FAIRY TAIL〜魔龍の滅竜魔導士   作:長之助

157 / 226
大分短めです


月に歩む

ドラシールの街……もといアルドロンのいた場所から東へ数km。そこにはドラミールという場所があり、操られていた妖精の尻尾(フェアリーテイル)のメンバーもまとめて1度そちらに移動していた。けが人が複数いる状態でもあるので、致し方ないところもあるが…様々な問題が起こった。まずこのドラミールはアルドロンの感じを行う為に作られた街らしく、アルドロンが暴れている最中と討伐直後にこの大陸の軍が調査に来ていたこと。

 

「━━━その調査自体は素知らぬ顔でこっちに来ましたもんね。まぁ俺達の存在がバレてないだけで有難いですけど」

 

「んで、2つ目ってのが…」

 

「みんなに説明しづらい事ですね…」

 

2つ目の問題は現状の説明の難しさ。エレフセリアと100年クエストの内容は他言無用と言われて居るので、操られていたメンバーにはきちんとした説明が難しかった。しかし、メンバーたちはその事を察してくれていたので大きな問題にはならないでいた。

 

「しゃあねぇって、言えねぇ事もある」

 

「下手に漏らしたら何が起こるかわかんねぇしな」

 

「そういう事だ……ってかそれよりもだな」

 

そして、最大の問題……ひとまず連れて来た白魔導士とエクシードの問題である。2人はずっと気絶しており、目を覚まさないでいた。それを、交代で見張っている状態である。今はマックス、ウォーレン、ナブ、リーダス、ナツ、ウェンディ、ハッピー、シャルルで見張っていた。無論…マルクもいるのだが……

 

「なんでマルクここで寝かせてるんだ…?」

 

「俺にもわかんねぇっす……多分、両脇の対策…?」

 

マルクは傷こそは完全に治っている。が、戦い終わったあとに気が抜けてしまった影響で貧血で倒れてしまっていた。というか血を流しすぎたのである。そのために療養で寝かせられているのだが…白魔導士とエクシードの間に寝かされていた。

 

「ってかよ、トウカの奴縛り付けておかなくていいのかよ?」

 

「目を覚ましたらまた魔力抜かれちまうぞ?」

 

「多分大丈夫です、そう簡単に回復する魔力じゃありませんから」

 

「暴れたら俺がぶん殴る」

 

「まぁ俺が魔力解放したら良いだけですし…下手な魔法は使えませんよ」

 

「それもそうか……」

 

「…というか、改めて聞かせて欲しいんですけど。このエクシードは誰なんですか?」

 

マルクは改めて尋ねる。この現状、知っているのがナツとウェンディ、ハッピー、シャルルの4人だからである。そして、マックス達も現状が呑み込めていないので、説明が要求されていた。

 

「まずトウカ、って猫がいたんだ。そこに白魔導士が入ってきて、姿を人間にしたんだよ」

 

「…人間がエクシードをテイクオーバーしたってことか?何のために…」

 

「どの道、トウカっていう(エクシード)自体が私には疑問なんだけどね」

 

猫の国(エクスタリア)のエクシードじゃないんだよね?」

 

「間違いないわ、私達の知らないエクシード」

 

つまりは、エクシード達が知らないエクシード。エクシード達がこの世界に来て早8年。それよりも早く送り込まれた卵の子供達の行方も掴めていたりエクスタリアに移住したりと様々ではあるが…全員把握できていた。つまり、存在するはずのないエクシードなのである。

 

「目ェ覚ましたらその辺の話キッチリ聞かねぇとな」

 

「トウカ…オイラの事好きなんだって」

 

「だから何?」

 

マルクはハッピーとシャルルのやり取りを見ながら、微笑むマルク。その後にウェンディに視線を移す。直ぐに見られていることに気づいたウェンディは、マルクに視線を投げ返す。先に口を開いたのはマルクだったために、その時間は5秒にも満たないほどの短い時間だった。

 

「ウェンディ」

 

「マルク?どうしたの?」

 

「明日、ちょっと夜話したいことあるから時間作って欲しい」

 

「うん、いいよ」

 

なんてことの無いやり取り。しかしこの短いやり取りの間で交わされた言葉。その言葉にウェンディとマルク以外が、少し食いついたが……空気を読んで黙っていた。

 

「…………どぅ」

 

「ハッピー、魚あげるから一旦静かにな」

 

「あい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、時間が経ち翌日の夜。ウェンディはメンバー全員が一時的に泊まっている宿屋から外に出て、ベンチに座り夜風に当たっていた。そして、後から足音が聞こえてきて……振り返るとそこにはマルクがいた。しかし、その衣装はいつもと違っており…腰に短剣を5本装備していた。

 

「あれ…どうしたの、それ」

 

「ん?ちょっと必要があると思ってな……」

 

「話したいことって、それ?」

 

「いや、違うよ」

 

首を振りながら近寄るマルク。そして、ウェンディの隣まで来てから夜空を見上げる。釣られてウェンディも見上げると、そこには大きく綺麗な月が昇っていた。

 

「……月が綺麗だな」

 

「そうだね…あれだけ激しい戦いがあったのが…ちょっと信じられないかも」

 

「そうだな…俺もそう思うよ…けど、実際にあった」

 

マルクは月から、ウェンディへと視線を移す。ウェンディもマルクを見返す。街の灯りよりも眩しいと感じる月の灯りが、お互いの瞳にお互いが映っているのが分かるほどに照らす。

 

「マルク…?」

 

「…ウェンディ、俺は今回の戦いで…改めて思った事があるんだ」

 

「………うん」

 

目を合わせたまま、2人は言葉を紡ぐ。水音さえ聞こえない、宿屋から聞こえるはずのギルドメンバーの喧騒の声すら、2人の耳には届かない。

 

「負けそうになった時…誰一人として…失いたくない、俺も、皆も誰も失いたくない…けどウェンディが1番失いたくないって思った」

 

「……」

 

「…それで、その時に気づいたんだ。今まで色んな言葉で言ってきたけど、俺はいちばん伝えないといけない言葉で伝えられてなかったって……それを伝える前に死んだら、って考えて……すごく嫌な気持ちになった」

 

「……その、言葉って?」

 

ウェンディの藍色の髪が、月灯りを反射する。対してマルクは近くの街頭の影が被さり、藍色のように見える。

 

「………すー………はー………」

 

マルクは大きく息を吸い、そして吐き出す。互いが、互いに痛いほどの心臓の鼓動を鳴らしていた。そして、それが相手に聞こえてないだろうかとも同じように思っていた。

 

「……好きです、ずっと…昔から………」

 

絞り出した言葉。その言葉はきちんとウェンディの耳に入っただろうか、と見当違いなことを考えてしまうマルクだったが…1呼吸入れて、言葉を繋いでいく。

 

「出来れば…今すぐに返事が欲しいけど…今は、ほら…100年クエスト中だから…100年クエストが終わったら…返事が欲しい」

 

声が少し震える。滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)の耳には、当然その声の震えは届いている。だが、マルクは冷静さで取り繕う反面…内側は心臓の鼓動と緊張でその事に気づかない。とんでもない熱を感じながらも、血が下がったかのような冷えた感覚もある。それを見越してか━━━

 

「……ふふ、震えてるよ?」

 

マルクはじっと、しかし泳ぎ出しそうな目でウェンディを見つめる。真剣に目を見ていたいという感情と、目を離してしまいたいという本能がせめぎ合っていた。ウェンディはそんなマルクの状態を察して、微笑みながら…マルクの手を包む。触れたその手は夜風に当たっても変わらない温かみを感じさせていた。

 

「…さ、寒いのかな?か、回復はしてるはずなんだけどなぁ」

 

「……マルク」

 

「っ…!」

 

マルクは生唾を飲んだ。次に出てくる言葉は肯定か、否定か。『クエスト中だから』というのは、彼自身が否定が来るのを無意識に怖がってしまったが為の言葉だった。言葉にした途端、やってしまったと彼自身後悔してしまっていた。だが、その恐怖もウェンディの手から感じる温かさに気づいた途端に和らいでいた。

 

「……マルク、えっと、私もね?」

 

「う……うん……」

 

この時のマルクには気づきようもなかったが、ウェンディもまた緊張により真っ赤になっていた。だが、勇気を出して言葉を振り絞ったマルクの事を想い……ウェンディもまた言葉を紡いでいく。

 

「……昔から、大好きだよ…だから、改めて…一緒にいたいな?今までの関係、以上に…ね?」

 

「ッ…!」

 

その微笑み、その言葉。全てを察したマルクは……溢れそうになるほどの感情を飲み込んで、冷静に徹した。今にも破裂しそうなほど高鳴っている鼓動は、顔をさらに熱く、赤くする。そして同様に、ウェンディも緊張やら何やらで顔を赤く熱くしていた。

 

「……ありがとう、ウェンディ…やっと、この言葉が言えた…」

 

「ふふ…マルクから言ってくるの、結構待ったかも」

 

「…う……」

 

「なぁんて、冗談だよ……ほら、皆の所に戻らないと、ね?」

 

「……ふふ…そうだな、戻るとするか」

 

そう言って、マルクとウェンディは…優しく手を握り合い微笑みながら宿屋へと戻るのであった。その後、宿屋に着いた瞬間に他メンバー全員がニヤニヤしている事で、この告白がバレたというのは…また別の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは魔導士ギルドディアボロス。そのギルド内で、ギルドマスターであるゲオルグが食事を取っていた。そして、その最中にアルドロンの顛末を聞いていた。

 

「ふぅ……アルドロンは土だか木だかに戻っちまったのか。そりゃあ食欲がそそられねぇなぁ」

 

「ネバルは竜化したのち行方不明…」

 

「レイスは…死んだっちゃ」

 

「あいつは元々死んでんたろ!!」

 

「………」

 

「で、てめぇらは尻尾を巻いて逃げてきた…って訳か情けねぇと言うか悪運が強えというか」

 

ゲオルグの言葉は辛辣ではあるが事実ではあった。2度のドラゴンの見逃し、そして同じ相手に2度も標的を仕留められている。それは紛れもなく失態というものである。

 

「……妖精の尻尾、侮っておりました」

 

「イシュガル最強…その名は伊達ではなかった。俺…いや、ドラゴンイーターの力であれば戦えると驕っていた」

 

「あの雷野郎…!」

 

「惚れたッちゃ」

 

「あぁ!惚れたねぇ!必ずワシが食ってやる!!」

 

キリアは、ラクサスの相手をしていた。しかしまともな攻撃で膝をつかせることは無いままに、敗北を味わされてしまったのだ。そんなスカリオン達の様子を見ながら、ゲオルグは次の指令を飛ばす。

 

「次の狙いは月神竜セレーネ……美しい竜のドラゴンと聞く。もう失敗は許さねぇ、必ず俺の前に連れてこい。スザクも同行させる」

 

その言葉と共に、スカリオン達の後ろに突如として気配が現れる。赤色の髪、携えた刀は異様な気配を放つ着物の男性。放たれる殺気は、竜を刈り取れるかもしれないという『圧』も感じさせる。

 

「黒滅竜騎団の1人、赤竜のスザク…!早く俺に喰わせろォ!神の竜の血肉をぉ!!」

 

ゲオルグがギルド内で叫ぶ。それはこれから新たな戦いが始まるという話でもある。しかし、その事にナツ達が巻き込まれるのは…まだ少し先の話なのであった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。