FAIRY TAIL〜魔龍の滅竜魔導士   作:長之助

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レインヒルにて

大都市ドラシールへ向かう列車の旅。無論テッカの街からずっと乗り続けるわけではなく、途中停車駅は存在している。そして、途中停車駅のレインヒルへと…一同は降り立っていた。

 

「止まったぞー!!」

 

「わーい!!!」

 

「やったー!!!」

 

滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)組は大喜び。最早涙を流して喜んでいた。何せ、数時間にも及ぶ乗り物酔いから開放されたのだから。だが、あとから乗るという事実は今は考えないでいた。

 

「何!?2時間も停車するのか!?」

 

「この大陸じゃ普通みたいよ」

 

「みんなのんびり屋さんなんだね」

 

もはや一休みできるほどの時間、その事実は長く乗っていてきつい思いをしていた滅竜魔導士組にさらに喜びを与えていた。喜びによるテンションの高さに、グレイとエルザは微笑ましさ半分呆れ半分で見ていたが……

 

「ちょっと外の空気吸ってこよ〜!」

 

「俺も俺も〜!」

 

「私も〜!」

 

「俺も行きまぁ〜す!」

 

同じように何故かテンションの高いルーシィに、滅竜魔導士組とエクシードの2人はついて行く。残されたのはグレイとエルザだが、エルザは荷物番をするつもりでいたようである。

 

「じゃ…お言葉に甘えて俺も外に出てくるかな」

 

「出発には遅れるなよ」

 

そして、グレイはグレイで1人で外を出歩くこととなりここで皆1度別れて行動することになったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「空気が美味しぃ〜!」

 

「はしゃぎすぎるなよ〜」

 

ルーシィについて行っていたマルクとウェンディだったが、そこから更に別れて今は2人で行動していた。シャルルも着いてくるかと思われたが、ナツとルーシィについて行くハッピーについて行くこととなり今は二人きりである。

 

「……けど、本当になんか美味しいよな空気」

 

「うん!」

 

「……うっ……」

 

ウェンディの満面の笑み、それを見た瞬間マルクは顔を逸らしていた。フェアリーネイルの時に見た光景が、未だに頭から離れないでいるのだ。

 

「…?マルク、どうし………はうっ…!」

 

顔を背けたマルクに、ウェンディは顔を覗き込むが…マルクの顔が真っ赤だったことで色々察したのか、彼女もマルクから目を逸らしていた。

 

「……と、ところで!腹減ったしご飯でも行こう!!」

 

「う、うん!そうだね!!」

 

2人共、その話題を変えるかのように昼食の話を振る。そして、2人で昼食を探して……見つけた適当な店に入っていく。高級そうな場所でもなく、また小汚い場所でもなく綺麗な庶民に愛されそうな店である。

 

「空いててよかったな」

 

「うん!」

 

適当に注文をして、マルクとウェンディは商品を待つ中で他愛ない話を続けていく。とは言っても、基本的に2人一緒なので目新しい話題と言うよりも共通の話題をただ話し合うくらいなのだが……そんな中で、2人に近づく人影が2つあった。

 

「あれ、確かギルドを見に来てた…」

 

「あ!フェアリーネイルの…!」

 

「俺達のそっくりさん!!」

 

「私達からしたら…そっちの方がそっくりさんなんだけど…」

 

タレントギルド『フェアリーネイル』。そこには、妖精の尻尾(フェアリーテイル)のギルドメンバーによく似たメンバーが多くいた。目の前に来たのはウェンディとマルクのそっくりさん…ウェンディルとマールであった。

 

「相席しても?」

 

「ウェンディ、いいか?」

 

「うん、私はいいよ!」

 

「ありがと、じゃあお言葉に甘えて…」

 

そう言って互いが瓜二つの相手の顔と並ぶような座り方をすることになった。ウェンディとウェンディルが並び、マルクとマールが並ぶ。

 

「こうやって並ぶと…ほんとにソックリだな」

 

「ねー」

 

マルクの言葉に、ウェンディルが返事をする。匂いは流石に違うので分かるのだが、それでも一瞬どちらがどっちが分からなくなってしまう。

 

「…声までそっくりとなると、ほんとに分かりづらいな」

 

「けど、愛してる女子のことはわかるだろ?」

 

「あ、愛って…!」

 

「あれ…?貴方達も『そう』だと思ったんだけど……」

 

マールとウェンディルは、とても驚いた顔をしていた。どうやら彼ら二人の見解では、ウェンディとマルクも同じような関係性だと思っていたようだ。

 

「ち、違います…!マルクと私は元々同じギルドで……」

 

「ふーん…」

 

「そ、そうそう!だから仲のいい関係性!!」

 

「……まぁ、そういうことにしとこうか」

 

ウェンディとマルクの事を眺めながら、ウェンディルとマールは意味深な表情をうかべる。顔を真っ赤にしながら慌てて否定する関係は、ただの『仲のいい』では済まない何かがあると2人は分かっているのだ。なので2人は顔を見合わせてから、無言で頷く。

 

「……けどまぁ、俺がウェンディルと付き合えたのはある意味奇跡だったなぁ…」

 

「ふふ、マールがストレートに言ってきてくれたからだよ」

 

そして、脈絡もなく話し始めるウェンディルとマール。いきなり話し始めてしまったが故に、ウェンディとマルクは呆気にとられていた。

 

「言葉にする、ってのは大事なことでさ。お洒落な言葉とか気の利いた言葉なんて幾らでも出せるけどさ…本音じゃないじゃん?子役タレントとしているけど…言葉くらいは、本音で言いたいよね…わかりやすい言葉でさ」

 

「言葉にする…か……」

 

マールの言葉に、悩むマルク。言葉にする、本音で喋る、わかりやすい言葉で。自分はそうしてきたつもりだが、どうにも胸に刺さり頭に残る言葉となっていた。

 

「……自覚があるのかないのか、それはわかんないけど…けどずーっと待ってたら…とられちゃう、かも?」

 

「取ら、れる……」

 

ウェンディは、ウェンディルの言葉が刺さっていた。マルクを追いかける少女の1人、マホーグ。彼女は今は追いかけて居ないものの、マルクのストーカーをするくらいには好意を向けている。つまりは、マルクとマホーグが結ばれることだって考えられるのだ。それを考えると、少し胸がズキリとしていた。

 

「……取られる、って言うのも…普通に有り得るからなぁ…家族みたいな関係性って心地いいけど…好きな人は、別に好きな人作っちゃうかもしれないし」

 

「べ、別に…!?」

 

「好きな人…!」

 

そのマールの言葉は、ウェンディにもマルクにも突き刺さっていた。今の所ウェンディにはそういった話は中々ないが、マルクはふとミストガンやメストの事を思い出していた。フェアリーネイルのエルザ似の女性…エルキスの話でも、色々な男から狙われていたことが発覚している。そして、別に恋人や結婚などは近い年齢じゃなくても成立するパターンもある。その事を考えて、ウェンディもマルクも顔を赤くしたり青くしたり、頭を抱えたりで似たような反応をしていた。

 

「……ここまで面白い反応してるのに、付き合ってないんだな…」

 

「マールと違って、素直に言葉出さなさそうだし…」

 

「ウェンディルと違ってちょっと奥手そうだもんな……」

 

妖精の尻尾組の反応を見て呆れるネイル組2人。流石にこれ以上からかうのは良しとしないのか、マールは1度咳払いをしてから改めて話し始める。

 

「……さて!俺達もご飯食べようか!」

 

「あ、あぁ」

 

「うん!お腹減ったもんね!」

 

「そ、そうですね…!」

 

ウェンディルとマールが支持し、メニューを待つ間お互いのギルドの話をしていく。頼んだ物が届いた後も話は続けていく。お互いがお腹いっぱいになるまで食べて━━━

 

「はー、食べた食べた…」

 

「美味しいし安くていいよねぇ」

 

「確かに美味しかった…」

 

「来て正解だったね」

 

四人共満足そうな表情を浮かべていた。先程までの妖精の尻尾組の2人の反応はどこへやら、出されて食べた料理に舌鼓を打って年頃の少年少女のように満足していた。そんな満足そうにしている妖精の尻尾組に、ネイル組の2人が声をかける。

 

「…ふふ、応援してるからな?」

 

「……ありがと、何がとは聞かないけど」

 

「私の方も…応援してるから」

 

「は、はい…ありがとうございます…」

 

ネイル組2人からの応援……らしい言葉に、ひとまず感謝の言葉を返す2人。確かに2人の言葉には思う所があり、改めて自らの気持ちを考えるきっかけにはなった。

そうして4人は1度店を出て、まだ時間があるために一緒に歩き始める。

 

「……ところで、この後はどこに?」

 

「ドラシールって街…大きいとは聞いてるけど……」

 

「あそこはね、とっても大きいから!ところで、どうしてドラシールの街に?」

 

「えっと……ごめんなさい、仕事なんですけど…詳しいことは言えない決まりで…」

 

「あー、じゃあ仕方ないな…俺達も役柄とか答えちゃいけないもんな」

 

「だね」

 

100年クエストの内容は、他言無用。それを伝えるとどうやらタレントギルドにも同じような決まりがあるらしく…意外とすんなり伝わっていた。その事にウェンディもマルクも少しほっとしていた。詰められていたらどうしよう、なんてことを考えていたからである。

 

「俺達は一旦ギルドに戻るけど…ふふ、結構楽しかったよ2人と話すの」

 

「まぁ…俺達も楽しかったよ何だかんだ」

 

「またね、よく似たそっくりさん」

 

「…ふふ、はい!」

 

お互いに手を振り合い、その場で別れる四人。ほぼ瓜二つの同じ顔であっても、性格や言葉遣い等は絶妙に違っているのだな、とウェンディとマルクは再認識していた。

 

「…それにしても、面白そうだったなフェアリーネイルも」

 

「ふふ、タレント…なってみる?」

 

「仕事とかでやるかもな……んじゃ、そろそろ駅に戻るとするか」

 

「うん!」

 

そして、ウェンディとマルクも列車へと戻っていき皆と合流するのだが…列車の中からルーシィの大声が響き渡る。何事かと思い、座席へと向かっていくと━━━

 

「あ!ウェンディ!マルク!エルザも聞いてよ!ナツったらね!!」

 

「良いじゃねぇか、上着の一枚や二枚くらい」

 

「下着まで燃えたんですけどー!!」

 

「……何をしたのだ、ナツ」

 

何故かジャージを着込んでいるルーシィとシャルル。そしてルーシィやハッピーやシャルルが全員若干焦げているのを見て、マルクはおおよそを察していた。

 

「……ナツさん、喧嘩する時にナツさんの炎は危ないですよ…高温過ぎて服溶けちゃう時ありますし」

 

「そうなんだよねぇ…ルーシィね、ナンパされちゃってナツがそれを追い払おうとしたんだけど」

 

「その時に私達まで巻き込んで丸焦げよ」

 

「かーっかっかっ!!やー!面白かっ……うぶっ……!」

 

その瞬間列車が発進し始める。駆動音、走行音もまだ鳴り響きっていないタイミングで滅竜魔導士組の3人は、乗り物酔いで一気にダウンし始めていく。

 

「何か言ったかなぁ?ナツ君」

 

「ご…ごめんなさ…うぶ……」

 

「やれやれ…ん?」

 

ルーシィが仕返しとばかりにナツの頭を揺らして追い打ちをかけていくが、その様子を横目で見ながらエルザはグレイの様子がおかしいことに気づいた。

 

「グレイ?お前も何かあったのか?」

 

「いや…別に……ジュビア、元気かなって」

 

この時は話さなかったが…グレイはグレイで、ジュビアのそっくりさんのフェアリーネイルのジュビナと会っていた。それにより、ジュビアと会いたいという気持ちが強くなったのだろう。

 

「━━━ジュビアは元気ですよ」

 

「そっか…………ッ!!?」

 

だが、その気持ちをすぐ叶えるかのようにグレイの後ろからかけられる聞き覚えのある声。そこには、何とギルドにいるはずのジュビアが立っていた。

 

「お久しぶりですグレイ様!!ジュビア、来ちゃいました!」

 

「な、なんでジュビア様がここに!?」

 

「………様?」

 

「あ、いや……」

 

急に現れたジュビア。それに驚きつつも、妙な違和感がある一同。だが、そんな違和感を残したまま一同はジュビアを連れてドラシールまで向かうのであった。だが、一同はこの時は知らなかった……ジュビアとのその出会いが、これからドラシールの街で起こる異変の始まりに過ぎないことに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーっす!遊びに……あれ、なんだよォ…久しぶりに遊びに来たってのに」

 

同刻、マグノリアにある妖精の尻尾のギルドにて。剣咬の虎(セイバートゥース)のスティング、ローグ、クォーリ、エンジェル、ユキノ、レクター、フロッシュが遊びに来たが…ギルドの中には誰もいなかった。

 

「……どうなってるんだ、この状況は?誰一人居ねぇなんて有り得ねぇだろ、このギルドが」

 

「皆で旅行にでも行ってるんでしょうかね?」

 

「フローもそう思う」

 

「仮にそうだとしても…マスターのマカロフ様やミラジェーン様が居ないというのは……」

 

文字通り、人っ子一人居ない状況。大多数で出かけることはあっても、依頼の請け負いや急な助けが求められるかもしれない状況で本当の意味で全員外出することは稀だろう。

 

「何か臭うゾ」

 

「ごめんなさい」

 

「お前じゃねぇ、少なくとも」

 

フロッシュが屁を漏らすが、クォーリが適当に否定する。事実、異常な事が起きているのは確かである。規模の大きいギルドで、誰もいないという状況……全員が慎重に事を運ぼうとする。

 

「…………不用心だな、流石に」

 

「どうする、スティング…」

 

「んー……数日、様子見てみるか…」

 

「お嬢も呼んでくるぜ、俺ァ」

 

「あぁ、頼んだ」

 

「じゃあついでにウチは帰るゾ」

 

クォーリについて行くかのように、ソラノはセイバーのギルドへと戻っていく。そして、2人が居なくなった後にふと気づいたかのようにユキノが声を上げる。

 

「……ところで、数日見られるのでしたら…宿を取らねばいけませんが…?」

 

「げ、そうだった…今から探すしかねぇか…」

 

「仕方あるまい」

 

そして、このまま3人は宿を探すが……その後、ルーシィの住む借家の大家に、ルーシィの部屋を貸し出してもらえる事となり泊まりは何とかなったのであった。




マールとウェンディルは口調は『どこか似てるけど明確に違う』をコンセプトに作っています
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