FAIRY TAIL〜魔龍の滅竜魔導士   作:長之助

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紫電刃

ドグラ迷宮での戦い。ディアボロスのキリアとルーシィが今戦っていた。しかし、ディアボロスは殆どのメンバーが史竜のレークの力により他の魔導士等の魔法を受け取る事によって強化されていた。

そして、キリアが受け取った魔法は…紫電竜ヴァルレト。かつてラクサスが戦い、勝つことの出来なかった紫電を操るドラゴンの魔法であった。

 

「ほれほれ!いくぞいくぞ!!」

 

鳴り響く雷鳴。あちこちに飛んでいく紫電。壁や床、天井は壊せていないが…それでも辺りに怒涛の勢いで降り注いでいく。当たれば勿論痺れるどころでは済まない。ルーシィはキリアの斬撃と共に、その紫電も避けなければならなかった。

 

「くうぅ…!」

 

「ワシのこの『強さ』を斬る刃!貴様の様な雑魚に効かぬのが残念じゃのぉ!!可哀想じゃから、この紫電で相手してやろう!!」

 

「その雑魚にすっぽんぽんにされたのは誰だっけ!?」

 

「貴様ッ…!」

 

ルーシィの煽りに怒りを露わにするキリア。両手を同時に引き、そしてそのまま……大きく振りかぶり切り裂いていく。その動きには当然、紫電も着いてきていた。

 

「紫電双破斬!!!」

 

「ッ!!キャンサーのハサミが……きゃああああああ!!!!?」

 

その同時のニ撃が、ルーシィの持っていたキャンサーフォームのハサミをいとも簡単に砕く。そして追撃するかのように、紫電がルーシィへと襲い掛かり隙を生み出させる。

 

「うおらぁ!!」

 

「きゃっ!!うぐうううう!!?」

 

「いくぞいくぞ!!紫電裂破斬!!」

 

蹴り飛ばし、そしてまた紫電。次の一撃を耐えようと体制を整えることすら許されない。そのままキリアは下から腕を振り上げ、技を叩き込もうとする。斬り刻む刃竜の力はそれだけで強大なのだ、それを理解しているルーシィは電撃に耐えながら防ぐために動く。

 

「ッ…!エトワールフルーグ!!」

 

「そんなもんで!!」

 

エトワールフルーグは、伸縮自在は魔力の鞭。だが悲しいかな、魔力であっても鞭は鞭。一切の威力減衰が行われることなく、エトワールフルーグごとルーシィの体が切り裂かれる。しかしまだ致命傷では無い。だが、軽症でもない。何度目かの紫電が…ルーシィへと襲いかかる。

 

「ぐうあああああ!!!」

 

ルーシィは改めて理解した、キリアの強さを。そして一撃を入れられる度に飛んでくる紫電も、更に強さの底上げとなる。体は徐々に痺れていき、最終的には動け無くなるほどになるだろう。その前に、キリアを倒さなければならない。その為に…さらに力を振り絞る。

 

「━━━星霊衣合成(スタードレスミックス)!!レオ×ヴァルゴフォーム!!」

 

スタードレスの掛け合わせ、凄まじい魔力消費の為に数秒から数十秒という短い期間しか使えないが…その力は、ギルド内でもトップクラスと言っていいほどに強い力である。

 

「レグルスの光よ━━━!!」

 

キリアが手に魔力を貯めながら飛び込んでくる。だが、ルーシィの魔法はそれよりも早く放たれる。それを理解しているからこそ、ルーシィはそのまま詠唱を行っていく。

 

「スピカの輝きよ━━━!!」

 

キリアが腕を引き、ルーシィを斬り裂こうと魔法を放とうとする。だが、一瞬早く周りの地面が光り輝き……ルーシィの魔力が、強大な一撃となって爆発する。

 

「レオンメイデン!!!」

 

「━━━ワシの刃は!!!魔法ごと切り裂く!!!紫電覇王剣!!」

 

「え…!?」

 

「死ねェ!!!!」

 

紫電を纏った強大な斬撃が、レオンメイデンを斬り裂く。そして、奥にいたルーシィに一切の減衰なしで飛んでいき━━━

 

「がっ━━━」

 

ルーシィの体を、バラバラに引き裂いた。そして、どう足掻いても復活を許さないと言わんばかりに…その場で紫電が爆発した。まともな人間であれば、この一撃でバラバラになった肉片すらも焦げていただろう。少なくとも、この現場を見ていたラクサスは…呆然と見ることしか出来なかった。ルーシィの死を目撃してしまったのだ、当たり前である。そしてそのまま、ルーシィは━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「━━━ピーリピーリ!」」

 

「危なかったねー!」

 

「ねー!」

 

「身代わり…!?」

 

斬り裂かれたルーシィは…黄道十二門が1人、ジェミニ。簡単に言えば特定の人物へと姿を化けることが出来、そして対象の魔法を使うことが出来る星霊である。

そして、今斬ったルーシィがジェミニだとするならば…本物はどこに?それは、ある星霊の緊急装置が発動していたために無事だったのだ。

 

「『ちょっと!!あたしの服ー!』と申されましても…そういうシステムですので……」

 

「小癪な真似を…!」

 

星霊ホロロギウム。1回の戦闘で1回きりの緊急脱出装置のようなシステムが、この星霊にはあるのだ。今のように契約者が死にかけた場合の措置…ということである。難点としては、服がその場に置き去りになってしまう…特に今回に関してはスタードレスが実質無効化されてしまうのだが。それでも、このシステムはかなり助かる能力なのでルーシィは飲み込むしかないが。

 

「『ありがとう、助かったわホロロギウム、ジェミニ』と申しております。ただし、私のこの技は1回が限度でございます…お気をつけください」

 

「ちょっと服ー!!」

 

ホロロギウムはそのまま退去する。元々服自体は布切れとなってしまったので、返す服も何も無いのだが……しかし、年頃の女子なので仕方ない面もあるのだ。因みに、ラクサスは顔を背けてみないようにしていた。

 

「うぅ…!スタードレスアリエス!

……ふぅ、危なかった」

 

「ふん…その防御技は1回しか使えんようじゃのぉ?」

 

「1回でも防げて良かったわよ」

 

「次は完全にバラバラにしてやるよォ!!」

 

再びキリアが襲いかかる。確かに、1度は助かった命だが…現状キリアの魔法を対処する術は持ち合わせていない。物理戦闘を行えばまた話は変わってくるかもしれないが、キャンサーフォームのハサミはキリアに破壊されてしまうのがわかっていた。故に、今ルーシィは手詰まりとなってしまってるのだ。

 

「ウールシールド!!」

 

「言ったはずじゃ!!ワシの刃はどんなものでも斬り裂くってなァ!!」

 

「きゃああああ!!!」

 

「そして…追撃じゃあ!!」

 

「うぐううううう!!」

 

絶え間内斬撃、絶え間ない電撃。一撃を喰らえば追撃を与えられるこの状況で、ルーシィは反撃することすら許されなかった。反撃をしようにも、電撃が怯ませて来る以上簡単なことでは無い。

 

「ぐ、ぁ…!」

 

「オラオラオラオラオラオラァ!!!」

 

斬り裂かれ、血が流れる。電撃で皮膚が焦げていき、体も動かなくなっていく。まともに立つことすらも不可能になりつつある中で、ルーシィはその意識を段々と手放し始めていた。

 

「終いじゃあ!!!」

 

そして、キリアが近づき…ルーシィの体を再びバラバラにしようと腕を振り上げて…一気に下ろす。それだけでルーシィの体は真っ二つとなりその命は今度こそ終わってしまうだろう。ルーシィも死を覚悟したその瞬間━━━━

 

「━━━ぐうぅ…!!ぬぐうおおおおお……!!」

 

「ッ…!?ラクサス!!!」

 

強さを斬り裂かれ、キリアに下っていたラクサスがルーシィの身を守る。肩から腹にかけて裂かれ、電撃を受ける。この事態にキリア本人すらも驚き困惑していた。今まで、このような事は起こった事が無かったからだ。

 

「バッ……バカな!!貴様の強さは斬った筈じゃ!!」

 

「強くなくても……ギルドの仲間が斬られる姿は見てられねぇ…」

 

「貴様はワシの言いなりのはずじゃ!!」

 

「こればっかりは仕方ねぇ…体が勝手に動いちまうんだ」

 

「ラクサス!!しっかり!!」

 

ラクサスは膝を着く。だが、その目には諦めは存在しておらず…そして仲間を守れたことに対する誇りが宿っていた。その目を見て、キリアはより困惑し…ルーシィは覚悟を固める。

 

「俺達の強さってのはよォ…個々の強さじゃねぇんだ。ギルドの絆……それが俺達の強さなんだ」

 

「ぬうう……!!」

 

「ギルドの、絆……」

 

ルーシィは、バルゴを召喚した。そしてラクサスの傍に寄らせて、フォローを入れさせていた。幾らラクサスと言えど、大きな怪我でまともに立っていられるほど頑強では無いと考えたからだ。

 

「バルゴ、ラクサスをお願い!」

 

「かしこまりました、姫!」

 

「そうだ…!あたし達の強さは、ギルドの絆なんだ…!」

 

「……絆だァ?そんなんで腹は膨れるのかい、()()()()()で切り裂かれるお嬢さんよォ」

 

「……1人じゃない。あたしの体には、仲間の記憶が染み付いてる」

 

今までの記憶を振り返り、絆を確かめるルーシィ。その絆を胸に秘め、強い…とても強い一歩を踏み出す。纏っていたアリエスフォームのスタードレスは解けていき、新たな衣装へと変貌していく。

 

「星霊衣合成!アクエリアス!ジェミニ!!」

 

「ッ!?姫!!そのフォームはまだ16秒しか維持できません!!」

 

「その16秒にかける!!」

 

まるで踊り子のような、過激な衣装に身を包むルーシィ。アクエリアスの力とジェミニの力の2つを掛け合わせたフォーム…『16秒』、この数字を聞いてキリアは直ぐに潰しにかかる。どんな力であれ、魔法である以上切り裂ける。だが、受けてしまうのはマズいと直観的に判断していたのだ。

 

「━━我は乞う━━━」

 

「ッ…!?なんじゃこれは…!」

 

ルーシィの足元から、大量の水が溢れ出す。それは流れで押し出すような水ではなく、広がり伝わるような水。キリアは困惑して、水の方に意識を向け見渡してしまう。それにより、ルーシィの姿を一瞬視界から外してしまったのだ。それが、命取りだった。

 

「━━━星々の降臨、天よりの御手━━━」

 

「これは…偽物…!?」

 

溢れた水から現れる、ルーシィを模したような水の人形。だが一気に大量の数が現れてしまい、ルーシィの姿がキリアからは見えなくなってしまう。斬れども斬れども、水では彼女の力は発揮されない。特殊な水なのか、紫電の感電も行われない。

 

「━━━照らせ、すべからく━━━」

 

「ぬぇい!!」

 

斬り裂かれた偽物は水へと帰り、また新たな偽物となって生み出される。あまりにも千日手。キリアの弱点は、物理ダメージが通じずらい相手…この事実に、キリアは歯がゆい思いをさせられてしまっていた。

 

「━━━この世を、大地を━━━」

 

「本体はどこじゃ!!」

 

「━━━ここだァ!!」

 

「エルザ…!?」

 

キリアの後ろから現れたのは、緋色の髪。振り被られるは刃。そう、現れたのはエルザだった。だがついさっきまで居なかった人間が、この場に駆けつけるとは考えづらい。しかし本物であるならば一撃貰うだけでも浅くない傷となる。

その考えでキリアは腕を振るうが…それは直ぐに水へと変わり、同じように帰っていく。

 

「……いいや!水で作った偽物!!」

 

ナツ、グレイ、ウェンディ…ルーシィの仲間達が現れてはキリアに斬り裂かれ水へと帰る。歯ごたえもなく、斬ることに一切デメリットのない相手など、キリアにとって見れば手応えがないだけで相手にならない人形。

 

「━━━その御手にて照らさん━━━」

 

「どいつもこいつも!!形だけの偽物か!!こんなもの…!だが、見えたぞ姿が!!」

 

捉えたルーシィの姿を追い、キリアは斬撃を放つ。このままいけばルーシィは切り裂かれる…だがルーシィと斬撃の間に入ったのは、悪魔龍の姿…傲慢の力を宿した鎧を纏うマルクであった。

 

「━━━瞬き流れ降り━━━」

 

「歯ごたえのない偽物が、防げると思うなァ!!」

 

キリアは考えていた。今まで現れたのは、真似た本人の魔法すら使わない木偶の坊。ならば、姿だけ整えてもその能力は真似出来ないと考えていた。故に、どのような力であっても斬り裂くことだけは可能……そう考えていたから、そのままルーシィを切り裂けると考えていた。だが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ッ!?馬鹿な、まさか本人…!?」

 

「「━━━()()()()()()()()()()()()()()()()()()()」」

 

()()()()()()()()()()()()2()()()()()。都合がいいためルーシィの姿を常にキープしているが、もう1つはルーシィの都合で変えてたりしているのだ。そう。このマルクは…ジェミニであった。しかし、一撃防いだだけで力尽きたのか…その姿は元のジェミニ達の姿へと戻っていた。だが、それで十分だった。

 

「ッ!?しまっ、囲まれた…!」

 

「━━━我らの元に降臨せよ━━━」

 

キリアを中心とし、ルーシィと水で出来た偽物のヒスイ姫と剣咬の虎(セイバートゥース)のユキノが現れて三角形になる様に囲んでいく。そして、キリアの足元に大きな渦ができ…光り輝く。

 

「星霊三位一体超魔法━━━━!!」

 

━━━ゴッドフリート!!!

 

キリアは大きな魔力の爆発に巻き込まれる。大きなダメージを与えられてしまい、彼女は気絶していた。キリアとルーシィの戦い…それは、ルーシィの勝利で終わったのであった。

 

「これが……絆の力よ…!」

 

ルーシィは魔力が尽きて、倒れてしまう。幸いにもアフターケアもジェミニがこっそり入れてくれてたのか、スタードレスが溶けた後の衣装もバッチリ着せられていた。対するキリアは、そのようなフォローは無く…着ていたラクサスの上着を消し飛ばされて生まれたままの姿へとなっていたが。

 

「……ッ!!?な、何があった…!?記憶がぼんやりして…痛ッ…!」

 

「動かないでください!深い傷を負っています!!」

 

「この、感覚…痺れて、るのか…俺が…!?」

 

キリアが倒された、つまりそれは同時にラクサスも元に戻るという事である。そしてキリアの魔法によって強さを斬り裂かれていた時の記憶は強く残って居ないのか、何がどうなっているのか全く分からない状況となっていた。

 

「ルーシィ…!?それにディアボロスの女…!どうなってやがる…!」

 

「説明しますとラクサス様は私のお尻を叩いていました!!さぁ続きをどうぞ!!」

 

「……それだけは、違う気がする」

 

尻を振っているバルゴに呆れながらも、ラクサスはルーシィの方に視線を向ける。相当な相手だったにも関わらず倒せた、この事実はラクサスの中のルーシィの評価を大いに見直す結果となっていた。

 

「……相手はなかなかの手練だったはずだ…強くなったんだな、ルーシィ」

 

ラクサスは微笑みながら、ルーシィに視線を向ける。この戦いは終わり…また1人ディアボロスは人数を減らす結果となってしまう。だが、戦いはまだ…この迷宮内で続いているのであった。




ジェミニちゃんとマルクコピージェミニにも電撃は襲いかかっています。効きません。
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