FAIRY TAIL〜魔龍の滅竜魔導士   作:長之助

147 / 226
バトルオブフェアリーテイル

ドラシールの街にやってきた一同。しかし、ドラシールで待っていたのは驚愕の事実と現状であった。ドラシール…一同がやってきた街は木神竜アルドロンの右手の甲の上にできた街だった。そして白魔導士トウカ、そしてトウカに操られている妖精の尻尾(フェアリーテイル)のメンバーが一同の前に現れ攻撃をしかけてくる。それらから逃げてきた一同。追手が来ないことを確認してから、一度腰を落ち着けて話し始める。

 

「全員の魔力を消したのか!?ギルドの全員を!?」

 

「バカな…あの娘一人に、そんな力が…」

 

「皆油断していたのもありますけど…あの白魔導士トウカさんには、2つ人格があるんです。先程の全てを白く…と魔導士達の魔力を消していっている白魔導士。そしてナツさんに好意を寄せている純真な心を持つトウカさん……ジュビアも1度操られてしまったのですが、トウカさんが白魔導士にバレないようジュビアだけ解放してくれたんです」

 

「ナツに好意…ねぇ…?」

 

「俺はあんなヤツ知らねーぞ」

 

「にしても…まさか、全員だとは…」

 

「全員どころか……ジェラール達までいたぞ」

 

そう、操られているのはギルドメンバー全員と…さらにもう2人。ジェラールとそれに着いていたマホーグまでもが操られていたのだ。その事実に、全員が驚きつつも困惑した表情となっていた。

 

「そして…知りうる全ての情報を皆さんの元に…」

 

「他にもあるのか?」

 

エルザや他の一同が、ギルドのメンバーが操られていること以外にもあるのかと頭を悩ませる。トウカ…とは別人格とされる白魔導士、その人物のやることを今知らなければいけないのだ。

 

「白魔導士は五神竜の白滅(ホワイトアウト)を企んでいました」

 

「白滅…?」

 

「白く染める…と言っていたことです。白滅状態では全ての魔力は白魔導士に管理されます。無から最大まで白魔導士の思うがまま…さらに自我までも操る事ができるのです。五神竜の白滅計画、その第1歩が水神竜メルクフォビア」

 

「カラミールさんが頼んでようが頼んでまいが、結局来ていたということか…」

 

そして、同時にマルクの中である程度の合点がいった。メルクフォビアはカラミールの件関係なく白滅されていたこと、そして、水神竜を操れるにも関わらずギルドメンバーを白滅して操っているということは…恐らく水神竜が使えない理由があるのだろうと。

 

「白魔導士は水神竜の力を使って他の四頭を白滅しようとしていました。しかし、水神竜が破れてしまったことで計画を変更せざるを得なかったのです。 五神竜を白滅する力として、水神竜の代わりに選ばれたのが妖精の尻尾です」

 

「…偶然にも、選ばれた…と」

 

「……そうですね、運が良かったのか悪かったのか…本来白魔導士は妖精の尻尾を全員白滅させた後、文字通り消す…殺すつもりだった。水神竜が敗れたことで、生かされているんです。今の、ギルドの皆の命は…白魔導士に握られてる……」

 

全員が絶句した。状況だけで言えば、かなり絶望的な状況である。白魔導士の気分次第で、何の関係もないギルドの誰かが…下手をしたらギルドそのものが一瞬で消されてしまうのだから。

 

「…皆を助ける方法はねぇのか?」

 

「白魔導士を倒せれば助けられるかもしれませんが……」

 

「じゃあ━━」

 

「━━━不意打ちで、尚且つ一撃で倒さないと恐らく無理ですよ。皆の命が握られてるんだ……死ね、って言われたら…そこで終わってしまう…」

 

ナツが一瞬喜んだが、そこにマルクが水を差す。しかし、当の本人であるマルクも苦しそうな表情となっていた。助ける術が、全く思いつかないのだ。そもそも『白魔導士が皆を操っている』という前提条件があまりにも高難易度すぎるのだ。攻撃したことに気づいた、または仕留めきれなかった場合…一言『死ね』と言うだけで全てが片付いてしまうのだ。

 

「そんな……っ!?」

 

そして、一同が悩んでいるその時…再び地面が揺れだした。つまりはアルドロンが動いているということである。だが、時報のようなものと聞かされていた以上先程来たばかりのものが今来るのは少しおかしいと一同は感じていた。

 

「また地面が…!」

 

「つーか、決まった時間じゃねぇのかよ!!」

 

「いえ…街の人も困惑しているみたいです!異常なことが起こってる!!」

 

マルクは困惑している街の人々を確認した。つまりは、この揺れはドラシールの街の人々には馴染みのないものということになる。そうなると、必然的に何かそうなった要因があるかもしれないとマルクは考えて━━━

 

「まさか、ギルドの皆に白魔導士が何かさせてるんじゃ…!」

 

「うっ…!?」

 

「ジュビア!?」

 

突如として、頭を抑えて一瞬蹲るジュビア。グレイが心配し、声を荒げるが…それ以上の事がジュビアに起き始める。まるで全くの別人のような表情となり、雰囲気もガラリと変わる。

 

「━━━これが右手のオーブ……左手、右肩、左肩、背中…残り四つのオーブを破壊すれば、アルドロンは力を失います。私の力ではこのオーブは壊せない、皆さんの力で全てのオーブを破壊するのです。行きなさい!!妖精の尻尾!!……はっ…!?」

 

言葉はいい終わり、正気に戻るジュビア。だが、もたらされた言葉は一同に驚きと困惑を更に与えていた。

 

「大丈夫かジュビア!?」

 

「もしかして今のって…!」

 

「はい!!白魔導士の言葉です!トウカさんが教えてくれた!!」

 

「私達の仲間を使って街のオーブを壊すだと…!?」

 

白魔導士の目的は五神竜の白滅。仮にアルドロンの白滅に成功してしまえば、この凄まじい巨体がギルティナ大陸を練り歩くということになってしまう。そうなれば…ドラシールの街の人も、他の街の人も…凄まじい大打撃を受けしまう。山は潰され、街は1歩で廃墟になってしまうだろう。

 

「…アルドロンを白滅させるために…!?けど、逆に言えばオーブを破壊されなかったら白滅が出来ない…!なら…!」

 

「そんなこと、させません!」

 

「皆がほかの四つの街に行くってことか!」

 

「っ!!ちょっと待って!!これってチャンスなんじゃ…!」

 

「チャンスだと!?」

 

何かに思い至ったルーシィ。右手の街以外の場所への移動…それが、ギルドメンバーに関してのチャンスになることに気づいたのである。

 

「白魔導士は倒せなくても…個別に皆を助け出せるかもしれない…!」

 

「っ!!そうだ、確かカナさんの魔法でカードに人を閉じ込められましたよね!?それなら…!」

 

「っ!そうか!!確かにそれ使えば何とかなりそうだな!!」

 

「けど、そう簡単に入ってくれるかどうか……」

 

「……へっ、あるじゃねぇか簡単に入ってくれる方法…」

 

ジュビアの心配に、ナツが笑みを浮かべる。そして拳に炎を灯し…すごく『いい』表情で炎の灯った拳を掲げる。

 

「殴って気絶させちまえばいいんだ!!」

 

「だか、それはつまり仲間同士で戦うということになるぞ…ナツ」

 

「だから、仲間を助けるために仲間と戦うってことだろ…!つまり!!バトルオブフェアリーテイル!INドラシールだ!!燃えてきたぞ!!! 」

 

バトルオブフェアリーテイル……かつて、ラクサスがマグノリアの街で行ったギルドメンバー同士での戦い。状況としては確かに酷似しているのだが……

 

「いやいやいや……」

 

「そういう事ならなんとかなるかもしれんな…いや、しかし…」

 

「めんどくせぇのが何人かいんぞ…」

 

「そんなの関係ねぇ…!まとめて全員ぶっ倒してやる!!うおおおおおお!!」

 

大声を上げながら、走り始めるナツ。当然独断行動であり……と思いきや、ハッピーも楽しそうに後を着いていた。だが、面倒なのが居るのは事実であり…はっきり言えばナツ1人で相手しきれるとは到底思えなかった。

 

「ナツ!待たんか!!」

 

「ナツさん!!」

 

「ちょっと!?一人でどうにかできる問題じゃないでしょ!!」

 

「いーや!ラクサスもギルダーツもジェラールもミラもガジルも!まとめて俺がぶっ倒す!!ケンカ祭りだー!!燃えてきたぞー!!」

 

「あいさー!!」

 

ナツとハッピーは、そのまま街の中へと走り抜けていってしまう仕方がないのもあるが、ここで手をこまねいていても仕方が無いというのもあり、残った一同も動き始める。

 

「仲間と戦うって言うのに…何であんなにはしゃいでる訳?」

 

「ナツにとってはただのケンカ…力比べくらいに思ってんだろ」

 

「私達も行くぞ!私達の仲間は残り四つの街に向かっている!!白魔導士の計画に私達の仲間を利用させる訳には行かん!!」

 

「「「「「オオ!!」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一同が移動する少し前、話し合っている時の話である。その様子を望遠鏡で覗いているもの達がいた。妖精の尻尾…ではない、また別の者達である。

 

「おーおー…いいね、流石五神竜の討伐に来た奴らだよ。いい『記憶』を持ってる…」

 

「望遠鏡越しに見れるっつゥのが強いよな、お前の魔法」

 

「記憶とは紡がれるもの、横にも前後にも紡がれていった結果生まれるのが歴史…どうせなら手とか握りたいがね…そうなると匂いでバレてしまいかねない」

 

2人の男の内、1人が望遠鏡で一同を見ていたのだ。そして、もう一人の男がその様子を眺めながら見ていた。彼は要するにやることがなくて暇なのである。

 

「しかし…ふむ、ずっと見ていたが……()()()()()()()()()()()()()()

 

『あぁ、聞こえているとも……どうだ?首尾はどうだ?』

 

「上場だ…しかし、話こそ聞こえていないもののどうにも向こうは向こうで事情が複雑なようでね。よく分からない女に指示されて同士討ちを始めていた」

 

スカリオン…ギルティナのギルドであり、ドラゴンイーターのみが所属するギルドディアボロスのメンバーである。つまりは、今連絡を取りあっている二人の男達もディアボロスということになる。

 

『そのよく分からない女とやらも、妖精の尻尾ではないのか?』

 

「どうにも違う気がするが……どちらにせよ敵の敵は味方…という訳では無い、注意したまえ…ひとまず…僕達3人は右肩の街へと向かう…スカリオン達も気をつけたまえ」

 

『善処しよう』

 

それで連絡は途絶えたのか、通信をしながら望遠鏡を覗いていた男は望遠鏡をしまいながら立ち上がる。それが合図だと思ったのか、傍のもう1人も立ち上がり…奥からもう1人も現れる。

 

「さて、行こうか…ネバル、ダーツ」

 

「おうよ、レーク……おいネバル、お前俺らに迷惑かけんなよ?」

 

「………であったヤツら、ネバネバのぐるぐるにしていい?」

 

「好きにするといいさ…そうだ、ダーツ。ネバルがぐるぐる巻きにしたヤツらから魔力や魔法を奪っておくといい…そうすれば僕達の力になるだろ?」

 

「…ま、それもそうか」

 

この3人は、ドラゴンイーターギルドディアボロスの所属メンバー。1人は粘竜(ねんりゅう)のネバル。粘着質な糸のようなものを使うドラゴンイーターである。

そして…もう1人はレーク・イーシー、彼の能力は『情報』『記憶』『歴史』に関係している魔法…通称『史竜(しりゅう)』のドラゴンイーター。もう1人は『奪う』が主軸の魔法を使うドラゴンイーター…通称『奪竜(だつりゅう)』のドラゴンイーター、ダーツ・サンオーファー。この3人が今、ドラシール右肩の街へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウェンディ、俺達は右肩の街へ行こう」

 

「うん!」

 

そして、こちらは手分けしてギルドメンバーを助けるために戦うことになったウェンディ、マルク、シャルルのチーム。エルザは左手、そしてルーシィとグレイとジュビアは背中と左肩に向かうことになった。ナツはいずれかの街で合流するだろうという算段である。

 

「よし…ん?」

 

「おらァ!!白に染まれェ!!」

 

「染まりません、よ!!!」

 

「ごめんなさい!!」

 

妖精の尻尾のメンバーは非常に多い。それこそ、マルクが普段絡みのないメンバーも沢山いる。故に、こうやって右手の街だけでも出会う事が多いというわけである。だが、今のマルクやウェンディに取っては相手にはならない。街への被害だけ考えて、大技を使わず暴れるのがいちばん効率的である。

 

「やっぱ多い……っ!!避けろウェンディ!シャルル!!」

 

「きゃっ!!」

 

「ちょっ!?」

 

不意に感じた巨大な魔力。危険だと感じた瞬間に、マルクはウェンディ達を突き飛ばし自らは反対方向へと跳んでいた。その瞬間、先程までいた場所の地面が()()()()()()()()()()

 

「よー、元気にしてるか?まぁ今からお前ら、白の教義に反する者は殺せって言われてるんでな…すまねぇが覚悟してくれや」

 

「え、えへへ…マルク…ごめんね?けど、もし生きのびたら…白に染めてあげるから、ね?」

 

「ギルダーツさんに、マホーグ…!?」

 

ギルダーツ、ウェンディにとってもマルクにとっても…凄まじく相性が悪い。どちらかと言えば、魔力を吸収する分マルクの方が少しだけマシだろう。

マホーグ、攻撃を予知してそれを先手で潰してくる未来視の魔眼。それに応えてくれる変形型の魔道具の武器、短距離のみで活用されるショートワープ。だが、未来視もショートワープも魔法ではあるのでマルクが魔力を一気に解放してしまえば少しの間だけ麻痺するだろう。

そこまでのことを、マルクは一瞬にして考えた。

 

「シャルル!!」

 

「えぇ!!」

 

「マルク!!ごめんね!!」

 

ウェンディの言葉と共に、シャルルは羽を広げウェンディを右肩の街へと連れていく。だが、それを許すまいとギルダーツが片手に魔力を一気に込めて飛び上がる。

 

「逃がすか!!破邪顕正━━━」

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」

 

一気に魔力を解放するマルク。それはギリギリのところでシャルル達を巻き込まない範囲であり、同時に飛び上がったギルダーツはギリギリ範囲に入る位置関係であった。

 

「なっ!?」

 

「させませんよ!!」

 

魔法を打ち消され、勢いを削がれてしまったギルダーツ。放とうとしていた奥義は発動せず、シャルルが後ろに下がった為にただ拳が空を切るだけになってしまった。

 

「魔法が…!あっ!!」

 

「先に寝とけ!!ふんっ!!」

 

「ぎゃふっ!!!がふっ!!」

 

そして、隙を見せたマホーグに一気に距離を詰めて力を込めて肘打ちで鳩尾を殴り、そして頭の上から拳を落として地面に落下させ気絶させる。

 

「……ちっ、やってくれたなマルク」

 

「魔法、使わせるわけないでしょ……あんたの魔法シャレにならないんだから……モード悪魔龍強欲欲しがり(ディザイア・グリード)

 

全部の力が使える罪なる七悪魔(セブンスシンズ)じゃないことには、訳がある。単純に図体が大きいからだ。分解の魔法、触れたものを破壊する魔法。それは避けなければいけない魔法だ、当たればダメなのだから図体が大きくなる力は宜しくないのだ。

 

「ほーう、ま…それでいいならいいんだが……な!!」

 

「この力なら!!」

 

ギルダーツの魔法、そしてマルクがコピーしたギルダーツの魔法がぶつかり合い互いに打ち消し合う。同じ力同士がぶつかるのであれば、あとは力量、魔力、そして技術のみである。

 

「んじゃあ、どっちが勝つか勝負といこうや!!」

 

「俺が勝ちます!!絶対に!!負けられない…!」

 

ドラシールの右手部分の街…今ここで、マルクと妖精の尻尾最強クラスの猛者であるギルダーツとの戦いが始まろうとしていたのであった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。