紅魔館に拾われた少年はゆっくり暮らしたい   作:ユキノス

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こんにちは、ユキノスです。

さて前回から始まった風神録ですが、何よりこれ文章がクソ長ぇ。 なので、休み休み読みましょう(震え声)。
でも実際、いつもの2話分を1話にまとめたぐらいの量なので、読んでて飽きる人絶対居るでしょ絶対。

という訳で、ちょくちょく番外編挟みながら進めていきたいと思います。 ではどうぞ。


目的地、到着!

あれから、何も情報が無いまま2日が過ぎた。 今日も朝日と共に、清々しい目覚めである。

 

「ん………ゔ〜〜〜っ、はぁぁ」

「キミぃ、こんな所で何してるの? 親は居ないの?」

 

なんか辺りがめっちゃ暗くて、光が下から来てる気がするけど気にしない。 さっきから黙ってたら……うるさいなぁ。

 

「あー、なんでしょ。 すいません、目覚め悪いんで」

「こんな夜更けに、公園の木の上(こんな所)で何してるのか聞きに来たんだ。 見たとこ、かなり若そうだからね」

「あー、えーっと……」

 

しまった。 誤解されない説明方法が浮かばない。 正直に言うと「は?」という返答が来そうだし、かと言って答えなくても怪しい。 つか今何時。

 

「今? 今は……夜の11時半だよ」

「うへぇ、まだそんなもんなのか……。 親は行方不明……なのかな、とりあえず連絡無し。 で、家……家かぁ……」

 

言われてみると、こっちで暮らす所については何も考えていない。 だって、神様と会ったら即帰るつもりだったし。 ここまでヒントが無かったとか考えてなかったし。

あれ? そう思うとかなりふざけてね?

 

「無いの? ならとりあえず警察の方で引き取るよ?」

「ああいえ、ありますあります。 ただ、引っ越して来たばっかで、迷っちゃって……」

 

我ながらひでぇ嘘だと思ったが、『けいさつ』のお兄さんは信じてくれた。 場所を聞かれた時はどうしようと思ったが、どうせなら目的地の神社を言ってみるとしよう。 当たりかは知らない、完全なる運勝負だけど。

 

「……人気の無い、寂れた神社なんですけど……名前が思い出せなくって」

「ほんとかい? そうだなぁ……ちょっと待ってて」

 

そう言って、何か小さな箱に話し掛けた。 別の、生気の感じられない声が返ってきた時は思わず警戒したが、どうやら道案内をしてくれるらしい。 すっげえありがたい話だ。

 

「えーと……この辺りで寂れた神社って言うと、1箇所しか無いんだ。 《守矢神社》っていうんだけど、一応確認に来てくれるかい?」

「はい、ありがとうございます。 それでえっと、どの辺なんです?」

「ああ、こっちだよ」

 

ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*

 

「──という訳があったんです、何も悪意はありません」

「ほっほーう、それに嘘は無いんだねぇ? あったら──」

「無い無い無い無い、何も無い! 何なら八雲紫から書状も預かってる!」

 

チロチロと長い舌を出し、幼い見た目とは思えない程凶悪な笑みを浮かべているとってもキュートな祟り神こと洩矢諏訪子は、俺が到着してお兄さんが帰った直後に輪っかで拘束してきた。 ……なんか変な解説混じった気がするぞ。 蛇みたいな舌で舌舐めずりしてるのをキュートとか言ってたら末期だわ。

 

「いやぁ、懐かしい服着てんなぁとは思ったさ。ついでに、その耳と尻尾もね」

「……それはまたありがたい、と言った方が良いのかなこれは。 とりあえず攻撃の意思は無い、と分かってもらえれば」

「なら、早くその書状とやらを見せておくれよ」

「じゃあ拘束解いてくれよ……」

 

しょーがないなぁ、とぶつくさ言いながら外してくれたが、代わりにヒヤリとした悪寒が走った。

 

「ま、嘘なら即刻祟り殺すだけさね」

「は、ははは……」

 

可愛らしくウインクしているが、言ってることが笑えない上に実際出来るだろうから余計笑えない。

と言うか……もう1柱はどこに?

 

「おーい神奈子ぉー、幻想郷からお客さんだぞぉー」

「あー、今行くー。 んんっ、あー、あー、……よし」

「………調子狂うなぁ」

 

初っ端からだらけた声出しちゃいかんだろ。 神様の威厳大丈夫か。

と思ったが、諏訪子の肌を撫でる寒気とはまた違う、包み込むような力強い……オーラ? 的なものを感じる。多分、これが神力なのだろう。 諏訪子のそれもそうだが。

あと、あの注連縄(しめなわ)重くないんだろうか。

 

「よく来たな、幻想の。 大したもてなしも出来ないが、何用だ」

「新月霊夜と申す。 洩矢諏訪子殿、並びに八坂神奈子殿で間違い無いだろうか」

「ああ、間違い無い。 その様子からすると、伊吹童子の知り合いだろうか?」

「いかにも。 本日は、貴殿らに話があって来た」

「中で聞こう。 ただし、寝ている者が居る。 我々も注意するが、あまり白熱し過ぎないようにしてもらいたい」

「承知した。 ……失礼ながら、その者について教えていただいても?」

「それも含めて、中で話す」

「だとさ。こっちだ、着いて来な」

 

今更ながら、諏訪子の被っている帽子と諏訪子の目がリンクしている事に気付いたが、それを差っ引いても1つ言わせてほしい。

堅苦しいのは大っ嫌いだ!

 

「やぁ、前に伊吹童子から聞いた事があってさ。 片眼の潰れた、面白い白狼天狗が居るって」

「ほー、何て言ってた?」

「……言って良いものなのかねぇ…………まあいいや、言っちゃお。 『めんどくさがりで、闘うのが嫌いで、酒も飲めないような奴だけど、悪い奴では決してない。だから、あいつが人間に目ん玉潰されたって聞いた時は驚いたよ』って」

「……ぶっちゃけ俺が驚いてんだけどな。 俺のそっくりさんが暗躍してたらしいけど、今頃どーしてんのかねぇ……」

 

紫には俺が外の世界に居る事を先生に公表するよう言ってあるので、もしこれで襲われたなら俺じゃない証拠になってくれるだろう。 ……証拠としては少し弱いけど。

 

ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*

 

守矢神社 居住スペース

 

「さて、まずそちらの言い分を聞こうか」

「ああ。 大体はこの書状に書いてある通りだ、目を通してほしい」

「えーっと、何々……うわ、胡散臭い文章だなぁ。 ……あー、うん。まあ確かにそうだなぁ……」

 

書状に書かれていたのは、要約すると「へいへいお二人さん、消滅しそうなんだって? それなら、ウチに来てくれれば消滅しないで済むよぉ? どお? 来ない?」的なもの。 実際こんな感じの文章だ、俺なら破いて捨てる。

 

「……どうだ?」

「うーん……話としちゃあ、悪くない。 と言うかむしろ願ったりだ。 だが1つだけ心残りなのが……」

「分かってる。 早苗の事だろう」

 

早苗……? と首を傾げてから、そうだ寝てる人が居るって言ってたな、きっとその人だと納得。 結局何者なのかは分からないけど、まあそういうもんだろ。

 

「ああ、今奥で寝てる奴さ。 東風谷早苗っていってねぇ、私の遠い子孫にあたる人間さ」

 

諏訪子はケロケロ笑うが、神の子孫に人間が居るって初めて聞いたんだが。 いやそうでもなかった。

 

「何かある、ってのは分かる。 ただ、その《何か》を教えちゃくれないんだよね」

「そ。 来るべき時が来れば、ちゃんと話してくれるとは思ってるけど……ダメだね、何も言ってくんない」

「あのなぁ、いくら聞き出しづらいからって……」

「聞いてるさ。 ただ、直接的じゃないがね」

「と言うと?」

「おいおい、何があったか分からないからに決まってるじゃないの。 何も分かってないってのに、どうやって策を練れってんだい?」

「……あー、理解した。 うん。 つまりアレだな、お前らは、アレだ、えーと……」

「アレアレ言ってても分かんないぞー? ちゃんと整理してからじゃないと……」

「……助けたいんだな、その……早苗、さんを」

 

話の展開に着いていけず、答えを出すのに手間取ったが、首肯された為、今後の方針を決める。 俺が幻想郷に帰る為、やるべき事は1つ。

 

「俺も、それの解決に手伝わせてほしい。 ……ダメ、かな」

「いや、私らとしては大歓迎さ。 ただ、1つ言うならそうさねぇ……お前は、早苗を知らなさ過ぎる」

「……と言うと、どっから話すおつもりで……?」

「そうさなぁ、じゃあまず生い立ちから……」

「いやいやいやいや、それじゃ長過ぎる。 もうちょい縮めろ、な?」

「あーはいはい、分かったよ。 それじゃ、割と手短に努力して話すよ」

(良かった……)

 

ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*

 

東風谷早苗、さっきも言った通り私の子孫さ。 目に入れても痛くないとはこの事、なんだよそれも削れって?

かぁー、お前って奴は薄情だなぁ。 いいだろ、子孫の自慢くらい。

んで、早苗には幼馴染みが居るんだ。 お前も居るだろ? 同年代の。 あ、ずっと年上? まあいいや、とにかくそいつとだな、お揃いのお守りを持ってたんだ。

なんで知ってるかって?そりゃあお前、私がその場に居たからに決まってんだろ。

……ただ、そいつはずっと昔、捨てられちまった。 早苗はまだ持ってるけど、その幼馴染みはもう持ってない。 加護もへったくれも無い、ぐちゃっとしたモノだけど、早苗が指を怪我しながら縫ったお手製のお守りを、だ。 酷いだろ?

早苗は、そいつに《ずっと一緒》という()()が起こるように願った。 ……それがいけなかったんだ。 あー落ち着きなって、説明するから。

あの子は人間であり神だ。 俗に言う現人神って奴さ。 だから、《奇跡を起こす》なんて大層な力を授かってた……不完全だけどね。 ただそれは、今や鎖となって早苗を縛り上げてる。

 

 

諏訪子は、そこで1度話を止め、忌まわしそうに白い歯を軋ませた。 神奈子はと言うと、腕を組んだまま拳を震わせていた。

 

 

……イジメを受けてんだ。 金を毟り取られて、靴を舐めさせられて、悪行を自分のせいにされて、パシられて、それを拒めば暴力を振るわれた。 私達は、そう聞いたよ。 ただ、信仰の無い今……私達には、何も出来ない。 懲らしめる事も、言い聞かせる事も、祟り殺す事も。

 

 

物騒な単語がちらりと出たが、されている事を聞いた上でなら別に出てもおかしくないと思う。

 

「──ええと、俺なりに噛み砕いてまとめると……早苗さんは、幼馴染みとの友情の証として、お守りをお互いに作ってもらった。 幼馴染みの方はもう捨てちゃったけど、早苗は今でも大事に持ってる。 それには早苗の『ずっと一緒』という《奇跡》が願われているから、捨てない限り離れられない。 でも、その事を忘れた幼馴染みは、離れられない早苗を良い様に使ってる……で、合ってる?」

「……ああ、大体ね……………」

「諏訪子………、済まないが、そういう訳だ。 ……会ったばかりのお前に頼むのは、気が引けるが……頼む」

「お、おいおい! 顔を上げてくれよ、申し訳なくなるだろ!」

 

半端な妖怪風情に、2柱の神が頭を垂れていると聞くだけでもゾッとしないが、自分がそれをされているというのは本当に笑えない。 ……でも、それ程に大切なんだろう。藁にも縋らなければならない程に。

 

「……俺が出来る最大限の手助けはする。 それだけは、保証出来る」

「……ああ。 ありがとう」

「そんじゃ、まずは……───とかどうだ?」

「「………はい?」」




霊夜の案とは(質問)。
流石にこれはもう案出てますが、実行に移す前に別の案に変わる事が多いのでヤバいのです()。

ではまた次回。
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