椛「因みに、私達はこの話には出てきません。 文さん、紅霧異変の後にちょろっと出てからほとんど出てないですよね?」
文「わ、私だって色々と忙しいんです! ……んんっ。 では、特別編の始まりですよ〜」
椛「……最初書かないって明言してた割に、張り切って書いてましたね」
文「それは言わないお約束です。あと、度々書き方が安定してないのもね」
「霊夜君、ホワイトデーのお返しはもう決めたんですか? あと1週間ですが」
「んーん、決めてない。そもそも人が多……そこ、カリカリ聞こえる」
「あら残念、奥に入っちゃったみたいです。トントンしますので、こちらを向いてください」
「……あのなぁこあ、俺だってもうそんな──あ、カタっていった」
初っ端から謎の光景だろうが、そこはもう気にしないでほしい。キリが無いから。
ん?なんでこうしてるのか、って? ……こあ、耳掃除上手いんだもん。
話を戻そうか。 こあの言葉通り、あと1週間でホワイトデーである。日本独自の風習──とどこかで聞いたが、まあお礼をするというのは別に良いだろう。ただここで問題なのが、俺が貰った人数が割と多いのだ。まあほとんどは義理もへったくれも無いものだろうが、それでも礼ぐらいしたっていいだろう。てかしたい。
しかし、俺は料理が出来ないのだ。つまり、チョコ等によるお返しは無理ということ。
「なんか無いー? 俺なら出来そうなの」
「うーん、霊夜君自由人ですからねぇ……。そういうの、あんまりやらないじゃないですか。だから、慣れない事に挑戦するより……こう、いつも通りの事で良いんじゃないですか?」
「……ごめん、その《いつも通り》が自堕落過ぎて」
「自分で言っちゃおしまいですよ、それ。……ふっ」
「んっ……」
「……私は、霊夜君が元気ならそれでいいんです。異変を起こしても、巻き込まれても、無事に帰ってきてくれれば。だから「こあ」ひゃあい!?な、ななななんれすかパチュリー様ぁ!?」
「慌て過ぎよ。アリスが来たから、紅茶をお願い。2杯ね」
分かりましたー! と大慌てで走っていった割には、顔が赤くない。あそこまで動揺するなら、普通は顔を真っ赤にしていてもおかしくないんじゃなかろうか。
「それはともかく……無事に、かぁ」
「何が無事になの?」
「お、アリス。実はさ」
少年説明中……
「ああ、ホワイトデーのお返しの話だったのね。てっきり何か起きたのかと思ったわ」
「ははは、そいつはしょっちゅう起きてっから。報告するだけ無駄だ」
「そうかも。……それで、何か良い案は浮かんだ?」
「……実は何も。全員から貰って、誰の分も決まってないんだ」
「あら、いつもはもっと適t……自分に正直に生きてるじゃない。悩むなんて、霊夜らしくもない」
「適当て。いやまあ合ってるんだけど」
待てよ?そう言えばパチェが『魔法使いは、退屈をどう紛らわすかが重要なのよ』って言ってた。つまり、こあはともかくとしてパチェはある程度絞れるという事だ。一歩前進。
「むむむむむ………」
「そんなに悩まなくても……。じゃあ逆に、霊夜がパチュリーにしてあげられる事って何?」
「え、ええっと……基本的な雑用、薬草の調達、あとは……それだけ」
指折り数えても思ったより少ない件について。いや、パチェがしてくれてる事の方が多過ぎるのか?
「それだけ出来れば、パチュリーには十分じゃない? 身体弱いんだし、外にはあまり出ないでしょ?」
「確かに。……って、それじゃいつもと変わらないような……」
「誰も『いつもと違う事以外は期待しない』なんて言ってないじゃない。だから、貴方が出来る事をしてみるのが一番良いと思うわ」
「……うん、そうだな。ありがとうアリス」
「どういたしまして。それに、上海達も遊びたがってるし……ね?」
「シャンハーイ!」「ホウラーイ……」
「おわっ、……転移!? いつの間に……」
「前から出来たわよ、してなかっただけ。奥の手は出さない主義なの」
「出してんじゃん」
「………………」
「出してんじゃん」
「……まだ、あるから。うん」
***
普段何でもそつ無くこなすアリスの思わぬ失態を弄るのは面白かったが、他の面々へのお礼に頭を悩ませていた。
あ、今永遠亭ね。
「ふわ〜ぁ……何にすっかねぇ……」
「眠いの? なら私の腕の中でお休みなさい?」
「そうす……」
る、と言いかけて跳ね起きた。そうだった輝夜瞬間移動可能なんだった。それとは関係無いけど、何故か妙に俺をペットにしたがる。もこ姉への盾にでも使うんだろうか。いい迷惑である。
「あら、残念。膝枕してあげようかと思ってたのに」
「そう言ってこないだ抱き枕にされたの忘れてないからな!? あと寝てる間に服剥ぎ取られたのも!」
「あら、細身でもしっかりしてて良いじゃない。好きよ、そういうの」
「俺の心臓には悪いんだよ……」
ほんっっっっとに冗談でもやめてほしい。難題に挑まされた五人のお偉いさんは、さぞかし苦労しただろう。……って、それは既に周知の事実か。
「いいからほら、眠いなら無理しない」
「いーや、この眠気は薬のせいだね。変な臭いがぷんぷんしてる」
「ちぇっ、バレちゃった」
しとやかに笑ってはいるが、悪意ゼロでやるにしても相当だろ。薬を使うな。
と言うか、したいなら言ってもらえれば《ある程度は》許容出来るんだが。
「じゃあ強行突破ーっ♪」
「むぐっ、う……」
瞬間移動で薬を吸わされた、までは分かった。でもその後が、一切分からなかった。……って言って、薬の効力伝わる?
***
「う……」
「ふふふ、残念。ちょっとだけ警戒が足りなかったかな? なんて、もう寝ちゃってるか」
薬を吸わせてまで、私が霊夜にしたい事。それは、《あの可愛い顔と逞しい身体のギャップが見たい》。あ、今「それだけ?」って思ったでしょ。私にとっては大きいのよ。
という訳で、いつもの通り服を剥ぎ取り……もとい、脱がさせてもらおうかしら。はぁ、胸が高鳴る……。
3回目ともなれば慣れてきて、割と簡単に下着のみとなった。……しかし凄いのが、逞しいのに軽い。普通、脂肪より筋肉の方が重いから、同じ身長でもマッチョとおデブさんでは前者の方が重いのよ。
「はぁ……ほんとに、良い身体つきしてるわー……」
「……ん」
少しだけ耐性がついてきたのか、いつもより眠りが浅い。でもその背徳感と罪悪感が──襖の開けられた音で掻き消された。
「あらもこたん、今日はどういったご用事? 私、今とおっても忙しいんだけど」
「そうかそうか、遺言は以上だなぁっ!」
「きゃー怖ーい、霊夜も燃えちゃうー」
「……今、お前が相当にクソ野郎ってのが確定した」
「あっ、あら? もっと『くっ……ずるいぞ!』みたいに言ってくるかと……」
「お前と違って、私は霊夜にそんな変態的な感情は抱いちゃいない。第一、他人を盾にする事自体が間違ってんだよ」
あら意外と冷静。でもやっぱりもこたんツンデrあづぅ!?
「あっ、熱々、熱っ……」
「ったく……永琳に言われたんだよ、お前が薬で霊夜眠らせてるって」
「あー、やっぱ気付いてたんだー。でも霊夜、中々脱いでくれないじゃない」
「当たり前だろ、霊夜を他人の前で脱ぎたがる変態にすんな」
いやー、もこたんって霊夜絡むと性格変わるのよねー。やっぱりこれはツンデレの証拠じゃないかなー?
と思ったけど、やっぱり違うか。霊夜と慧音にだけ激甘なんだ。
「……やっぱり身内贔屓か」
「あん?」
「なんでもー? それよりほら、服着せたげないと風邪引いちゃうわよー?」
「そのうるさい口を溶接してやろうか?」
「あーら、溶接技術なんてあるの? も・こ・た・ん?♪」
「よーし殺す、今殺す」
「おぉ、怖い怖い」
***
あの俺いつ動いたら良いんでしょうか。なんかすぐ近くで喧嘩してるんだけど。あと寒い。
「っ……くしゅっ」
「あ、起きた。おはよう、寒くないか?」
「……いや寒いに決まってるでしょ。春とは言えこんな格好……くしゅっ。してたらさ」
「あーあー風邪でも引いたかー?とりあえずこれ着てろ、ほら」
「わっちょっ……もこ姉、そんなカッコ……」
「え? いいよいいよ、どうせまた燃えて終わりだろうし。今更サラシ程度で興奮しないだろ?」
「………えと、あの」
実はサラシの方が好きだなんて死んでも言えない。……なんか安心するんだよ。
「なんだよ、顔真っ赤にして」
「……は、はいっ、これ返すっ」
「……?」
輝夜がニヤニヤしながら眺めているが、恥ずかしいから見ないでほしい……。
あと、もこ姉は俺を異性と見なさ過ぎだと思う。こちら思春期真っ只中だぞ。
「……と、そうだ。もこ姉に輝夜、ちょっと相談に乗ってほしい事が……」
「あら嬉しい、私・を・頼ってくれるだなんて。なんでも聞いて?」
「待てコラ、私もだろうが。箱入り娘のお前1人に頼れる訳無いだろ」
「あーら、箱入り隠し子のもこたんには言われたくないわぁ。家事なんて出来るのかしら?」
「え、あの、ちょ……」
「出来るわどアホ、お前より美味い飯を作る自信がある」
「へぇ〜、ホントかしらねぇ」
「2人共喧嘩はy」
「あ゛ぁ? やんのかバ輝夜」
──なんで喧嘩やめてくれないの?
まだ薬が残っているのか、停止した思考で牽制を試みても、止まってくれる訳が無く。
「きゃーこわーい、助けてりょう……」
「お前また霊夜を盾……に……」
「喧嘩……やめてよぉ……っ」
「なんで泣いてるのよ!?」
「と、とりあえず涙拭いて……」
「うぅ……ぐすっ」
このしばらく後、薬が抜け切ってから改めて聞いてみた所、2人共「そういうのにお返しした事が無いから分からない」そうだ。……俺は何しにここ来たんだっけ?
***
帰ってきた。ただいま。
さて黒歴史を製造した訳だが、とりあえずベッドにダイビングするぐらいは許してほしい。あと叫ぶのも許してほしい。
「わぁぁぁぁぁぁぁもぉぉぉぉぉぉ、なんであんな事したんだよぉぉぉぉぉふぎゅっ」
「うるさいわよ、何時だと思ってるの?」
「ふぁい……」
(明らかに俺のせいで)不機嫌そうな咲夜に怒られてしまった。てか今何時?
あ、22時か。じゃあ怒るわ。これは許されない。
「全く……夜遅くに泣き腫らした目で帰ってきたと思ったら、夕飯も食べずにふらふら部屋に戻って、挙句の果てに大声で叫ぶなんて、何があったのよ。逆に気になるわ」
「……笑わない?」
「なんで笑う必要があるのよ。貴方が変な行動してると、お嬢様が本気で戸惑うじゃないの」
「うう……案外嘘に聞こえないのが申し訳無い……」
「ほら、早く言いなさい。撫でてあげないわよ」
「永遠亭に行ってたんだけどさ」
「(チョロい……)」
現金な奴と思うなかれ、美鈴のお陰で咲夜は動物を撫でるのが上手いのだ。それこそ、たまに庭で野良の小動物に囲まれるぐらいには。
少年説明中……
「……ぷふっ、ちょっ、ごめんなさ……」
「笑わないって……言ったのに……」
「ああもう、悪かったわよ。それにしても貴方、案外可愛い悩み事あるのね。新しい発見だわ」
今気付いたけど、咲夜が破顔したのって初めて見た。今まで笑う事はあったけど、大体微笑む程度だったし。
……なんだよ、笑うと結構可愛いじゃんか。
「まあ、貴方の可愛い悩み事はともかく。約束通り、撫でてあげるわ」
「ありがと……救済が無いと限界、ふぁぁ……」
あー、待って。ヤバい。なんでここまでふわっふわなのさ。人間の手だぞ。すべすべなら分かるよ、ふわっふわだぞ? 語彙力どこ行った、戻ってこい。……無理だ、死んでやがる。
「全く、そういうのは本人に聞くのが一番早いのよ。例えば私なら、貴方にはお返しとして仕事の手伝いを要求するわね」
「……なんかもう、一周回ってそれが一番かも。皆に聞いて来る事にするよ」
「期待してるわよ。そうねぇ……2週間は執事の服を着てもらおうかしら」
「え……まずカッコから入らせるの? 動きづらそうなんだけど、あれ」
「じゃあメイド服にする? きっと似合うわよ」
「頼むから俺で遊ばないで……?」
「冗談よ」と笑って返されたのでホッとしたが、その後「半分くらいはね」と付け加えられた時はゾッとした。……でも、そうだな……普段色々してもらってるから、願いに応えるのは良いかもしれない。とりあえず、今は……お休みなさい……。
***
時は流れて、ホワイトデー前日。紅魔館の全員に聞き、それぞれのお願いをメモした紙を前に、はてどうしたもんかと唸っていた。
「ええ……と、
こあと咲夜を除く全員のお願いは、
レミィ:これからもフランと遊んでやってほしい
フラン:1日ずっと一緒に居てほしい
パチェ:その時になったら言う
美鈴:特に無し
だった。美鈴、お前はとりあえず睡眠欲の一部を物欲に分けてやれ。まあ、皆それらしいと言えばそれらしいお願いだな。
「ま、1個ずつでも終わらせますかぁ……さて、何から始めようかな?」
書き方安定しないのほんとに申し訳無い。出来る限り迅速に統一します。
あと、ホワイトデーって何でしたっけ?(すっとぼけ)
とまあ、1年越しに、しかも最初書くつもり無かった話ですが、風神録が最初からああなるというのは去年全く考えもしませんでしたほんとに。
あと、割とこの話が長くなったのも予想外。時系列も何も無いのは、特別編の特権ですが……因みに、今回の霊夜は人間です。
という訳で、ホワイトデー特別編でした。風神録は何話使うんだろうか……。