今回は番外編……と言うか、まあ霊夜が外で色々やってる間に紅魔館の面子は何をしてるのか、的なのです。
お茶濁しと言えばそれまでですけどね。
ではどうぞ。
「もーっ! つまんないつまんないつまんなーーいっ!」
「ちょっ、急にどうしたって言うのよ。確かにいつも遊んでた霊夜が居なくて寂しいのは分かるけど、代わりに私が遊んであげ」
「お姉様は弱過ぎるのっ! 37回やって、全部私の勝ち! 霊夜なら半々ぐらいで出来るもんっ!颯忌は……まあ、慣れてないからアレだけど」
霊夜が幻想郷を発って1週間。紅魔館にある遊戯部屋(と言ってはいるが、実際はただの物置)にて、私とお姉様の2人でずーーーーっとチェスをしていた。でも全然ダメ、全く面白くない。
「あーあー、霊夜が居たらなぁ……」
「パチェか小悪魔辺りを捕まえてやれば良いじゃない。……と言うかお願い、最近寝不足なのよ……」
小さめに欠伸と共に、少し寝るわね、と言い残して消えたお姉様から目を離し、レディとしては失格である「床に寝転ぶ」事をして、ぼんやりと天井でも見上げている事にした。
「(何か、面白い事でも無いかなぁ……。ある訳無いか、異変も起きてないんだし。あーあ、魔理沙でも遊びに来ないかなぁ……)」
カツンッ
「!!! だっ、誰!?」
地下にあるこの部屋に風が入ってくる訳が無いし、そもそもポーンが1つだけ転がるような風は無い。
そう思ってよくよく見ると、見慣れない誰かの足跡があった。
「足跡……? でも、ドアなんて開いてな……っ、嘘……」
お姉様とチェスをしている時、確かに誰も居なかった。私とお姉様以外、誰も出入りしなかった。ドアも閉めた。なのに、何故。ドアは開いているのか。
「な、何……お化け……? やだ、やだ、霊夜ぁ……」
「あわわわごめんね、よーしよーし怖くない怖くない」
「えぅっ……誰…?」
「私? 古明地こいし。よろしくね〜フランちゃん」
「……ふぇっ、なんで私の名前……」
「あはは、だってお姉ちゃんにそう呼ばれてたからそうなのかなーって」
「そ、そうなんだ……」
となるとどれくらい前から居たのだろうか。私が寝転んだ辺りから? それとも、最初から?
「ね、私もチェスやりたいんだけどいいかな」
「う……うん、やろっ! じゃあ私が白ね……あっ、ちょっと待ってて。……咲夜ー! 紅茶とお茶菓子、2人分お願ーい!」
「お持ちしました」
「わぁ、早ーい」
ふふん、咲夜はこんな事が出来るのだ。こいしちゃんの方にはこういう人居ない(そもそも普通どこにも居ない)だろうし、これは自慢出来る。
って、あれ……?咲夜、こいしちゃん見えてない……?
「お客様がお戻りになられたら、ご一緒に召し上がってください。……失礼します」
「えっ、ここに居るのに……あー行っちゃった」
「あははー、やっぱり見えてないんだー」
「やっぱり、って……?」
こいしちゃんは、自分がいわゆる「
「今回はここまでー、続きはまた明日!」
「ええっ、気になるよぅ……」
「あはは、ぷくってして可愛い〜(ムニムニ)」
「ふみぇ、
「大丈夫大丈夫、明日も来るから。ね?」
そう言って微笑んだ顔は、見た目ではほとんど同い年の筈なのに、どこか大人びた、何か知ってはいけないものを知ったような……なんと言うか、悲しい顔をしていた。
笑っている筈なのに。その心は、泣いている。
そんな事をして、彼女は──こいしは、辛くないのか。苦しくないのか。
「待っ──」
て、と口に出る前に、古明地こいしは部屋の中から消えていた。
「……ん? あ───っ! やーらーれーたー! ……うぅ……」
7月○日
今日、不思議なお客様が訪れた。名前はこめいじこいし。漢字とかは分からない。
でも、悲しそうに笑ってたのが、ちょっとチクッときた……気がする。私も経験したのかもしれないけど、もう随分と前の事だから、どんな感じかは忘れちゃった。
そうだ、こいしちゃんとチェスするんだった! 明日来るって言ってたし、その時はやりたいな。
(ルーマニア語で書かれていたもの、霊夜の特別意訳)
という訳で、ちょっと短めな気もしたりしなかったりですが、風神録本編前の幻想郷サイドはフランが主役となります。紅魔郷EXであんだけやっといた割には目立った事そんなしてないのと、個人的にもっと動かしたいキャラだったので、こうなりました。
ではまた次回。