ青にしてドン引きしていた。 ……そうか、天狗より鬼の方が立場が上なのか。天魔も「伊吹様」って言ってたし。てか普通にクッソ痛いんだけど。笑えない。

 

「……ん、んっ。で、だ。ま、とりあえずこいつを見てくれや」

 

「い゛っ………つつ、えーと誰これ。白狼天狗の……《風萩 零》?風萩って……」

 

「そ。ここじゃあ、ガキが産まれたのと同時に名簿を作ってんだ。んで、こいつなんだが……見て分かる通り、男、赤髪、耳も尻尾も無し、妖力がそんな無い代わりに魔力が多いっつー特徴があった。まあ純血なら魔力はねえのは当たり前なんだが、こいつは西()()()()()使()()()()()()()の間に産まれたんだな」

 

「……ふ──んむ、どっかで聞いたような話だな……」

 

「んで、トドメにだな。こいつ、1()6()()()()()()()()()()()()()()()

 

「16年前……16?えっと……」

 

今俺が18歳。16年前ってことは、当時2歳。先生に拾われたのが3歳。その前、大妖精の所に住まわせて貰ってたのが2歳。それ以前の記憶は無い。

 

「……いやいやいやいや、まっさかぁ〜」

 

「そんじゃ、こいつを見せてやろうか。ほれ」

 

「あ……!」

 

恐らく文が撮ったのであろう写真。赤髪の男の子と女の子─恐らく双子─が、同じく赤い長髪の女性に抱かれて笑っている。その奥に居るのは、銀髪で目つきの鋭い男性。

 

「これ……誰?」

 

だぁぁっ、と2人がよろけた。萃香は腹を抱えて大笑いして、天魔が頭襟の位置を直しながら、呆れた顔で解説してくれた。

 

「あのなぁ霊夜、この子のうなじ(ここんとこ)に小さーいホクロあんの分かるか?」

 

「あ、うん。確かにある」

 

「お前さんにも、同じ場所にある筈だぜ。つまり………」

 

「……ゑっ」

 

いつの間にか椛が消えていた事に気付いたのは、それから少ししてからの事だった。

 

―*―*―*―*―*―*―*

 

玄武の沢。夏でも涼しく、水も綺麗なここは、幻想郷に存在する河童の中でも特にお気に入りの場所として有名だ。

 

──さて、そんな玄武の沢で、今日は河童にとって大変な事が起きちゃった訳なのだ!うわーん!

 

「あっ、文さーん!文さーん!?」

 

「うぅ……およっ? どーしたんだい椛、そんなに大慌ての様子で」

 

「ああにとり、文さん見なかった!?」

 

「えっ? うーん、私は見てないなぁ……それより聞いてよ、私達が必死になって作った──あっ、居なーい!」

 

何だったんだろ? と呟きつつ、河童が総出で造り上げた、しかし最近どこかへ忽然と消えてしまった機械──《生物複製機》を探しに行くことにした。

 

「まだそんなに遠くには行ってない筈……おーい! どこだーい!?」

 

―*―*―*―*―*―*―*

 

「あっ、文さ、文さん!」

 

ここ数日寝ていない頭に、椛のやや高い声と戸を開ける音がガンガン響いた。勝手に入るなとあれ程言ったのに、あの駄犬は何を考えてるのか。しかも今、女性として最悪の見た目なのに。

 

「……なんです椛、私は今忙しいんですが……」

 

「そんな事言ってる場合ですか!着替えて一緒に来てください!特ダネです特ダネ!」

 

「あーハイハイ、どうせ他愛もない派閥争いに動きがあったんでしょう? ほら、任務にお戻りなさい」

 

ヒラヒラと手を振り、椛を家から追い出す。人が新聞作りに忙しいというのに、全く……

 

()() ()()()()()()()()()()()!」

 

「分かりました今行きます10秒……いや、3分待ってください!」

 

過去のほとんどが謎だった彼の父親。母親が分からないのは残念だが、それでも大きな事には変わりない。

いつもの倍の速度で髪を梳かし、顔を洗い、服を着替えて、天魔様のお宅へと向かった。

 

―*―*―*―*―*―*―*

 

「……マジで?」

 

「マジもマジ、大マジよ。信じられねえならもっかい話てやろうか?」

 

「……ああ、頼む。正直、頭が追いついてない。つか椛居ない」

 

「よしきた。ってマジ? ……ん、んっ。新月霊夜。お前は妖怪の山で産まれ、紅魔館で育った、()()()()であり──」

 

ごくり、と唾を飲み込む。萃香は知っていたかのようにニヤついているが、知ってたなら話してくれても良かったんじゃないか。だってさ……

 

「──妖怪の山一番の問題児、()() ()()()()()()

 

逃げろって言われた奴の息子だぜ?




おい宴会始まんねーじゃん()。
なんて言ってる場合じゃなくて、なんと唐突に父親判明。ついでに真名(?)も判明。あと……双子?
さてさて、色々判明した今回ですが、まだ宴会も残してます。そもそもまだ2005年の秋です(2回目)。

ではまた次回。宴会は始まるんでしょうか。
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