FAIRY TAIL〜魔龍の滅竜魔導士   作:長之助

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100年クエスト、世界で変わらぬ月の威光
月夜の静けさ


「よー、やっと進展したのかー!?」

 

「昨日も言ってましたよね!?いつまで引きずるつもりですか!!」

 

「いやー!めでたいのはいくらでもほじくり出してやるぜ!格好も変えやがってよー!」

 

マックスとウォーレンに絡まれるマルク。ウェンディに告白し、その2日後…女性陣が一部いない中で男性陣はワイワイと騒いでいた。そして、告白のこともそうだがマルクの携えた5本の短剣についてのからかいもそれなりにあった。

 

「いやだから!この格好に関しても言ったじゃないですか!」

 

「…いや、どんなやつだったかってのは覚えてんだけど…なんで付けてるんだっけか?」

 

「ちょ、グレイさん……」

 

そこまでの回数は説明していないが、ど忘れしてしまったグレイ。それを見かねて、マルクは改めて短剣に関しての説明をしていく。

 

「この5本…これ、それぞれ火、風、氷、雷、水の5種類の魔法が入った魔水晶(ラクリマ)が入ってるんですよ」

 

「それは聞いた、んでそれを利用するってのもわかってるけど…今回の戦いで、新しい力を獲得してたって所まで覚えてる」

 

「ええ…モード越魔龍…悪魔龍と違って純粋な滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)としての力を高めた力です。出来ることは…受けた魔法の魔力の吸収、そして吸い取った魔法のコピーです」

 

「……で、そのラクリマに入ってる魔法をコピーするってか?」

 

「正確には増幅して放つ、みたいな感じですけどね…」

 

短剣の1本を取り出しつつ、中に入っているラクリマを見せるマルク。『エルザさんに手伝ってもらいました』と付け加えながら、再び短剣をしまう。

 

「エレフセリアから貰った布、あれがなくても大丈夫になったんだよな」

 

「えぇ、癪に触りますけど…ディアボロスの奴らのおかげでその『枷』が完全に外れました…まぁ、コピー出来ると言っても限度は有りますが」

 

「━━━ったりめぇだ、鍵もなしにルーシィの星霊呼ばれたりカナのカードで出来ることをされたらキツイってもんじゃねぇからな」

 

「うわっと…ギルダーツさん…?ってアルコール臭っ!!!」

 

マルクの後ろから、ギルダーツが肩を組んでくる。いきなりのことに困惑していたマルクだったが、すぐにアルコールの匂いだと気づき鼻を抑えていた。

 

「あー?まだ酔ってねぇよ」

 

「酔ってるかどうかは聞いてないです!!」

 

「…なんかやけに機嫌いいなギルダーツ、どした?」

 

「へへへ、この歳になってクラッシュの新しい活用法を覚えたもんでな…テンション爆上がりよ」

 

「ゲーっ!何でまだ強くなれるんだよこのおっさん!!」

 

ギルダーツの話を聞いてマックスが悲鳴に近い声を上げる。だが元々最強だった男が更に強くなったのだと言うのだから、マックスの反応もわかりやすいものだろう。

 

「まぁ強くなれることはいいことですよ、ギルダーツさんも俺も成長したって事で」

 

「……」

 

「何ですか?グレイさん」

 

じっとマルクのことを眺めるグレイ。そのグレイに視線を返し、首を傾げるマルク。少し考えた後に、グレイはふと一言つぶやく。

 

「内心は?」

 

「未遂とはいえ2連続なのでディアボロスのヤツら絶対に許さん」

 

「…………よしッ」

 

「ヨシじゃないんだが、一体何に納得したんだグレイは」

 

「知らねぇって……というか、アイツ止めれそうな彼女はどうしたよ」

 

「ほれ、今は女性陣は風呂だ」

 

マルクの少しだけ出ていた殺気まみれのオーラに、とりあえず頷いていたグレイ。その威圧感は、周りの者を圧倒していた。それを止めて欲しいマルクのストッパーは現在━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━ドラミールにある、『亜留土之湯(あるどのゆ)』へとやってきていた。

 

「まさか大浴場があるとはねぇ」

 

「こうしてみんなでお風呂だなんて、久しぶりね」

 

「気持ちいいねぇ…」

 

「はいぃ……」

 

「にしてもこの風呂……」

 

女性陣たちの1部はこの大浴場に来ており、十分に堪能していた。疲れた戦いから一転、息抜きとしては最高峰なのではあるが…カナや一部のメンバーは少し複雑な心境なのだ。それもそのはず、この世名物の浴槽の形が特殊な為だ。

 

「……アルドロンの形してんのかい」

 

「この街は元々アルドロンの感じが目的だったみたいだけど…観光地でもあったみたいだから」

 

「そういえば色々売ってたわね…」

 

「アルドロン饅頭とか……」

 

ドラシールは、アルドロンの力を封じる街…正確には封印していたのはオーブだったが、それを剥がすシールの街。そしてドラミールはそんなアルドロンを監視する街。つまりはドラシール(封印の街)ドラミール(監視する街)というところだろう。

 

「本物では無いにしろ…事情を知ってるとなんとも複雑だな」

 

「倒した敵の上で寛ぐだなんていいじゃない、女王様みたいで………ところで2人とも何してるの?」

 

エルザと話していたミラジェーンが、アルドロン温泉の真ん中に生えた木に視線を向ける。そこにはジュビアとマホーグの2人が隠れていた。

 

「恥ずかしい…」

 

「わ、私…今回いいとこなし、なのに……」

 

「無事なだけでも良かったじゃないか……しかし、思ったのだが…思えも聞いているんじゃないのか?」

 

エルザが言った一言。明確なことは言ってないが、その言葉が意味するところをマホーグや他のメンバーも凡そ理解していた。だが、その言葉に対して理解した上で……マホーグは微笑んで…の割には少し不気味さを感じる笑顔だが、一応微笑んでいた。

 

「え、えへへ……聞いてる、けど…まだチャンスはある…から…最悪…愛人とか……」

 

「あ、愛ッ…!?」

 

「取り…はしない、から……」

 

「そ、それが心配という話じゃないですー!」

 

顔を真っ赤にするウェンディ。からかっているのか、それとも本気なのかは周りは分からないが…少なくとも落ち込んでいる様子ではないようである。

 

「……でも、おめでとう」

 

「…はい、ありがとうございます」

 

ひとまずは安心出来る状況ではあるので、この場の一同はほっとした顔をしていた。だが、そのまま話はウェンディとマルク……の関係の話へと移っていく。

 

「……でもそっかぁ、ウェンディがマルクとねぇ」

 

「びっくりよねぇ」

 

「あーあ!アタシもいい話欲しいなぁ!」

 

冗談のように喋るリサーナ。それもそのはず、ここには『そういった関係』またはそれに近しい関係の女性陣がそれなりにいるのだ。当然こういった話も出てくるというものである。

 

「ジュ!ジュビアはグレイ様に大切にされてます!」

 

「知ってるわ〜……レビィもガジルとくっついたし、ルーシィはナツと仲がいいもんねぇ……それにキナナも男見つけてるし」

 

「エリックもギルドに入るように言ってるんだけどねぇ」

 

異性関係の話を続けていく一同。その話をしている中で、1人体を洗っていたルーシィが戻ってきて話に入ろうとする。

 

「皆楽しそうねぇ〜、それにあれだけ大きかったアルドロンもこうやって見ると……えっ……ええっ…!!?何これ!?アルドロンが巨大化して…!?」

 

ルーシィが浴槽のアルドロンに少し癒されていると、そのアルドロンが段々とルーシィよりも大きくなっていく。見上げる形となり…そして更にルーシィよりも遥かに大きくなっていく。

 

「━━━違うわよ、あんたを小さくしたの」

 

「ブランディッシュ!?」

 

そして、この現象を引き起こしたのはブランディッシュ…彼女の魔法によりルーシィは小さくされてしまうのであった。

 

「勝手なことしないでよ!元に戻しなさい!」

 

「ホラ!こうした方がこの浴場が大迫力に感じられるでしょ?」

 

「そ…それは面白そうだ!」

 

「私達も小さくしてください!」

 

「あんたただでさえ小さいのに……」

 

そうしてブランディッシュは微笑み、指を鳴らして一同を小さくする。先程まで何人か入れる浴槽程度だったのが、湖での水遊びに早変わりしていた。そして、一同は小さい体を活かして温泉ではしゃぎ遊び始める。

 

「見ろよ!酒が飲んでも飲んでも減らない!寧ろ酒風呂!」

 

「か、体に悪そう……というか水風呂に近いんじゃ…?」

 

「飾りだったタダの木が、何だか神聖な木に見えてきました…!」

 

「それはただの錯覚よ」

 

しかし、一同は気づいていなかった。今この段階で既にブランディッシュはいなくなっていることに。そして忘れていた、ブランディッシュは割と…というかかなり気分屋であるということに。

 

「石鹸サーフィンよー!イェーイ!」

 

「ルーちゃんナツに似てきたね」

 

「かぽーんって奴が滝みたい!」

 

「修行〜修行〜」

 

だが、気づかないままに一同は遊び呆ける。それだけ小さな世界による大冒険というのが楽しいのだろう。

 

「泡の上でフワフワ出来るなんて最高〜!」

 

「実に気持ちがいいな!」

 

そして散々に遊び尽くして、入浴だといのに疲労が出てきたところで戻してもらおうと、ルーシィが振り返る。

 

「そろそろ戻してくれる?ブランディッシュ………って、あれ…いない…?」

 

「あ、あの…とっくに出ていきました…めんどくさいって……」

 

その事実に、一同はショックを受けてしまう。当たり前だ。今彼女達のサイズは大きく見積っても手のひらがいいところ。気付かれずに踏まれてしまう可能性もある。

さしずめ、動き回る大量のアルドロンの場所を動かなければならなくなっているのだ。

 

「え?どうなるの私達の体…」

 

「その内元に戻るのかしら…」

 

「悠長なこと言ってる場合か!」

 

「探し出すわよ!!」

 

奇跡的にも体のサイズに合わせられたタオルを巻き、女性陣達は小さいままブランディッシュを探すこととなった。だが、流石に入浴前に脱いだ衣服などは小さくする対象外だったようで……それは仕方なく置いていく事になったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あー、それで…えっと、俺のところに…?」

 

「う、うん!!」

 

「ほ、他の男に見られるのは…勘弁…」

 

「その通りよ、って言ってもあんたに見られるのも中々嫌なのだけど」

 

そして、ウェンディとシャルルとマホーグが訪れたのはマルクのところである。風呂に入っている以上、匂いは落ちている可能性が高い。そうなるば頼れるのはブランディッシュの魔力を感知する事のみ…つまり、マルクならば探してくれるという期待である。しかし、当の本人のマルクは片手で目を隠して一向に動く気配がなかった。

 

「ま、マルク?」

 

「えっ…とだな、魔力感知するのはいいけど…その前に3人の部屋連れていくけど…」

 

「何でよ!」

 

「まず1つに…あの人探してる途中で元に戻ったら…凄く恥ずかしい思いをさせちゃう。なら着替えのある部屋にいてもらった方がいい……もう1つは…目のやり場に困る!」

 

要するに、移動してる最中に戻った場合タオル姿で出ることになる。ブランディッシュが外に出ていたら外でタオル姿なのだ。それは、彼女達の精神衛生上宜しくない事である。そして単に、今の状態がマルクにとっては目の毒である。

 

「……み、見たいなら…タオル、とる…よ?」

 

「マホォォォォォオオオオオオグ!!女の子がそういうこと言うもんじゃありません!とりあえず部屋連れていくからな!」

 

取り乱しつつ、3人を自らの肩に乗せて移動するマルク。顔は真っ赤に染まっていて、照れているのが丸わかりである。だが、連れていく中でふとマルクが気になったのか目線は合わせずそのまま言葉を発する。

 

「そう言えば…白魔導士の洗脳って…見えなかったのか?」

 

「……み、見えない…私、見るのは…未来の光景、だから…何するのか、分からなかったら……」

 

「ウェンディが居なかったらナツさんたちも危なかったみたいだしな……そもそも結構広範囲に使えるってことか…」

 

マルクが少し懸念したのは、白魔導士の洗脳…白滅(ホワイトアウト)の力である。未来視でその瞬間が認識できないとなると、マルク自身も不意打ちされたら影響下になる可能性があるのだ。

そもそも本来は魔力を消すと専らの噂の魔法。魔力を食らうマルクの体質と合わさった場合どうなるかは全くの未知数である。

 

「…多分そんな広範囲には使えないはず」

 

「…あんた、それの根拠は?」

 

「街の人達を洗脳してなかったことかな…メルクフォビアが制御下にあったんなら、多分魔法にキャパシティがあるとしても街の人達を操ることは造作もないはず」

 

「そっか…そもそもラクサスさんやギルダーツさん、ミラジェーンさんやマスターまで操ってたもんね」

 

「ジェ、ジェラール……も、操られ、てた……から…」

 

「あんたもしかして、白魔導士が起きた瞬間にまたみんな操られると思ってるの?」

 

シャルルがそう指摘し、マルクが頷く。とは言っても、ほんとに気にしたのはマホーグを改めて認識した今なのだが。しかし、外にいる街の人を操らなかった以上壁など挟んだら魔法が届かなくなるのか、それとも単に範囲の問題なのかまでは分からないが━━━

 

「操られるにしても、部屋で監視してくれてる人達だけ…だと思う。それを考慮して一応ウォーレンさんやマックスさんが引き受けてくれてるし」

 

「そうだね……でも、起きた時…どうしてこんなことをしたのかは話したいかな」

 

「…だな、理由も尋ねたいし…あの謎のエクシード…トウカ自身の話も聞きたいし……2人共、部屋着いたぞ」

 

そう言ってマルクは扉を開け部屋に入る。流石にそのまま放り出す訳にも行かないので、部屋のベッドにウェンディとシャルルを置こうとする。マホーグの部屋はまた別室なので、今度はマホーグの所に案内しないといけないが……

 

「ん、なんか急にぃ!?」

 

「きゃっ!!」

 

「わっ!!」

 

「わわっ!?」

 

突如として元のサイズに戻ったウェンディ達。しかし、下ろそうとしてしゃがんでいたマルクは不意を突かれてしまい、床に倒れてしまう。そして、まだ方の上にいた3人は当然マルクの上に乗ることになってしまい……

 

「おぐぇ……な、何事…」

 

「あ、戻った!」

 

「って、待ってマルク顔あげないで!!」

 

「………時間、経過…?」

 

乗られたマルクは事実認識する前に苦しさで顔を青くし、シャルルは冷静に判断して着替えを取りに行き、パニックになったウェンディは胸元を隠しながら真っ赤にしており、マホーグはどうして魔法が解除されたのかを考えていた。

 

「ウェンディ、着替えよ」

 

「はうううう!!!」

 

「げふっ!!」

 

シャルルの取りだした着替えを受け取るウェンディ。しかし、その際に足で思いっきりマルクを踏み締めてしまい、彼に負荷がかかってしまう。

 

「あ…ト、トドメ……」

 

「あ!?ご、ごめんマルク!!」

 

「いいから早く着替えなさいな!!後あんたのも取りに行ってあげるから!!」

 

「お、お願い……」

 

そしてウェンディが着替えている間に、既に着替えていたシャルルが部屋を出てマホーグの着替えを取りに行く。そして変わらずマルクは急なダメージにより倒れたままなのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「びっくりした……」

 

「ご、ごめんねほんと…」

 

「あり、がと…着替え……」

 

「いいのよ、ウェンディもマルクも動けなくなってたんだから」

 

そして、数分もしない間にウェンディもマホーグも着替えが終わり何とか落ち着くことが出来ていた。まだウェンディは顔を赤くしており、マルクは腹をさすっていたが……

 

「まぁ…何とか戻れたみたいでよかったよ」

 

「ほんとそうだね……ってマルク体光ってる!?」

 

「ウェンディも光ってるわよ!!」

 

「さ、3人とも光って…!」

 

突如としてマルク、ウェンディ、シャルルの体が光り始める。突然の事で慌てふためく4人だが…光っていた3人だけが、瞬時に姿を消してしまう。

 

「さ、3人とも…消えちゃった……」

 

姿を消した3人…それが、新たな戦いが始まったということは…消えた3人すら、知る由もないのであった。

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