FAIRY TAIL〜魔龍の滅竜魔導士   作:長之助

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恐怖は誰にでも

「━━━━俺は」

 

冷たい感覚、手足の先から冷え込んでいくような感覚。マルクは暗闇の中でただそれだけを感じていた。だが、手足が動かせるような雰囲気は無い。動かそうと力を込めただけで、激痛が走る。

 

「……死んでは、無いのか?」

 

「━━━そうですね、マルク。貴方はまだ死んでは居ません」

 

「……初代?」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

声をかけてきたのは…初代妖精の尻尾(フェアリーテイル)マスター、メイビス。だが、様子がおかしい。どこかぼやけたような見え方をしており、言葉もどこか違和感がある。

 

「私は貴方の中に眠る、ある力…その力に残っていた残滓」

 

「残滓…?」

 

「見えますか?あの力が…」

 

「力が見えるわけ……え…?」

 

暗闇の中で目を凝らすマルク。視線の先には…ギルドマークの描かれた球の様な『何か』。

 

「あれは、貴方の中の残滓。あれだけでは使うことは出来ず、どう使うかもまだ決まっていないでしょう……」

 

「残滓…」

 

「だからこそ、今こうやって見せているのは……ヒントなのです」

 

「━━━そうだ、お前の中の残滓、取り込んだ特殊な魔法や魔力は…処理しきれずに残っているのだ…特に、なにかの意思と繋がっているのならば…その意思がお前の中にこびり付いてしまっている」

 

「っ!?お前、アクノ━━━」

 

青色の髪、浅黒い肌。目の前に現れた男性はマルクもよく知っていた…だが、消滅したはずである。マルクの目の前で。だが、男が言った特殊な魔力という言葉にマルクは引っ掛かりを覚えた。

 

「━━━いや、特殊な魔力…?それって」

 

「…次に我らが出てくることが出来るかは分からない」

 

「けれどマルク、貴方は…死なないでください」

 

「……どうして?」

 

「貴方は、死にたいのですか?ウェンディ・マーベルを放っておいて」

 

その言葉に、マルクは動揺していた。死にたい訳が無い、今の自分はウェンディと共にいると決めているのだ。もし、もし自分が死んだら優しいウェンディは泣いてくれるだろうかとふと思う。だが、泣くにせよ泣かないにせよ……()()()()()()()()()()()()

 

「それは、嫌です…」

 

「だったら…死なないように死ぬ気で…頑張ってください」

 

音が聞こえなくなってくる。そして、段々と意識も覚醒していく。あぁ、夢だったのかとマルクは安堵と同時に少しの引っ掛かりを残していた。だが、今は夢の中身よりも…彼にとって大事な事があるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.

 

 

 

 

 

 

 

 

「━━━しかし、流石にあそこに飾るのは趣味が悪いぞスァーヴァク」

 

「仕方ないだろう?船室内に置けば楽だろうけど…匂いが籠るんだ。悪魔の匂いとかではなく…単に血生臭くなってしまう。それは俺が耐えられない!!」

 

マストにスァーヴァクの魔法によって磔にされ血を流しているマルクを見ながら、スカリオンは呟く。スァーヴァクは無論悪いとは思っていたが、それ以上の事があるのだと言い訳をしていた。

そしてここはディアボロスの船。ナツ達全員を倒したスカリオン達は、滅竜魔導士3人と、エルザを乗せて船を進めていた。目的地は白魔導士の場所である。

 

「それに…趣味が悪いと言えばキリアだろう?わざわざ斬り結んだ相手を奴隷のように扱うとは…」

 

「許してやれ…どうせすぐに飽きて斬り捨てる」

 

「許さん、罪は罪として数えさせてもらう…が、仲間に報復はしない。せいぜい飯の買い出しを代わってもらうとするさ」

 

キリアはエルザと戦った際…なんと、()()()()()()()()()()。それにより、エルザは羞恥心を感じ、キリアに許しを乞いい、そして首輪をつけられキリアに飼い慣らされていた。

 

「そう言えば…キリアはどこに行ったんだ?あの先、ただの船室だったと思うんだが?」

 

「捕らえた滅竜魔導士の所だ、貴様も一緒に捕まえていたのであろう?」

 

「いや、どこに置いているかとかは気にしていなかった…なるほど、そうか」

 

「さて…ひとまずは白魔導士のところだな…しばらくは船旅と洒落こもう」

 

「そうしようか、つかの間の休息と言ったところか」

 

そう言って、スカリオンとスァーヴァクは一休みをし始める。苛烈な戦いの後は、彼らも休まねばならないということなのだろう。果たして、その休みが必須な程に激しい戦いだったと感じているのかは…彼らにしか分からないのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ナツ…!ウェンディ…!」

 

「エル、ザ…うぷっ…!」

 

「エルザ、さ…うぷっ…!」

 

そして、ここは船の中のナツとウェンディが捉えられている船室。2人は船酔いをしてしまっているので、柱にまとめて魔封具で括り付けられるだけで終わっていた。

 

「すまない…すまない、私のせいで…彼らに従ってくれ…」

 

「どうしちまったんだ…エルザ…しっかり、しろ…ゔぅ゙…!」

 

「エルザさんは、『強さ』を斬られてあのように…うぅ…!」

 

涙目になりながら、エルザは情けない姿を2人に見せる。これがキリアの強さを斬るといった行動の結果なのだろう。普段の凛々しい強さを持っていたエルザとは到底思えない仕草や言動となっている。

 

「彼らに従うんだ…私のように、徹底的に…そうすれば、命だけは助かる…!」

 

「エルザ…!てめー!エルザを元に……うぶっ…!」

 

「こやつらは滅竜因子を持っておる…だから殺さず捕まえたのじゃ」

 

「あ、あの…滅竜魔導士は…この2人以外にも、もう1人…」

 

エルザはビクビクしながらもキリアに尋ねる。マルクの現在地は、今のエルザには察することも出来なくなっていた。気づいているものだと思っていたキリアは少し驚いた顔をしたあと…ニヤリと口角を上げる。

 

「おー!確かにおったのう…奴の体質、魔力の吸収は便利だと仲間の1人が言うもんでな…今は血をゆっくりと抜き取って布に染み込ませ…我らの為に活用しておるところじゃ…しばらくしたら意志を切り裂いて、飼い殺しにするのも悪くないかものう!!生かさず殺さず……でな」

 

「っ!!」

 

「そんな、マルク…!ゔっ…!」

 

「てめぇら……絶対ゆるさねぇぞ…!おぶ…!」

 

マルクの処遇に怒りを燃やすナツ。しかし、酔っている現状ではウェンディもナツもマルクを助け出すことは出来ない。どうしようも無いままに、連れていかれてしまっている。このままされるがままに待つしかないのか…一同がそう思いながら…船は進んでいく。ディアボロスたちの思惑通りに進むかの如く、ずっと進んでいくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ディアボロスの面々が寝静まった頃。船に大きな振動が訪れる。その揺れで、どうやら船は止まったようで…気づけば海面よりも高い位置に船はあった。座礁…と言えば不幸な事故だが、乗り上げた先は明らかに乗り上げるわけが無い高さの岩。まるで()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ぐっ…!?なんだ!?スカリオン!!何があった!!」

 

「……丘だ、丘の上に座礁した」

 

「馬鹿な…!?いや、ここは海のど真ん中…!何者かが我らの邪魔をした!!」

 

「なんだと…?狙いは…そうか、我らの捕まえた…!」

 

「あぁ!!キリアとマッドモールを起こしてくる!!」

 

そう言い、スァーヴァクは離れていく。だが、その直後にスカリオンの元に2人の人影が現れる。

 

「貴様らの仕業か」

 

「いーや、船が止まったのはよくわかんねぇけど…」

 

「船が静止していたら自由に動けます」

 

ナツとウェンディ。拘束を解除し、2人してスカリオンの元へと来ていたのだ。魔封具を解いたのはエルザ…強さを斬られていたが、催眠術のようなものだったらしく、催眠術ではエルザには効果が半減する。故に、自由に動けなおかつナツ達を解放する事が出来たのだ。

 

「やれやれ…やはり、捕虜を生かしておくべきではないな…骸にするべきだった」

 

「火竜の咆哮!!!」

 

「━━━我が灰は炎すらも灰にする!!」

 

「普通は燃えた後に灰が残るんですけど…!」

 

ナツの先制、しかしスカリオンが炎に触れた途端その炎は灰となる。例え水であっても、炎であっても…形ある物…物質として存在しているのであれば灰に出来るのがスカリオンの能力である様だ。

 

「炎が消えちまった!!!」

 

「ふふ…」

 

スカリオンはそのまま灰となり空中を飛び始める。正面からでの物理攻撃では、スカリオンには通じない。ならば、一体どうするべきか。少し悩んだ後にウェンディがふと思いつく。

 

「ナツさん!もしかしたら私の魔法が相性いいかもしれません…!天竜の波颪(ナミオロシ)!!」

 

突如として、スカリオンに竜巻が襲いかかる。灰が巻き上げ巻き込まれ、自由な移動が制限される。これには、スカリオンも焦りを見せる。

 

「ぬ…灰が乱れて…!」

 

「今ですナツさん!!」

 

「おう!!」

 

ウェンディの声に合わせ、ナツが飛び上がり身動きの取れなくなったスカリオンに一撃を入れる。吹き飛ばされながらも空中で体制を建て直したスカリオンは、甲板に着地する。

 

「呼ばれてきたっちゃー!!」

 

「キリアは例の女剣士と戦闘中だ!!」

 

「ぐっ…!くく、2人とも…今からこいつらを食うぞ…!ドラゴンイーターの名にかけて…!」

 

スァーヴァク、そしてマッドモールもその場に到着する。2対3という数の不利、そして相性の面で見てもいいとは言えない構成。だがそれも()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「━━━誰が、誰を食うってェ!!?」

 

「ぬっ━━━━!?」

 

3人の上から、巨大な爪の一振が襲いかかる。黒いドラゴンのような見た目をした姿。急な不意打ちに3人とも攻撃が通った様であり、船の甲板をえぐるほどの力で吹き飛ばされていた。

 

「ぐっ…!」

 

「マルク!!」

 

「馬鹿な…!?俺の浄化する拘束を解除したというのか!?悪魔が自らの力で!?それに…マッドモールとスカリオンにダメージを…!?」

 

ナツ達のところに戻り、人間の姿へと戻るマルク。その姿はとても痛々しいものであった。両手首両足首には刺されていたと思わしき傷がそれぞれ1箇所ずつ、さらに両肩にも1つずつ、そして腹部には最も刺し傷と思われる傷が存在していた。乾ききって居ない血の跡も、無論着いたままである。

 

「はぁっ……はあっ…よくも、やってくれやがったなお前ら…!人の体を好き勝手使いやがって…!」

 

「……なんだ、今の攻撃は…」

 

「魔力が少し…吸われたっちゃ…!」

 

「……そうか!!!吸って硬い鎧も、受け流す灰もなくしたのか…!よくもまぁ、そんな芸当を…!」

 

マルクを睨みつけるスァーヴァク。だが、マルクも負けじとスァーヴァクを睨みつける。その表情は、凄まじい怒りを感じる程となっていた。今恐らく、この場で1番怒りを見せているのは…マルクだろう。

 

「てめぇら…こっちを食うってんなら…食われる覚悟…あるんだろうな…傷つけてくるなら、傷つく覚悟…出来てんだろうな…!やり返される覚悟!!あるんだろうなァ!!!?」

 

「いいぞ!浄化してやる!!だが、素直に相手すると思ったか?貴様らが有利なように戦ってやると思ったか!?」

 

「不利とか有利とか関係ねぇ…!てめぇらは叩き潰す…!」

 

恐らくこの場で一番の満身創痍でありながらも、1番やる気を出しているマルク。ナツも活躍がしたいとマルクの隣に躍り出る。マルクはチラリとナツを見た後にすぐさま目の前の3人へと視線を戻す。

 

「乱戦なので、誰が誰を倒しても恨みっこなしで」

 

「いいぜ…燃えてきたぞ…!」

 

「灰の魔法は…私の魔法で吹き飛ばせます…!」

 

「小賢しい…!マッドモール!スァーヴァク!!」

 

ウェンディの魔法により風が吹き荒れる中、スカリオンが声をかける。スァーヴァク、そしてマッドモールはその言葉の瞬間に走り出し、邪魔なウェンディを始末しようと動いていく。

 

「鎧竜のォ…!鋼鉄拳ンンン!!」

 

「裁竜の!!!聖剣!!」

 

「火竜のォ、鉄拳!!」

 

「モード悪魔龍!!罪なる七悪魔(セブンスシンズ)!!」

 

ナツとマッドモールの拳がぶつかりあい、マルクに聖剣が向かっていく。ナツ達のぶつかり合いは凄まじい衝撃波を生み、周りにいるものを吹き飛ばさん勢いだった。

 

「ぐっ!?」

 

「遅れたな!!」

 

そして、そのぶつかり合いでほんの一瞬怯んだスァーヴァクの聖剣をマルクは()()()()()()()()()()()()()。まさか掴まれると思っておらず、スァーヴァクは狼狽し始める。

 

「馬鹿な!?悪魔であるお前が触れたら消滅する剣だぞ!?焼ける痛みが襲いかかっているはずなのに、どうして!!!」

 

「あ゙ぁ゙!?ただの痩せ我慢だ!!避けたら隙をついてもう一撃入れてくんだろうがてめぇは!!」

 

「はァ!?」

 

()()()()()()()()()()()()()()!!」

 

「こいつ、バカなのか…!?熱ッ…!?なんだ…!?」

 

狼狽していたスァーヴァクだが、突如として凄まじい熱気を感じ始める。傍で戦っていたナツが凄まじい熱気を出し始めたのだ。それで気を取られてしまう。

 

「よそ見してんじゃねぇよ!!」

 

「がはっ!!」

 

拳を叩き込まれ、スァーヴァクは天高く飛ばされる。だが、それを通り越してマルクはさらに高く早く飛び上がりスァーヴァクの上を取る。

 

()()()()()!!!」

 

「しまっ━━━」

 

マルクの後ろに魔法陣が浮び上がる。そこから7つの黒い魔力がスァーヴァクに向けて、飛んでいく。それらはスァーヴァクの体に当たり、そして爆発していき━━━━

 

七罪竜王魔撃(しちざいりゅうおうまげき)!!」

 

トドメと言わんばかりに拳を叩き込まれ、高速で落下していく。その途中、謎の爆炎ととんでもない熱気が船の上空に現れたため、恐らくそれにスァーヴァクは巻き込まれてしまっただろう。

 

「ナツさんか…相変わらずすげぇ熱気……」

 

少しだけ冷静になれたマルクは、爆炎が晴れた瞬間に甲板へ着地するためにおりていく。その中で、遠くから飛来する2つの影を見つける。嗅ぎ慣れた匂いが四つ。

 

「ルーシィさん!グレイさん!それにハッピーとシャルルも!!」

 

「無事だったか!!」

 

「五体満足ではありますね……っと」

 

全員が着地していく。エルザを除いたメンバーが、今ここに集結していた。そして、グレイはスカリオンを見据える。

 

「やられたままじゃ妖精の尻尾の名折れだしな…こいつは俺に任せろ」

 

「……マッドモール、スァーヴァク」

 

「っちゃああ!!!!」

 

「許せん!!悪魔ごときが!!」

 

「そんな…ナツさんの炎を受けて…まだ…!」

 

「こいつら大した熱耐性なことで…!」

 

ナツの炎、船や衣服さえも蒸発させるほどの高温を持つそれを受けてなおマッドモールは立ち上がっていた。そして、余波だけとはいえスァーヴァクも同じように立ち上がっていた。

 

「━━━ぐああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

だが、さらに追加でメンバーが集まる。エルザの攻撃によってダメージを受けたキリアが、下から甲板を突き破って飛ばされてきたのだ。

 

「エルザ!」

 

「キリア!!」

 

2人が、自らの仲間を認識したあとの行動。『やられた』と認識したスカリオンは、キリアを灰にして自らの傍へと寄せて追撃を回避させる。そして同様に自身とマッドモールとスァーヴァクを灰にしてナツ達から距離をとる。

 

「驚いたなここまで強いとは…」

 

「ワシが全員切り刻んでやるぞォ!!」

 

「キリア殿、落ち着くっちゃ」

 

「やってみやがれ…!全員潰してやんよ!!わぷっ」

 

「テメーも落ち着け、マルク」

 

マルクの顔に手を当てて下がらせるナツ。ナツ自身も傷だらけだが、マルクの傷を考えの行動だった。

 

「水神竜に近づくな、あいつは俺達が何とかする」

 

「なんとか?殺すのだろう?食おうとしてる我々と何が違うのか?」

 

「殺さねぇ…それで解決してみせるさ」

 

「面白い…だが我々の目的はあの力を失った水神竜ではない。その力を奪ったとされる白魔道士…そこにドラゴンがいる限り、我々は喰う。貴様たちには止められない」

 

「あ?そっちは2人も戦闘不能に見えるがな」

 

「んだとコラぁ!!!?」

 

グレイの煽りに斬れるキリア。だか、スカリオンはグレイの煽りには乗らず、キリアをなだめながらにやりと口角をあげる。まるで勝てる算段があると言わんばかりに。

 

「確かに、少し分が悪いのは認めよう……()()4()()()()()()()

 

「「「!!!」」」

 

スカリオンの言葉に驚く一同。そう、そもそもディアボロスとはチーム名にあらず……ギルド名なのである。

 

「他にも仲間が!?」

 

「言ったはずっちゃ、我々はドラゴンイーターのみのギルド━━━」

 

「━━━仲間は大勢いる」

 

当たり前の話だが、しかしこの言葉に一同は緊張を高める。このクラスの敵が何人もいるギルド。この事実は、かなり大きく重い物だった。

 

「今日のところはこれで引こう……この先、ドラゴンを追うのであればいずれまた相見える時もあろう…その時こそ、ディアボロスの真の恐ろしさを見せてやろう」

 

そう言って、スカリオン達は姿を消す。残されたのは、彼らが使っていた船のみであった。

 

「ドラゴンイーターのみのギルド…」

 

「つーか、あいつら自分の船置いてっちまったぞ」

 

「間抜けなヤツらね」

 

「……あれ、なんか」

 

そして、船から段々と『灰』が現れる。マストも、甲板も…灰となって消えていく。つまるところ、この船はスカリオンの力によって生み出された船だったのだ。そして、完全に船は消え…座礁した丘の上にはナツ達のみがのこされた。

 

「灰で出来た船だったの!?」

 

「まさか、灰の造形魔法も使えるのか!?」

 

「造形魔法な訳あるか!!!」

 

そう、造形魔法だとしたらかなり高性能であり緻密な物である。グレイの作る氷の物は見た目だけなら真似できるが、物体の機構は真似出来ないことが多い。

 

「これからどうする?」

 

「水神竜のおっちゃんのとこ戻るぞ」

 

「あれ…おっちゃんに見えてるの?」

 

「まぁおっちゃんじゃないですかね…実年齢凄いいってそうですし」

 

「えっと、それがね……」

 

そう言って、シャルルは事情を説明し始める。一旦ディアボロスに負けた後残されたルーシィとハッピー、シャルルはカラミールに「早く出ていって」と言われていたらしい。それにより、今近づくのは得策では無いという話であった。

 

「大丈夫大丈夫!あいつら追い払ったし!俺達は水神竜を殺すつもりねーし!」

 

「そうです、ね…俺ちょっと限界です…休みたい……」

 

座り込み、そしてそのままの勢いで寝転ぶマルク。せめて回復をさせようとウェンディが傷口に回復魔法をかけていく。だが、マルクには効果が薄かった。

 

「……大丈夫?」

 

「じゃない……後その服かわいい…」

 

「ふふーん、ジェミニの力で作った星霊界の服よ!」

 

何故かルーシィが自慢しているが、可愛いウェンディを見れて少し安心したマルク。安心し、冷静になり、そしてふと疑問に思った。

 

「……帰り、どうします?」

 

「あたしが乗ってきた船があるから大丈夫!!」

 

「……何人乗りですか?」

 

その言葉に固まるルーシィ。そう、余程大きな船ならばそもそも渡されないだろうし、ルーシィ、ハッピー、シャルルで動かせるかは怪しい。つまるところ……

 

「……頑張、ましょうか」

 

「……そうね」

 

一同は、定員オーバーでエルミナまで戻ることになったのであった。だが……今、エルミナで異常事態が起こっていることを、彼らはまだ知らないのである。




後半めっちゃ痛いし体冷え込んでるような感覚してるし頭もそこまできちんと回ってないですけど気合いで動いてるって感じで
ドバドバ垂れ流しって訳では無いのでギリ死にません、ギリ
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