FAIRY TAIL〜魔龍の滅竜魔導士   作:長之助

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臨海魔法世界(エレンティア)

「うおっ…!?っと…!ウェンディ、大丈夫か?」

 

「あ、ありがとうマルク…!」

 

突如としてどこかへと飛ばされた一同。マルクは着地した後、ウェンディをキャッチしゆっくりと下ろす。そこは妙にふわふわした場所で、着地後にウェンディを受け止めても足に負担がかからなかった。

 

「何が起きた!?」

 

「転送魔法です!!」

 

「ってマルク!腕…!」

 

「言っても火傷で済んでるけど……ん…?」

 

先程まで対峙していた月神竜セレーネ。その一撃を腕で弾き飛ばしたマルクの腕は火傷をおっており、赤く焼けてしまっていた。即座に回復魔法をかけるウェンディだが……掛け始めた途端、その傷は直っていた。

 

「…幾ら何でも早すぎじゃ…」

 

「セレーネはどこ行った!!」

 

「ここにはいないみたいね……」

 

だが、マルクの疑問はセレーネを探すナツの声により掻き消されてしまう。そして、セレーネが居ないことで改めて冷静に落ち着きを取り戻し始めた一同は…今自らが立っている場所を再認識する。

 

「てゆーか…ここ、雲の上!?」

 

「どういうこと…!?」

 

「━━━ここは…エレンティアです」

 

ファリスによって告げられた事実。この世界には…セレーネがいる。その事実を認識すると共に、世界を越えられるセレーネの力に一同は唖然としていた。

 

「…まず、初めに…マルクさん…ありがとうございます。私を守っていただいて…」

 

「気にすんな…俺は単にセレーネが気に食わなかっただけだ…それで、ここがファリスの言ってた…?」

 

「…はい、正確には…」

 

「私とファリスの生まれた世界です」

 

トウカが注釈を入れるように言葉を挟む。だが、それ以上の驚きがあったのかナツとグレイは騒いでいた。

 

「つーか雲だぞここ!」

 

「雲って乗れたのかー!?」

 

「それは島の一つです」

 

「島……」

 

「随分とメルヘンな島ね」

 

「………理論としては、エドラスに近いか?」

 

マルクがそう呟く。そう、マルクは感じていたのだ…この世界、エレンティアの魔力の凄まじさに。『濃い』等という言葉では片付かないほどに魔力が辺り一面に張り詰めているのだ。故に、推測する。

エドラスの島も魔力によって浮いていた。ただし島の根元にあるラクリマに込められた魔力が切れてしまうと、落下してしまうのだが…そこら中に魔力があるエレンティアでは、逆に雲などは魔力で固められてしまい魔力で出来た島になったのでは無いか、と。だが、今はそれは本題では無い。

 

「でも…もふもふしてて気持ちいい〜」

 

「うむ…眠くなりそうだ」

 

「あい」

 

「つーか、乗り物じゃねぇのかこれ」

 

「俺やウェンディが酔ってない時点で違いますよ」

 

「そういうこと言うなよ…うぶ……」

 

「何で酔ってんですかナツさん!?」

 

本題では無い…のだが、雲の島という事で皆少し浮き足立っていた。それもそうだろう、アースランドではほぼ確実にお目にかかれない物なのだから。

 

「それよりセレーネを探さないと!」

 

「セレーネを探してくれるのですか!?」

 

「お前の為じゃない。お前がギルドにした事は許せる事ではない。だが、私達もプロである以上私情はさておきセレーネを倒す。それが仕事だからな」

 

「は、はい……」

 

エルザの言葉に気落ちするファリス。被害者であることは間違いないが、それはそれとして一同は巻き込まれた側に過ぎないのだ。思うところもあるという話である。

 

「はぁ…まぁ、セレーネは元々倒さなきゃいけない相手だ。ついでだから、ファリスの分まで殴り飛ばしてくるってことで」

 

「マルクさん……」

 

マルクにも思うところはある。だが、エルザの言葉で気落ちしてしまったファリスに少しだけ同情してしまい慰めの言葉をかける。元々はセレーネに世界の命運を無理やり背負わされてしまったのだ。そういう所でも、思うところはあったのだ。

 

『あら、随分立派なこと言っちゃって』

 

「っ!?」

 

「…?何か言ったかウェンディ」

 

「い、いえ!何も!!」

 

そして、突如としてアイリーンの声がマルクの耳に聞こえてきたのだ。マルクにも一応感じ取ることは出来るが、あくまでもウェンディに触れながら…の話である。しかし、今はウェンディに触れていないにも関わらずその声が聞こえてきたのだ。だが、『実はアイリーンがいるんですよー!』なんて言おうものならエルザの集中をガッツリ削ぎかねないので…黙るしかない。

 

『ごめんなさいね?魔力が多すぎる場所に来たみたいで…無意識に覚醒しちゃったみたい…それに、触れてなくても彼は私の言葉が聞こえてるみたいだし』

 

ウェンディとマルクはこれにより、先程の異常な回復速度の答えを得た。アイリーンが回復したのと、エレンティアの魔力。それによりウェンディの回復魔法が凄まじい効果を発揮していたのだ。

 

『大丈夫よ、またすぐに眠りにつくわ……けど、気をつけて?この世界の魔力、異常よ』

 

「━━━セレーネを探すって言ってもどうやって探すんだ?」

 

ウェンディとマルクは疑問を呈したグレイの言葉により、意識を話題へと戻す。そう、今はいなくなったセレーネを探さなければならないのだ。

 

「私のいた街まで行きましょう、すごい情報通がいるんです」

 

「トウカさん…!」

 

「私も貴方の為じゃないです、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の皆さんの為……それとハッピー様のために協力しますぅ〜!!」

 

「えへへ」

 

「話には聞いてたけど…まじでハッピーに惚れ込んでたんだ、ごめん信じてなかった…」

 

「……マルク、たまに酷いよね」

 

トウカがハッピーに抱きつき、その態度にハッピーは突っ込むが…突如として地響きが鳴り始める。その原因は一同の真下……海にあった。

 

「何の音だ!?」

 

「下の方……海から!?」

 

段々と地響きは大きくなっていき…海面が盛り上がり、そしてその正体が一同の前に現れる。それは、とても巨大な…そう……とても巨大な『腕』であった。

 

「なっ…!?」

 

「なんだこりゃー!?」

 

「手!?」

 

「でかー!?」

 

「こ、これは…!?」

 

「いやいやいや……!?」

 

「手です」

 

「手ですわ」

 

しかし、この異常事態にトウカとファリスは全く動じもせず平然と答える。どうやらエレンティアでは海面から腕が生えてくることは当たり前らしい。因みに、腕と言っても肘らしきものすら見当たらない上に…肘からうえらしき部分しかないのにも関わらず曲線で曲がっており少なくとも超巨大な人類という線はなさそうである。

 

「そりゃ見ればわかる!」

 

「なんで海からこんなでけー手が!!」

 

「アースランドには『手』は居ないのですか!?」

 

「いるかー!!!」

 

「そもそもトウカは兎も角、ファリスは数年間アースランドに居たんだからいないんだろうなくらい予想はつくだろ!!」

 

「もとよりそう頻繁に生えるものでも無いのと…あんまり海近くにいなかったので……」

 

申し訳なさそうにするファリス。どうやら手自体は認知はしていても、アースランドで『ない』ということを認識出来ない程度には元からそう生えるものでもないようだ。

 

「にしても…なんなのこれ…」

 

「気味が悪いな…」

 

「安心してください…手は人を傷つけたりしません」

 

「いえ、あれを…!」

 

トウカが手に向かって指をさす。一同の目の前に現れた手に、よく見れば異変が起きていた…根元から謎の模様が伸びていき、段々と広がっていく。それは今まで2人も見たことがなかったのか、驚愕の表情を浮かべていた。

 

「手に謎の模様が!」

 

「これは…何!?」

 

「手じゃねぇのかよ!!」

 

「こんな手は見たことがない…!」

 

「……ってこっち来てますけどー!?」

 

マルクがそう叫ぶ。そう、手は一同の乗ってる雲に向かって文字通り手を伸ばしてきたのだ。そして、広げた手で掴みかかろうとしていた……だが、一同に避ける術はない。

 

「ちょっと!?」

 

「掴もうとしてるぞー!?」

 

「うおおおおおお!!?」

 

「デカイ手がぁー!!」

 

「ああああ!!!」

 

そそて、一同の乗ってる雲は手に掴まれ…ちぎれて霧散してしまう。だが、大きさが大きさ…ちぎれた雲の破片を掴んでいた一同は掴まれた時に起きた風圧によって雲と同じように散り散りになり始めていた。

 

「しまっ…!!ウェンディ!!!シャルル!!!」

 

そして、同様にマルクもナツ達と…ウェンディやシャルルとも離れ離れになりつつあった。悪魔龍になろうにも、風圧が凄まじすぎて滞空するので精一杯なのと…それ以上にもはや自分の身を守ることで精一杯になってしまっていた。

 

「くっそ……うあああああああああ!!!!!!」

 

そうして…マルクは一同から離れて1人どこかへと飛ばされてしまうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……くっそ、ここはどこだよ…」

 

「━━━━地名を言われて、分かるのかしら?」

 

雲から振り落とされ、エレンティアの見知らぬ地で一人ぼっちになったマルク。辺りを見渡していると聞こえる声。聞き覚えがあった。エレンティアに飛ばされる直前、耳に着いた嫌な笑い声。そう、今マルクの後ろにいるのは━━━

 

「━━━セレーネェ!!」

 

「あら、喧嘩っ早い」

 

瞬時に越魔龍を展開し、人型のセレーネへと殴り掛かるマルク。その攻撃は片手で受け止められるが、マルクは瞬時に腕に魔力を込め…爆発。その衝撃で距離を取りつつダメージを与える見込みであった。

 

「…ふむ、それなりってところかしら」

 

「越魔龍の!!」

 

「悪魔の力を得た、ドラゴンの技を受け継いだその力…」

 

「激昂!!」

 

「もう少し見どころがあると思ったのだけど」

 

放たれた高密度の魔力。それは一瞬昂ったセレーネによって相殺されてしまう。本来魔法であれば、マルクの魔力が喰らい尽くすのだが…食らうよりも早く、大量の魔力によって消し飛ばしたのだ。

 

「…この程度?」

 

「舐めんな!!なら、この力で考えた新戦法…てめぇで初披露だ!!」

 

「む…」

 

携えた短剣全てに手を触れるマルク。その瞬間、セレーネの眉がピクりと動く。今、マルクの体には5つの魔法、5つの属性が取り込まれた。そして、エレンティアの高密度の魔力をこの世界に来た時からマルクは取り込み続けていた。故に、今マルクはとんでもない魔力を背負っているのだ。

 

「━━━行くぞ…!」

 

「速い…!?」

 

マルクは一瞬でセレーネとの距離を詰める。その速度、まさしく雷の如く。そして、既に口の中に火と風の力を複合させていた。

 

風火砲(ふうかほう)!!」

 

「ぐっ…!??」

 

火を風の力でより強力にする。セレーネに大ダメージ……とまでは言わないが、顔を歪ませるくらいはできていた。だが、これで終わりでは無い。この技を放った時には()()()()()()()()()()()()()()()()

 

雷尾槍(らいおそう)!!」

 

「後ろ…あああああ!!!?」

 

雷の槍が、セレーネの背中へと突き立てられる。物理的なダメージは無いが、雷の一撃は強烈だったのかセレーネから悲鳴が上がる。その隙にマルクは両手から水を噴出して距離を取る。

 

「凍れ!!」

 

「ぐっ…!?」

 

距離を取る際に多少濡れてしまったセレーネ。マルクの魔力によってブーストのかかった氷結魔法が、濡れた体と地面を凍らせて身動きを取りづらくする。

 

氷牙風水(ひょうがふうすい)!!」

 

「体が、より凍って…!?」

 

「これで、終わりにしてやる…!」

 

氷点下にまで下がった水分の風が、セレーネの体をより凍らせていく。五神竜と言えども、ほんの少しの時間稼ぎくらいなら出来るだろうとマルクは『ある準備』をしながら戦闘を行っていた。後は、そのほんの少し作られた時間で放つだけである。

 

「何だこの魔力は…!?」

 

「魔法を取りこめるこの力!複数同時に取り込めるなら!!()()()()()()()()()』を使えるだろうよ!!」

 

5つの魔法陣が、マルクの前に形成される。狙うは1点、月神竜セレーネ。込められた大量の魔力が圧縮され、その一撃を持って目の前の人物を焼こうとしていた。

 

「食らえ!!」

 

「くっ…!?」

 

「エーテリオン!!!!!!!!!」

 

かつて、アースランドの評議院が使用していた魔法。本来であれば1国を簡単に消し飛ばせる魔法。それを、マルクは個人で成し遂げた。威力は国1つを消し飛ばずには到底足りないが…やろうと思えば、都市の1つを跡形もなく吹き飛ばす程度ならば現実味のある技であった。しかし……

 

「……ちっ…」

 

「なるほどなるほど…確かに、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

目の前には、ドラゴンの姿となったセレーネ。その体には傷1つ見受けられなかった。『通じていない』よりも『相殺された』と考えるマルク。そうでなければ、今の最大の渾身の一撃すら通らないということになってしまうのだ。

 

「では……次はこちらの番よ」

 

「攻め手を与えるわけ、がッッッッッッ!!!!?」

 

「焦るな」

 

凄まじい速度で、セレーネの尻尾の攻撃を上から受けてしまうマルク。一撃で地面に倒されてしまうが、即座に起き上がる……だが、先程の攻めていたマルクと同じである。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「しまっ…」

 

「死ななければ、連れて行ってやろう━━━!!!」

 

放たれる高密度のブレス。それは、マルク一人に狙いを絞ったがために圧縮された魔力。マルクはそれを何とか吸収しようとするが……ブレスの勢いだけで、地面に勢いよくめり込んでいく。魔力は吸収できているが…それだけ衝撃が凄まじいものとなっていたのだ。

 

「がはっ…!!ごん゙……な゙…!」

 

「…死ななかったか、なるほど…中々どうして見込みがある」

 

頭を強く打ち、さらにそのまま与えられ続けた衝撃によりマルクは意識を失ってしまう。改めて人型に戻ったセレーネは、マルクのことを興味深そうに見続け……マルクを抱き抱えた後、一同をエレンティアへと連れていった魔法を使いどこかへと姿を消してしまっていた。向かう場所はセレーネの本拠地…セレーネと、その部下達がいる場所へと、連れていかれたのであった。




本来エーテリオンはもっと複雑で滅茶苦茶魔法陣通したりするイメージです。
今回マルクはエレンティアの魔力をガンガンに吸っているので無理やり魔力で魔法を増幅させてぶっぱなしてます。

本来複雑な工程で作られた高性能の爆弾と同じ爆発力を得るために、とんでもない量の火薬で同じことをしたような感じです。
性能でいえば劣化もいいとこですが、量でカバーしました。
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