マクロスが通常航行で地球に帰還を始めて5ヶ月が経過した。その間も共にフォールドしてきたと思われるゼントラーディの艦隊と何度か交戦し、主砲が使えなくなるなどのトラブルに見舞われながらもマクロス防衛の要である統合軍の新型兵器、可変戦闘機「VF-1 バルキリー」の奮戦や「トランスフォーメーション」や「ダイダロスアタック」などの戦法を編み出し、なんとか切り抜けていた。
しかし、マクロスが火星付近に到達した頃、ゼントラーディの追撃が何故か突然パッタリと止まってしまった。
マクロス艦橋
グローバル「むう・・・・・」
艦橋ではマクロス艦長のグローバルが愛用のパイプをふかしながら何やら思案していた。
シャミー「艦長!ブリッジ内は禁煙です!」
ブリッジオペレーターの一人、シャミーがグローバルを注意する。
グローバル「ん?おお、すまんな」
注意を受けたグローバルはそそくさとパイプをしまう。
クローディア「艦長、何か考え事ですか?」
落ち着いた雰囲気のアフリカ系を思わせる褐色の肌の女性オペレーター、クローディアがグローバルの様子を見て尋ねる。
グローバル「ん?ああ、ここ数週間ゼントラーディ軍の襲撃が無いものでな・・・」
キム「そう言えば、確かに・・・」
髪型をショートカットにしたボーイッシュな雰囲気のオペレーター、キムもこれまでの交戦記録を見ながら答える。
ヴァネッサ「地球の勢力圏に近づいてきたから警戒してるんじゃないですか?」
グローバル「あれだけの戦力を持ち、衛星軌道上まで接近してきたのにか?」
メガネをかけ、キムやシャミーより少し大人びた感じのオペレーター、ヴァネッサが推論するがグローバルはそれを否定した。
グローバル「奴らが何を考えているかわからない以上、注意を怠らないようにするべきだな。早瀬君、バルキリー隊の定時パトロールの方はどうなっている?」
グローバルに呼ばれた毛先をカールさせた特徴的なロングヘアのオペレーター、早瀬未沙が報告をする。
未沙「次の定時パトロールは・・・ヴァーミリオン小隊です」
その時、一瞬未沙が眉を潜める。その様子を見てクローディアがふふっ、と笑う。
クローディア「まだ気にしてるの?あの坊やにおばさん呼ばわりされた事」
未沙「別に気にしてなんかないわ」
そう言って未沙は顔を背ける。
クローディア「未沙はまだ19歳だものね?そりゃおばさん呼ばわりされたら機嫌も悪くなるわよね?」
未沙「気にしてませんったら!」
グローバル「やれやれ・・・」
溜息をつきながらグローバルは帽子を深くかぶり直した。
マクロス左舷 空母プロメテウス 格納庫
空母プロメテウス。本来は洋上艦で南アタリア島でバルキリー隊の空母としてマクロスの護衛を担当していたのだが前述のフォールドに巻き込まれ、現在はマクロスの左舷にドッキングされている。今はマクロス周辺の定時パトロールの為、3機のバルキリーが発艦準備を行っている。
輝「ヴァーミリオン1、発艦準備完了!」
白地に赤いラインの入ったバルキリーのパイロット、一条輝がコクピット内の計器をチェックし報告する。
柿崎「ヴァーミリオン2も準備OKです!」
マックス「ヴァーミリオン3、いつでも行けます」
輝の機体の両脇に並んでいる白地にライトブラウンの機体のパイロット、柿崎速雄と同じく白地にブルーの機体を駆るマクシミリアン・ジーナスも続いて報告する。
クローディア「デルタ1、了解しました。ヴァーミリオン小隊発進して下さい」
柿崎「あれ?今日は早瀬中尉じゃないんですか?」
発進許可を出すクローディアに対し柿崎が疑問を投げかける。
クローディア「ええ、パトロールの担当がヴァーミリオン小隊って知ってちょっとね」
輝「なんだよそれ!俺たちじゃ頼りないってか⁉︎」
ヴァーミリオン小隊の隊長を務める輝は理由を聞いて憤慨する。
クローディア「そういう訳じゃないわ。正確にはあなたにおばさん扱いされた事を気にしてるみたい」
未沙「ちょっとクローディア!」
輝「19歳なんて立派なおばさんだろ!」
未沙「なんですって!」
輝「なんだよ!」
グローバル「あー、クローディア君。そろそろ発進してもらって構わんかね?」
クローディア「あら?申し訳ありません艦長。ヴァーミリオン小隊、発進どうぞ」
輝「一条輝、出ます!」
柿崎「柿崎速雄、出撃しまーす!」
マックス「マクシミリアン・ジーナス、行きます」
3機のバルキリーがプロメテウスの滑走路から発艦し、宇宙に飛び出して行く。
マクロス周辺のパトロールを行うヴァーミリオン小隊。特に変わった様子も無く、宇宙は静寂に包まれていた。
柿崎「異常無し!ヒマなもんですね〜隊長」
マックス「柿崎君、油断してると不意打ち食らって落とされますよ?」
柿崎「大丈夫、大丈夫!ここんところゼントラーディも現れないし、何かあってもこの柿崎速雄にお任せですよ!」
輝「全く・・・ん?」
パトロールを楽観視している部下に呆れていた輝だったがふと外に目をやる。遠くでハッキリとは見えないが巨大な影が確認出来た。
輝「柿崎、マックス、アレを見ろ!」
輝に呼ばれて部下の二人も巨大な影を見つける。
柿崎「なんですかね?あれ・・・」
マックス「巨大な・・・岩塊みたいですが・・・」
輝「火星も近いからな。アステロイドベルトから流れて来たのか・・・」
正体を探る為、岩塊に接近するヴァーミリオン小隊。岩塊は近づくにつれ段々ハッキリとその全容を表す。
マックス「隊長、かなり大きいですよコレ!」
柿崎「しかも変な形してますよ?まるで岩塊が2つくっ付いた様な・・・」
輝「ッ⁉︎見ろ!コイツ推進ロケットが付いてるぞ!コイツは自然に出来た物じゃない、人工的に作られた物だ!」
その時、岩塊の中から無数の光が出てくる。光は段々と大きくなりそれがこちらに向かってきているものだとわかった。
輝「やっぱりゼントラーディか!来るぞ!各機、散開して迎撃!」
敵の接近を認識した輝は指示を出し、3機はバラバラに散らばる。輝の白いバルキリーの前に岩塊から出てきた光がその正体を現す。
輝「ゼントラーディ⁉︎新型か!」
それは輝が見た事もない機体だった。緑色の装甲に身を包み、マシンガンを持った1つ目の巨人が輝バルキリーの前に立ちはだかるのであった・・・。