FAIRY TAIL〜魔龍の滅竜魔導士   作:長之助

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100年クエスト、街に根ざした木の神
フェアリー『ネ』イル


「次の目的地はギルティナ大陸中心部よ!」

 

テンションの高いルーシィが先頭になり、一同はそれについて行く。しかし、エルミナの街からギルティナ大陸中心部…ドラシールの街までは凄まじい距離が開いているのだ。そのせいか、すこしエルザとグレイは疲れた表情をしていた。

 

「まさか……歩いていくつもりじゃねーだろうなぁ…」

 

「仕方あるまい、この大陸には列車がないんだ」

 

「あれ?列車はあるはずだけど……アタシ事前に調べたし」

 

「何?しかし昨日貰った地図には路線図が……」

 

エルザは地図を広げ、再確認を行う。確かに、パッと見た所列車の路線図はないように思えたが…エルザはよく見たところかすれている箇所を発見する……それは、路線図だった。

 

「ナツ!ウェンディ!!マルク!!線路を消したな!?」

 

「だって乗りたくねーもん!!」

 

「私…何もしてませぇん!!」

 

「流石に無駄な時間掛けられないのに、俺とウェンディはそんなことしませんって!!」

 

しかし、エルザにはその言葉は届かない。剣を出して滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)達を追い掛け回していく。事実、やったのはナツだけなのだが……

 

「どうやって消したの?」

 

「めっちゃ擦ってたよ、紙が擦り切れるまで」

 

「近くの町から中央への列車出てるじゃねぇか」

 

「じゃあ…まずはそこに向かいましょう?テッカの街ね」

 

こうして、一同の一旦の目標はテッカの街へとなった。そこからならば、ドラシールの街まで列車を使って早く移動できるからである。

その際…野宿した際にナツがイタズラで女性陣の顔に落書きをしたりして、エルザやマルクとの戦闘を繰り広げたのはまた別の話。こうして一同は野宿をして、無事にテッカの街へと入ることが出来たのであった。

 

「やだよ列車なんて〜…走っていこうぜ、な?その方が修行になるし!」

 

「冗談じゃない!見ろ私の荷物を!走ってなどいけるか!」

 

「何持ってきてんだよそんなに……」

 

エルザの荷物は荷台に無理やり詰め込んで、少しでも下手をコケば落ちそうなほど不安定になっていた。だが、どちらにせよ長距離を走って移動するのは得策では無い。

 

「諦めろ、たかが8時間だ」

 

「8時間も…」

 

「長い!!長いですって!!」

 

「てかその前に出発時間まで3時間もあるんだけど」

 

「ヒマだね」

 

「お腹すいたしレストランに行きましょ?」

 

滅竜魔導士達は絶望しているが、残りのメンバーはそれらを軽く流して列車に乗るための準備を進めていく。だが、その最中で妙に見られていることにエルザ達は気づき始める。

 

「……なんか、見られてません?」

 

「あたしもさっきから妙にジロジロ見られている気が……」

 

「確かに……」

 

「……ひとつ尋ねるが、そうやってジロジロ見るほどにイシュガル人が珍しいのか?」

 

「あ、あの……()()()()()()()()()()

 

エルザが、見ていた人物達の一人に声をかける。だが、帰ってきた返事は想定とはかなり違った返事であった。そのことに一瞬戸惑ったエルザだったが━━━

 

「……エル…?いや、私はそのような名前では…」

 

「サインください!!」

 

「私も私も!」

 

「エルキス様〜!!」

 

「な、何事だ!?私はエルキスでは無いぞ!?人違いだ!!」

 

周りの人はエルザの言葉が耳に入っていないのか、彼女をエルキスと認識したまま追いかけ回し始める。その様子を眺めていた一同は、呆気に取られてしまっていた。

 

「エルキス…?」

 

「な、何かしらこれ……」

 

「エルザのそっくりさんでもいるのか…?この街は…」

 

「━━━エルザさん…と言うのですねあの方は」

 

そして、一同の後ろから声をかけてくる存在…それはメガネをかけただけでエルザとは瓜二つの顔を持った女性であった。

 

「エルザがもう1人!?」

 

「どういう事!?」

 

「しー……着いてきてください」

 

恐らく彼女が、エルザが現在進行形で間違われているエルキス本人なのだろうが…彼女に言われるがままに、一同はついて行く……その中でエルザを拾うことも忘れずに。

そうして向かった先には……とあるギルドがあった。華美な装飾、達筆で綺麗な文字で描かれたギルド名は……フェアリー『ネ』イル。

 

「フェアリーネイル!?」

 

「俺達のギルド名にそっくりだな…」

 

「妖精の……爪…?」

 

「ここはタレントギルド、フェアリーネイル」

 

タレントギルド。魔導士ギルドは魔導士が所属するギルド、トレジャーハンターが所属するギルドはトレジャーハンターギルド…と言った風に、所属する職の人間によってギルドというのは変わっていく。タレントギルド…つまりは芸能人やアイドルが所属するギルドである。

 

「歌手やモデル、もちろん俳優も…幅広く活動しているタレントギルドです」

 

「アイドル活動ならラミアがやってたな…ウェンディ関連のはちゃんと見てるから」

 

「い、言わないでよマルク…!」

 

「ウェンディ関連の本は全部家に丁寧に飾ってる」

 

「マルクって適度にイカれてる時あるよね」

 

「言わないであげて、あれで一応本人真面目だから」

 

「…それにしても、こんな偶然もある物なのですね。貴方達ギルド所属のタレントにそっくりです」

 

「確かに私とお前は似てると言われれば似ている気がするが……」

 

「瓜二つだけど…?」

 

エルキスとエルザはお互いに顔を見合わせる。顔が似ているどころか、体型さえも瓜二つと言っていいほど過言なのだが……エルザにはどうもピンと来ていないようだった。

 

「折角だから少し中を見ていきませんか?」

 

「面白そうだな!!」

 

「あたしは嫌な予感しかしないわ…」

 

そう言ってエルキスの案内により、中に入っていく一同。最初にいたのは……やたら華美な格好に身を包んだナツのような顔をした男性であった。

 

「早速俺がいる!!」

 

「ほんとそっくり…」

 

「あの方はウチのトップスターナックさんです」

 

「トップスターですよナツさん、凄いじゃないですか」

 

「あれは俺じゃあねぇけどな」

 

「……おぉい!ジャーマネェ?ジャーマネェ!?どこだァ?」

 

「は、はいここに…!」

 

ジャーマネ……マネージャーを呼んだナック。そこから現れたのは、ルーシィと瓜二つの顔をした女性であった。しかし、瓜二つと言っても二人の関係性はナツとルーシィの関係性とは全く別物のようだが。

 

「あたしマネージャー!?」

 

「ルーシャさんです」

 

「なんか怒ってますね、あっちのナツさ…じゃなかったナックさんとルーシャさん」

 

「いっつも、言ってんだろうがァ!ぬるいコーヒーはコーヒーじゃねぇんだよォ!!」

 

「す、すいません!」

 

コーヒーがぬるい、たったそれだけで怒り散らしルーシャに当たっているナック。その様子はなまじ顔が一緒なために、生々しいDV現場を目撃したかのような気分になってしまう。

 

「それとォ…俺、あんなクソみてーな役やんねぇからな?」

 

「で、でももう出演って事で話が進んでいますので…! 」

 

「俺がやらねぇつったら…やらねぇんだよ…!」

 

「で、でも…」

 

壁際まで追い込み、ルーシャの上から腕を突き出し逃げ場をなくした上で睨みつけるナック。その様子は、普通は止められるべきなのだが……誰一人として止める人物はいない。

 

「随分ひでーやつだな」

 

「あまりあたしを虐めないでくれる…?」

 

「ナツさん、仕事はちゃんと受けましょうよ…」

 

「お、俺じゃねぇし…!」

 

冗談なのだが、何故か妙に罪悪感を感じてしまうナツ。冗談を言ったとはいえ、マルクはそれでも止めない辺り日常茶飯事…恐らくいつもの事なのだろうと理解していた。恐らく、文句を言っているだけできちんと仕事をするのがナックという男だろう。

 

「……あ、向こうにグレイさんが居ますよ」

 

「ほんとだ、服着てるグレイさんだ」

 

「彼はグレン。ポールダンサーです」

 

ポールダンサー……れっきとした仕事ではあるのだが、簡単に言ってしまえば人前で脱ぎながら踊る仕事である。無論、場合によっては……だ。

 

「人前で裸になるのかよ…!」

 

「何恥ずかしがってるの…?」

 

「グレイさん羞恥心はあるんですよね……」

 

「裸を見せることも芸術の1つですよ……ほら、あそこにいるジュビナもトップレスで踊るダンサーですよ」

 

そう言って指を指した先には、ジュビアと顔が瓜二つのジュビナという女性がいた。当然、トップレスという事は脱いでいるということなので…

 

「トップレス…」

 

「想像してんじゃねぇ!!」

 

「グレン様調子いいみたいね」

 

「ジュビナ様ほどじゃあないぜ」

 

「何でどっちも様付けなの?」

 

「ニルヴァーナ関係で相手した闇ギルドにも似たような感じのいましたよ、どっちも兄さんって呼んでました」

 

「なにそれ……」

 

そうしてギルド内をどんどん案内していくエルキス。そうして案内していくうちに、1つの楽屋をチラ見して…一同に見るようにジェスチャーを促す。

 

「あそこにいるのは天才子役のウェンディルちゃん」

 

「て、天才ですか…!?」

 

「しっ…見れるわよ」

 

エルキスのその言葉の直後……ウェンディルは凄まじい勢いで表情を変えていく。怒り顔、落ち込み顔、泣き顔、笑顔、ポケットした顔、睨みつける顔……と凄まじい勢いで変えていく。だが、上辺だけのものではないと思える程に迫真の表情であった。

 

「0.5秒で別の表情を作れるの」

 

「凄い……」

 

「ウェンディル、今日も冴えてるな」

 

「あれ、今日出てたんだ」

 

「まぁね」

 

「あ、俺が来た」

 

「彼もまた天才子役のマール君。ウェンディルちゃんのように表情の作り替えは出来ないけど、声の作りこみは天下一品で…設定年齢が齢60の役の声まで出せるんだから」

 

マルクと瓜二つの少年、マール。ウェンディルに近づき、声をかけていた。ただそれだけならまだしも…やたら距離が近い。かなり距離が近い。

 

「んー…んっ」

 

「っ!!!!?!!?!?!?!!!!!!?!!!?!?!?!」

 

「はうぅ!!!?」

 

「んむっ……ちょ、もー…折角作りこんでたのに…」

 

「ごめんごめん」

 

マールと呼ばれた少年は、なんの緊張もなく距離を近づけていき…その唇に自らの唇を重ねていた。つまりはキスである。そう、今この2人は楽屋でキスをしていたのである。

 

「……2人はその、まだ全然子供なんですけど…子役同士ってことで仲良く付き合っているので……」

 

「はわわ……」

 

「…………」

 

「マルク気絶してんぞ」

 

「これくらい積極的だったらいいのにねぇ……ねー、ウェンディ」

 

「からかわないでくださいルーシィさん…!!」

 

突然のキスシーンに驚いてしまい、マルクは気絶しウェンディは顔を真っ赤にしていた。どちらにせよ、2人にとってはとても大きな刺激を味わったのだろう。

 

「ところで、オイラ達はいないの?」

 

「流石にエクシードはねぇ……」

 

「アイドルのシャルロッテちゃんと飼い猫のバッピーならいますよ」

 

そう言いつつエルキスが後ろを指さした時には、まるでシャルルの人間態のような姿の少女と抱えられた猫がいた。猫の方はあまりハッピーに似てはいない。

 

「オイラただの猫じゃん!!」

 

「飼い猫のビビーもいるわよ」

 

「ニ゙ャ゙ー゙」

 

「声……いや顔面も割とリリーだ…」

 

「あ、マルク復活した」

 

エクシード達の姿も見ながら続けて色々見ていく一同。そこにもやはりよく似た人物達がいた。

 

「夫婦でコメディアンをしているガゼルとリジー」

 

「夫婦…!」

 

「ジェットさんとドロイさんに似た人達は絡んでないんですね…」

 

見た目はガジルとレビィの二人。しかしこちらでも仲良くやれている様であり、どうにも微笑ましい雰囲気に感じてしまう。

 

「モデルをやってるミナジェーンとリザーラ」

 

「ミラちゃんはあまり変わんねぇな」

 

「エドラスの時もあんな感じだったらしいですね」

 

「………と、2人の専属のメイクのエルビマン」

 

「ミナ姉…最近肌が荒れてますわよ」

 

「ぶほっ!?」

 

「急にぶん殴られた気分…」

 

ミラジェーンとリサーナによく似た女性二人と、エルフマンに体格と顔は似ているがやたらくねくねした動きをするエルフマンによく似た男性……らしき人物。

 

「人気ロックバンドのラクリスと雷王衆」

 

「おぉ!」

 

「ラクサスさんがロックしてるってだけでだいぶ面白いですね」

 

そして雷神衆とラクサスにそっくりな人物達。チーム名まで似ているとなると、最早別世界に来たのではという意識さえ湧いてきてしまう。

 

「足タレのカラとポルノ男優のロッキー」

 

「ポルノ?」

 

「………………?」

 

「いいの!2人は知らなくて!」

 

足を魅せる仕事をしているカナならぬカラ、そしてこれもまた大きな声では言いづらい職業であるロキ…ならぬロッキー。どれも仕事としては立派なものだが、ウェンディやマルクにとってはまだ早い…のかもしれない。

 

「……にしても、びっくりするくらい皆そっくり…」

 

「ほんとすげーな…」

 

「さっきマルクも言ってたけど…エドラスを思い出しますね」

 

「そこでもミラちゃんは変わらなかったし…ミラちゃんは全部こうかもしれねぇ」

 

「逆に怖いですよそれ」

 

「……で、お前は?」

 

「私は舞台俳優です」

 

エルザがエルキスに尋ねる。どうやらエルキスは舞台俳優であるようで……一応経験のあるエルザが少し嬉しそうな表情を出していた。

 

「凄い人気者っぽかったね」

 

「街の人大騒ぎしてたし」

 

「いえ…私なんてまだまだで…………実は、次にやる舞台の役が中々掴めなくて……」

 

舞台俳優故の悩み。あれだけの人気を誇っているのだから、実力は相当な物だろう。しかし、どうにもスランプ気味の様で今一作り込みが上手くいかない様である。

 

「話してみろ、私も些か役者の心得がある」

 

「はぁっ!?」

 

「えっ」

 

「心得…ねぇ……?」

 

エルザの演技力はお世辞にも高い……という訳では無い。だが、その言葉に少し心が落ち着いたのかエルキスはポツポツと語り始めていく。

 

「恋をする乙女の役なんですが……私、その…恋愛の経験がないんです…」

 

「……恋愛、とな?」

 

出てきた言葉に驚いてしまうエルザ。恋愛経験の有無、それは人によりけりであり…あったとしてもそれさえもよりけりという非常に難解なものである。だが、そう話し合っていた時…大きな物音が聞こえてくる。

 

「いい加減にしろやジャーマネェ!!!少しでも俺がアホに見える役はやらねぇんだよォ!!」

 

「す…すいません……」

 

「オメーはちょっとお仕置だ!!来い!!」

 

「ちょ…ちょっと…ナックさん、止めっ…!」

 

先程のナツ似の人物ナックが、ルーシィ似の人物ルーシャをスタッフルームへと無理やり引っ張って連れ込んでいく。その様子を見ていたルーシィは、我慢の限界が来たのか怒り始める。

 

「あいつ〜!もう我慢ならない!!ガツンと言ってやるわ!!あたしをいじめるなんてねぇ…!!」

 

「あ、あの辞めた方が……」

 

そう言ってスタッフルームへと足を運んで言ったルーシィだったが…すぐに顔を真っ赤にして引き返してくる。どうやら、なにか宜しくないものを見てしまったようだ。

 

「ほらぁ……」

 

「どうしたルーシィ!!」

 

「し、知らない!」

 

「あの二人も…あぁ見えてその、出来てるんです…時々その、ギルド内でイケナイことを……」

 

「あー…だから止めてなかったのか周りの人……」

 

「言わなくていいから!!」

 

顔を真っ赤にしてしまうルーシィ、それを傍目にエルキスは少し顔を落ち込ませながら言葉を続けていく。

 

「それに…ウェンディルちゃん、実は人気だから…他のギルドの子役の子達から…このギルドに所属している子達からもよく告白されてたんです」

 

「え」

 

「今は実家に帰ってしまったミストジェン君や…周りの連絡作業や予定を一括してまとめて報告してくれてるウォールンさん」

 

「さん…?」

 

「ちょっと年齢が大人だったので……後はメストバルトさん」

 

「また年齢が…?」

 

「はい…そういった多種多様な男性や子供達からのアプローチの中から、選ばれたのが…マール君だったんです」

 

ウェンディルやマールにも、色々あったらしい。それを考えてマルクはチラリとウェンディを見たあと…真剣にウェンディとの関係性を考え始めて……先程のキスシーンを思い出し人知れず気絶していた。

 

「愛の形…色々あるのは分かっているのですが…」

 

「自分が経験したことないから分からない…か……よし、列車の発車までまだ少し時間がある。私でよければ話を聞こう」

 

「エルザさん……」

 

「エルザでいい、エルキス」

 

瓜二つの人物同士だが、性格はほぼ真逆。しかしそんな2人は意気投合して仲良く話しをすることまで可能となっていた。エルザも、彼女のことを見捨てては置けないと思ったのだろう。それは、皆も同じようで……

 

「自分だって大して経験ねぇくせに」

 

「グレイもでしょ」

 

「ルーシィもでしょ…皆色恋沙汰には疎いんだから」

 

「ハッピーが言えた義理じゃないだろ」

 

「マルク…あんた、自分の事棚に上げちゃダメでしょ」

 

こうして一旦エルザとエルキスと別れて、フェアリーネイルを後にする一同。思い思い時間を潰し……列車の発車時刻となり皆乗り込んでいく。

 

「いやぁ、面白ぇ奴らだったなぁ」

 

「あたしは最悪よ!!トラウマになりそう…!」

 

「久々にジュビアの顔みたけど…元気かな、あいつ」

 

「さっきのはジュビナさんですけどね」

 

「恋愛、ねぇ」

 

グレイは、ジュビアのことを思い出しながら楽しそうに微笑む。今や彼女はグレイと実質的に付き合っている状態なのだが……まだ、きちんとした答えは出せないでいた。

 

「ところでエルザはエルキスと何を話してたの?」

「……んー?」

 

ルーシィはエルザに話を振る……が、どうにも黙っていた。そしてそんな状態のエルザを見て、マルクはどうにも違和感を感じて首を傾げていた。

 

「…エルザさん?」

 

「いや……まぁ、その…色々だ」

 

「ふーん…」

 

そして、列車の汽笛が鳴り響く。駆動音が鳴り響き、独特の走行音が一同の耳に届き始めた……その瞬間に滅竜魔導士組は一気に全滅していた。

 

「ぐはぁ……動いたァ……!」

 

「うぶ…」

 

「お゙え゙え゙ぇ…」

 

「始まった……」

 

「そりゃ動くわよ……」

 

いつもの光景に一同は他愛ないやり取りをしていたが…エルザは、どうにもソワソワしていた。滅竜魔導士組はそれを気にする余裕はなかったが、その答えは意外と直ぐに出てきた。

 

「く……!やはり無理だ!!」

 

「ど、どうしたのエルザ…?」

 

「すまない……いえ…()()()()()()()()()()()()()()()()本物のエルザさんは…役を作れないなら、自分が出演するって……」

 

「えーっと…」

 

「どんだけ馬鹿なの…」

 

衝撃の事実を聞いてしまった一同…ひとまずは、エルザを先に拾ってから再びドラシールの街を目指す事になるのだが……エルザを先に拾う都合上往復してしまうことに、滅竜魔導士組は涙するのであった。

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