FAIRY TAIL〜魔龍の滅竜魔導士   作:長之助

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エルミナへ

「━━━━燃えてきたぞ」

 

100年クエストの内容、それはギルティナの五神竜という五体のドラゴンの討伐であった。並大抵のものであれば恐れるであろうその事実に、ナツ達は燃えていた。

 

「ナツはあのアクノロギアを倒した者です、この依頼…私達ならば達成出来るでしょう」

 

「何っ!?そなたが、あの…」

 

エルザがエレフセリアに説明する。その事実に驚くエレフセリアだったが、その言葉をまるで噛み締めるかのように顔を伏せる。その目はまるで遠い目のような、覚悟を決めたかのような…どっちとも取れる目であった。

 

「んで!?どこにいるんだその5人のドラゴンってのは!」

 

「……」

 

「……どうしたんですか?」

 

「これで、最後という訳じゃな。そなたら程の者が100年クエストを達成出来ぬのなら、この依頼は世界中を探しても誰にもこなせんということじゃ…つまりはこれで最後、最後の希望じゃ」

 

その言葉は、あまりにも重いものだった。ドラゴンの討伐でさえ並大抵ではできぬことに加え、神とも呼ばれているドラゴンの討伐。アクノロギアを倒したナツ達ですら達成出来ぬのなら……というのは、あながち間違ってもいないだろう。

 

「━━━━だな、俺達が達成しちまうからな!」

 

「ふっ……最後に1つ、報酬の件じゃ」

 

「おお!そういや忘れてた!」

 

「神とも呼ばれるドラゴン五体の相手ですからね…」

 

「1つ、望みの物を何でも与えよう。ありとあらゆる全ての物の中から、何でも1つ与えよう」

 

その言葉は……ナツ達の度肝を抜いたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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━━━━というのが、数日前の話である。ナツ達はその後エレフセリアの元を去り、 彼から教えてもらった場所へと向かう。そこは水神竜メルクフォビアを神として祀っていたとされる街……エルミナであった。

 

「大体…なんでもってアバウトすぎるのよ…例えばあたしが…」

 

「…?ルーシィ?何か欲しいのあるの?…あ!わかった!家賃一生分だ!」

 

「それなら家を貰うわよ!」

 

「俺ならフロッシュみたいな猫が欲しいな」

 

「エクシードの街に行けばいいんじゃ…?」

 

「私は……お胸…

 

「欲がねぇなぁウェンディは!」

 

「え!!凄く強欲なお願いですけど!!」

 

ウェンディの話を聞きつつも、『なんでも』という言葉の危うさに怪しさを感じるマルク。確かに、神という名のドラゴン五体討伐であるならばそれくらいあっても然るべき…かもしれない。だが、それはそれとして怪しすぎるのもまたその通りなのである。

 

「確かに『なんでも』というのは荒唐無稽で掴みどころのない報酬だ。だが、全ては依頼を達成せねば皮算用にすぎん」

 

「因みにエルザさんは何か欲しいものあります?」

 

「………鎧…いや…そうだな…家族はギルドのみんながいるが……っ!!!!」

 

いきなり顔を真っ赤にして首を横に振るエルザ。ジェラールのことでも考えたのだろう、と全員が予感していた。だが、エルザは話を誤魔化すかのようにマルクに話を振る。

 

「そ、そういうマルクは何か欲しいものがあるのか!?」

 

「俺は━━━━」

 

『何が欲しいのだろう』と。マルクはふと思ってしまった。今は幸せか?幸せだ。不満はないか?不満はない。ウェンディと一緒にいたいか?今でも一緒にいる。なら、自分が望むのは……?

 

 

「…………永遠の健康?」

 

「ほ、欲しいかどうかで言われたら確かに欲しいものだが…そう言うものではなくてだな……物体的なものだ」

 

「物体的な…」

 

ウェンディに似合いそうなのと言えば、なんだろう。とマルクは考え込む。もはや無意識のレベルなのだが、マルクはウェンディが幸せであればなんでもいいのだ。100年クエストに行くまでに約束したのだ。『おじいちゃんおばあちゃんになっても一緒にいる』と。故に、それを手助けできるものであれば……と考えて…ふと思考に魔が差した。『ウェンディ・マーベルにとってのマルク・スーリアはどういう人物か』『マルク・スーリアにとってのウェンディ・マーベルはどういう人物か』この2つの関係性は、=では結ばれない。そして、その2つの関係性の形は…どのように収まるのか…もしや、隣に立つのではなくギルドメンバーを家族と定義するような…そんな関係性に収まってしまうのでは━━━

 

「…?」

 

「マルク?どうしたの?」

 

「い、いえ…なんか…や、大丈夫…です」

 

胸が、ズキっとした。無論、ギルドが家族というのはとても暖かく、心地よいことをマルクは知っている。知っているからこそ、失いたくないし守りたいものだとわかる。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。この感情を、一緒にいたいとは理解しているが……お互いにそれを()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……なんか、傍から見てるとちょっかいかけたくなるな」

 

「やめときなさいよグレイ、本人達は割と本気だったりするわよ……あれで」

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)のかかりつけの顧問薬剤師ポーリュシカ。そして現マスターのマカロフ。ある意味ではおじいちゃんおばあちゃんになっても一緒にいるというのを体現している。けどあの二人が夫婦であるかどうかは…正直な所、マルクは分からなかった。奇しくも、彼の心地いいと感じているギルドの関係性が彼の中でのウェンディに掛けた言葉と一致してしまっていたのだ。

 

「ゔぅ゙ん゙……」

 

「おーい!見えてきたぞ!エルミナの街だ!!」

 

だが、悩むマルクを時間は待ってくれない。彼の傍には…着実に100年クエストの魔の手が迫ってきているのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は移り変わり……マグノリアにて。

 

「……あれ…確かマルクの…」

 

「ふぇあ…!?え、えっと……あ…妖精の尻尾(フェアリーテイル)の…えっと……鉄竜と、いた…人…」

 

街にて、レビィはマホーグ・オロシと出会っていた。無論、お互い仲がいいと言うわけでなく会話もしたことがない関係性だが…レビィからしてみればマルクのストーカーという事で評議院時代に少しだけ資料が読んだことある程度。マホーグからしてみれば、マルクと同じ滅竜魔導士のガジルとよく一緒にいる人…その程度の認識であった。

 

「マルクなら100年クエストに行ったよ?」

 

「う、うん…知ってる…『だから後着いてきたらダメ…』って言われた、から…我慢、してる」

 

「……マルク、愛されてるなぁ」

 

「……何か、あった?」

 

少しだけ遠い目をしたレビィに、マホーグは心を寄せる。少しだけ感傷的になっていたレビィは、少し間を置いた後にマホーグに話し始める。

 

「…私ね、赤ちゃん出来たんだ…ガジルとの」

 

「わ…お、おめでとう…!」

 

「ふふ、ありがとう…けどね、最近ちょっと…喧嘩が多くて」

 

マホーグからの賛辞に微笑んだレビィ。しかし、すぐに目を伏せてお腹をさする。愛はあれど、その愛の矛先に対して愛以外の感情を向けているのが…辛いようだとマホーグは感じていた。

 

「…原因、細かく…きいても?」

 

「…うん、最近ね?ギルドに新しい人が入ったんだ…トウカっていう…その人が…ちょっと理由があってね?その点で、彼女が怪しいってガジルが言うんだけど…」

 

「…ギルドのメンバーは、疑いたくない?」

 

「うん……だから、それで…」

 

「…………」

 

恐らく、ガジルの言うことに納得があるのだろうとマホーグは推理していた。だが、ギルドメンバーを疑うのは宜しくない。だが、同じく愛してる人を一方的に疑うのも宜しくない。その葛藤がレビィにストレスを与えているのだ。

 

「だから…どうしよっかな、って」

 

「……えっと、ね…私は…ガジルって人の…事、何も知らないけど…多分、それは…貴方を…守りたいから、言ってるんだと…思う」

 

「守りたい、から……?」

 

「疑いたくなるほど、なら…きっと、それなりの理由…がある、から…愛して、子供も出来て…そんな、中で…何が起こってから、じゃあ…ダメ、だから……」

 

「あ……」

 

「不器用……なんだ、ね。口下手、だから…つ、突き放すのに…喧嘩、しちゃう……マルクは、そんな事ない…けど…でも、似てる。愛してる人、が…幸せになれるなら…多分、身を投げ出せる…人…それが、鉄竜の…ガジル…な、んじゃ……ないか、な?」

 

レビィの頭の中に、記憶がよぎる。かのスプリガン12との戦いの際、ガジルが死んでしまったと思うほどのことが起きた。その時の彼は、彼女を生かせるためならとその身の無事を投げ出した。

結果としては無事で終わっている。そして、そこから今に至るまでもそうだ。

彼は産まれてくる子供のためにクエストにクエストを重ねて生傷を増やしている。それが、レビィのためだと言うのは彼女がいちばんよく知っていた。

 

「……ふふ、貴方意外と人を見てるんだね?」

 

「へ、へへ…顔色伺う…生活してた、から……あ、けど……」

 

「ん?」

 

「く、口が悪いのと…優しいのは別、だから…け、険悪にならない程度に…からかっちゃえ」

 

「……ふふ、そうする」

 

2人は微笑む。少しだけスッキリしたのか、そのままレビィはマホーグの傍から離れる。それを見送ってから、マホーグは1枚の紙を取り出す。そこに乗っていたのは…件の新入り、トウカだった。

 

「……ジェラールが言ってた、人物…かな、多分……もう少し、調査…しないと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は戻り、ここはエルミナ。大きな街ではあるが、建物には至る所に苔むしていたりなど、老朽化や古くなった部分が多く目立つ。その中で、ナツ達は宿を探していた。そして、見つけた宿の受付には……何故か魚が跳ねていた。

 

「「「………魚?」」」

 

「お魚ー!!」

 

「落ち着きなさい…」

 

テンションの上がったハッピーを、シャルルが収める。だが、それでも不可解な状況には変わりない。全員首を傾げながら魚の正体を考え始める。

 

「なんでこんなところに魚が……?」

 

「受付の人はいないのか?」

 

「受付みたいな格好した魚ならいるんですけどね……ウェルカムドリンクって奴か!!」

 

「ズルいよナツ〜!オイラにも、オイラにも〜!」

 

「飲むつもり!?」

 

「━━━ノーウェイ!!」

 

瞬間、謎の声と共に魚の声が一瞬で変化する。魚はダンディなお髭が生えた人間の男性へと変化する。尚、ナツはしっぽの方を持って持ち上げていたためか頭が床に着いてしまっている。

 

「「「━━━━人!?」」」

 

「いらっしゃいませ、ようこそホテルジャーニーへ」

 

「「「魚が人間になったァ!!!」」」

 

再三驚く一同。だが、ホテルの受付らしいこの男は一切それに乱されずマイペースに話していく。

 

「昼寝をしていたらうっかり魚に…皆さんも1度は経験が」

 

「ないわよ!!」

 

「ホテル型のギルド…?魚になる魔導士…?」

 

「多分考えてること全部違うと思うよマルク…」

 

マルクが遠い目をしながら色々考えていたが、ウェンディが苦笑しながらそれにツッコむ。しかし困惑しているのは全員同じ、彼に皆が色々効き始める。

 

「おめー…人間なのか?魚なのか?」

 

「そこ…凄く大事だよ…」

 

「どちらかと言えば魚ですね」

 

「魚なのか!?」

 

「魚の…魔導士…?魚が経営するホテル…魚のギルド……」

 

「あぁ…マルク、多分全然違うこと考えてるよそれ…!」

 

どちらかと言えば魚寄りであるらしい男性に、驚いたり困惑したりする一同。だがその驚きもまだ処理できていないのにも関わらず、何事かと言わんばかりに男の方が驚いた顔をする。

 

「ノーウェイ!うっかりデートの約束を忘れるとこでした!!皆さん!部屋は適当に使ってくださいな!!サメコさん!今行きますよー!!」

 

「サメ……」

 

「そもそも仕事とデートの約束被らせんなよ!!そんでデートを取るなよ!!」

 

「そこ……突っ込む所かしら…?」

 

マルクがツッコむが、関係なく男は去ってしまう………と見せかけて、扉の前で一旦止まる。色々忙しいな、とマルクは若干呆れていた。

 

「━━━おっと、うっかり1つ言い忘れるところでした。この街に滞在するつもりなら必ず……必ず、部屋にあるウェルカムドリンクをお飲みください。でないと人間が生きていくのは無理(ノーウェイ)……では!サメコさーん!!!」

 

「………なんだったの、今の人」

 

「人……いや、魚…じゃないか…?」

 

「全員同じこと思ってると思いますよ、ルーシィさんの意見もグレイさんの意見も」

 

ルーシィが驚き呆れながらツッコみ、グレイが思っていることを言い…そしてマルクが全面的に同意する。しかし、今からホテルを変えるというのも手間でしか無いのである。満室では無いようなので、泊まってしまえばいいのだろう。

 

「どうしましょう……」

 

「妙なホテルだが…他を探すのも面倒だ」

 

「あたしも歩き疲れたァ…ここでいいよォ……」

 

「タダだしな」

 

「タダな訳ないでしょ、ちゃんと払いなさいよナツ」

 

一先ず一休み。皆がようやく休めると気を緩めている中で、ハッピーだけが神妙な顔つきとなっていた。

 

「…?どうしたのハッピー」

 

「……お魚食べる気分じゃなくなっちゃった」

 

「…それは私もわかる」

 

魚が人に……少なくともこの大陸で出てくる魚には少し気をつけた方がいいかもしれない…とシャルルとハッピーの会話を聞いていたマルクは、思うのであった。

 

「…とりあえず、空いてる部屋探して…荷物置いて一休みしましょっか…羽、伸ばしましょう」

 

「そうだね…そうしよっか」

 

こうして、一旦荷物を部屋に置いた一同。だが、入った部屋に置いてあったドリンクにはドクロマークのラベルが貼られており……正直、ウェルカムドリンクという雰囲気ではなかったのであった。

 

「……毒薬?」

 

「本当に飲むの…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.

 

 

 

 

 

 

 

 

夜になり。ふと冷たい感覚に襲われたマルクは意識を覚醒させる。だが、働ききっていない頭ではそれが夢なのかどうかの判別がつかない。

全身が冷たい感覚、全身に感じる浮遊感と押し付けられるような圧迫感。全身がふわふわしているにも関わらず、妙に重い。そのままマルクは確認できるかどうかも分からず意識と同じように目を開ける。

 

「………………水中…………水中………?水中…!?え、水中!?なんで!?喋れるし息できる!!なんで!?……………とりあえず、水着水着」

 

服は着たままだと重いので、マルクは器用に片付けて着替える。いざと言う時のために持ってきていたのだ。いきなり目が覚めたとはいえ、思い当たる節はある。

 

「幻覚……ではなさそうかな…ってなると満潮か何かで街が沈む…あの魚の人はこれに適応した人だったのかな…じゃあ人間…?で、慣れてない人用の薬をウェルカムドリンクとして置いといた…かな」

 

水中で胡座をかきながら推理していくマルク。普段ならウェンディの心配をしているが、この状況だと恐らく普通にウェンディも呼吸できているだろうと予想していた。

 

「……というか、みんなは何処に」

 

「マルクー!!」

 

「あ゙ー!!って何だウェンディかびっくりし………あ゙ーッッッ!!!」

 

外からマルクの傍にあった窓を開けてきたのは、ウェンディだった。それに驚き、ウェンディだと理解したマルクは安心して窓の方を見て…二度目の驚きを得る。ウェンディはフリルの着いたビキニとなっていたのだ。マルクには少々刺激が強い。

 

「がッ………!!」

 

「……えへ…どう?」

 

「よッ……よく、似合ってるぞ…ッ!!!可愛いし、その……えっと、可愛い……」

 

だが、マルクも成長していない訳では無い。ウェンディの格好を見つめられないほどウブではないのだ。きちんとウェンディの顔を見て、きちんと格好を見て、そしてきちんと感想を述べる。顔が水中にも関わらず真っ赤になり、心臓も周りに聞こえるのではないかと言わんばかりに高鳴っているが……

 

「ふふ……えっ…と、ありがとう…マルク」

 

「ゔン゙ッ!!!」

 

「ほら…真っ赤になってないで………見て?」

 

はにかんだウェンディに余計に顔を真っ赤にさせるマルク。そのまま手を繋がれ、外へと踊り出す。そこで、ようやく目の前の非現実的な現状を目の当たりにするのだ。

 

「……綺麗だな」

 

「でしょ?えっとね?泳ぐのもある程度上手くなってるみたいで…あのお薬自体が、この水中に適応できるお薬だったみたい」

 

「……なるほど、通りで息もできるしそれなりに動けるわけだ…」

 

「あ!マルクやっと起きたわね!」

 

「ル゙ッ!!!!…………る、ルーシィさん…なんかエンジョイしてますね」

 

ルーシィも水着に着替えており、その姿はマルクにとって刺激的すぎた。ただでさえウェンディの水着で胸の鼓動の高鳴りが抑えられないマルクだが、ビキニで近寄ってくるルーシィは刺激が強いではすまなかったのだ。だが、ウェンディの時よりも早く順応しすぐに会話出来る程になっていた。

 

「あんた相変わらずウブねぇ……まぁナツみたいに見てくるよりマシなのかしら……まぁ、いいわ…ねぇ、知ってる?おとぎ話でねぇ、今みたいなお話があるのよ」

 

「へぇ…!どんなお話なんですか?」

 

おとぎ話、と聞いてウェンディが少し目をきらきらさせてルーシィに話を聞こうとする。ちなみにマルクは自らの心臓の音を掻き消そうと必死になっていた。

 

「ある所で亀が虐められてて…青年がその亀を助けたあと、恩返しで意味の世界に連れてってもらうの!」

 

「それで、どうなったんですか?」

 

「それで━━━━」

 

「………ルーシィさん?」

 

少し考え込んだあと、目を泳がし、苦笑し、説明に困ったような顔をするルーシィ。コロコロ変わるその表情にウェンディは気になってしまい、改めて尋ねる。

 

「……クラゲに変えられちゃうんだった」

 

「クラゲ!?」

 

「………救いないですねその話……うおっ!?」

 

呆れながらツッコむマルクだったが、その瞬間に彼らに向かって魚の大軍…恐らくこの街の住人と思わしき魚の群れが突撃してくる。先程までと打って代わり、凄まじい敵意を向けている。

 

「何、急に…!!」

 

「魚達が急に襲ってきて…!?」

 

「シャルル!ウェンディ!ルーシィさん!離れないでくださいよ!!」

 

「クラゲに変えられちゃうんだ〜!」

 

「ウェンディ落ち着い……うおっ!!」

 

先程の話を聞いたせいなのか、ウェンディは泣きながら混乱していた。落ち着かせようにも、周りの魚達がそれを許してはくれない。だが、そんな中でマルクの後ろからルーシィの悲鳴が聞こえてくる。

 

「きゃああああああ!!?何すんのよォ!!!」

 

「ルーシィさァ!?!!!!?!」

 

ルーシィの水着の上部分が脱がされていた。ストレートに言えば、上半身裸である。そして、それに気づかないでマルクは視線を向けてしまい完全に『見て』しまう。

そんな混乱した状態で、魚の群れを引連れて他メンバーが近寄ってくる。ナツはルーシィを抱えて素早く泳いでいく。しかし、いくら泳ぐのが早くなったと言っても地の利があるのは向こうも同じである。

 

「くっ…!このままでは追いつかれるな…!」

 

「い゙ッ…たん、壁作りマスッ!!」

 

「俺もやるぜ…!アイスメイク『(ウォール)』!!」

 

「滅竜奥義!紫電魔光壁(しでんまこうへき)!!」

 

「助かったぞ2人とも!」

 

グレイが追っ手を振り切るために壁を作り、それを元手にしてマルクが魔力で補強してさらに大きな壁を作る。氷自体は既にできているものなので、魔力を吸収しても無くなりはしない。逆に魚達はこの壁を通ろうとしたら魔力が吸い取られてしまう壁というわけだ。

 

「今の内に!!」

 

「だな!!」

 

そして、一同は完全に逃げることが出来たのであった。

水神竜を祀っていたとされる街エルミナ。そこで起こった住民達からの攻撃。ナツ達は何が起こったか分からないままに撤退を余儀なくされてしまう。だが、ここで起こった問題は…まだ始まったばかりなのである。

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