FAIRY TAIL〜魔龍の滅竜魔導士   作:長之助

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集結

「エルザ!!」

 

「奴も現れたぞ!!」

 

エルザVSミサキの戦い。ミサキの魔法により別空間へと移動していた。だがエルザがミサキを撃破したことにより、2人は元の空間へと戻ってきていた。2人共満身創痍で、見た目にはエルザがギリギリ勝ったようにも思える。だがミサキの魔法は、連れ込んだ相手のダメージを引き伸ばす魔法でもある。1秒ならば1時間の拷問の痛み、そしてエルザが連れ込まれた時間は…24秒、つまり24時間拷問された痛みが襲いかかりはじめる。

 

「ぐ、うっ…!うあぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!!?」

 

「マズイわよ!別空間でのダメージが蓄積されて…!」

 

既に満身創痍の中で、エルザはその上でダメージを受ける。このままでは命さえも危ういだろう。しかし止める手段は、この場にいるグレイ、エルザ、ガジル、シャルル…全員が持ち合わせていない。脳内に最悪の想像がよぎった瞬間━━━

 

「━━━天竜の息吹!」

 

「あ……」

 

「ウェンディ!マルク!」

 

「リリーも一緒かよー!!」

 

別の所にいたマルク達が合流した。ウェンディの魔法により、エルザは痛みから解放されるが…ダメージが酷く、そのまま倒れて意識を朦朧とさせていた。

 

「しっかりしろエルザ!!」

 

「一旦回復の魔法をかけていますが…!思ったよりダメージが酷いです!!」

 

「そういや奴は…!」

 

ガジルが、エルザと共に現れたミサキに視線を移す。その当の本人であるミサキは既に気絶しており、戦闘不能となっていた。

 

「……圧倒的不利な状況できっちり仕事するあたり…」

 

「流石エルザね…」

 

「…そっちも大変だったみたいですね」

 

「…そっちは初めから4人だったのか?」

 

「……いいえ、俺、マホーグ、リリーとウェンディって感じで…迷宮が変形した後で合流出来たんですよね」

 

ガジルはリリーに抱えられたマホーグを見て、疑問を投げかける。それに対してマルクは首を振る。彼らにとっては何故迷宮が変形したのかはイマイチ分からないが、何やら思い当たる節があるのかガジルは妙ににやにやしていた。呆れているのか、シャルルは何も言ってなかったが。

 

「にしてもえらいボロボロだな…」

 

「俺とウェンディ達が合流した時にはそうなってたんですよ…まぁ、ディアボロスを1人倒してたみたいなんですけど……2人まだ意識があったんで、そのままボコしました」

 

「ギヒ、ならいい」

 

「これで後はナツとルーシィとハッピーとラクサスだけか…」

 

「どうにかして合流してーな」

 

全員が頭を悩ませる。怪我人が今のところ2人、ウェンディは回復役として今は頑張ってくれているので更に一人減る。リリーとグレイは怪我人の2人を抱えている為にさらに2人減る。つまり戦えるのはこの場では、マルクとガジルだけとなるのだ。

 

「ひとまず、今は━━━」

 

マルクが案を出そうとした瞬間、宙に浮かんだ感覚があった。痛みはなく、足の感覚もある。つまり足場が無くなった。マルクや周りの者達は一瞬反応が遅れてしまっていた。

 

「━━━━マ、マルク!?」

 

「ちょ、おっ━━━」

 

「なんっ━━━!!!?」

 

ガジルが手を伸ばすが…間に合わず。足元に突如として空いた穴はマルクを飲み込み、彼を一同から切り離してしまったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「━━━な、にが…!?」

 

「マルク!?」

 

マルクは突如として移動させられていた。場所は見知らぬ場所、そして空中。目の前に……既にブレスの体制の炎神竜イグニア。近くにいるのかナツの声。マルクは一気に頭をぶん回す。

このまままともに受ければ死ぬだろう。そして、後ろには見なくてもわかる月神竜セレーネの気配があった。恐らくこの場に移動したのはセレーネがやった事だろう。ならば、必要なのはただ一つ。

 

「━━━俺ならば勝っていた、こんな風になぁ!!」

 

「━━━越魔龍の轟砲!!」

 

咄嗟に越魔龍を解放し、マルクは魔力の限りを持ってブレスを吐くことによってイグニアの攻撃を防ぐ。だがそこは五神竜と言われている存在か、魔力を喰らうはずの攻撃でようやく拮抗している状態となっていた。

 

「チッ!!あん時の混ざりモンか!!」

 

「マルク!!」

 

「だが……甘ぇぞ!!!」

 

「うぐぐぐ…!?ぐうぅ!!」

 

取り込む勢いよりも激しいブレス。その勢いが上回ったのか、マルクは弾き飛ばされて、ナツ達の元へと吹き飛ばされる。そして未だ続くブレスはセレーネに向かって飛んでいく。

 

「避けろセレーネ!!」

 

その場にいたスザクがセレーネに忠告を飛ばすが、時すでに遅し。セレーネはそのままイグニアのブレスによって体の一部を抉られるようにその一撃を受けてしまっていた。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「がはっ…!」

 

「うぐうぅ…!!」

 

「セレーネ!!」

 

「━━━イグニアァ!!」

 

聞こえてくる声、届く匂いと感じ取れる魔力の気配。どうやらこの場には、ナツの他にスザクとハッピーがいるのかとマルクは確信を得る。

 

「……ちっ、てめぇセレーネ…余計なもん召喚して盾にしたか」

 

「ぐ、が……」

 

「くそっ……!厄介事に巻き込まれてばっかだ…!」

 

愚痴を吐きながら、マルクは起き上がる。あまりの衝撃で意識が一瞬だけ飛んでしまっており、メルクフォビアとの戦闘中で受けた炎の一撃は相変わらず凄まじいの一言であった。

 

「つーかナツよぉ、五神竜を倒すのがてめぇの目的だろ?1人減ることにぁ変わりねぇ筈だが…それとも何だ?お前もセレーネ側だったのか?」

 

「俺にとっちゃお前もセレーネも倒す相手に変わりねぇ…!けどな、仲間同士の殺し合いってのは気分がわりィんだよ…!」

 

ナツはイグニアを睨みつける。恐らくイグニアとセレーネを見ている内に何か思うところがあったのだろうと、マルクは推察していた。事実、ナツはかつてのアクノロギアとイグニールとの戦いを思い出していた。元は人間のアクノロギアとはいえ、ドラゴンとドラゴンが殺し合いをすることに…ナツは『別のドラゴンだから』と割り切るほど大人では無いのだ。

 

「━━━はァー……仲間じゃねぇんだわ。俺に仲間なんてもんがいたとしたら、そいつァドグラマグだけだ」

 

「…だったら今は1人じゃねぇか、そのドグラマグは死んでんだから」

 

「……()()()()()()()()()()()()()()()

 

「…あ?そう感じるも何もそれが事実じゃ…」

 

『━━━仲間、だァ?』

 

イグニアの言葉にマルクが眉をひそめ、同時に聞き覚えのない声と気配がマルクにとてつもない危機感を与えていた。今のイグニアのセリフ、聞き覚えのない声、そして急に感じられる様になった魔力の気配。何故かは分からない、理屈も理由も何も分からない。だが一つだけ確信した事がマルクにはあった。

 

「この声は…!?」

 

「どこから…」

 

どこからともなく聞こえてくる声。その瞬間に、地面が……否、迷宮全体が揺れ始める。その様な事をできる者が、そうそういては溜まったものでは無い。この迷宮はかつての五神竜…元六神竜が作り出した者。つまりこの迷宮を震わせることが出来るのは実質一人。

 

「ま…まさか……この声は……」

 

『100年も墓参りに来なかった癖に仲間だと?』

 

「ッ…!?生きてたってことか…!ドグラマグは!!」

 

マルクの確信と共に地面が隆起し、中から巨大な生物が…ドラゴンが現れる。土神竜ドグラマグ、五神竜の6体目にして死んだと思われていたドラゴン兼、迷宮を作り出した主である。

 

「ドラゴン…!?」

 

「生きてるヤツの墓参りは必要ねぇだろ」

 

「エレフセリアのせいで随分と長い眠りについちまった……よう、兄弟」

 

「久しいな、ドグラマグ」

 

イグニアとドグラマグ、2匹のドラゴンは通じ合う。だがセレーネは驚いた様子であり、イグニアにはドグラマグが復活することが分かっているようだった。

 

「ど、どうなっている!?ドグラマグとはこの迷宮を作ったドラゴン!?」

 

「━━━完成したぞ」

 

「あぁ、分かってる……約束の場所で計画を始める」

 

「ッ!?」

 

「こいつら、何かを計画して…!?いや、まさか迷宮が…!?」

 

2人のやり取りから、何かを計画していた事を察知したマルク。そして同時にエレフセリアから伝えられて情報…『ドグラ迷宮は広がり続けている』という情報が、何かの鍵になると踏んでいた。

 

「先に行ってろ」

 

「ァ?」

 

「100年振りに目が覚めたんだ、体を動かしてぇ…どうやらこの迷宮に美味そうな人間が大勢いるようだ」

 

「ッ…!!」

 

「チッ…好きにしろ、但しナツだけは殺すな。そいつは俺の獲物だ」

 

この場に置ける優先順位を、マルクは即座に結論づける。今ここで三体いる五神竜を滅竜する、というのは簡単である。だが、馬鹿正直に挑んだ所で出てくる結果は全滅の2文字だ。ならば最優先を選ぶ必要がある。

①スザクとナツは争っていない、同時にセレーネとも争っていない。

 

「ほう、例のイグニールが育てた人間か。成程、お前も思う所があるわけだ」

 

②イグニアとドグラマグは協力関係だが、今ここで共闘することは無い。寧ろ何かの計画をイグニアは急ぎたがっている。

 

「いいか?ここにいる人間は全て殺して構わん。だがナツだけは、絶対に殺すな」

 

③争ってない関係上、セレーネを狙う事でスザクと戦う事になるのは単なる場の混乱を産むだけ。

 

「痛めつけるのは?」

 

「好きにしろ、殺さなければいい……俺達の作る世界を、ナツにも見せてやりてぇんだ」

 

マルクは2体のやり取りの間で結論を出す。つまり今最優先で起こす行動と狙うべきは━━━

 

「承知したぜ、兄弟……どうやらここにもやりたがりの人間がいるようだしな」

 

「モード悪魔龍!!罪なる七悪魔(セブンスシンズ)

 

マルクが悪魔龍の力を行使するのと、その場からイグニアが飛ぶのはほとんど同時であった。そして、マルクがそのまま攻撃するタイミングとイグニアを追いかけようとするナツがいるのもまた同時であった。

 

「待てイグニア!!追うぞハッピー!!」

 

「おっとォ!!」

 

「ぐうぅ!!!」

 

悪魔龍の力はマルクの持つ悪魔の力を全てまとめあげたもの。傷を負っても肉体は回復し、基本的に魔法は通用せず、力も時間が経過すれば強くなり、例え五神竜相手であろうと魔法のコピーが行える。

 

「馬鹿な…!?この、強さは…!!」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。マルクは全力、対するドグラマグは涼しい顔をしてイグニアを追おうとするナツを自らの後ろ足で遮っていた。

 

「追っても構わねぇが……そうすると、ここにいる人間全部食うけどよ…後悔しねぇよな?『あの時ドグラマグを倒しておけば…』ってよォ」

 

「ッ…!」

 

「テメェ…!!」

 

「ふははは、てめぇら分かりやすいな?まぁ…何人でかかってこようが結果は変わらねぇ、俺に勝てるわけねぇだろ?フンッ!!!」

 

「ぐおおおお!?」

 

「マルク!!」

 

そのまま、力を込め空中へと投げられるマルク。上手く羽を動かして壁への激突は何とか回避出来たが、投げた瞬間に…()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「但し『強い』ってのは知ってる、エレフセリアの心臓を使って100年間情報を集めていたからな」

 

「大きさが…!?」

 

「人型になってく!!」

 

「俺も寝起きで本来の力が出せねーかもしれん、案外いい勝負出来るかもしれんぞ?さぁ…来いよナツ、俺は土神竜ドグラマグ。この迷宮の主にして……この迷宮そのものだ」

 

小さくなり、人型となったドグラマグ。褐色のドレッドヘアーの大きな人間の姿となる。それに合わせ、マルクも悪魔龍から越魔へと姿を変貌させて地面へと降り立つ。

 

「舐めやがって…!」

 

「やんぞマルク…!」

 

「はい!!」

 

「ナツ以外は……いいって話だったな」

 

そう言いながら、ドグラマグは片腕をすっと上げる。何ら攻撃手段と思えないその行動だったが…その瞬間にナツ達は打ち上げられる。

 

「うおおおおお!?」

 

「地面が…!?ぐうっ!!」

 

そして、飛ばされた隙を狙うかのように瓦礫が2人を狙い打つ。この瓦礫、迷宮の瓦礫でありつまるところドグラマグの1部でもある。そしてこれは…()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「迷宮の…!!壁とか床の石か!!」

 

「あの壊せねぇ石か!」

 

「おいおい…そんなんでよそ見すんなよ…!」

 

「「ッッ!!!!」」

 

飛ばしている間に、瓦礫を足場にし跳んで来るドグラマグ。2人に対して拳を振り下ろそうとしたその瞬間……甲高い金属音が鳴り響き、ドグラマグの攻撃が2人に届くことは無かった。

 

「━━━━スザク!?」

 

「確認…!何とかファイアーズはまだ有効か!?」

 

「何とかファイアーズ…?」

 

ドグラマグの一撃を防いだスザク諸共着地する3人。『何とかファイアーズ』という名前に疑問を抱いてしまうマルクだったが、今はそれどころでは無いと思考を切替える。

 

「正直…!俺らで十分って言いたいところだけど…!」

 

「えぇ…!悪魔龍の俺のパワーを上回る強さ……一切の油断なくいかないと…!」

 

「みんなを守るためだ、力を貸してくれ!!」

 

「承知した…!」

 

「……こいつも、食っていい奴だよなァ」

 

こうして、この場に滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)と五神竜の6体目との戦いが幕を開けたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は少し遡り…ドグラマグが復活する直前まで遡る。場所はラクサス、ルーシィがいる場所。その場所では気絶したルーシィを運び出すためにバルゴがルーシィをおぶっていた……何故か、バルゴの亀甲縛りに巻き込まれる形で緊縛されていたが。

 

「…………あー…運び方、それであってんのか?」

 

「えぇ…姫もこういうの、好きだと思うので…!」

 

「お前と一緒にされるルーシィに同情するぜ」

 

「……それよりも、ラクサス様の方も大丈夫ですか?」

 

「…どうってことはねぇ………って訳でもねぇが」

 

ラクサスは自らの雷を軽く出そうとするが……イメージよりも弱い電流が少し流れる程度であった。ラクサスにも浅くは無い傷はある。しかし、それとは別で彼の雷の魔法に異常が生じていたのだ。

 

「…操られてた、って話だな」

 

「えぇ…私が召喚された際は既に傷を負っていたので、恐らく何かしらの攻撃による傷のカバーなのは分かるのですが…」

 

「何で負傷したかはわからず、か…」

 

ラクサスはルーシィと戦っていたキリアの攻撃を受けて傷を負っていた。その時は『強さ』を切られていたために操られており、その間の記憶を失っていたのだ。

 

「………あの女と、俺の体から妙な…懐かしいような気配を感じるが…いまいち掴めねぇ」

 

「懐かしい気配、ですか……」

 

「あぁ……ん…?なんだ、揺れてる様な……ッ!?」

 

迷宮が微妙に揺れている事を感じとったラクサス。その直後、迷宮全体が大きく揺れ始める。何かが起こったことは間違いがないが、この迷宮に飛ばされてからずっとよく分からないこと続きで段々とイライラが募り始めていた。

 

「今度はなんだよ…!」

 

「あぁ…!縄がくい込みます…!」

 

喘いでいるバルゴを完全に無視し、ラクサスは辺りを見回す。この迷宮の厄介なところは、床や天井や壁が壊れないことにある。つまり、仮に本調子であってもラクサスではこの迷宮は突破できないのだ。そんな中で、後ろから近づく影が一人━━━

 

「━━━みーつけた」

 

「……お前」

 

黒滅竜騎団の1人、黄竜のキリン。それが今ラクサスの目の前に現れていた。迷宮に明らかに何かが起こっているこの状況で、ラクサスを狙ってきたのだ。

 

「決着つけよーぜ?」

 

「そんなこと言ってる場合か?」

 

「迷宮が崩れそうってか?俺には決着の方が大事だね」

 

キリンは説得に応じるつもりは毛頭なく、ラクサスとの決着を望んでいる。ラクサスはバルゴの方へと視線を向け、仕方なく指示を伝えていく。

 

「行け!偶にはバカの相手も悪くねぇ」

 

「かしこまりました!姫は責任をもって地上へ運びます!」

 

そう言って、バルゴはこの場を後にする。そして、この場に残っているのはギルド最強とまで呼ばれている男2人。

 

「こいつは互いのギルドの頂上戦だ」

 

「そんな話されたら……引く訳にはいかねぇな」

 

そして、この場でまた新たな戦いが始まろうとしているのであった。

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