「おはよう、遥君! 今日は絶好のデート日和ね!」
「お、おう……」
いつもより三割増しの笑顔で千聖が俺を起こしてくれた。
千聖が泊まってから見慣れる程には彼女の顔を見てきたつもりだが、ここまで眩しい笑顔は初めてで思わず面食らってしまう。
「……千聖? なんか変な物でも食べた? もしくは別人?」
考えてもみろ。“あの”千聖だぞ。絶え間ない(作り)笑顔がお得意の白鷺千聖だぞ。
だから俺がそんな風に疑問を口にしてしまったのは仕方がないことだと思うんだ。
まあ、ものの見事に一瞬で無表情になってからいつもの笑顔になったんだけれども。
「ねえ、遥君。朝食に毒盛られるのと夜道でお腹を刺されるのどっちがお好みかしら?」
未だベッドで仰向けになっていた状態の俺に千聖が覆いかぶさってくる。
さらには互いの息遣いがわかるくらいの距離にまで顔を近づけてきた。あと数cm動かせば唇が触れそうだ。
視界を千聖の顔が埋め尽くし、牡丹色の瞳が目を逸らすなと言わんばかりに見つめてくる。
「ハハハ。千聖のジョークは過激だね」
「知らなかった? 私、冗談はあまり得意じゃないの」
「へ、へぇ……。ところでさ、いつまでもこの状態でいるの?」
「いつまでかしらね。私は全然気にしないわ。……もしかして恥ずかしい?」
「いや、全然。リサか友希那と寝た翌日は大体こんな感じだし」
「……どうやら毒で苦しんでいるところに刺されたいようね」
「なんで両方!?」
「あーあ、私とっても不機嫌になったわー。このままだと本当にやりかねないわー」
おい、仮にも女優だろ。その棒読みなんとかしなさいよ。なんてことは言えず、頭を捻ってご機嫌取りの方法を考える。
根に持つタイプであろう千聖をこのままにするのはよくない。
実際のところそこまで不機嫌には見えないから大袈裟に考える必要もないのだが、今日は折角の千聖とのデートなのだから楽しい気分でしたい、というのが一番にあった。
「これで機嫌を直して」
両手を千聖の背中と頭に回してゆっくりと頭を撫でた。
「とりあえずハグしておけばいいだろみたいな考えしてない? 私の機嫌がそんなんで直ると思ったら大間違いよ」
「じゃあ、やめる?」
「……やめろとは言ってないじゃない。存分に愛でなさい」
「お腹空いたからもう無理ー」
「なら朝食が終わったらしてもらうから」
朝食後、ソファーで同じことをしようとしたのだが、リサ達に全力で阻まれたのでその約束は叶うことはなかったのだった。
同じ家にいるというのに、態々待ち合わせをしたいという千聖の要望に従って、先に駅前で突っ立っていた。
それから五分もしないうちに家でも見た白いワンピースにデニムジャケット姿の千聖がやって来た。
一応伊達眼鏡で変装はしているのだが、隠す気があまりなさそうだ。
「待たせたかしら?」
学校で待ち合わせした時とは立場が逆だ。
ここで「待ってないよ」というのが普通なのだが、ありきたりな答えというのも味気無い。
1、「ああ、待った。正確言うなら4分32秒待ったとも。この失った時間どうしてくれる?」
2、「君を待つ時間すらも儚く感じたよ。ああ、儚い!」
3、「まあね。でも待つのもデートの醍醐味だから」
1は普通にムカつくな。
2に関しては千聖がキレそうだと俺の直感が告げてる。
……ここは3だわな。
「まあね。でも待つのもデートの醍醐味だから」
「ふーん、なんだかデートに慣れてますよって言いたげね」
あれっ!? 不機嫌になった!?
確かにリサや友希那とデートすることはあるし、異性と二人きりというのであればイヴや日菜と出かけるのもデートに含まれるわけであって……。あれ? 一般的に考えると俺って結構ふしだらな男なのかな?
「でも今日の私は機嫌が良いから許してあげるわ」
フフン♪と鼻を鳴らしていることから本当に機嫌は良いらしい。
今朝は不機嫌になってたけどね。
千聖の心変わりの速さに内心呆れていると不意に見慣れた髪色が視界の端に映った。
正確に言うならサングラスを掛けたリサ達だった。
道行く人達は怪しげな集団に顔を引きつらせて横切っていく。
「……」
『……』
彼女達とばっちり目が合う。
存在がバレた彼女達からガルルルルと狂犬のように唸り声が聞こえた気がして、思わず目を逸らした。
何してんの、あいつら……!?
彼女達が視界から外れていると着信音が俺のスマホから鳴った。確認してみると相手はリサだ。
内容は『どういうこと?』とのこと。
普段のリサなら顔文字とか絵文字を使うのだが、今送られてきた文章にはそれが一切なかった。長い付き合いだからこそわかるのだが、顔文字や絵文字を使わない時のリサは激おこ状態の証なのだ。
これではまるで浮気調査される気分だ。バレている時点で彼女達の探偵としての腕はたかが知れてるけれど。
今更どうこう言っても仕方がないと諦めを付けて、少なくとも千聖には伝えておくことにした。
「あー、千聖? その、リサ達が……」
「尾行しているんでしょ?」
「知ってたの?」
「ええ、だって出かけるときに遥君とデートしてくるってあの子達を煽って来たから」
「お前の所為か!」
「ふふっ。彼女達の顔、見ものだったわよ。帰ったら今日のデートの話でもしてあげましょうね」
「自ら死にに行くなんてしたくないんだけど! うわぁ、帰りたくない……」
「だったら愛の逃避行と行きましょうか!」
「ち、千聖!?」
『ああーーーっ!!』
いきなり千聖に腕を引かれて、彼女に連れられるままに駅前の人混みに紛れた。
こうして俺と千聖のデートはドタバタしながら始まった。
「どうかしら?」
試着室から出てきた千聖が俺に感想を求めてくる。
花柄の淡い黄色のフレアスカートとフリルの付いた白いブラウスだ。
千聖元来の凛とした佇まいと合わさって清楚なイメージが強調された気がする。
「そんなんじゃまだ地味過ぎるくらいだぜ。もっと腕にシルバー―――」
「遥君」
ぴしゃりと遮られた。まあ、こうなることはわかってたけど。
「真面目に言ってくれるかしら?」
「はーい。……元がいいから何着ても基本的には似合ってると思うよ。今着てるのだと清楚なイメージが強調されてるから千聖とは相性良い服なんじゃないかな。あ、でも、スカートが髪とほぼ同じ色だから赤とか別の色にしてみるのもアリだと思う」
「…………」
俺なりに真面目に感想を伝えたつもりだが、鳩が豆鉄砲を食ったような顔になっていた。
「正直に言えば、あなたからそんな感想が聞けるとは思っていなかったのだけど、少しだけ感心したわ」
「身近にオシャレに五月蝿い子がいるもんで」
「ああ、そういうことね。それなら合点がいくわ。じゃあ、次のに着替えるから待ってて」
「はーい」
さて、リサ達を巻いた俺達がいる場所はというと、大型ショッピングモール内にある洋服屋だ。
俺は来たことはないが千聖がよく来ている場所らしく、有名人が来ても店員が騒ぎ立てるような真似はしてくれないから気に入ってるそうだ。
そんな場所で今現在千聖のプチファッションショーが行われている。
ちなみに、すでに服選びは五着目に突入していた。
その後も何着か試着してから気に入った服を購入することに決めたようだ。
「あなたの感想が一番良かったものを買うことにしたわ」
それが決めた理由らしい。
俺の意見がズレていないことを祈って、少しだけお会計を出すことにした。
それを見た千聖が不満げな視線を向けてくる。
「私、それなりにお金はあるわよ?」
彼女の言う通り、女優業だけでなく、アイドルとしても活躍する千聖の稼ぎなら十分に支払えるに違いない。
「俺の意見が反映された服を買うんだから多少の責任は持たないとね」
「でも―――」
「ここは彼氏さんを立ててあげるべきでは?」
千聖がまだ何か言おうとしていたところに会計してくれる女性の店員さんが遮った。
「か、彼氏っ!?」
「あれ? 違いました? 親しそうにしていたからてっきりそうだとばかり……」
素っ頓狂な声をあげた千聖に首を傾げる。
リサ達や沙綾には彼氏宣言は堂々としていたのに、サッカー部の皆や見知らぬ人相手だとあまりそうでもない。今回だと言われて照れている。
人数の問題というわけでもなさそうだ。
「い、いえ、合ってます……! 私の彼氏なんです!」
「そうですか!」
顔を真っ赤にした千聖を微笑ましそうに見つめて、俺にウィンクしてくれた。
助け舟を出してくれた店員さんに軽く会釈してサラッと会計を済ませた。
買った服はこの後のデートに邪魔になってしまうので配送してもらうことにした。
このままショッピングモールのフードコートで昼食を済ませようとしたのだが、あまり人目が多いと千聖に気が付く人がいるかもしれないことを危惧して、俺の知り合いが働いてる喫茶店に行くことにした。
「羽沢珈琲店?」
「そ! 喫茶店巡りが好きな千聖なら気に入ると思うよ」
「いらっしゃいま―――えっ!? 遥君!?」
店の中に入ってすぐに店員さんが迎えてくれた。と言っても俺の知り合いである羽沢つぐみだ。
彼女はこのお店の一人娘の高校生。お手伝いとしてこのお店を手伝ってる良い子なのだ。
「二人なんだけど大丈夫?」
「へ? あ! う、うん! 二名様、ご案内しますね!」
俺が来たことに驚いていたつぐみだが、そこは長いこと手伝いをしてきた経験のお陰ですぐに立ち直った。
つぐみに案内されてお店のあまり目立たない席に座る。
「こちらメニューになります。決まりましたら呼んでください」
そう言ってつぐみは離れた。ただ、その際にこちらをチラチラ見ては何か言いたそうにしていた。十中八九千聖のことだろうけれど、今は働いているから遠慮したのだろう。
それよりも問題はこっちか。
「彼女とはどんな関係なの?」
沙綾と出会った時みたく、鋭い視線で問い詰められる。
「沙綾と一緒で小さい頃からの知り合い。たまにここでバイトもさせてもらってるんだ。あ、今日はいないけどここはイヴのバイト先でもあるよ」
「イヴちゃんがバイトをしてるのは知ってたけど、ここだったのね……」
「なんたって俺が紹介したからね。……つぐみについてはこんなもんかな。メニュー決めようよ。もうお腹ペコペコでさ」
「ふふっ、私もよ」
決めたメニューをつぐみに伝え、料理が来るまでこの後の予定を話し合いながら時間を潰すことにした。
数分程してつぐみが「お待たせしました!」と元気よく頼んだ料理を運んできてくれた。
食後にデザートと紅茶を追加で注文した。
紅茶は同じだが、千聖はイチゴのショートケーキ。俺はチーズケーキを頼んだ。
「あ、そうだ」
「?」
「折角だから―――はい、あーん」
チーズケーキを小さく切り分け、フォークで刺した物を千聖の前に突き出す。
丁度お互いに違うケーキを食べていたので思い出せた、仲の良い男女がよくやる『あーん』である。
「へ!?」
「もしかしてチーズケーキ苦手だった?」
「そ、そういうわけじゃないの! ……遥君はいつもいきなりでずるいわ」
俺に対する不満(?)を少しだけ頬を赤く染めながら呟いて、小さな口を開けて差し出したチーズケーキを口に入れた。
「美味しいわ」
「このお店のオススメだからね」
「……そうじゃないわ」
「え?」
「あなたと一緒だからよ」
「そっか! それは連れてきた甲斐があった!」
「全く分かってなさそうね、このサッカーバカは……」
「え、どういうこと?」
「内緒。はい、お返しよ。あーん」
「こ、これは蘭ちゃん達に報告しないと……!」
千聖は答えててくれる様子ではなかったので、それ以上は何も聞けずじまい。差し出されたケーキを食べてお店をあとにした。
羽沢珈琲店を出た後はゲームセンターに寄った。
「このアーム弱過ぎよ! インチキじゃないかしら!?」
UFOキャッチャーで怒る千聖。
「ふふ、今ここに私の伝説が始まるのよ……!」
レーシングゲームでハンドルを握った途端に性格が変わる千聖。
「今日の記念にプリクラ撮りましょ?」
二人で撮った写真に楽しそうにデコレーションしていく千聖。
どれもこれも
きっとファンの人に「千聖ってこんなんだぜー」って話しても信じてくれなさそうだ。
こんなに独り占めしてたら、いつかファンに怒られそうだな。
「楽しかったわ! 今日はデートしてくれてありがとう、遥君!」
ゲームセンターを出ると、もう夕方になっていた。
休憩がてらに人のいない公園のベンチで座る彼女の笑顔は心から笑っていて、夕日という風景も相まってとても綺麗だった。
「ああ、俺も楽しかった。デートに慣れてるのも悪くはないでしょ?」
「確かにそのとおりね。でもね―――」
おどける俺に千聖が距離を詰めてきて耳元で囁く。
―――“あなたの初めてが欲しかったわ。”
「それはどうしようもないな」
「ええ、本当にね。だからこれだけは貰うわね」
不意に首に腕を回され、二人の影が重なった。
「ち、千聖!? は!? いや、何して……! というか……え!?」
「流石にサッカーバカのあなたでもわかるわよね? 今の行為の意味」
「ま、まあ、うん……はい」
「動揺し過ぎじゃないかしら? ちょっと新鮮で可愛いからいいけど」
先程の行為なんて何ともないようにクスクス笑う。動揺する俺の姿が滑稽に思えたからなのもあるのだろうけれど、もう少し恥ずかしがってもいいんじゃないかと内心で思う。
「だって、これは、その……
「ええ、
「お、俺は……」
「ああ、良いの。返事はまだしなくて」
「え?」
「だって、恋愛の『れ』の字もしらないサッカーバカのあなたが、私を異性として意識したことなんてないでしょ? だからこれはあなたに対する宣戦布告といったところよ」
一度深呼吸をしてから続きを告げる。
「私はあなたのことが―――桜木遥君のことが好きです。これからドンドン攻めていくから覚悟してよね?」
「は、はい」
生まれて初めて自分に対する好意を口にされた。
それは俺にとっての白鷺千聖への印象を嫌でも変えさせられたのだ。
未だにバクバクと五月蝿い振動を起こす心臓と鏡を見なくともわかる真っ赤になった顔が、治まる気配を全然みせない。
それに千聖の顔を直視することが出来ない。
「さて、そろそろあの子達が心配してるだろうから帰り―――」
「ふざけるなぁっ!!」
千聖に手を引かれて立ち上がろうとしたところで怒鳴り声が公園内に響いた。
声のした方に向けば、公園の入り口付近に小太りの男が立っていた。
男が睨みつけていたのは俺達だった。
のしのしと歩み寄って来る男に警戒しながら千聖を庇い距離を取る。
「お、俺の、俺の千聖ちゃんを誑かしやがって!」
「俺の千聖ちゃん? え、この人と付き合ってたの?」
だとしたら俺とこの人は千聖に弄ばれて―――
「なわけないでしょ! こんなところで天然発揮しないで! というか、考えればわかるでしょ!? この人が件のストーカーよ! このバカ!」
「バカ!? バカってなにさ!? せめてサッカーを付けてくれ!」
「ツッコミどころはそこじゃないでしょ!?」
「バカとサッカーバカは大違いだ!」
「今はそんなことより目の前のストーカーのことよ!」
「ストーカー!? 違う! 隠密的にすら見える献身的な後方警備だよ、千聖ちゃん! そ、それよりも、俺だよ! 忘れたのかい!?」
世間一般ではそれをストーカーというのでは……?
「ごめんなさい! あなたのような人は覚えてません!」
「う、嘘だ! だって、いつもイベントで俺だけに微笑んでくれるじゃないか! 握手会だって!」
男から語られるのは千聖とのデートの内容やら会話やら。
リアリティ溢れる言葉に思わず『本当に彼氏なんじゃ……?』と納得しそうになったが、千聖がバッサリ否定したことで妄想なのだろうという結論に至った。
否定された男が絶望したような顔をしてすぐに、俺にその視線を向けた。
「お前ぇ! 顔が良くて、モデルみたいなスタイルしてるからって、していいことと悪いことがあるだろ!?」
「あ、ありがとうございます……?」
「褒めてない! さっきから千聖ちゃんにベタベタ触りやがって、催眠でも掛けたんだろ!?」
「いや、千聖に催眠なんて掛けたら解けた後が怖いんで」
「どういう意味よ!?」
「千聖のファンに殺されるってこと」
もしくは千聖に倍返しされると思う。
「殺されそうになった時は責任もってあなたと添い遂げてあげるわ! ……むしろそれがいいわ! 結婚しましょ!」
「今その好意を向けられても困るんだけど! しかも段階ぶっ飛ばしてる!」
「俺の千聖ちゃんから離れろぉ!」
遂に男の堪忍袋の緒が切れたのか、胸ポケットから折り畳みナイフを取り出して振り回してきた。
これはマズい……!
俺一人なら当然逃げ切れるが千聖を庇いながらでは動きが鈍くなってしまう。
最悪千聖だけでも、と覚悟したが割って入った複数の黒い影が瞬く間に男を取り押さえた。
「な、なんなんだ、お前達!」
「名乗るほどの者ではありません」
答えたのは男を取り押さえている黒いスーツに黒いサングラスを掛けた女性の一人だ。
すぐに彼女達が何者かを思い出して、お礼を言う。
「ありがとうございます」
「こころ様の指示でしたから」
「こころの?」
「ええ。それよりもすぐにここを離れることをお勧めします。すぐに警察がやってきてお二人も事情聴取されてしまいますから。あまり話題にはされたくはないのでしょう?」
「まさか―――」
「弦巻家の黒服たる者、この程度出来なくてはお嬢様を守れませんから」
千聖の問題にしたくないという事情を知った上でここまでしてくれたのか。
「ありがとうございます! 今度お礼に行きます! 千聖、行こう!」
何が何だかついていけていない千聖の手を少々強引に引いて、我が家へと帰宅したのだった。
後日談というかまとめ的なお話。
弦巻家のお陰でただの暴漢未遂事件として翌日には報道された。
事件解決に伴い、千聖達のお泊りもこれにて終了―――のはずだったんだけど、未だに泊まっている千聖以外の四人からリビングで問い詰められていた。
理由は千聖がデート前に散々煽ったことに加え、内容を事細かに(時に捏造や大袈裟にしながら)語ったのだ。
おまけに隣にいる千聖が「怖いわ」と絶対嘘と断言できる演技で俺のうでにしがみついてることが、より拍車をかけている。
もう、なんていうかさ、抗うのも馬鹿馬鹿しい恐怖っていうのを身を持って体験してるよね。
途中から彼女達の言葉を聞き流して過ごしている内に話が終わった。
ようやく解放される。
「遥君、ファーストキスはどうだったかしら?」
ことはなかった。
最後の最後に白鷺帝国が核兵器をお泊り連合に打ち込んだ。
第二次世界大戦勃発である。
『!?』
「ん? アレが初めてじゃ―――あ、なんでもない」
『それについて詳しく聞こうか』
白鷺帝国のまさかの裏切りにあい、五つになったお泊り連合の猛攻に為す術もなく桜木国は敗戦したのだった。