「うおらぁ!!!!」
現在、木神竜アルドロンと何故か超巨大化したガジルが戦っていた。その姿は全ての街から綺麗に見物できるほど大きく、現在右肩の街にいるメンバー全員がその姿を確認できていた。
「何だアレ…」
「ガジル…だよな」
「ガジルが巨大化したー!!」
「何よアレ!マルク、あんた何かわかんないの!?」
驚きのあまり、シャルルはついマルクに聞いてしまうが…マルクは自身の感知能力を使って、ある程度の予測を立てていた…のだがその推測に自分で戦慄していた。
「……多分、元スプリガン
「うえぇ!?ブランディッシュがぁ!?」
「はぁ!?た、確かお前ら話したことあるよな!?」
話した、というのもせいぜいが1年前の戦争突入直前…その際のアルバレス潜入の時に顔を見合せたくらいである。だが、その力や実力…そして異名をマルクは知っていた。
「……そんな親しい訳じゃ、無いですけど……でも…『国崩しのブランディッシュ』の異名は……伊達じゃ、無いですよ…もし…彼女の魔法が、アルドロンにそのまま通じてしまうのなら…俺達、空中に投げ出されてたかも、しれません」
島1つを極小サイズに小さくできる魔法。それがブランディッシュの魔法だ。大きさ自由自在なので、しないということは何らかの理由があるのだろうとマルクは推測していた。
そして同時に、マルクの言った言葉にウォーレン達は顔を青ざめさせていた。
「……というか、いたんだ…本人…」
少し前に偽物と戦っていたマルクは、少し複雑な心境となっていた。だが、すぐに思考を切り替える。今はガジルの事やブランディッシュのことを考えている暇は無いのだ。
ガジルがアルドロンと戦っている……つまり、アルドロンに殴る蹴るをしているわけである。つまるところ、その戦いの衝撃はちゃんと全員に届く訳で……
「ここから逃げた方が良くないかなー!!」
「うわー!」
「ひいい!!」
「げほっ…!すんませんお願いします……」
「と、とりあえずこいつらも運んでいくぞ!!」
そう言ってナブは白魔道士トウカを、マックスは謎のエクシードを抱えていた。そして、それを見てマルクはふと気づく。
「………いたの…?というか誰そのエクシード」
「あんた今気づいたの!?」
「説明は後でするよぅ!!」
ウォーレンはウェンディを抱え、リーダスがマルクを抱えて全員が走り始める。せめてアルドロンから離れなければ、この戦いに巻き込まれてしまうからだ。幸か不幸か、アルドロンとガジルは互角の戦いを繰り広げていた。繰り広げてしまっていたが故に、街は荒れ放題崩れ放題砕け放題なのである。
「うぐぇぇぇ……」
「しっかりしなさいよ!」
「いや、ごめん流石に……ん?揺れが……」
少しの間怪我人達を運んでいたウォーレン達だったが、マルクがふとそう零した言葉に冷静さを取り戻す。確かに、気がついた時には既にアルドロンは動きを止めて居たのだ。そして同時にガジルがいなくなっていることにも気づく。
「もしかしてガジルが倒したのか!?」
「やったな!!」
「ッ…!リーダス、さん…下ろして…!!」
「ウィ!?でもそんな大怪我を…」
「いいから…!」
一瞬の安堵、しかしその直後にマルクは嫌な予感がした。リーダスに丁寧に下ろしてもらった直後、体の中で
「━━━━モード悪魔龍
瞬間、マルクの体は大きくなり…そして全員に覆い被さる。まるで何かから身を守るために。一切説明のない中でのこの行動に、一同は困惑してしまっていた。
「な、なんだ!?どうしたマルク!!」
「いいか……ら゙ぁ゙…!!」
「うおっ!?何だこの音!!」
「そ、外でなんか降ってんのか!?」
「ッ…!見て!外!!」
「「「!!!」」」
キナナが、マルクの体の隙間から見える外の景色に驚いていた。そして、一同も同じように覗き込み…同じように驚く。そこには巨大な木製の針が降り注いでいたからだ。しかし、それは街の石畳を割り、家屋を貫き、全てを破壊していた。
「ぐううぅぅぅぅぅぅぅううううう!!!!」
「お、おいマルク!今すぐ辞めろ!!」
「このままだと死んじまうぞ!!」
「死゙に゙ッ……!ません!!!」
マルクの体に呪力が巡る。回復しきっていない僅かな呪力だが、動かす為に工夫を凝らす。それは以前までとは『真逆』。溜め込んだ魔力を呪力に変換し、力へと変換しているのだ。それが、悪魔龍に力を与える。怠惰の力により、体の傷は徐々に癒えていき活力が漲り始める。
「俺ァ……!この戦いが終わったら、やる事が、あるもんで!!」
「や、やること!?」
「そういうのあんまり言わない方がいいと思うわよ!!」
「ウェンディに…伝えたいことが、あるんだ!!」
更に悪魔龍の力が漲る。呪力が活性化され、悪魔の力が膨れ上がる。更に体は大きくなり、硬くなる。そして、内側から見えないがマルクの体から呪力が炎のように立ち込める。
「テメェの魔法だろうが、これァ…!」
異形化したマルクの体から、無数の棘の様なものが生え始める。それは黒い炎、全てを燃やして外敵を廃除せんが為の嫉妬の炎。それは森の力、自然のような多いなる力を求める強欲さを兼ね備えた欲しがりの炎。
「強欲、嫉妬…!悪魔龍の!!!!
欲っするは自らを含めた全員の無事。嫉むは敵の強大さ。敵の木製の針の魔法をコピーし、それに嫉妬の炎を付与する。そして大量に放つ。相手の針と自らの針はぶつかり合うが、炎によりそれは燃えつきる。何撃か受ければ針は壊されてしまうが、一気に街に降り注ぐ針の勢いは収まっていた。そしてマルクは体の表皮から嫉妬の炎を勢いよく吹き出しながら、一気に空へと舞い上がる。
「おおおおおおおおおお!!!!」
針を燃やしながら進み、街に落ちる針を全て燃やし尽くす。その中で、全ての針が1箇所から出てるとアルドロン自身の魔力の流れでマルクは気がついた。そして、その頃にはウォーレン達には針が全く降り注いでいなかった。
「……俺は針を止めに行きます!!」
「……わかった!無茶すんじゃねぇぞ!!」
「はい!!代わりに…ウェンディをお願いします!」
「任せとけ!!」
ウォーレン達は逃げるために移動する。それを軽く見送ったマルクは、一気に炎を全開にさせて針の出処まで進んでいく。纏った黒い炎は、マルクの体に一切の攻撃を届かせなかった。
「…首?えらく変なところから……まぁいいや」
纏う炎の量を、一気に増やす。アルドロンの首だけ、と言ってもその広さは凄まじい物である。悪魔龍となり、大きくなったマルクですらアルドロンからしたら米粒1つあるかどうかくらいだろう。
「この辺で……いいかな、っと!!!」
だが、今はガジルとの戦闘で疲れているのか動かなくなっていた。無論現在進行形でマルクが燃やしているとはいえ、針を出し続けてはいるが。その針の射出口…ちょうど真上にマルクは陣取り、溜め込んだ魔力を全て呪力へと変換に回す。そして、炎の範囲を広げて他に飛んでいかないようにしていた。
「思ってたより早めに決着つけないといけないかな…まだ、ナツさんも戦ってるみたいだし」
ここまでして、ようやく皆が安全になったと考えるマルク。しかしそれでもアルドロンがいきなり本気を出せばどうなるかはわからない。それほどの強敵を前にして、マルクは大きく息を吸い込む。そして、ニヤリと微笑んでから『叫ぶ』
「木神竜アルドロン!!!!」
「………!」
その声に反応したのか、はたまたマルクの魔力と呪力に反応したのか。アルドロンの大きな瞳が、マルクの姿を捕える。そして、その姿をじっと見ながら━━━
『人間如きが神の力に抗うというのか……?いや、人にあらず…竜の子…そして、悪魔か』
「喋れんじゃねぇか、念話みたいなもんか?まぁいいや……テメェの首根っこ……今から燃やすから覚悟しとけ」
マルクの体は、アルドロンからすれば誤差のレベルだが徐々に肥大化していた。憤怒の力で、パワーとともに肉体に纏っている呪力が大きくなっているのだ。
「…まぁ、たしかに俺は悪魔でも、人間でも、ドラゴンでもある……けど、それが俺だ。マルク…マルク・スーリアって存在なんだ……今からお前を『仲間』と一緒に倒す
『人間如きが…!竜の力を使うなど…!うぬらは捕食される側だ。神に楯突こうなど…!100年早いわ!!』
マルクに集中するためか針自体は収まったが、代わりにアルドロンの左手が迫る。左手の街にもまだ誰かが残っている可能性もあるが、既に逃げたかメストが上手いことやったと考えるしか無かった。
「悪魔龍の!!
力の限り左手に突撃するマルク。左手はマルクに貫かれ、街ごと綺麗な穴を開けていた。だが、それだけではアルドロン自身にダメージはさほど通っていないだろう。
「
そのまま、アルドロンの左手ごと嫉妬の炎を街に向けて吐くマルク。黒い炎が燃え盛り、全てを焼きつこうと燃え広がっていく。その炎を消そうという本能からか、即座に右手が迫る。その右手に対しても、マルクは力の限りの一撃を入れていく。
「
魔力を変換した呪力が、マルクの右腕に集まり巨大な鉤爪を形成する。そして、迫る右腕に合わせるように振るわれたその一撃は
『全ての人間は我が養分!我が下僕!何年経とうがそれは変わらぬ!人間は永遠にドラゴンには勝てん!!』
「あ゙ぁ゙!?今てめぇの右手を切り落としたぜ!てめぇらを討伐するクエストをエレフセリアが組んで、100年…!その間にテメェの養分になった人間達…何人だ!何人いた!その人達の100年の上に、俺達がいるんだ!応えろアルドロン!」
『そんなことは覚えておらぬ、食物の数など…だが、このワシの上に街を作らせそこに住む人間の数はこの100年で30万くらいか?皆、ワシを信仰し命を捧げていった。愚かな奴らよ、ただの養分と知らずに幸せになれると信じておった…!』
「30万…そんだけの数を……」
『この先も全ての人間はワシの前にひれ伏す!我が養分となる為に!』
燃え盛る左手を、苦し紛れにマルクにぶつけようとするアルドロン。だがその姿は触れられることなく、左手によって煙のように掻き消える。
「━━━━悪魔龍の、
マルクの姿は、気がつけばアルドロンの傍へと。これが色欲の力の1部。認識をズラす呪法。五感全てに干渉し、その力は神とも崇められる竜にすら通じるものであった。無論、長々と話している暇があったからこそできた芸当でもあるが。
「よかったよ、お前が人間に害なす存在で。だからこそ、遠慮なく倒せる……いいドラゴンだったらどうしようかと思ってたけど…悪いドラゴンなら倒せる」
『随分と都合のいい理屈だな、人間とて食す為に動物を殺すだろう?』
「そうだな、けどてめぇみたいに全部が下だと思ってる人間はしっぺ返しを食らうのさ……今からのてめぇみたいにな」
『ぬかせ!!ドラゴンは全ての生物の頂点!本来、人間がワシと会話することすら烏滸がましい!!』
そう言いながら、アルドロンは口の中に魔力を溜め込んでいく。どうやら、マルクにとどめを刺す気なのだろう。それを見ながら、マルクも口の中に魔力を溜め込んでいく。
「烏滸がましい、ね…養分とか言ってたな…じゃあお前にとっての人間って…」
『食う為だ!!』
「…?なんか違和感があるけど…まぁいいや、食う為なのは変わらないってのが理解出来た。けどな、ドラゴンが全員お前みてぇなのじゃねぇんだよ。メルクフォビアもそうだったけど……俺達の親…てめぇも知ってそうなのは…」
『ならばイグニールは愚かな下等種に成り下がった!』
マルクは首を傾げる。妙に会話が繋がっていないというか、齟齬があるように感じられたからだ。しかし、今から倒すつもりの相手にそこまで気にかける必要も無いと思考回路から今の疑問を消し去る。
「悪魔龍の
圧縮した呪力の塊。それをアルドロンの口めがけて投げる。そしてそのまま次の技へと移るマルクだが、呪力で構成された塊はアルドロンに触れた瞬間に溜め込んでいたアルドロンの魔力を消し飛ばす。
「悪魔龍の
そして続け様に翼を呪力でさらに大きくし、叩きつける。アルドロンは残った部位で立ち上がることも出来ず地面に頭をつけることとなってしまう。
「悪魔龍の
そして、頭上から与えられる追加で与えられる拳の一撃。その拳からは拳よりも大きな木造の棘が生えて、アルドロンの頭を貫いていた。
『またイグニールの炎か!?いや、これは…!アトラスフレイム!?イグニアも!!?様々な炎竜の炎が混ざったこの焔は…!?』
「ナツさんの炎だよ、それは…!だが、俺を無視するのはよろしくないなアルドロン!!今からお前を仕留めるのは、俺だァ!!
滅悪竜奥義!!」
体中に呪力が込められ、黒い閃光が迸る。その瞬間に高く高く、マルクは飛び上がり……速度を増しながら落下を始める。呪力が解放され、大きなオーラが…アルドロンの頭部に匹敵するほどの大きなオーラをマルクは纏う。
「━━━
『バカな、このワシが…
マルクが頭上から突撃したのと同時に、アルドロンの背中から巨大な火柱が立ち上る。そして、その瞬間にアルドロンの全身にヒビが入っていき……そのまま砕けていく。草木や土へと変わっていき、そこにドラゴンなんて居なかったかのように消えていく。それを眺めながら、マルクは1人ポツリと呟くのである。
「……どうもしねぇよ、この力は…守りたいものの為に振るうだけだ…俺を含めた、みんなで生きるためにな」
その言葉は、アルドロンに届いているのか居ないのか……それは定かではないが…マルクは倒した勢いで気が抜け、そのまま地面に降り立つのであった。
━━━五神竜、残り三体━━━
ゴッドシード達の敗北、ナツの相手などで色々弱ってるところだったのでトドメをさせました
因みに悪魔龍状態フル活用してる時は段々でかくなってます
ノミサイズからアルドロンの眼球より3回り小さいくらいのサイズにまで大きくなりました。
追加で水神竜編と木神竜編分けました
2024/12/11
フリガナ修正入れました