FAIRY TAIL〜魔龍の滅竜魔導士   作:長之助

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迷宮変動

「く、この…」

 

「あはは!無駄無駄!お人形になっちゃったら、もう勝てないよ」

 

ハクに握られ、ジタバタと藻掻くマホーグ。頼みの綱の武器は持てず、人形にされてしまった以上肉体をいくら強化しようが布と綿の塊に出来ることなんてたかがしれている。

 

「ふふ!寧ろ気持ちいいくらい!」

 

「うぅ…!この、せめて…!」

 

逆に、簡単なことで今のマホーグは死ねてしまう。子供の力であっても、人形はちぎれるのだ。ちぎられたが最後…場所によっては即死である。だが、何もしないわけにもいかず…闇雲にマギルティ=センスによる感覚リンクを施す。しかし彼女のはメルディのより劣化しており……触った部分だけしかリンク出来ないのだ。

 

「まぁでも、僕はウェンディを探さないといけないから!またね!!」

 

「わわ…!!」

 

そして、興味をなくしたかのように投げられるマホーグ。着地も上手くできず、そのまま落下する……人形の体故か痛みは無い。痛みが無いなら、感覚リンクも意味をなさない。

 

「ぶみっ!!……………どうすれば…どうすれば……!?」

 

必死に思考を回すマホーグ。自らに感覚リンクを施したとしても、人形の体では痛みは無い。痛みが無い以上痛覚が向こうに届くこともない。

武器は持てない、振ってぶつけて魔法の破壊は出来るが…それで無効化しても元の木阿弥というもので同じように人形化されて終わるだけだ。他の魔法も発動はできるが…どれもハクに対抗できるかと言われれば微妙なものばかり………と、ここまで考えたところでふとマホーグは思い出した事があった。メルディとジェラール、2人に彼らの魔法を教えて貰ってた時の話である━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「……え?私の魔法の違い?」

 

「う、うん…感覚、リンク…マギルティ=センスは、相手、と……痛覚ッを……繋げる、けど…他二つは…なんだろ、て…」

 

マギルティ=センス、マギルティ=ソドム、マギルティ=レーゼ…1つ目はわかるが、後者二つの違い…もっと言えばどういう魔法なのかを聞いていたのだ。

 

「うーん…あ!ほらジュビアいるでしょ?妖精の尻尾(フェアリーテイル)の!」

 

「………あ、あの…脱ぐ男…好きな、人…」

 

「そうそう、で…ジュビアって体が水だから物理攻撃は基本的に通じ無いんだけど…そう言った人に対して、通用する魔法…かな?ソドムは近距離、レーゼは遠距離って感じで」

 

「な、なるほど……」

 

ジュビアの様な人物は中々居ないのだが、そういった人物に効きやすい魔法。基本的には普通の攻撃としても使えるために、この時のマホーグは『通じやすい』位の認識であった。

 

「……あ、あれ…?じゃ、じゃあ……感覚リンク、してる時…使う魔法じゃ…ない、よね?」

 

「まー…基本的にはそうかも…?相手に勝てないなぁって思ったら、相手にかけて相打ちは狙ってやる!位かな…まぁそんな事するつもりないけど!」

 

「そ、そう……」

 

随分と明るく振る舞うメルディ。これでも昔は感情がないとまで言われていたらしいが…マホーグには到底信じられなかった。信じられなかったのだが……これが、今や大きなヒントになるとは…彼女は思いもよらなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「━━━い゙ッ!!!?が、ぁ…ッ!!?な゙ッ…ごれ゙、ば…ッ!?!!」

 

突如として腕を抑えるハク。何一つ傷を負っていないにも関わらず、突如として彼の手に激痛が走ったのだ。まるで、何本もの剣が彼の腕に刺さったかのような…だが、そんな攻撃受けてもなければ毒を打ち込まれた記憶も気配もない。

 

「━━━い゙、たい……でしょ…!!」

 

「ッ!!?何を、したの!!!」

 

「痛みが…ない、体に…!!痛み、与えた…だけ…!」

 

マギルティ=ソドムは物理攻撃が基本的に通じない相手に与える魔法。これにより、痛みを与えられる。マギルティ=センスは痛覚と死を共有する魔法。傷は共有しないが、痛みだけで人は死ぬことがある。答えは簡単だ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ッ…!?まさ、か…自分の腕に…!?」

 

「さ……我慢…大会、しよっか…!!辛い、ことは…慣れっ…こ、だから…!」

 

「この…!!」

 

痛む腕を抑えながら、ハクは遅いかかる。だが、明らかに先程よりも速度が遅いとマホーグは感じ取っていた。そして、単なる移動なら未来視とショートワープで回避ができる。

マホーグはショートワープで敢えてハクの文字通り眼前に姿を現す。

 

「ッ!?」

 

「えへ、へ…年上、からのハグ…!だよ…!ほっ…!」

 

そう言いながら顔に触れ、そのまま頭に触れる……のと同時に目と頭に感覚リンクを施す。そのままマホーグはショートワープで距離を離し、先程までハクがいた場所へと飛ぶ。綺麗に2人の位置が入れ替わった状態となった。

 

「何かしたみたいだけどね!何したって無意味何だか……ら…ッ!?」

 

「……ふ、ふふ……()()()()()()()()()()?」

 

「なん、で今…!?」

 

━━━マホーグが目と頭に感覚リンクを施したのには、訳があった。自らの未来視の魔法だ。感覚リンクは文字通りの生体リンク魔法。故に傷がなくとも痛覚が共有される。だが、現実には感情なども共有される魔法なのだ…マホーグの場合そこまでの域に達していないが。そこでマホーグは咄嗟に思いついた。『目で見る未来視の魔法は共有されるのか』と。実際、それは成功した。頭をリンクさせたのは…正確には脳をリンクさせたかったのだ。それに意味があったのかは分からない、しかし現実にハクは未来視の力を今体感していた。

 

「貴方、が…攻撃しようと、する……度に、私が、未来…を見る…!それ、が…共有され、て…貴方、に…無理矢理、ダメージが…行く…」

 

「ッ…!」

 

「痛み、と…慣れて…ない、感覚に…惑わされ、ちゃえ…!」

 

ショートワープでハクの両足の傍に移動するマホーグ。咄嗟に蹴リとばそうとするハクだが、未来視によってマホーグが蹴られる未来を見てしまう。慣れてない感覚に行動が止まり、マホーグは両足に感覚リンクを施す。そして瞬時に…多数のマギルティ=ソドムが彼女の両手両足にちぎれ落ちない程度に刺さっていく。

 

「ぎゃああああああああああああ!!!!!?」

 

「ふ、ぐっ…!!ぁ゙…!!」

 

痛みで悲鳴をあげるハク。わけも分からず、とりあえず敵であるマホーグを狙おうとするが…その瞬間に未来視でブラされる。頭はふらつき、激痛により更に疲弊する。

対するマホーグも、痛みに耐えていた。痛いものは痛い、ましてや人形の手足ではどこからどこまでが二の腕だとか脛だとかは全く分からないので適当に突き刺すしかないのだ。それのせいか、変なところに刺さっている気がする。血が出ないのが、唯一の救いか。

 

「ふー…!ふー…!ここまで、する、なんて…!」

 

「いっ、た…でしょ……慣れてる、って……」

 

「け、ど……僕が…頭と体を持って…引っ張れば…それで、いいんだから…!」

 

フラフラと立ち上がるハク。あれだけやっても立ち上がるのは、天晴れだとマホーグは内心感じていた。傷はなくともダメージはある。ほぼ全身串刺しになっているようなものなのに、よく耐えているものだと。さらに、慣れていない未来視での負担。それがより疲弊されているはずなのに、まだ立つことが可能なのかと。

 

「……仕方、無い…そろそ…ろ、トドメ……」

 

「ッ!!あ゙…!?」

 

構えるハク。しかし、攻撃しようとしたのか未来視を見たようで一瞬頭をふらつかせていた。それが隙となり、マホーグはショートワープを連続して行い……胴体へとひたすらに触れていく。

 

「ッ…しまっ……」

 

「……んじゃ、生き、てたら……いい、ね…!」

 

「待ッ……!!」

 

そして、一応程度に心臓を避けて…再び全身にマギルティ=ソドムを多数刺すマホーグ。最早ハクの静止の言葉は意味がなく、今持てる最大の戦法を取っただけに過ぎない。

 

「━━━━━!!!!」

 

声にならない悲鳴をあげ……ハクは奇跡的に死ぬことはなく、気絶していた。強力な魔導士とはいえ、子供である以上場合によってはショック死なども有り得たからだ。

 

「ッ……や……た…………勝………た………………」

 

そして、ハクが意識を失ったことにより…マホーグの体は元に戻る。人形の時に負った傷は元に戻れば無かったことに……という都合のいいことは起こる訳ではなく、刺し傷から血が溢れてくる。

 

「ウェ………ン……ディ……………マ、ル…………ク……………」

 

友人と、その愛する人の名を告げながらマホーグは微笑む。『やったよ』『勝ったよ』と褒めて欲しいと、少しだけ考えながら…マホーグは意識を失うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幾つかの戦いが終結していく。未だディアボロスも妖精の尻尾も残った状態で、少しずつ人数が減っていく……だが現状勝っているのは妖精の尻尾。それは、外で観戦しているセレーネと旅カラスのヒカゲも認識していた。

だが、この2人…正確にはセレーネですら予期していない事が起こっていた。迷宮が震え、揺れ、動き始めたのだ。

 

「…ッ!?なんだ!?地震か!?」

 

マルクは辺りをつい見回し、突然の揺れに驚いていた。一刻も早く誰かと合流しなければと思いつつも、しかし動きが取れぬほどに揺れは大きくなっていく。

 

「ウェンディ!!」

 

「じ、地面が!?」

 

そして、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。地面は割れ、天井は離れ、壁は組み変わっていく。ウェンディとリリーは警戒しながらも、変形に巻き込まれて一大事が起こらないようにしていく。

 

「……………」

 

動けぬものは、天に祈るしかない。巻き込まれて壁や床に潰されたりしないように…と。しかし、マホーグにはその祈る意識すら残されていないので、この変形が終わった時に意識がとりもどせる状態である事を天に託すしかないのだ。

 

「地面が…!?」

 

「迷宮が変化してる…!?」

 

そして、戦闘中であったラクサスとキリンは一時中断…そのまま変形していく迷宮に気をつけながらも2人の距離は離されていく。次に会うことがあれば決着になるだろう。

 

「命拾いしたなぁ雷の兄さん」

 

「てめぇをその棺に入れてやりたかったのに残念だ」

 

「悪いね…先客がいるんだ」

 

「また会えるといいねぇ…棺の兄さん」

 

2人は睨み合いながら、離れていき…そして変形によりお互いの姿が見えなくなる。そうして、1人だったもの…複数人だったもの……戦っていたもの…勝者や敗者………それらが全て一緒くたに混ぜられまたわけられていく。そうしてまた…次の戦いが始まっていく。

 

「━━━ぎゃう!!」

 

「おおう、いいのう…その犬みたいな格好。惨めに泣いてみぃ…わんわん、ってな」

 

「キリア………!!!」

 

あるところでは、ディアボロスの刃竜のキリアと妖精の尻尾のルーシィとの戦いが━━━

 

「いてーなこの野郎…!」

 

「お前が落ちてきたんだろうが…!」

 

「喧嘩をするな」

 

「参ったわね……全然ウェンディと合流出来ない…」

 

あるところでは、エルザ、グレイ、ガジル、シャルルの4人が合流。そして、その4人の傍による一人の影。

 

「ッ…!ちょっと待て…!」

 

「ッ!!」

 

「なんだこの魔力…!」

 

「━━━あらあら、獲物がこんなに沢山…私は蒼竜のミサキ、この辺で妹分のキリアを見なかったかしら?はぐれてしまってね……あの子、私がいないとスグ粗相をするの」

 

ディアボロス黒滅竜騎団が1人、蒼竜のミサキと出会う4人…当然、全員が戦闘態勢へと入る。そしてまたあるところでは━━━

 

「ぐ……はぐれて、しまったか…」

 

「けど…二人倒れてるっちゃ…片方はハク様っちゃ…」

 

「では血まみれで倒れてるもう1人は妖精の尻尾か……」

 

傷だらけだが意識があるマッドモールとスカリオン。そして傍には意識の失ったハクとマホーグ。2人はマホーグをどうこうするつもりもないが、ハクを回収しようと近づいていくが━━━

 

「━━━魔龍の、鉄拳!!!!!」

 

「天竜の砕牙!!」

 

「「ぐあああああああああああ!!!!!!」」

 

合流したウェンディとマルクによって、殴り飛ばされていた。そして後から着いてきたリリーと共に2人はマホーグへと駆け寄る。すぐにウェンディが治療を始める。

 

「…ウェンディ、マホーグを頼む」

 

「うん…!」

 

「……何か、嫌な予感がするっちゃ」

 

「奇遇だな……同じくその予感がしている」

 

ウェンディにマホーグを任し、殴り飛ばした二人の前に立つマルク。その表情は、あまり関わり合いの無いディアボロスの2人から見ても……『怒り』に包まれていた。

 

「てめぇら……俺の仲間ボロボロにして…覚悟できてんだろうなぁ…!しかも、いい年こいてるてめぇら2人が…そこの子供入れて3人がかりでやったってかァ…!?」

 

「か…ッ!!」

 

「勘違いっちゃあああ!!!!!」

 

戦いである以上、複数人で1人を相手にすることもあるだろう。いつもの調子ならきっと卑怯だとは言わなかったかもしれない。だが、それはそれである。気持ちと正論は時に相反するものだ。そして、ディアボロスの2人がいくら勘違いと言おうが……そもそもファーストコンタクト以降の全てが最悪すぎた以上、その言葉を信じる事は不可能である。それがわかっている以上……2人は満身創痍の体を使いながら戦う事に、世の理不尽さを嘆くのであった。

こうして、ディアボロスと妖精の尻尾の戦いは…また一層混沌としたものへと変わっていくのであった。




全身一度に果物ナイフで刺されてるような感じです
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