短いですがよろしくお願いします。
マシュマー「あの顔つき・・・間違いない!新型のガンダム!やはりいたか!」
特徴的なV字アンテナにツインアイ、ガンダムタイプのMSの特徴ともいうべき要素を持ったMSを目の前にしてマシュマーは確信する。その一方でZガンダムの方はというと相変わらず引っかかった穴から抜け出そうとバタバタもがいていた。
ジュドー「くそー!上手いことつっかえちゃって!早く抜けろ!コノ!」
なぜこのような事になってしまったのか?話は少し遡る・・・。
マシュマー機がコンテナから出てきた時間・・・
イングラム「くそ!」
ジュドー「あ!おい待てよイングラム!」
内部からの衝撃で侵入者の存在を悟ったイングラムは解析途中で動かせない愛機R-GUNの代わりにZガンダムに乗ろうとする。
ジュドー「これ、お前の乗ってたMSじゃないんだろ?動かせるのかよ?」
イングラム「わからん!だが今ここで俺が動かせそうなのはこれしかない!」
ジュドー「ん?イングラム!足下になんかあるぞ!」
イングラム「足下?」
コクピット内部で出撃の準備をしていたイングラムが機体の足下を見るために身体をコクピットから乗り出す。その瞬間ジュドーがイングラムを蹴り飛ばしZガンダムから降ろしてしまう。
イングラム「何をする⁉︎ジュドー⁉︎」
ジュドー「へへっ、悪いなイングラム。この機体ガンダムなんだろ?」
イングラム「だったら何だ!」
ジュドー「高く売れるってことさ!えーと、スラスターは・・・これか!」
ジュドーがコクピットのパネルを弄るとZガンダムはその場でいきなりウェイブライダーに変形を始めてしまう。
ジュドー「ありゃあ⁉︎違ったか⁉︎」
イングラム「無茶だよせ!こどものオモチャじゃないんだ!」
ジュドー「なんのこれしき!みてろよ・・・これで!」
再びパネルを操作するジュドー。するとウェイブライダーのスラスターが点火される。
ジュドー「よっしゃあ!見たかイングラム!」
イングラム「バカ!その状態でスラスターに火を入れたら・・・!」
ジュドー「へ?・・・うわぁぁぁっ⁉︎」
スラスターの向き全てが後方に集約されるウェイブライダー。その状態でスラスターに点火をすればあとは一直線に飛んでいくだけである。
変ハンガーで無理矢理変形したため真上を向いていたウェイブライダーはそのまま天井を突き破り飛んでいく。
イングラム「うっ⁉︎」
崩落する天井の瓦礫から身を守りながらもイングラムは飛び立ったウェイブライダーを追う。
ジュドー「ダメだ!このままじゃいずれ壁にぶつかって俺もガンダムもタダじゃ済まない!」
なんとか機体を止めようとするジュドーだが一向に機体は止まらない。やがて隔壁が目前に迫ってくる。
ジュドー「ヤバイ⁉︎」
とっさに近くにあったパネルを操作するとウェイブライダーは再びZガンダムの姿に変形する。
ジュドー「よっしゃあ!これでなんとか・・・ダメだ!ぶつかる!」
変形出来たとしても加速した機体が急停止する筈もなくZガンダムはそのまま隔壁に激突、突き破ってしまう。隔壁を突き破ったガンダムの上半身のみが市街地に露わになり現在に至るという訳であるが・・・。
マシュマー「ガンダム!その首貰い受けるぞ!」
ジュドー「わー⁉︎ち、ちょっとタンマ!」
ギャンのシールドからミサイルが発射されZガンダムに迫る。焦ったジュドーは思わず操縦桿のトリガーを引く。
ガガガガガガッ!
Zガンダムの頭部に装備されているバルカン砲が発射されミサイルを迎撃する。バルカンをすり抜けた何発かのミサイルがZガンダムの周囲に着弾、地面を吹き飛ばしそのはずみで引っかかっていた地面も脆くなる。
ジュドー「今だ!いっけぇっ!」
足下のペダルを目一杯踏み込み脚部スラスターを全力で噴射する。
轟音と共にZガンダムの巨体が浮き上がり地面から抜け出し、ギャンから距離を取って着地する。
ジュドー「な、なんとか出られたか・・・」
一方、イングラムも広大なマクロス艦内の移動用に設置されていた統合軍製の軍車両を使いZガンダムを追ってマクロス市街地に到着する。
イングラム「あれは・・・MSか⁉︎さっきの音はコイツが?」
辺りに散乱するデストロイドの残骸の山を見て敵MSが只者ではない事を悟るイングラム。一方で対峙するジュドーの乗るZガンダムは操作に慣れてない為か動きがややぎこちない。
イングラム「やめろジュドー!お前がかなう相手じゃない!退け!」
ジュドー「俺だって戦争なんてしたくはないけどさ・・・」
一歩一歩後ろに後退りするZ、ギャンは対照的にサーベルを構えてゆっくりと近づいていく。
マシュマー「どうしたガンダム!とっととかかって来んか!」
ジュドー「くそ!何か武器は・・・ビームライフル?これか!」
コクピットの操作パネルにビームライフルが写し出された為、とにかく使おうとパネルをメチャクチャにいじる。が・・・
ポイッ
マシュマー「は?」
ジュドー「へ?」
イングラム「な?」
メチャクチャな操作のせいかZガンダムは持っていたライフルをその場に投げ捨ててしまう。
ジュドー「やばい!操作間違ったかな?えーと、えーと、これならどうだ!」
バチン!
焦ったジュドーはまたコクピットのパネルを操作すると今度は左腕のシールドが切り離された。
イングラム「何やってんだアイツは・・・」
自分から武器を捨てるといういわば自殺行為にイングラムは思わず頭を抱えてしまう。
マシュマー「・・・フフフ。そうか!そういうことか!」
このZガンダムの行動を見ていたマシュマーは何かを悟ったように笑みを浮かべる。
マシュマー「なるほど、そういうことならば全て合点がいくというもの・・・ならば!」
マシュマーの駆るギャンがゆっくりとZに近づいてくる。
ジュドー「や、やられる⁉︎」
マシュマー「はあぁぁぁっ!」
ジュドー「うわぁっ⁉︎」
ブゥン!
突如、ギャンは持っていたミサイルシールドを投げ捨てた。
ジュドー「・・・へ?」
イングラム「は・・・?」
マシュマー「ガンダムのパイロット!自らライフルとシールドを捨てるその姿勢!この私を真の騎士と見抜いての行動とみた!流石と言っておこう!」
ジュドー「あ、えーと・・・うん・・・」
マシュマー「ならばこちらもその姿勢に応えねばなるまい!さあ、サーベルを抜けガンダム!一対一の決闘、受けて立つ!」
ギャンは右手の高出力ビームサーベルを両手で握り直すと仰々しい構えをとる。
ジュドー「あのパイロット・・・もしかして・・・」
イングラム「・・・バカか・・・?」
マシュマー「どうしたガンダム!とっととサーベルを抜かんか!」
ジュドー「そうは言ったって・・・コレか?」
ジュドーがパネルを操作するとZガンダムの腰部サイドアーマーが開きビームサーベルの柄が射出される。しかし慣れてないジュドーはサーベルの柄を上手くキャッチ出来ず取り落としてしまう。
マシュマー「何をしているか!・・・ホラ」
ジュドー「あ、ども」
転がり落ちたサーベルをギャンが拾うとZガンダムに渡す。Zガンダムがサーベルの柄を握るとビーム刃が発振される。
マシュマー「準備はいいようだな、では・・・いざ!勝負!」
ギャンがビームサーベルを振りかぶりZガンダムに襲いかかる。
ジュドー「き、来たぁっ⁉︎」
マクロス周辺宙域
単独で出撃したフォッカー機はマクロスに向かって進軍中のジオンのMS部隊と接敵、交戦が始まっていた。
ジオン兵「隊長!コイツ速いです!」
隊長「慌てるな!敵は1機だ、こちらは12機!落ち着いて火力を集中させるのだ!」
フォッカー「く!」
敵の数の多さに流石のフォッカーも回避に専念せざるを得なくなる。
しかし、その中でも敵の部隊の動きは冷静に見ていた。
フォッカー(敵は全部で12機、動き方を見る限り実戦経験がありそうなのは後方の指揮官機のみで後はセオリーに則った教科書通りの真面目な動き方、新兵か?機動性ではバルキリーのが上だがいかんせん数が多い・・・)
フォッカーはチラッとコクピット内の計器の中にある推進剤の残量に目をやる。
フォッカー「やはり、一人じゃちと厳しいか!」
バルキリーに搭載されているエンジンはマクロスから得られたオーバーテクノロジーを利用した熱核反応タービンエンジンである。これは大気圏内であれば推進剤を使わず、理論上無限に近い航続距離を得られる代物であるが、大気の無い宇宙空間では従来の航宙機同様推進剤を噴射して飛行する必要がある。しかもバルキリーは可変機構を優先して設計された都合上この推進剤のタンク容量が多く取れず、宇宙空間での飛行時間が極端に短くなっているという弱点があった。
後方から指揮を出す指揮官用ザクⅡとガザC部隊はフォーメーションを崩す事なく各機が交互に攻撃を行いフォッカー機に反撃の隙を与えないように動く。フォッカーは変形機構を巧みに使いながら回避しているがそれが推進剤の消費ペースを更に早める。
フォッカー「万事休すか!」