FAIRY TAIL〜魔龍の滅竜魔導士   作:長之助

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白罰黒罪(はくばつこくざい)

「……ん…?」

 

ドグラ迷宮……の内部と思わしき場所で、マルクは辺りを見回していた。周りに誰一人居ないのだ。魔力感知にも引っかからないために近場には誰一人いない事は、すぐに理解した。

 

「つまり全員適当な場所に飛ばされた、と…」

 

この迷宮は常に広くなり続けている。そして自分の位置が迷宮のどの位置にあるか分からない以上、下手にぶっ飛ばす訳にもいかなくなってしまった。なぜなら仲間を巻き込む可能性と、崩落の危険性があるからだ。それ以前に━━━

 

「しかも魔力で満ちてる…壁、床、天井…全部魔力で満ちてる…」

 

━━━壁や床、天井には妙な魔力が込められているのをマルクは感じ取っていた。恐らく破壊不可能にするための魔法か何かが、迷宮中に掛けられているのだと答えを出していた。つまり、魔力や魔法を吸収したとしても、直結している他の部分から補われてしまうという事である。

 

「…面倒だけど、きちんと回っていくしかないか」

 

「━━━ほう、悪魔にしては随分と殊勝な心がけだ」

 

「………残念だけど、悪魔は卒業したんだ…今はきちんとした滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)だ」

 

マルクは後ろを振り向く。そこに居たのはディアボロスの1人、裁竜(さばきりゅう)のスァーヴァク…マルクが初めて会ったディアボロスの滅竜魔導士である。

 

「ふ…そんなことは関係ない、貴様は悪魔…そして罪人。その事実は変わりない」

 

「頭硬いな、しかも相変わらずの罪のなすり付け具合だ」

 

「事実だ…そして、今から敗れるのも……また事実」

 

そう言って彼が手に取った魔力で出来た2本の剣。片方は黒く、片方は白い剣…そして、それを手に取ったと同時に彼の背中には光の輪が現れ、三本ずつ黒と白の剣が備え付けられていた。

 

「…んだそれ、どう考えてもお前由来の力じゃねぇな」

 

「ダーツ…と言っても伝わらなさそうだな。ウチのギルドには奪竜(だつりゅう)の滅竜魔導士がいる。奪い、与える力だ」

 

「………いたな、そんな奴」

 

マルクはきっちりと覚えていた。越魔の力に目覚めさせてくれた、マルクの敵である。そして、その話を振る以上何かの力を外付けで与えられたのは明白。

 

「さて、説明をしよう……この白い剣は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「なっ…!?ちっ、あの記憶野郎からファリスの力を取り出したのか!!」

 

「そうだ、そして彼女は『白魔導士』と名乗っていた…となれば、黒魔導士の力も欲しかった所だが……」

 

「ッ!?まさか、ゼレフ…!?」

 

黒魔導士ゼレフ。決着自体はナツが付けたために話に聞いただけだが、彼の力は命を奪うアンクセラムの呪い…尊いと思えば思うほど制御が効かなくなり、逆に命をどうとでも思わなくなれば制御ができる矛盾の呪いである。それを付与された?マルクはそう考えてしまう。そうなれば、自分だけの問題では無い……のだが、スァーヴァクは首を横に振っていた。

 

「残念だが、それは出来なかった。レークが言ってたんだ……『あの呪いは付与したり外したりできる代物じゃない、付与した瞬間それは本体に取り憑く物だ』とな」

 

「……じゃあ、何なんだその黒い剣は」

 

「近しいものがないかと遡ってもらってね……ナツ・ドラグニルの記憶からマスター・ゼロの魔法…ジェネシス・ゼロを付与させてもらった。一撃で殺す…とまではいかないが、切りつける度に魂そのものにダメージを与え、生命力を奪っていくのさ」

 

「そうか、なら避ければいいだけだ」

 

「そして、持っている二刀と背中の6本…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!」

 

高らかに笑いあげるスァーヴァク。マルクはそんな彼を冷ややかに見ていた…のだが、突如として笑いを止めてマルクへと向き直る。その目は、余裕が存分に感じられる眼差しであった。

 

「そんな調子でいいのか?」

 

「…何がだ」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

「ッ…!!!」

 

当たり前の話である。マルクからしてみればギルドマスターでもない、そして最高戦力入もしていないと思われる彼が特別に強化をされるわけが無い。つまり、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「無論、受けたい者だけだったがな……スザクは刀1本でやっていくようだ」

 

「ちっ……」

 

ただでさえ『本気』と言われたチームまで連れ出している以上、ディアボロスが強化されるのもその本気をより高めているだけである。面倒臭いことになった、とマルクは感じていた。だが、()()()()()()()

 

「おや、あの天竜の少女を助けに行かないのか?」

 

「は?抜かせ……ウェンディもそうだが…皆がそう簡単に負けるわけねぇだろうが、お前ら全員倒して、セレーネも倒して、エレフセリアに心臓を返す……それだけだ」

 

「残念だがそうはならない……お前でそちら側は1敗は確実に付けられるからな!!」

 

「黙れ!!!」

 

そう叫び、2人は本気を出してぶつかり始める。高い魔力の持ち主同士のバトルは……迷宮の広い範囲を揺らしているのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こ、ここ…どこ……」

 

「あれー?お姉さん…妖精の尻尾じゃないよねぇ?」

 

「ッ!!!?こ、子供…ま、まさかディアボロス…!?」

 

そして場所は離れ……こちらはマホーグのいる場所。突如としてひょっこりと現れた子供の存在に驚きつつも、彼がディアボロスの1人だと気づくとマホーグは武器を構えていた。

 

「そう!僕の名前は白虎竜のハク!ディアボロスの黒滅竜騎団の1人だよ!」

 

「っ…そ、それが…なんッ…なのかは、分から…ない、けど……敵なら…倒す……」

 

「へー、別ギルドの為に頑張るんだね」

 

「……ぎ、ギルド…マーク、見せてな、い…のに…なんで、分かる…の…?」

 

「僕の仲間の1人にね、人の記憶を盗み見る趣味の滅竜魔導士がいるんだ!それでいろーんな記憶を見せてもらったんだ!だから知ってるの!」

 

「………」

 

マホーグは感じていた、凄まじく厄介だと。どこまで見られているのか、知られているのか。どういう風に読み取るのか…何も分からないのだ。もし今の段階での全員の力や技を読み取られているのだとしたら、厄介極まりないという話である。

 

「それでね…僕、運命の出会いを感じたんだ…!」

 

「…?運、命…?」

 

「そう……ウェンディ!あの子、可愛いよねぇ…!もしこの後で出会えたら告白するんだ!」

 

呆れてはいたが、マホーグも彼の言っていることはよく理解できた。確かに同性のマホーグから見てもウェンディは魅力的な人物だろう、自分が同年代の男ならば惚れていたかもしれない……と思うほどに。実際のところは友人として親しくさせてもらっていることに、とてもマホーグは感謝していた。だが悲しいかな、ウェンディの現状をマホーグは知っている。

 

「…す、する…のは、自由……だけ、ど…ウェン、ディ…付き合…って、るから……」

 

「知ってるよ!けど、僕と付き合ってもらうんだ!一生懸命に告白して、色んなアプローチをして…場合によっては戦って付き合うって約束を取り付けたりもするけど…最終的には()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!」

 

「━━━は?」

 

この日この今、マホーグは人生で今までよりもこれ以降もないという程に…『キレた』。彼には理解できない怒りの地雷原だろう、というのも理解している。だが、今の一言は彼女をキレさせるには十分に足りていた。

 

「……今、なんて?」

 

「え…えっと、僕の方が魅力的だってことを知ってもらうって…」

 

「なッ……舐めんな、クソガキ……お前、よりも…マルクの方が、魅力的、だ…!あの子、とマルクの仲…割くのは…例え、子供と言えど…許さん…!」

 

「………お姉さん、口悪いね…けどさ…強気で居られるのも今のうちじゃ…ないかな!」

 

そう言って、ハクは魔法を使う。だが()()()()()()()()()()()()()()。未来視で魔法を使うことを察知、ショートワープで視界から一気に消えて見失わせる。

 

「わ…!?ほんとに未来予知できるんだねぇ…けど、見えてなくても一緒だよ!!」

 

「ッ!!」

 

魔法の糸が、ショートワープ先のマホーグに絡みつく。だが、マホーグの武器は魔法の破壊を可能とする武器。それを無理やり振り回すことで、糸をちぎっていき脱出していた。

 

「わ!凄い凄い!!」

 

「毛糸、の…違う…人形、関係の…魔法、か……」

 

「正解正解!普段の僕の魔法はそうなんだ!!」

 

「……?普段、って……まる、で…普段じゃない、みたいな…言い方…」

 

「実際、()()()()()()()()()()

 

そう言ったハクの体から…()()()()()()()()。そして、マホーグはこれを見たことがあった……というよりも、先程出ていた話題の人物の魔法であった。

 

「さっき言ったよね、僕の仲間の1人は記憶を盗み見るって…盗み見るだけじゃなくて、魔法とかも取り出せるんだよ。でね、人の魔法とか魔力とか…何かを奪う事と奪った物を渡せる仲間もいてね。

その2人のおかげで…僕はウェンディとお揃いの魔法になったんだぁ!」

 

「…………潰す」

 

「お姉さんほんと口悪いねぇ!」

 

マホーグは史上稀に見ないほどにブチギレていた。自分の友人と、友人と自分が惚れた相手を侮辱し続ける目の前の敵が、許せなかったのだ。たとえ子供といえども容赦しない……そう思いながらこの2人もまたぶつかるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……それで、ディアボロスの皆さんを強くした、ということですか」

 

「その通りだ、俺達の力がありゃあ仲間のサポートなんてお手の物だ!」

 

「厄介な…!」

 

そしてまたある場所……そこではウェンディとリリーが、ディアボロスの2人…レークとダーツと睨み合っていた。同じように事情を聞かされた2人は、苦い顔をしていた。

 

「だからよォ…降伏さえすればこの場は見逃してやるぜ?」

 

「そちらのパンサー・リリーでは、我ら二人に立ち向かうことは難しい……そうだな、頼れるとすれば…()()()()()()?」

 

「……」

 

『記憶を読む…だったわね、なら当然私のことも…』

 

ウェンディは説明を聞いた上で、レークの放ったこの言葉に含みがあることに気づいていた。恐らく、というかほぼ確実にアイリーンの存在がバレている事に。アイリーンもそれに気がついているのか、警戒をより一層高めていた。

 

「だが、そうだな……一つ思いついたことがある。今から魔法で1人作ろう…その人物に勝てたら…君達の相手をしようか」

 

「ほう、随分と舐められた…いやそれだけ強大な相手を出すつもりか。誰だ?ゼレフか?アクノロギアか?それともウチのギルドの誰かか?」

 

「最後が答えだ……だが、君達では太刀打ちできない相手だ…確実にな……記史竜(きしりゅう)の再現!!」

 

魔法を使いながら、レークは魔法の材料に必要な瓦礫やツタなどを投げる。それはレークの魔法によって徐々に姿を形成していく……そして、形成が終わると、2人は驚愕の表情を浮かべていた。

 

「━━━悪いが…ウェンディ、リリー…お前達を倒すぞ」

 

「マル、ク…!?」

 

「くっ…!?」

 

「あの時の力…再現させてもらった!仲間の1人、そして君にとっては何よりも大切な……マルク・スーリア!モード越魔龍!

……それが、君達の相手だ」

 

目の前にいたのは、マルク。魔法で再現された存在とはいえ、そこにいるのは紛れもないマルク。突如として現れた強力な敵に…ウェンディとリリーは冷や汗を流すのであった。

 

『困ったわね…私、彼とは結構相性悪いのだけど』

 

「私とも…ですね…」

 

そもそもこの場でマルクとまだ戦えそうなのはリリー位のものである。自分含めた味方の強化、敵の弱体化…越魔龍であるマルクにはそれを取り込み自身の魔力でブーストをかけて強化して放つという特性がある。今回の場合は弱体化をかけるための魔法は利かない、寧ろ強化されて弾かれてしまうという訳である。

 

「…何とか的確に、魔法を当てていかないと…」

 

「物理であれば、もう少し通りがいいだろう…!」

 

リリーも剣を構え、戦闘態勢へと移る。魔法が通じづらい以上、ドラゴンフォースを使うのもあまり得策では無い。今回はリリーの強化に回り、何とかしてこの状態のマルクを倒さねばならないとウェンディは覚悟を決める。

 

『私もサポートするわ、全力でやりなさいな』

 

「はい…!」

 

「けけっ……俺らは見物させてもらうとするか」

 

「パンサー・リリーは兎も角…天竜の力はやられた後にダーツが奪う算段なのでね…是非、早くやられてくれたまえ」

 

そう言い離れる2人。ウェンディ、リリー…ついでにアイリーンはこのマルクを倒した後にこの2人も倒すと決め…マルクをまず視界の中心に捕らえ、この三者はぶつかり合い始めるのであった。




マルクVSスァーヴァク
マホーグVSハク
ウェンディ(inアイリーン)&リリーVSマルク&レーク&ダーツ

因みにハクは人形魔法で既にナツとルーシィを倒した後です
マホーグの口の悪さは時折マルクが口悪くなる所が移りました
レークとダーツは全部知った上で「この二人相手なら見とくだけでいいか」と舐め腐ってます
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