FAIRY TAIL〜魔龍の滅竜魔導士   作:長之助

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ドラゴンイーター

「ドラゴンの血を求めし者達よ、今すぐこの地をされ」

 

今この場に、3つの派閥あり。100年クエストによるギルティナの五神竜の封印を目的とする為、水神竜の所にやってきた妖精の尻尾(フェアリーテイル)。水神竜を食らうためにやってきたギルド、ディアボロス。そして水神竜メルクフォビア本人。

 

「やっと出てきよったのう、このときを待っておったぞ」

 

「キリア殿、無策で勝てる相手じゃないっちゃ」

 

「いいや、ワシに斬れぬものは無い」

 

「あぁ、俺が手を貸せばキリアの刃は聖剣となり悪の水神竜を切り刻むだろう…ん?」

 

「これは…!」

 

裁竜の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)スァーヴァク、彼が体の違和感に気づいたその瞬間、ディアボロスの面々の体が灰となっていく。

 

「なんだ!?」

 

「あいつらの体が…!」

 

「灰!?」

 

「ダメなようだな、キリア」

 

「スカリオンか!!余計な事を!!目の前にいるのじゃ!水神竜が!!帰ったらただじゃおかぬぞ!!スカリオン!!」

 

「では、ばいっちゃ」

 

「また貴様らを滅してやろう!!ふははははははは━━━━」

 

そう言って、灰のように消えていくディアボロスの面々。残されたのは、困惑している妖精の尻尾の面々であった。

だが、まだ相手がこの場には残っているのだ。

 

「何だったのだ今のは…」

 

「灰の魔法…?」

 

「ディアボロスは…滅竜魔導士のギルド…なら、恐らく灰の滅竜魔法だろうな……けど、今は……」

 

マルクは警戒心を下げない。最早去ったディアボロスの事は考えない方がいいと判断したのだ。水神竜は、面々を睨み見下ろしていた。

 

「滅竜魔導士か…私を滅するために来たか」

 

「いや…ちょっと違ぇな、5人の竜を封じてくれって依頼でな…お前もその一人っぽいんだけど、お前が良い奴だったらどうしようかなって感じなんだ」

 

「随分ざっくり話すのね……」

 

「なるほど…エレフセリアめ、まだ諦めていなかったか」

 

「エレフセリアを知ってるの?」

 

「100年も刺客を送り続けてられればね」

 

「で?おめえは良い奴なのか?悪いやつなのか?」

 

「そんなダイレクトに……」

 

ナツの疑問に、少しだけ考えるメルクフォビア。しかし、直ぐに笑みを浮かべたかと思うと両手を広げ敵意が無いことをアピールし始める。

 

「さぁ?どちらとも言えないが…君たちに対して敵意はないよ、今のところはね」

 

「参ったなー!いきなり100年クエスト失敗じゃねぇか!」

 

「待って!?人間に対して敵意が無いなら、厄災じゃない…って事でしょ?これってあたし達の不戦勝にならないかなぁ?」

 

「確かに!倒す理由がねえんじゃ封じようがねぇ!」

 

「━━━━ほんとに、そうですか?」

 

マルクの一言に、ナツ、グレイ、ルーシィが顔を向ける。敵意がないのは、マルクも理解している。しかし、それとは別に封じるかどうかというのは別問題である。

 

「水神竜メルクフォビア、間違えてたら申し訳ないのですが……エルミナの満潮…あれは貴方が理由ですか?」

 

「するどいね……だが、ここで話すのも疲れるだろう…私の神殿に案内しよう…カシマ、彼らは私の客だ。今後手荒な真似はしないように」

 

「は、はいぃ!!」

 

「受付の人カシマって名前なんだ……」

 

そうして、一同はメルクフォビアに誘われて彼の神殿へと移動する。その空間は空気が存在しており、尚且つ神殿としての見た目もかなり豪華なものだった。

 

「あの、私…いつまでこのままなのでしょうか…あ!元に戻った!」

 

「すげぇ…」

 

未だクラゲボディだったウェンディ。しかしメルクフォビアが指を鳴らすと、元の水着の姿へと戻る。嬉しそうにするウェンディに、マルクはほっとしていた。

 

「水神竜さんは魔法を解除する力を持ってるんですね!」

 

「いや…この程度の魔法ならね」

 

「━━━水神竜様!!何故このような者達を神聖なる神殿へ?」

 

ウェンディがお礼を言う中で、突如として新たな声がこの場に響く。やってきたのは1人の女性…匂いからして人間だというのは、滅竜魔導士組は察していた。

 

「彼女はカラミール、色々と私の世話をしてくれている…カラミール、紹介しよう…イシュガルからやってきた魔導士だ」

 

「ど、どうも…」

 

「俺達は魔導士ギルド妖精の尻尾の━━━」

 

「結構……どうせエレフセリアの差し金でしょう」

 

どうやら彼女もエレフセリアの事を知っているようであり、掛けているメガネを指でかけ直し一同を睨みつける。しかし、今まで刺客を送り込まれてきたというのもあり好意的に見られないのは仕方ないと一同は別に気にしていなかった。

 

「ま、まぁそうなるかな……」

 

「どうぞ、水神竜様に挑むなら今すぐにでも……どうせあなた達が叶う相手ではありませんから」

 

「まぁ待ってくれカラミール、彼らとは会話ができそうなんだ…少し、話をさせてくれないか」

 

「………………どうぞ」

 

渋い顔をした後に、カラミールはその場で立ちながら会話を促す。メルクフォビアからしてみれば、席を外して欲しかったようであり……

 

「席を外して欲しいってことなんだ……」

 

「ふんっ…ちゃんとそいつらの始末しておいて下さいね」

 

「始末…」

 

「いやぁ…彼女は人間の娘なんだけどね…海で遭難しているところを助けたのがきっかけで住み着かれてしまってね…悪い子じゃないんだ…ははっ……」

 

「…………尻に敷かれてるんですか?」

 

マルクの言葉にメルクフォビアは目を背ける。嫌悪感を出してしまうのは立場上仕方の無いことかもしれないが、それはそうとしてどうにもメルクフォビアがカラミールに逆らえないように見えてしまったのだ。

 

「さて…この神殿を案内しよう」

 

メルクフォビアの元で、神殿を案内される一同。農園、医療施設…そして海上に存在している監視施設……どう考えても厄災とは程遠い、人に害ナスものでは無い数々の施設。それらを見たナツ達は…

 

「あんた本当に水神竜メルクフォビア!?」

 

「いい人すぎる!!!」

 

「ドラゴンが遭難者助けるとは泣けてくるわ!!」

 

「感動した…!」

 

「そ、そこまでですか…?」

 

「━━━━けど、エレフセリアが悪じゃない限り…あなたを狙う理由が正当にあるはず…違いますか?」

 

いい人、いやドラゴンだというのはマルクも理解している。何かを騙すという理由でわざわざここまでの施設を作りはしないだろう。故に、だからこそ……メルクフォビアが狙われる理由を尋ねる。

 

「先程もそうだが…君は鋭い、警戒心が高いのはいいことだ…一方で私を敵視している訳でもない…きっと、物事を冷静に見れるタイプかな…そうさ、昔も私は人間と敵対して…虫けらのように大量に殺した。

エレフセリアが狙うのも当然だ…きっと、彼の家族や友人もいたかもしれない…弁明する気は無い、それが当時の私にとって当たり前のことだったんだから…強者が弱者を狩る、それが当たり前の時代だった」

 

「どこで心境の変化が?」

 

エルザが、メルクフォビアに尋ねる。一瞬だけ目線をエルザに合わせたあと、思い出すかのように俯き…しばらくしてからメルクフォビアは語り始める。

 

「……そうだね、きっかけはカラミールだった。実はね…彼女を助けるつもりなんてなかったんだ。海で見つけた餌程度に思ってたんだが…妙に懐かれてしまってね、気がついたら共存の道を進んでいたよ」

 

人間も、ドラゴンも…変わることが出来る。良くも悪くも…それが意思ある生物としてのメリットでありデメリットでもあるのだから。

 

「……さて、本題だ。先程の彼が言ってくれたように…エルミナの街の水没は私が原因だ。時間が経つにつれ、力を制御できなくなっている。街の者達も元は人間……水中でも生きれるように私が術をかけたんだ」

 

「あ!だから私の姿を元に戻せたんですね!」

 

「━━━━だが、それも一時しのぎだ。彼らに街を捨てるように言って、仮に聞いたとしても…隣の街、更に隣の街と被害は増えていくだろう……だから私は、死なねばならない」

 

「そんな…!」

 

「他に方法はねぇのか!!」

 

ナツとルーシィがメルクフォビアに詰め寄るが、メルクフォビアはただ首を横に振るだけだった。それだけ彼は事の重大さを深刻に考えているのだ。

 

「ない、だから私を殺してくれるものが来ることを待っていたのだ………だが、その前に1つやらなければならないことがある。これが最大の誤算にして、最悪の大問題なのだ」

 

「やらなければ…ならないこと?」

 

「うむ…私のドラゴンとしての力は、何者かに奪われてしまったのだ」

 

「「「「っ!!!」」」」

 

メルクフォビアの言葉に驚く一同。その驚きの事実の詳細が、今話されようとしていた━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.

 

 

 

 

 

 

 

 

「どういうつもりじゃスカリオン!!水神竜が目の前にいたのじゃぞ!!」

 

「まぁまぁ落ち着くっちゃ!」

 

ここはドラゴンイーターのみのギルド、ディアボロスのメンバーが乗っている船。刃竜(じんりゅう)のキリアと鎧竜(がいりゅう)のマッドモール、そして裁竜(さばきりゅう)のスァーヴァク。この3人ともう1人、この場にドラゴンイーターがいた。まるで骨のような鎧を纏いし人物……骸竜(むくろりゅう)のドラゴンイーター、スカリオン・レイダーである。

 

「なんの為に捕まったと思うておる!!」

 

「状況が変わった…あれには水神竜の力を感じぬ、あれを喰郎てはならぬ…ドラゴンイーターを欺けると思ったか、偽物の水神竜よ」

 

「偽物……いや、いやいや、待ちなスカリオン!!そう考えるのは時期尚早だ!!」

 

キリアとスカリオンの間に、入り込むスァーヴァク。その顔には、自信か満ち溢れていた。

 

「スァーヴァク…その根拠は?」

 

「まず1つ…匂いは完全にドラゴンだった!2つ目、あの海を割る力は普通のドラゴンには出来ない…!物理的な方なら出来るかもしれないが、そうではなかった…そして3つ目、これが一番大事だ…スカリオン…感じないのは水神竜の力ではない、彼の者の魔力だ」

 

「んぁ?魔力と水神竜としての力は一緒じゃろがい」

 

「違う、違うぞキリア!!魔力を感じない、というのはドラゴンからしてみればおかしいんだ!なぜなら奴らは、人間と比べれば格が違う!魔力をつかうことにたけているんだ!!のにも関わらず魔力欠乏症などになっていない!!というのが根拠だ!!

そしてこれは俺だけが感じていること故、根拠としては薄いが……『罪』を感じない」

 

「……ほう、ドラゴンであれば大量虐殺の罪があると言うお前が…珍しいな」

 

「大体でっち上げかあら捜しレベルの罪だっちゃ」

 

「あれは……なんというか…うーむ」

 

普段の喧しい態度が一変、静かに唸る態度に残りの3人は目を丸くさせていた。それだけ、スァーヴァクが唸ることが珍しいのだ。

 

「例えて言うのであれば…色とりどりのキャンバスに濃い白をぶちまけて無理やり白くしたような…いや、どちらかと言えば絵の部分を切り取って白と言い張っているというか……」

 

「━━━━何者かに奪われた、と?」

 

「っ!!」

 

それだ、と言わんばかりにスカリオンに指をさすスァーヴァク。そして、その予測を聞いてスカリオンは笑みを浮かべる。

 

「ならば、そいつを喰らえばいいと言うわけか」

 

「しかし、相手は水神竜の魔力を消し去った奴だ。それ相応の準備がいるだろう」

 

「その言葉…何かあるのか?」

 

「ふっふっふっ…わざわざ飛び出した甲斐があったということだな!俺が敵対した悪魔!!そいつの体質は空気中のエーテルナノを吸収しやすい性質を持つ!食えば悪魔因子が体内に入り面倒なことが起こりかねないが……『備品』としてなら、我らの力となるだろう!!」

 

スァーヴァクは一旦顔を手で隠し、そして、指の隙間から目を見せる。その目を見るだけで笑みを浮かべているとわかるし、口角はあがり顔を隠した手のひらからはみ出していた。

 

「ふっ…何が言いたい?」

 

「分かっているだろう?!あの悪魔をいけどりにし…我らの備品とするのだ!血は服に染み込ませ、皮膚や骨を武具や防具に混ぜ、そしてなるべく無限に使えるようきちんと『管理』する……そうすることで俺たちの来ている衣服や装備品は相手の魔力を吸い上げる始める!そこから魔力だけを直接吸収出来れば、俺達のドラゴン退治も捗るというものだ!!なぁに…悪魔だ、人間の法は何も通じんよ」

 

「何が裁竜じゃ…ヤバすぎるじゃろ発想、今からでも拷問竜にでも名前変えとくが良さそうじゃ」

 

スァーヴァクの発想に渋い顔をしてドン引きしているキリア。だがスカリオンはその意見を素直に受け入れ、そして口角をあげて笑みを浮かべる。

 

「だが…確かに役に立つな…よし……ならば、水神竜のいるところに向かうとしよう」

 

「それがいい……頼むよスカリオン、恐らく水神竜が居るところは…」

 

「エルミナの近くにある…監視塔のだな、ドラゴンの匂いが強い所ならば当たりだろう」

 

そして……ディアボロスの4人は、エルミナ近く…水神竜メルクフォビアの神殿へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「━━━━力を奪われた!?」

 

場所は戻り、メルクフォビアの神殿。メルクフォビアが明かした真実に、ナツ達は驚いていた。何せ、五神竜と呼ばれる存在から力を奪うなどそうそう考えられないからだ。

 

「例のドラゴンイーターとか言うやつか」

 

「いや、でも奴らは水神竜の力を求めてましたよね…?」

 

「あぁ、奴らでは無い……だが、死ぬ前に力を取り戻さなければ…悪用でもされたら、それこそ厄災と呼ばれる事態が起こってしまう」

 

「……誰に、奪われたんですか?」

 

「名前は分からない…しかし奴は白魔導士と呼ばれている」

 

『白魔導士』という言葉にマルクは内心ゼレフを思い出していた。最も、ゼレフは黒魔導士なので色としては真逆だが…やっていることの大きさや、その呼ばれ方がまるでゼレフの様だとは、感じていた。

 

「私は力を取り戻し街を元通りにする…それまで死ぬ訳にはいかんのだ」

 

「だったら俺達が━━━━」

 

ナツが言葉を続けた瞬間、周りの様子が変わり始める。段々と粉状にそう、まるで()殿()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「神殿が、砂に…!?」

 

「いや、これは灰だ!!」

 

「灰!?」

 

「って事は…もう来たのか、ディアボロス!!」

 

マルクは上を見上げる。そして、見上げた箇所に…ディアボロスの面々がいた。無論、スカリオンも含めた4人である。

 

「また会ったのう」

 

「2時間ぶりっちゃ」

 

「今度こそ裁いてやろう!!」

 

「おい…1人増えてんぞ!!」

 

「━━━話は聞かせてもらった、なるほどなるほど…力を奪ったヤツ、白魔導士を食えば良いのだな」

 

「いいや、力は水神竜に返す…お前たちには渡さねぇ」

 

ナツとスカリオン。2人の滅竜魔導士が睨み合う。だが、先にメルクフォビアがスカリオン達に立ちはだかる。

 

「我が神殿を汚す者よ、今すぐ立ち去れ」

 

その言葉と共に、スカリオン達に水の柱が襲いかかる。しかし、スカリオンが少し手を動かした瞬間、その水は…灰となって消えていく。

 

「水が灰に…!?」

 

「最早貴様は水神竜にあらず…食うに値せぬ!!」

 

そして、今度は自分の番だと言わんばかりに灰がメルクフォビアを拘束する。どうやら、スカリオンの灰は自由自在の変幻自在のようである。

 

「水神様!!」

 

「ルーシィ!ウェンディ!彼らを頼む!!」

 

「はい!!」

 

エルザの指示の元、メルクフォビアとカラミールにウェンディとルーシィが防衛に着く。そして、残ったメンバーはディアボロスの面々と対峙する。

 

「灰って燃やしたらどうなるんだ?」

 

「さぁな、()()()()になるんじゃねぇか?」

 

「試してみるか……ここなら炎使えるしな!!」

 

そう言ってナツが飛び出す。本気でスカリオンの操る灰を燃やそうと考えているのだ。しかし、それを阻止しようとスァーヴァクが立ちはだかる。

 

「灰を燃やす!!言語道断不届き千万!!貴様の罪1つ目を━━━」

 

「罪罪うるせぇええええ!!!!」

 

━━━だが、更にその間を黒い炎が遮る。マルクの悪魔龍の姿の1つ。嫉妬嫉み(ジェラシーエンヴィー)の力である。比較的人間のような…というか大きな帽子を被り、杖を振るうまるで絵物語の魔法使いのような姿をするのが特徴だ。それ以外人間との差はまるで無いのである。

 

「7つの罪で相手してやんよ!!」

 

「では、こちらは正義の裁きで相手をしよう!!」

 

「上等!!他任せました!!」

 

そう言って、マルクは上に飛び出した。意趣返しもあるが、スァーヴァクが罪と感じる物は恐らくこの場ではウェンディ以外は背負ってしまっているだろう。ただでさえ街を破壊したりとかしているメンバーなのだから。

 

「消えろ…灰燼となりて」

 

「任された…!ふっ!!」

 

その最中、ナツはスカリオンの攻撃を受けそうになったが…エルザの一撃でそれは回避することが出来た。だが、どうやらナツの拳もエルザの剣もスカリオンには通じていないようだった。彼の体は、灰となれるようだ。

 

「こいつ…!攻撃が効かんのか…!」

 

「なら俺の出番だな…凍り付けェ!!!」

 

「おのれの相手はワシじゃ…!」

 

マルクVSスァーヴァク、スカリオンVSグレイ、エルザVSキリア。今ここに三者三様の戦いが繰り広げられようとしていた。そして、残っているのは……

 

「じゃあ俺の相手はあいつか!!」

 

「よろしくっちゃ」

 

「燃やすっちゃー!!火竜の劍角!!!!」

 

そして、マッドモールVSナツ。それぞれの意地と力をぶつけ合う戦いが、今始まったのであった。

 

「ふっ…!嫉妬龍の嫉妬咆哮(エンヴィーロアー)!!」

 

「甘い!!裁竜の聖剣!!」

 

空中にいながらの戦い、マルクの杖から黒い炎が放たれる。だが突如としてスァーヴァクの手に出現した光の刃、それを持った彼の手によって炎は掻き消されてしまう。本来であればマルクの意思がなければ燃え移り、そして永遠と焼く苦しみを与える炎。

 

「……やっぱ浄化するか」

 

「なんとむごい炎…しかし先程の戦いでこれを使わなかったということは……貴様!醜い嫉妬心を隠しているな!!ないのならばともかく、何かを燃やすほどの嫉妬心を持ちながら隠すとは!罪をまだ増やすか!!」

 

「モード悪魔龍!!強欲欲しがり(ディザイア・グリード)!!」

 

今度は羽の生えた2足の小型の肉食の恐竜の様な姿へと変わるマルク。器用に神殿の壁を蹴り進めていく。そもそも、スァーヴァクの話をじっくり聞くつもりはなく、そしてさっさと終わらせたい気持ちの方が強かったのだ。

そしてこの形態は相手の魔法のコピー…無条件コピーだが、使用には結局魔力を消耗する。ただでさえ悪魔龍の際は魔力が少ない状態なので、使う魔法は考えなければならない。が、今回は()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ドラゴン相手にはドラゴンって相場が決まってんだよ!てめぇは魔法を灰に出来ねぇだろうが!!」

 

その言葉と共に、スァーヴァクに水の柱が何本も向かう。そう、メルクフォビアの魔法をコピーしたのだ。先程見ていた技の物真似だが、それでも灰に出来なければ避けるしかないだろうと思っていた。

 

「甘いな!!コピーとは言っても根源は悪魔の力だ……ならば悪魔因子が宿っているはずだろう!!!」

 

「ぐっ…!?」

 

だが、その攻撃も彼が手にした剣によって消されてしまう。嫉妬の炎も、強欲の技も彼には通じていないのだ。恐らく、立ち向かうためにはスァーヴァクの技自体をコピーしなければならない。だが、恐らくそんなことをして触れてしまえば即座にダメージを受けるのが目に見えていた。

 

「さて…裁きをくだそう!!」

 

「やってみやがれ…!モード悪魔龍!!罪なる(セブンス)━━━」

 

「はっ!」

 

「うおっ!?」

 

力を解放しようとした瞬間、手にしていた剣を投げつけるスァーヴァク。掠っても大ダメージであろう事は、容易に想像が着く為にマルクは咄嗟に避けたが…()()()()()()()()

 

「隙だらけだ!!」

 

「しまっ━━━」

 

「裁王七連撃!!!!」

 

彼から放たれる光線、そして彼の手に宿る光の小さな刃。遠近両方の同時攻め。それがマルクの体を焼き、切り裂いていく。枯渇していた魔力、呪力がさらに無くなっていくのをマルクは感じていた。

 

「く、そっ……」

 

「━━━━刃竜の裂哮!!!」

 

落下する最中、キリアが偶然にも発していたブレスがマルクの体をさらに切り裂いていく。切り裂かれながらマルクは落下していき……そして、地面に仰向けの体制となっていた。

 

「ワシに斬れぬものは無いと、言ったじゃろう」

 

「そちらも終わったかい?キリア」

 

「おー!スァーヴァク!そっちも終わったか!!」

 

「あぁ、トドメ…を差してしまうと道具としての価値すら無くなってしまうな…だが、浄化作業は進めておこう……っと!」

 

仰向けに倒れているマルクの腹部に、スァーヴァクの魔力で生成された剣が刺される。そして、しばらくしてから…ゆっくりと血が広がっていく。

 

「さて、行くとしよう……そうだ、そちらの少女も滅竜魔導士の様だ

連れていこう…なにかに使えるかもしれない」

 

「ふむ…ではそうしようか……ワシもいいものが手に入ったからの」

 

そう言い、キリアはエルザを見る。そしてその言葉でスァーヴァクは察していた、悪い趣味を発揮していると。

 

「その趣味、罪だぞ?」

 

「なんじゃ、悪いか?」

 

「悪いから罪なんだ、どうせキリアは直ぐに飽きるだろう」

 

「その時はその時じゃ…斬り捨てれば…悪ではなかろう?ポイ捨てでは無いからの!!」

 

「全く……キリアの罪も数えておこう」

 

スァーヴァクはマルクを抱え、キリアはエルザとウェンディを抱える。恐らくスカリオンとマッドモールも終わっただろうと、彼らは予測して先に船へと戻っていく。

その中で……

 

「マ、ルク……」

 

「ウェン…ディ……」

 

うわ言のように、ほぼ息だけの状態で…マルクとウェンディは呼び合うのであった。

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