Fate/Grand Order【The arms dealer】   作:放仮ごdz

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筆が載ったので前回から一日も経たずに早めに更新させていただきます放仮ごです。
前回のアシュリーとマイクの登場、G生物とハンター乱入は大盛況だったようで何より。バイオ4をプレイしたみんなマイクが好きなんだね、分かるとも!

今回はG生物カリギュラ&ハンター軍団との激闘。そして最後に偉大なローマと共に「彼」が登場。楽しんでいただけたら幸いです。


別行動させてもらうぜストレンジャー

 ハンターの群れ、それを確認するや否やディーラーはマイクにハンターに気を付けながら敵の人間兵を頼むと言って飛び降り、間髪入れずマシンピストル二挺を取り出して乱射。次々と己や少数兵達に襲い掛かってくるハンター達の頭に寸分違わず弾丸を十数発撃ち込んで撃破して行く。

 

 

「ああくそ、多すぎるぞチートトカゲ共が!」

 

 

しかし倒せているのは明確に自分に襲い掛かってくる連中だけであり、間に合わなかった少数兵がどんどんハンターの即死攻撃「首狩り」を受けて頭部と体がお別れして行く。それを見て歯軋りしながら弾が切れた片方のマシンピストルを宙に放り投げ、落ちてくる間に懐から次の弾倉を取り出してキャッチすると同時に装填、それを繰り返して応戦するディーラー。敵方をあらかた倒したのか、マイクの援護射撃も加わるも、焼け石に水。そのうち、少数兵の残りが50を切り、司令官なのだろう赤いドレスの少女が声を上げる。

 

 

「皆の者、逃げよ!この異形の集団は余が食い止める!ローマは滅んではならぬ!」

 

「…っ、皇帝陛下に続け!ローマの力を見せろー!」

 

「「「「「オオーーーーッ!」」」」」

 

「ぬぅ、さすがはローマ市民だ。行くぞ!このネロ・クラウディウスに続くがよい!」

 

 

紅い大剣を振り上げてハンターの首を斬り落とす少女…ネロに鼓舞されたのか、少数兵も押し返し始める。

 

 

「彼女がネロ・クラウディウス!?男じゃないの!?」

 

「…セイバーオルタと顔が似ていますしそう言う物なのでは?」

 

「言っている場合かマスター!呑気に笑っている暇があるならその手に持つ銃で自分の身ぐらいは守れ!」

 

 

そう怒鳴りながら立香を庇い、片手で持ったライオットガンをぶっ放してハンターを吹き飛ばすセイバーオルタ。確かに戦況は良くなったものの真面に戦えているのはサーヴァントかネロだけであり、少数兵は数人で一体を仕留めるのがやっとという感じだった。しかしそれでも、数が一向に減らないハンター軍団にディーラーは焦りを隠せなかった。

 

 

「まだ100はいるか…人間兵がほとんど居なくなったことを見ると相手方の切札なんだろうが…こんな序盤で宝具を使う訳には行かない…どうする、ストレンジャー!」

 

「どうするって言われても…」

 

「ディーラー!こいつ等の事を知っているなら何でもいいから教えなさい!」

 

「こいつ等はハンター!オルレアンのワイバーンとは比べ物にならない、簡単な命令を実行する対人特化の生物兵器だ!何でこの時代に居るかは知らないが、明確な弱点は硫酸弾ぐらいだ!」

 

「そんなもの持ってないわよ!武器商人の本領発揮じゃないの!?」

 

「グレネードランチャーは生憎取り扱ってねえ!弾が貴重だからな!」

 

「この商売馬鹿!?」

 

 

オルガマリーと文句を言い合っても埒が明かない。そして何よりもう一つの問題は…

 

 

「ネロ…ネロ、ネロォ…ネロォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」

 

 

先程まで沈黙していた色黒のサーヴァントが、ネロを見た途端雄叫びと共にサーヴァントとしても凄まじい速度で突進、異形と化した右肩の巨大な眼で、たった今ハンター二体を一掃したネロを補足すると異形の鉤爪と化した右腕を振り上げた。

 

 

「なっ…まさかカリギュラ叔父上か!?何故生きて、それにその姿は一体…」

 

「危ない!」

 

 

そのサーヴァント…カリギュラの一撃を、間一髪でネロを庇い受け止めたのは盾を構えたマシュ。しかしその一撃はデミ・サーヴァントとはいえ少女の肢体では耐え切れず、ネロ共々吹き飛ばされてしまう。バーサーク・サーヴァントとも違う、異常とも言える力に恐怖を抱きながらも己を叱咤し、立ち上がるマシュ。

 

 

「私も先輩と同じです…誰にも死んでほしくない、だから私は戦います!」

 

「ネロ、ネロォ…余は、愛して、いる、ぞ、我が、愛しき妹、の子よ。ネロォオオオオオオッ!」

 

「アシュリー!」

 

「任せて!おりゃー!」

 

 

右手を振り上げて突進してきたカリギュラを、横から割り込んで体当たりをかまして妨害するアシュリー。

 

 

「ネロォォオオオオッ!」

 

「筋力Bじゃないと持ち上げる事もできないのにー!?」

 

 

しかし地面から離れてしまったためか容易く跳ね飛ばされてしまい、そのまま狂喜に満ち溢れた凶器がネロに襲い掛かるも、それは清姫の放った炎を本能的に避けて阻止される。その様子を見て、どこか震えているネロが信じられないとばかりに問いかけた。

 

 

「何故だ!叔父上は死んだはず…何故迷い出た上に連合ローマ帝国の「皇帝」を名乗り、そのような姿になってまで…余のローマを滅ぼそうとする!?もしや、連合帝国は真実に歴代のローマ皇帝が蘇っているのか…!?」

 

「余、の…余の、振る舞い、は、運命、で、ある!」

 

「否、死者が今代の皇帝に運命を語るなど!」

 

「なれば、生者の、お前が、加われ、ば、よい。我等も、ローマと戦争、など、したくは、ないのだ」

 

「ふざけるな!ローマとは唯一であり、同時に皇帝もまた一つの時代にあって唯一である。例え叔父上たち栄光なるローマ皇帝等が甦ったとしてもそれはもはや過去の栄光!余こそその唯一たるローマ、現皇帝である!」

 

 

一瞬迷った様ではあるがそれでも迷いを振り切り、そう宣言するネロの姿に、マシュはオルレアンで出会った聖女の在り方を思い出していた。ああ、似ている。これが英雄の光か。

 

 

「…ならば、捧げよ、その、命。捧げよ、その、体。ネロ、お前の、 す べ て を 捧 げ よ ! 余 を 受 け 止 め よ !」

 

「なんとぉ!?」

 

「あら、告白ですか?嘘偽りの無い狂気に満ち溢れた愛、感銘を受けますね安珍様?」

 

 

片言ながらも何やら言いだし始めたカリギュラに頬を朱くした清姫がハンターを焼き払いながらも背後のオルガマリーに振り向くと、そこには若干青ざめて慌てたマスターの姿があった。

 

 

「言っている場合じゃないわ!とにかく清姫、ネロ皇帝を守って!あの人はこの時代、絶対に居なくてはならない存在よ!殺させちゃいけない!」

 

「あら。殺す気はないと思うのですが。まあいいでしょう、シャアッ!」

 

「ぬぅ、邪 魔 だ !」

 

 

オルガマリー(旦那様)の指示で炎を飛ばし、未だに襲い来るハンター共々カリギュラを焼き尽くす清姫。しかしそれでもカリギュラは止まらない。彼は、月の狂気に支配されながらも妹の子を愛しているからだ。その愛は、彼に埋め込まれた物によって異常なほどまでに増幅、本能から彼女を求める様になっていた。生半可な物では、止まらない。

 

 

「冬木のバーサーカーを思い出すわ…ってそうだ、藤丸!セイバーオルタに宝具を使わせなさい!今回着て来た礼装、魔術協会制服のスキル霊子譲渡を使うのよ!」

 

「っ、皆!退避して!」

 

「皇帝陛下、貴方の兵も一度お下げになってください!」

 

「う、うむ!」

 

 

立香の指示に、セイバーオルタはマスターの前までハンターを切り払いながら後退。マシュもカリギュラの猛攻を復活したアシュリーと共に防ぎながらネロを連れて後退して行く。

 

 

「そうか、騎士王の宝具か!マイク、俺を上げろ!とっておきを叩き込む!」

 

「OK!」

 

 

ヘリから下げられたワイヤーに繋がった足場を掴み、上空に舞い上がりながらディーラーは用意して来たそのとっておき、生物兵器を引き寄せる音を放つ「B.O.W.デコイ」を投擲。ハンターを一か所に集め、カリギュラの気もこちらに引かせるとマイクにエクスカリバーの範囲の外まで飛んでもらいながらもう一つ、パルスグレネードを投擲。高周波を発生させてその動きを阻害して立香に「やれ!」と念話で伝えた。

 

何故似た様な用途である閃光手榴弾を使わなかったのかというと、単に視界が遮られるからである。さっき使って、味方まで目が眩んでいたため変えたのだ。双方共にバイオテロリスト集団「ヴェルトロ」と取引して入手した数が少ない限定品ではあったがハンターの群れだ、仕方ないと割り切る事にする。そして。

 

 

「卑王鉄槌。極光は反転する。光を呑め!・・・約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガ)ァアアアアアアアアアアアアアンッ!」

 

 

肩の目を閉じて混乱していたカリギュラを、数多くのハンターごと黒い極光が飲み込み、そして戦いは終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

救世主だとカルデアを歓迎してくれたネロの話を聞くに、連合ローマ帝国なるものが現れ、現ローマ帝国との併合を持ちかけて来たのだがネロはそれを当然の如く拒否。それが戦いに発展し、連戦連敗とまではいかずとも、彼女のローマは連合ローマ帝国に敗戦を繰り返していたらしい。

領地は切り取られ、戦線は下がり続け、高官は行方知れずに。己の剣を以てしても敗色濃厚なこの戦争。幾人かの異国の客将が、敵皇帝の首を取ったという吉報があるものの国家としては押され、ついには首都にまで連合の手が伸び、そこへカルデアがやって来て幾たびかぶりの勝利を勝ち取ったようだ。

 

カルデアを客将として歓迎し、始まった祝いの宴から抜け出す影が二つ。ディーラーとマイクであった。

 

 

「…セイバーオルタもお嬢様も清姫の嬢ちゃんもオルガマリーもさすが名家の出だな、普通にあの皇帝サマに付き合っている。アンタはどうだ?」

 

「どうも合わないな。酒も不味い」

 

 

戦いの後、最寄りの店で酒を飲んで疲れを癒すのが日課であったマイクにとって、一世紀の酒は聊か不味かった。ディーラーも、ご馳走があるというのに自前で焼き魚を作るぐらいには合わないらしい。

 

 

「そりゃ過去の時代だからな、ヒッヒッヒッヒェ。…それで提案があるんだが。確かアンタのスキルに「援護射撃EX」があったな」

 

「ああ。単独行動の派生型、マスターの援護をするからとパスを切り離して行動できるアレか。それがどうした?そういやアンタも単独行動を持っていたな。…なるほど、そう言う事か」

 

「ああ。ハンターだけでなくG生物まで居たのが気になる。カルデアのサーヴァントでそれができるのは俺達だけだ」

 

「付き合うぜ。防衛戦よりも俺は攻め込む方が性に合っている」

 

「決まりだな。マスターに話してくる。魔力を溜めて置け」

 

 

そう言ってその場を去るディーラーは、立香とオルガマリーを人気のない場所まで連れ出し話を切り出した。

 

 

「ストレンジャー、提案なんだが俺とマイクは別行動させてくれ」

 

「えっ、何で?いきなりどうしたの?」

 

「…あのハンターのことね」

 

「そうだストレンジャー。俺達の時代の異物であるハンターに加え、あのサーヴァントがG生物化していたのが気になってな」

 

「…G生物って?」

 

「ああ、説明していなかったか。あとでロマンにでも聞いてくれ。とにかく、放って置くのは危険すぎる。だから俺達は空から敵の本拠地をしらみつぶしに捜し、ストレンジャーに報告してから来るまで、色々探ろうと思う。それができるのは単独行動ができる俺とマイクしかいない。どうだ、所長?」

 

「…確かに、ネロ皇帝もあのハンターを投入されてきたのはここ最近の事だって言うし、気になるわね。サドラーみたいな輩が召喚されているのかもしれないし、十中八九今回の聖杯は連合ローマ帝国が持っている。私達はネロ皇帝と共に進軍する事にするから、任せられる?」

 

「待って!…大丈夫なの、ディーラー?」

 

「…空飛べる生物兵器もそういないし、マイクのヘリがあるなら大丈夫だストレンジャー。…そう簡単に俺は死なないさ。前回みたいなギリギリなんてことにはならないぜ。ヒッヒッヒッヒェ」

 

「…分かった。もし何かあったらすぐにパスを繋げてね!令呪で二人を呼び戻すから!」

 

 

そう言ってのけた立香に、笑みを浮かべるディーラー。ああ、やはりこのマスターの力になりたいと。…今回の敵は、マスターの害になる事は間違いない。排除しなければいけない。そう決意したディーラーは大きく頷いた。

 

 

「オーライ。了解したぜストレンジャー。じゃあ俺達は出発する、闇夜の方がヘリも目立たないだろう」

 

「分かった。…いってらっしゃい。お帰りを言わせないと許さないから」

 

「心配するな。行って来るぜ、セイバーオルタ達によろしくな」

 

 

その言葉を残して去って行くディーラーを見送り、立香とオルガマリーは宴の会場へと戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウウウ、ネロォ…」

 

 

戦場の跡地にて、岩陰に隠れていたカリギュラが目覚め、更なる変異を遂げた事をまだ誰も知らない。

 

 

「いいぞ、サーヴァントというのは実に実験のし甲斐がある。存分にGのデータを取らせろ。俺が神となるために」

 

ローマ(我が子)よ。まあ偉大なローマ皇帝よ。ローマ(本能)のままに()くがよい、ローマ(お前)ローマ()を示すために」

 

 

否、二人のサーヴァントと、そのマスターだけがその光景を回覧していた。一人は己が目的のために、一人はカリギュラの行く末を見届けるために。

 

 

「………私は一体、何を召喚したのだろうか…」

 

 

そんな黒服サングラスの男と、筋骨隆々の肉体美を持つローマの体現者である男が自らの出す映像を見てコメントする姿に、男は思わず嘆いていた。




最後に登場したのは、バイオを知っている人なら連想する事が出来るはずのあの人です。G生物やらハンターがいるのはそのため。
倒しても復活してしまうのがG生物の恐ろしい所。しかしその目的は近親者を利用した種の存続。カリギュラの叔父貴は、それに狙われた赤王様どうなってしまうのか。

参戦しました赤王様ことネロ・クラウディウス。この特異点だと生前ですがハンター程度なら倒せます。カリギュラの告白(?)で清姫に気に入られる事になってしまった不幸な皇帝です。…いや、両刀だから満更でもない…?しかしいわゆるシェリーポジションになってしまったため、かなりピンチだったり。
我がカルデア屈指の殿なので、彼女もカルデアに入れるか考え中。でも呼んだらセイバーオルタ呼びを変えないと行けなくなるしなぁ…

バイオ4と時系列が繋がっているリベレーションズのテロリスト集団「ヴェルトロ」と取引して手に入れた武器商人のとっておき、デコイとパルスグレネードが登場。他のもあります。便利ですよね、特にデコイ。
G生物の事はレオンからちょっとだけ教えてもらっていたディーラー、危険性を感じてマイクと共に立香達とは別行動に。これが凶となるか吉と出るか…

次回はディーラー&マイクVS偉大なローマ。次回もお楽しみに!よければ評価や感想などをいただけたら嬉しいです。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

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