リリカル×ライダー・ティアーズフェイト   作:エタ

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この世界は、気付いたら滅茶苦茶になっていた。

様々な世界の怪人が現れ始めて、成す術のない人々は、混乱と絶望が巻き起こり始めている。

これは、きっと俺の――俺達のせいだ。

だから俺は――戦うんだ。


リリカル×ライダー・ティアーズフェイト、始まります。


プロローグ

――ここ、ミッドチルダは収集のつかない混乱に満ちていた。

 

オーロラと呼ばれる次元の狭間が突如として多発し始め、怪人が溢れだしたのだ。

 

彼等にはベルカ、ミッドチルダの魔法は殆ど効かず、人々は、時空管理局は、成す術もなく、ただ帰るのも待つ以外に手段はなかった。

 

なにもしなかった訳じゃない。倒す方法を倒し、デバイスを本格改造することで、漸くダメージが通るくらいにはなった。

 

けど、倒すには至らなくて――そのまま、数ヶ月が立った。

 

 

奴等を倒す、あの戦士が漸く姿を見せたのだ。

 

 

***

 

 

「――はぁ」

 

俺、リョウ・イガラシは、忌々しい程晴れ晴れな青空を見上げ、ため息をつく。

 

先ほど、数年働いていた仕事先から、最近遅刻気味なのと、大型新人という名のコネで入り込んだ馬鹿のせいでクビになったせいだ。

 

自業自得も含まれるとはいえ、こうもあっさり切り捨てられるとは思わなかった。

 

「はぁ、これからどうやって生きていけば良いのやら……」

 

もう一度ため息を洩らしながら、止めていた足を踏み出す。

 

「――ん?」

 

その時、向こう側からくるくると回りながら、ナニカが俺の足下まで滑ってくる。

 

それを拾えば、それは何やら少し大きめの、奇妙な鍵で……はて。これはもしかして――。

 

「す、すいません!それ私の……って」

「やっぱりお前のか、ティア」

「リョウ……!?」

 

案の定、此方には走ってきた少女は、かつて友人として共にいたティアナ・ランスターだった。

 

 

***

 

 

「驚いた、リョウがあんな……言っちゃ難だけどちんけな会社にいたなんて」

「うるせぇな、これでも待遇は良かったんだぞ?まぁ、クビになったんだけどさ……」

「どんまい」

「その慰めが刺さるっ」

 

近場にあった喫茶店に立ち寄った俺達は、再会を分かち合うように、昔のように会話する。

軽くふざけて、そして笑い合っていると、なんとなく冷め始めていた心が暖かくなっていく。

 

「で、俺はともかくそっちはどうよ?念願の六課は」

「えぇ、アンタと違って充実してるわよ。久しぶりに皆の顔をみて、思わず涙が出そうになったわ」

「前から泣き虫だったもんな、お前」

「う、うるさい!頭撫でるなっ!」

 

頭を撫でれば、顔を真っ赤にして喚くティアが、愛しく感じる。

元々好ましくあったが、久しぶりに知人にあったせいだろう。と、今のところ誤魔化しておく。

 

「――って、そろそろ誤魔化さないでくれるかしらっ」

 

さっきから、ティアの目がなにか聞きたそうにしているから。

 

「あいよ。で、なんだ?」

 

改めて姿勢を正すと、ティアはいつも隣で見ていた目……つまり、仕事用の目で、俺を睨む。

 

「最近、噂になりつつある〝アレ〟。アンタでしょ?」

 

信頼する彼女の目を一身に受けて、俺は思わず正直に頷く。

 

「やっぱりね、そうじゃないかと思ったわ」

 

すればその目はすぐに柔らかくなり、仕方なさげに言った。

 

「なんだ、他の世界から誰か来たとでも思ったのか?」

「少しだけ、ね。でも、リョウで安心したわ。他のやつは信用できるのと出来ないのの幅が広すぎるし」

「それは確かに」

 

お互いに苦笑しながら、手元のコーヒーを飲み干す。

 

「で、これからどうするの?いく宛はある?」

「ホテルの荷物取ってから、仕事か、もしくはバイトでも探しながら、漫喫に入り浸る事になる事になると思うけど」

「固定の家はないのね……そう…………」

 

すると、ティアは沈黙する。

コーヒーカップで顔を隠し、目線をチラチラと此方に向けてくる。

見え隠れするその頬はじんわりと赤くなっていて……。

 

「ね、ねぇ。もしよかったら、うちに――――」

 

 

『キャアアアアァァァァァァァァァアア―――!?』

 

 

突然の悲鳴。突然の爆発音。

喫茶店から見える外には、逃げ惑う人々がいる。

人々の恐怖は、奥にいる二足で立つ化け物がいくつも居て……。

気付けば、喫茶店には俺達しかいなかった。

 

「……さっきの話は、後回しだな」

「……そのようね」

 

少し不満げながら、ティアは頷く。

その頭をポンと撫でるようにやさしく叩いて、俺達は怪人達のもとへ走る。

 

俺達の存在に気付いて、怪人達は立ち止まり、俺達も奴等の行く手を阻むように立ちはだかる。

 

「なんだ、貴様らは」

 

悪魔のような姿をする怪人の横に立つ、灰色の怪人が俺達に問う。だがそれを無視して、言葉を交わす。

 

「オルフェノクに……ラルヴァか。数が少ないのは嘗めてるからなのかねぇ」

「仕方ないでしょ。ここにはコイツらを倒せる手段がないんだから」

「正確にはそもそも知らない、だけどな」

 

「……貴様らは、何者だ?」

 

自分達の事を知っている――その事に驚き、警戒したオルフェノクは再度問うてくる。

 

「そんなの、聞かなくても察しくらいついてんだろ?」

 

そう言って俺は懐から〝複数〟あるバックルの中から一つ取り出し、腰にあて、端から延びる帯が反対の端にたどり着き、それはベルトになる。

 

「……もう人影はないよな?」

「見た限りはね」

「なら、お前も手伝え。どうせあれからなってないんだろ?」

「……そうね、たまにはやっとかないといざというとき困るものね」

 

俺に催促されるがまま、ティアも懐からバックルを取り出し、腰に装着する。

 

続いて青いハンドルを取り出し、回す側にあるスイッチを押す。

 

【リライト!】

 

ティアも、さっき落とした鍵を取り出して、空いた手で差す側にあるバッテンの装飾を持ち手の方にスライドする。

 

「――さて。ああは言ったが、久しぶりだし名乗っておこうか」

 

起動音が鳴ったハンドル――ライダーハンドルを、ベルト――《リライトドライバー》の右側に嵌め込む。

 

【ギア・セレクト】

 

さらに、ハンドルの回す部分――つまりギアを軽く回すと、クリア部分が青く発光する。

 

【レディー】

 

「俺は」

 

そして待機音が流れる中、右手を左肩に添えるように軽く伸ばし、指を弾く。

 

 

「私達は――」

 

ティアは鍵――デバイスキーをベルト《レリーフドライバー》のバックルの右横斜め上にある鍵穴に差し込む。

 

【Stand by Ready】

 

すると電子音声が流れると共に待機音も流れ、右手はデバイスキーに軽く触れるように持ち、左手は真っ直ぐと前へ伸ばす。

 

 

――怪人と総称される奴等には、天敵がいる。

それは己の正義を以て戦い、怪人から人々を守った、伝説のヒーロー。

 

その名は――!

 

「「仮面ライダーだ!変身!!」」

 

そして俺はバックル上部にあるチラリと顔を見せる大きな歯車を勢いよく回し、

ティアはデバイスキーを捻り、

二つのバックルの前が開き、露になった紋章が光輝いた。

 

【ローディング!】

【Ann Lock】

 

すると俺の前に大きな歯車のホログラムが現れ、それはすぐに割れる。

 

【変身・リライト!】

 

割れた歯車の破片はアーマーとなり、俺の身体の節々に装着され、瞬間ライダースーツが身に纏われる。

 

ティアの目の前には扉のホログラムが現れ、迫り来る。

 

【OPEN】

【Trans From ReLief】

【I'm Messiah】

 

反射的に扉を開くと、開いた瞬間に出現するアーマー一式が身に装着され、ライダースーツが纏われる。

 

 

そこには、ライダースーツの上に歯車を思わせる青いアーマーを装着した、銀の複眼の戦士。

そして鍵穴が節々にある、鍵を思わせる装飾をした銀色のアーマーを身につけた、藍色の複眼の戦士。

 

俺は仮面ライダーリライトへ。

ティアは仮面ライダーレリーフへと変身した。

 

「俺はラルヴァをやる。お前はオルフェノクをやれ」

「オーケー。それじゃ――」

「行くぞッッ!」

 

俺が指を弾いたのを合図に、俺達は同時に狙いを定めた怪人へと走り出す。

 

俺の存在を認識したラルヴァはその大きな爪で引き裂かんと振り回す。

暴れ狂う猛攻をヒラリと避けながら、一撃、二撃と胸部を殴り、怯んだところで腹を蹴り飛ばす。

 

ティアもスパイダーオルフェノクの吐き出された糸をかわし、取り出した鍵穴のあるサブマシンガン《リーフガン》でお返しに乱れ撃つ。

スパイダーオルフェノクは成す術なく直撃し、身をよじる。その隙をついて、リーフガンに別のデバイスキーを差し込み、開ける。

 

【Ann Lock】

【Break shooter】

 

「シュート!」

 

引き金を引くと、エネルギー弾が拡散されて吐き出される。

それらはスパイダーオルフェノクだけでなく、ラルヴァにまで向かっていき、直撃。吹き飛ばされる。

 

「もう一丁ッ!」

 

俺も歯車のある鈍色の剣《ギアーズブレード》を取り出し、歯車を回す。

 

【ローディング!】

 

すると、ギアーズブレードの刃が青色に発光し、ラルヴァとスパイダーオルフェノクの中心に立って回転斬り。

吹き飛ばされた怪人達は、立っているだけで精一杯の状態となっていた。

 

「仮面、ライダァア――ッ!」

 

スパイダーオルフェノクは唸るように憎しみをもって叫ぶ。

 

「これで終わりだ」

 

そんなものを気にすることなく、俺はティアに声をかける。ギアーズブレードを、リーフガンを投げ捨て、俺のバックルの歯車を回し、ティアはもう一度バックルのデバイスキーを回す。

 

【ローディング!】

【Limiter Ann Lock】

 

すると俺の右足のアーマーが数センチ浮かび、その隙間からエネルギーを勢いよく溢れだす。

 

同じく、ティアの右足アーマーの鍵が開き、内部のコアが剥き出しになると、ティアの魔力が熱風となって右足に巻き起こる。

 

【イグニッション・ストラァイクッ!】

【Full Drive】

 

「「はっ!」」

 

飛び上がる。左足を曲げ、右足を怪人に向け真っ直ぐに伸ばす。

 

俺の背中のブースターが吹き出し、ティアの目の前には鍵穴に似たサークルが出現し、誘われるように通過される。

 

俺はラルヴァへと、ティアはオルフェノクへ一直線に、突撃していく。

 

「ダァァァアアアァァァア―――ッッ!」

「ヤァァァアアアァァァア―――ッッ!」

 

そしてライダーキック《イグニッションストライク》と、《メサイアドライブキック》が直撃し、断末魔の声と共に、怪人達は爆発四散した。

 

着地した俺達は一息つきながら、ライダーハンドルを、デバイスキーをバックルが取り出す。

 

すると瞬くような光と共に、アーマーが崩れ落ち、変身が解除された。

 

「一丁上がり、っと。鈍ってないようで安心した」

「それはなにより。それはそうと早くここから立ち去らないと、管理局に見つかって面倒なことになりかねないわよ?私はともかくとして」

「おっと、それはそうだな。早めに退散するか――っと」

 

忘れていた。

 

「ティア、お前の今の家ってどこよ?」

「は?なんでいきなり――」

「泊まらせてくれるんだろ?」

「む……」

 

あんな中途半端だったとはいえ、よく知っているティアのあの態度を察せないのはアニメとか漫画くらいだろう。

 

「……案内するから、着いてきなさいよ。ばーか」

「有り難いけどなんでバカって――」

「ばーか!」

 

そう言って俺の手を乱暴に掴んで、ティアは走り出す。

 

その口元が、嬉しそうに緩んでいた事を、俺は知らない。

 

 

「仮面、ライダー…………」

 

そして、さっきまでの一部始終を一人の女が見ていたことも、俺達は知らなかったのだ。

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