FAIRY TAIL〜魔龍の滅竜魔導士   作:長之助

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仲間との絆

「ちょこまかと!!ふんっ!!」

 

「おおっと危ない!!」

 

時は少し遡り……ドラシール右手の街。そこではアルドロンが動き始めたにも関わらず、ギルダーツとスァーヴァクが争っていた。本来の実力差と相性を考えるのであれば、ギルダーツがすぐに勝っていただろう。

だがスァーヴァクは最小限の魔力で建物を破壊し、瓦礫をギルダーツに向けて落としたり投げたりする事で、一方的に魔力を消費させていた。

 

「動いてんじゃねぇよ!!」

 

「当たったら俺が危ないからな!!」

 

決して近寄らず、状態を見ながらの戦闘。大袈裟な仕草や言葉に反してかなり慎重にスァーヴァクはことを運んでいた。ギルダーツの視界から逃げる事で、魔法を当たらないようにする。瓦礫を投げることでそちらに意識を持っていく。そうして魔力を消費させていく。かなり気の遠い話である。

 

「どうする?俺を放って逃げてもいいんだぞ?」

 

「逃げたら妖精の尻尾(フェアリーテイル)の名折れだろォが……それによォ、てめぇ…滅竜魔法を覚えてるみてぇだが…ウチの奴らが持ってる『ドラゴンへの敬意』みてーのが感じられん」

 

「当たり前だ、俺…いや!!!!俺達は第五世代のドラゴンイーター!第四以前の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)とはレベルが違う!!エサであるドラゴンに対して敬意!!?あるわけないだろう!!俺達はドラゴンを喰らい!魔を得るのだ!

………もちろん、貴様のギルドの滅竜魔導士も…エサだ」

 

「そうか……なら敵だな…てめぇはここで倒しておく」

 

「やれるものなら!!!!やってみるがいい!!!」

 

「おう、させてもらうわ」

 

何度目かも分からないクラッシュ。しかし瓦礫を蹴り飛ばしつつ、姿を建物の影に隠しながらスァーヴァクは慎重に戦いを進めていく。

 

「………」

 

ギルダーツは考える。このままではジリ貧だと。魔力量の違いによっては、このまま戦ってもギルダーツが勝つ可能性がある。だが、目に見えてわかる訳でもないのであまり耐久戦を行う訳にはいかない。ならばどうするか?ギルダーツはその答えにすぐにたどり着いた。

 

「どうしたァ!?ほらほら!!」

 

瓦礫を投げてくるスァーヴァクに対して、ギルダーツは()()()()()。瓦礫を弾き落としていく、魔法は一切使わずに…である。それを見てスァーヴァクは一瞬疑問を抱いたが…今が好機と次々と瓦礫を落としていく。

 

「魔力切れか!!案外大したことないものだな!あれだけ大口を叩いておいて!!」

 

ギルダーツは答えない。答えないまま…段々と瓦礫が周りに積もっていく。そして……大きな瓦礫がギルダーツの上から落ちて、静かになった。少し警戒しながら瓦礫へと目線を向ける。

 

「ふーむ……案外早く魔力切れを起こしたものだが……さて、どうするか…」

 

死体の確認はできていない。しかし近づくと反撃される可能性もある。だが、中で生きている可能性も否定できない。少し考えたあとで……

 

「いや、アルドロンが動いていることだ。消し飛ばすだけ消し飛ばして、帰るとしよう」

 

そう言って、スァーヴァクは大きく息を吸う。魔力を込めていき、ブレスを放つ準備を整える。だが、目の前だけでなく周りにも警戒を払っておく。この短時間でも地面に穴を開けて逃げている可能性が高いからである。

 

「裁竜の咆ごッ!!!?」

 

ブレスを吐こうとした瞬間、スァーヴァクの体に衝撃が加わる。正確に言うのであれば、右肩に何かの攻撃がヒットした。瞬間、魔法が霧散してスァーヴァクはその場で肩を抑えてうずくまってしまう。

 

「……よーし、上手くいったな」

 

「くっ…!やはり、生きていたか」

 

「よっ!」

 

瓦礫を吹き飛ばし、ほとんどダメージを負っていないギルダーツが現れる。だが、スァーヴァクにはギルダーツが何をしたかまでは分からなかった。

 

「貴様…!今何をした…!」

 

「ちょっとな、俺だって最強だなんだと言われてる魔導士だ……こう、手を銃の形にしてな…バーンッてやった迄よ…クラッシュをな」

 

「……は…!?」

 

クラッシュは扱いが非常に難しい魔法だ。それをギルダーツは指先から出したというのだ。手を銃の形にし、人差し指から弾丸を放つように…人差し指の直径サイズのクラッシュを放ったのだ。おそらく、瓦礫の隙間から放ったのだろう。相当な技量である。

 

「ッ…!だが!!小さくしすぎたせいで効果は発動できていないようだな!!」

 

「それはどうだろうな?」

 

「は…?くっ…!あまり舐めてるんじゃあ……………あ、れ…?」

 

スァーヴァクは魔法を使い、ギルダーツに攻撃を仕掛けようとした。だが、一向に魔法が行使できないでいた。イメージはできている、それなのにも関わらずただの一瞬も魔法が使用出来ないでいるのだ。

 

「な、何故だ…魔法が…!?」

 

「記憶はねぇが…体感として覚えてるもんだな」

 

「何を!?」

 

「白魔導士に操られてた時にな…自分で魔法をぶつけてよ、クラッシュで()()()()()()()()()()って感覚を知っちまったみてぇでな……なんとなーく、イメージ出来たもんだから……それ、ぶち込ませてもらったわ」

 

「ばかな!?つまり、俺は…!」

 

「ま、あくまで一時的なもんさ…だが今この場では有効な手段ってやつだ」

 

つまりは、クラッシュの魔法でスァーヴァクから魔法を一時的に切り離したというのだ。ただでさえ単純な戦闘能力が高いギルダーツが、搦手を覚える。それは未だ最強を誇る魔導士の新たな成長であった。

 

「にしても、この年でまだ覚えられることがあるとはな」

 

「くっ…!何か、何か手は…!」

 

「もう遅ぇよ…!破邪顕正━━━」

 

「くそっ…!!!」

 

放たれるは最強の一撃。最強の魔導士が放つ最強の一撃。その一撃は天をも砕き、相手を完全に倒せるまさに一撃必殺。その『圧』を感じ、スァーヴァクは心の奥底でダメだと悟ってしまった。

 

「一天!!!!!!!!」

 

「━━━━━━!!!!!!!!!!!!!!」

 

遠くに吹き飛ばされるスァーヴァク。白魔導士から解放され、ギルダーツの調子がいいのか……遥か彼方へと飛ばされてしまい、すぐに姿が見えなくなっていた。

 

「おー……よく飛んだな」

 

「━━━━いた!!ギルダーツ!!」

 

「おぉ!?カナァ!!!」

 

遠くを眺めていたギルダーツ。だが、彼の傍へと走ってくる者達がいた。カナ、ルーシィ、グレイ、ジュビアの4人であった。

 

「ちょうど良かった!あんたも元に戻ってんだろ!?」

 

「おう!いやぁ、マルクが上手いことやってくれてよ〜!俺の魔法があれば白魔導士の洗脳なんざ……」

 

「は!?ギルダーツの魔法あれば何とかなんのかよ!?早く合流しときゃあ良かったじゃねえか!!」

 

「グレイ様…ミラジェーンさんとエルフマンさんと戦ってましたもんね…」

 

「あぁ…あいつらも操られてたな、そりゃあご愁傷…ッ!?」

 

一応は急を要する状態なのだが、ほのぼのとした会話を繰り広げていた一同。だが、そんな中で謎の気配をギルダーツは感じ取っていた。そして気づけば、ルーシィ達の周りは木の人間……ゴッドシードウルフェン達に囲まれていた。

 

「なんだコイツら!?」

 

「木の人間!?」

 

「なんだっていーさ、まだ暴れ足りねぇし…いっちょ暴れてやんよ!」

 

そうして、ギルダーツはウルフェン達に大して再びその強い力を行使し始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

,

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ナブ!セイズ魔術(マジック)!!!」

 

「オウ!」

 

そして時は戻り…ウルフェンの本体と、ドゥームの2人が合体した新たなゴッドシード、ドゥルフェン。シャルルはドゥームの魔法により戦闘不能、ウェンディは魔力切れ、マルクは傷の悪化、ハッピーは戦力になれてないという最悪の状況から……白魔導士に操られていたギルドのメンバーが助けに来てくれていた。

マルクはウェンディから受けたエンチャントの魔法を自らの魔力に当て、強化のレベルを格段に上げた状態でみんなにかけていた。

 

「セイズ魔術動物憑!ベア・ザ・ナッコォ!!」

 

「なっ!?胞子が吹き飛ばされた!?」

 

ナブの魔法により、危険な胞子を一気に吹き飛ばす。しかしすぐに胞子はドゥルフェンから生み出されてしまうために、皆は息をつかせぬ魔法の連続を浴びせるのである。

 

「だがすぐに産み出せば……ぐ、ぐううう!?」

 

「させないのである!」

 

「な、なんだ!?体が勝手に!!」

 

「ダンス魔法なのである!!」

 

ビジターの魔法により、ドゥルフェンは動きを自在にできなくなってしまい、動かされる側となっていた。そして、体を回転させられて地面へと転ばされてしまう。

 

「ラキ!追撃だ!」

 

木の造形魔法(ウッドメイク)!ゴッドパンチ!」

 

「ぐはっ…!」

 

「キナナ!リーダス!!」

 

「OK!ポイズンアロマ!」

 

「ウィ!ソードペイント!」

 

木造の拳が打ち出され、強烈な一撃を当てられる。その後毒の香りと絵で描かれた剣の連撃により、ドゥルフェンは段々と怒りのボルテージを上げていく。それが、より大きな隙に繋がるとは彼自身も気づいていない。

 

「ぐ、ぐううぅ………!!!!雑魚が!!雑魚がァ!!!てめぇらまとめて吹き飛ばしてやる!スポアービックバン!!」

 

ドゥルフェンの上に、胞子と魔力が溜まっていく。まともに受けてしまえば、ウェンディの魔力が尽きてしまっている以上治す術は完全にない状態となる。だが、放たれる直前に……ウォーレンが飛び蹴りをする。

 

「がはっ!!」

 

「確かに俺達は弱ぇかもしれねぇ!!それでも妖精の尻尾の魔導士なんだよォ!!!」

 

「ぐあぁぁぁぁぁぁぁああ!!!頭に嫌な音がぁぁぁ!!!」

 

そして、隙を見せたドゥルフェンの頭にウォーレンが念話で精神的に攻撃を仕掛けていく。しかし、戦闘不能となったシャルルに与えられた時間はあと1分を切っていた。それを過ぎてしまえば…シャルルは死んでしまう。

 

「小さな女の子1人助けられねぇで!」

 

「妖精の尻尾は語れないのである!」

 

「ウィー!」

 

「例え私達一人一人の力が弱くっても!!」

 

「皆で力を合わせれば!!」

 

「どんな敵にも勝てんだよォ!!!」

 

そして、マックスの砂をまとった拳がドゥルフェンを殴り飛ばす。吹き飛ばされた先で、なんとかドゥルフェンは着地をするが…その表情は見てわかるほどに怒りを表していた。

 

「クソがクソがクソが!!!雑魚がァ!!雑魚どもがァ!いきがってんじゃねぇぞ!!!」

 

「うわっ!!またやつの胞子が!!」

 

シャルルを戦闘不能に、そしてウェンディ達を倒れさせた原因でもある胞子。命を吸い取り、確実に相手を殺すことの出来るこの胞子をドゥルフェンは再び撒き散らしていた。

だが、既にマックスは魔力を貯め砂を構えてトドメの一撃をお見舞いするつもりでいた。

 

「いつもウェンディ達には助けられてんだ…!偶には助けさせてくれよ!アジィール直伝!」

 

「アジィール直伝!?どういうこと!?」

 

アジィール……アタラキシア、1年ほど前にナツ達が戦争で戦った国である。そこにおけるかつてのスプリガン12(トゥエルブ)の1人で今は現国王である。そして……マックスと同じ砂の魔法を使う魔導士でもあるのだ。

 

「こないだアタラキシアに行った時にね」

 

「ほら、彼……王子も同じ砂の魔法使うでしょ?」

 

「な、何だこの魔力…!?」

 

「ウェンディとマルクの二人分があっても尚、本物に劣るのは情けねーけどな…!喰らえ!!砂の剣(ラムル・セイフ)!!!」

 

飛び上がり、そして蓄えられた魔力を一点に集め…その一撃を持ってドゥルフェンの体を完全に貫いた。当然、1度やられたドゥームとウルフェンの集合体であるドゥルフェンに、その一撃は耐えきれず……

 

「ごはあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!!!! 」

 

その姿は、まるで泡のように消え去っていくのである。そうして、今妖精の尻尾が1つの勝利を収めたのであった。そしてドゥルフェンがやられたと同時に、シャルルの体も元の姿へと戻る。

 

「っ…!?あれ、私…」

 

「シャルルー!!」

 

飛び込んできたハッピーをなだめながら、シャルルは何が起こったか分からないと言わんばかりに辺りを見回し……倒れているマルクとウェンディを発見する。

 

「ウェンディ!?マルク!?何があったの!?」

 

「皆が助けてくれたんだよ!妖精の尻尾の頼れる仲間が!」

 

「調子いいこといいやがって……」

 

「━━━げほっ、げほっ…終わり、ました…?」

 

「ちょ!!あんた黙ってなさい!!」

 

マルクが目を覚ます。本来であればとんでもない大怪我をしているのだが、一時的に気を失っただけで直ぐに目を覚ましていた。しかし、怪我が治った訳では無い。そもそも治ったところで、失った血はそう簡単に戻らないのである。

 

「そうだぜ、ゆっくりしとけ……………おいナブ?どうした?」

 

「お、おい…んなアレ見ろよ…」

 

そう言って、ナブが一点を指さす。それに一同がそれぞれ視線を向けては…何かに驚いたようで固まっていた。マルクも何とか体を動かし、ナブ達が見ている方向へと視線を向けると━━━

 

 

「うおおおおらぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!!!!!!!」

 

……何故か、超巨大化したガジルがアルドロンと戦っているのであった。木神竜アルドロンとの戦い…それはまだ、続くのかもしれない………と、マルクは目の前の光景に驚きながらもそうどこかで考えるのであった。




ギルダーツに強化が入りました。
・指先サイズレベルのクラッシュを発動、打ち込み
・相手の魔法や魔力との一時遮断(一時的に使えなくなるだけで、魔力欠乏症になる訳では無い、しばらくすれば戻る)
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