FAIRY TAIL〜魔龍の滅竜魔導士   作:長之助

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この話の頭を読んで「原作の温泉回は?」って思ったら1話前に戻ってください。書きたいこと多すぎて分けた上で長めになってます。


神を喰らい、身を授かる

「━━━ご、ごゆっくりなされば!!」

 

「……おい、今なんか走ってったけど…」

 

温泉での裸の付き合い。それが終わったすぐ後…夜も更けて行く中で、マルクはセレーネのいる場所へと足を運んでいた。夜空が見える場所であり、風呂上がりの熱が冷めてないせいかやけに涼しく感じていた。

 

「あぁ、いいのよ気にしなくて。単にからかっただけだし……スザクはからかいやすいわ」

 

「あんまり虐めるなよギルドメンバーを……」

 

「……それで?女子会になんの用?」

 

「……会って、1人しか……」

 

女子『会』と言うには、この場にはセレーネとマルクのみ。そしてわざわざマルクをカウントするとも思えず、つい首を傾げたマルクだったが……見知った魔力の塊を傍で検知していた。

 

「……なんだ、あんたも居るのかアイリーン」

 

『聞こえてるかしら?』

 

「声だけな……ウェンディから離れたのは気づいてたからどこに行ったのかと思ったら……まぁちょうどいい。別件で2人それぞれ用があったんだ」

 

「へぇ……」

 

『何の用かしら?』

 

「……先にセレーネの用からだ…ウェンディ、準備はいいな?」

 

「うん、任せて」

 

影から1人現れるウェンディ。姿こそ見えないが、マルクはアイリーンの魔力が少しだけぶれたのを感じた。きっと、ウェンディがこの場にいる事に驚いたのだろうと考えていた。

 

「…?言っただろう、イグニアから受けた傷は……」

 

「あぁ、話はちゃんと聞いてた。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

「……一応はな」

 

「貴様、何を…」

 

マルクから呪力を感じ取るセレーネ。少しだけ警戒する。だが寝込みを襲うなり夜襲を仕掛けるのであれば、会話内容が少しおかしい事になると気づきすぐさま警戒を抑える。

 

「傷はどの辺だ、その体だと」

 

「……心臓と、脇腹の間…この辺りだ」

 

「……そうか、わかった。モード悪魔龍暴食喰らい(イーター・グラトニー)

 

服の上から手で抑えるセレーネ。そして、それを聞き暴食の力を解放するマルク。説明のない行動に、セレーネは困惑と警戒せざるを得なかった。

 

「……何のつもりだ、本当に」

 

()()()()()()()()()()()()()()、そうすればあんたはイグニアから受けた傷が無くなり生きていられるって寸法だ」

 

「馬鹿な…!?五神竜の肉を体内に宿すというのか…!?」

 

「元々竜喰らいより雑食なもんでね、問題は無い」

 

問題がない、というのはマルク自身何の根拠もない解答である。寧ろ、やることは無くなった竜化のリスクを再び甦らせるだけになるかもしれない。それだけリスクの高い事を、マルクは今やろうとしていた。

 

「馬鹿な…!?イービラーの…ヴァルレトの思いを無駄にする気か!?」

 

「竜化なんざするつもりは無い、散々悪魔の力に振り回されたんだ。二度と人間辞めるかもしれないなんてゴメンだね」

 

「だったら!!お前も止めろウェンディ!!」

 

『そうよ!彼を止めなさい!!』

 

「……そうですね、止めるべき、なのかも知れません」

 

「『だったら!!』」

 

アイリーンとセレーネ。2人の声が重なる。アイリーンは竜化の悲劇を、セレーネは自らの問題を押し付けることを……それを起こすのを問題視しており、ウェンディから止めるように進言していた。

 

「けど、私はマルクの事を信じてます。絶対に、大丈夫だって……私やマルク…皆さんが『ナツさんならどうにかしてくれる』って信じてる様に、私はマルクなら大丈夫だって信じてます」

 

「━━━そういう事だよ、マスター。それにこの件に関しては僕も、マスターを助ける為と言う形で協力して案を出している」

 

「レーク…!?」

 

影からもう1人現れたのはレーク。史竜の滅竜魔法を持っている男である。セレーネには彼の登場も驚きだったようで、驚愕の表情を浮かべていた。

 

「案、だと…!?」

 

「あぁ…まずマルク・スーリアが貴女の傷がある部分を食らって肉を抉り取る。それを取り込まないでいてもらい、吐き出す。単に吐き出してもらうだけじゃない……()()()()()()()()()

 

「なっ!?」

 

本来魔導士であり、錬金術のいろはも知らないマルクが錬金術。本来であれば無謀だろう。しかし、今回はその無謀さを覆せる策がレークにはあった。

 

「既に彼には僕の記憶にある錬金術師達の技を、ダーツに協力してもらって叩き込んである。だが彼の魔力性質も加味すると、魔法によって押付けた錬金術を使うのは多くて3度が限界だ」

 

「ならばそれで自らの体を…!」

 

「それに協力する義理は無い、自ら蒔いた種は自分で拾えと僕は言ったし本人もそのつもりだ…仮に騙したなら、それなりの報復をさせてもらうつもりだ」

 

「……そんで、その錬金術でやる事がある」

 

マルク本人が、直すことは自分でやると言わんばかりにレークの案の話の続きをし始める。

 

「1つは吐き出した肉そのものの変化、竜の肉から人間の肉へと変える。もう1つはイグニアの傷を……その肉自体に宿る魔力へと変換する」

 

『人間の、肉に…?一体何のために……』

 

「…その肉を媒体に僕が『再現』をする。人の形へとね…瓦礫とかだと後々問題が起こるかもしれないからだ」

 

「…そして、私がそれにエンチャントをします。過去に1度だけやった、人格のエンチャントを…勿論セレーネさんを治すのと同時にやりながら」

 

「……そこまで来たら最後の一個だ。滅竜因子を、錬金術で人間の細胞へと変化させる」

 

「ま、まさか…!?」

 

『貴方達…私の事まで…!?』

 

━━━つまり、セレーネの肉を媒介に人間の肉を作り…その肉を媒介にして新しいアイリーンの肉体を再生。そして、ウェンディがアイリーンの人格をその肉体にエンチャントする……3人が作った案は、こういう事である。

 

「…けど、無理強いはしない。あんた達の覚悟が決まってるなら、どうしても貫きたい事があるなら……そうしてくれ………まぁ、少なくともアイリーンのやりたい事は察しているけどな」

 

『へぇ……』

 

「あんた、セレーネの傷を引き受けて死ぬつもりだろう。ウェンディに迷惑がかからない方法…まぁ多分セレーネにゲートを開いてもらってエレンティアかエドラスに行く、くらいだろうけど」

 

『……』

 

図星だったのか、アイリーンは言葉を発さない。マルクは軽くため息をついて、再度セレーネを見る。暴食の力を解放しているため表情は読み取りづらかったが…セレーネにはまるで問うてるような表情に伺えていた。

 

「どうする?」

 

「何故…私の為に……」

 

こいつ(レーク)はギルドマスターの為、俺達は…あんたを信用したからだ。あんたの言葉に、嘘偽りはないと…そう感じたからだ」

 

『…じゃあ、私を助けるメリットは?』

 

アイリーンから聞こえる言葉。マルクは少し黙った後に、いるであろう方向に顔を向けて…言い放つ。

 

「いい加減エルザさんと話をしろや、って思った」

 

『は…?』

 

「アルバレスの時の戦争…親子として会話出来たのはほんとに少しだけだった……お母さんとして、娘のエルザさんにみっちり叱られながらでも…話しといて欲しいって思った。それだけだ」

 

マルクの言葉に、アイリーンは言葉を失っていた。だがそれは悪い意味ではなかった、それはアイリーンがかつて失っていた…娘への愛情から言葉を失っていたのだ。

 

「あんたがエルザさんに、罪悪感を感じてるのは分かる。1回は敵対して…憎しみさえ向けてたしな。それで最期にエルザさんへの愛情が出てきて……多分、相当苦悩してただろ」

 

『それは……』

 

「けどな、それを死んで償おうなんて…絶対だめだからな。ちゃんと話して…その上でどうするか、決めて欲しい」

 

『……けど、あの時の死を…無かった事になんて…私が生きていても…』

 

「………セレーネとエレフセリアだって、話し合って争うことなく今日を終わらせたんだ。親子である2人が話をせずに終わるなんてのは、俺はさせたくない」

 

『………ふふ、そうね…2人が話してるのに…私が話を少しもしないままなんてね……諦めてたのに…諦めてあの子の為に、黙って償おうと思ってたのに……』

 

2人からは肯定は無い。だが、絶対に死ぬべきだという答えは返ってこなかった。マルクには、それで十分だった。セレーネへと向き直り、暴食の力を向け……全員に緊張の力が入る。

 

「……いくぞ、セレーネ…アイリーン」

 

「…任せたわね」

 

『えぇ……』

 

そして、マルクの暴食の腕が……セレーネを襲うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

,

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、喧嘩はよせ」

 

「黙ってろナツ!!こいつは自分の負けを認められねぇカスだ!!」

 

「だから負けてねぇんだよ!!俺は10%くらいしか出してねぇし!!」

 

「俺は5%だぜ!!」

 

「じゃ、じゃあ俺は1割だ!!」

 

「それ10%だよ」

 

翌朝。改めて話し合いの席を設けていた一同だったが、相変わらず…どころか悪化する勢いでラクサスとキリンが喧嘩をしていた。いつものナツとグレイの喧嘩のような子供じみた言い争いが繰り広げられていたのである。

 

「だから喧嘩はよせって」

 

「ナ、ナツが喧嘩を止めるなんて……」

 

「やめねーなら……俺も混ぜろー!!」

 

「こうなると思ってたけど……」

 

「何がしてぇんだナツは……」

 

意気揚々と混ざりに行くナツ。その様子に呆れるグレイとルーシィだったが、しかしどちらにせよ止める人物が余程強くない限りこの2人の喧嘩は止まらないだろう。

 

「にしても本当にラクサスさんがここまで喧嘩腰なんて珍しい……」

 

「全くだな…ウチのキリン様がここまで喧嘩腰とは…余程罪深い男なのだな、ラクサス・ドレアーは……全くお前の仲間は罪深い者ばかりだ」

 

「…は?まだ罪罪言ってんのかよ?荷物大好きか?その辺に荷物扱いで一緒にこのギルドの倉庫にでも積んどいてやろうか?積荷野郎が」

 

「黙れ玉無し」

 

そして2人の喧嘩の最中の傍らでマルクとスァーヴァクが殴り合いの喧嘩をしていた。そして、その2つの喧嘩の傍で…かなり重苦しい空気があった。セレーネとエレフセリアである。

 

「……あっちの方の喧嘩、深刻そうだけど?」

 

「大丈夫喧嘩にはならないよ」

 

「だといいんだけど」

 

「……ならば、月神竜セレーネはもう人を殺さぬ…というのか?」

 

「『約束』したからな……しかし、私に危害を加えてこない者は除くが」

 

「危害を加える者は殺すのか」

 

「当然だろう、私とて自分の身は守りたい……何か間違ったことを言ってるか?ミサキ」

 

傍に立っているミサキに話を振るセレーネ。ミサキは涼しい顔をしながらも、セレーネに返答をしていく。

 

「いいえ、当然の権利かと」

 

「……人は人を容易く殺さん」

 

「…そうなのか?」

 

「ま、それも一理ありますね」

 

「人間の世界には、理性と善性を前提とした『法』があるからね。従わなければ罰則があり、その罰則に従わなければさらに思い罰則を強いる……それにより容易に殺そうとすることは無い、かと」

 

ミサキの言葉をフォローするかのように、レークが付け足す。セレーネは知識としての認識はしていたのか、納得した表情をしつつも少し考え…そしてエレフセリアに向き直る。

 

「ならば善処しよう」

 

「むぐぐ……」

 

納得できないエレフセリア。しかし、頭では理解できているが故の葛藤が彼を襲ってしまっており…こればかりは感情論の為に彼自身も制御しきれない部分なのだ。

 

「他には?」

 

「…ビエルネスとイグニアの居場所を教えよ」

 

「知らぬ…他には?」

 

「…ぐぐ……ぐぐぐ…!!今まで殺してきた人間達に謝罪せよ!!ワシの友もいた!大切な、仲間達に…!」

 

「エレフセリア様……」

 

「分かっておる!!分かってるんじゃ!!そんな物に意味が無い事くらい!!セレーネだって生きる為にやっていた事だ!!我々だって生きるために動物を殺す!分かっておるんじゃ!!ただ…100年もの間ドラゴンに敗れ、倒れていった友の顔が忘れられぬ!!ワシの方が間違っていると理解しておるのに忘れられぬのじゃ!!」

 

叫び、涙を流すエレフセリア。彼自身も理解していることが、納得ができていない。分かっているからこそ、自らにすら呆れそして怒ってしまう。無駄だとわかっていても求めてしまう。それが、彼の心をかき乱していた。

そして、エレフセリアの言葉を聞き……セレーネが無言で立ち上がる。

 

「セレーネ様…!」

 

「謝罪しよう……」

 

「よせ!ワシが惨めになる……謝罪など━━━!!」

 

「━━━すまん」

 

「…………は?」

 

セレーネの頭を下げず、一言だけで終わらせた謝罪にエレフセリアは思考が停止する。そして、他はあまりにも軽すぎる謝罪に驚いてしまっていた。

 

「ッ………!!ッ…!!!ッ………………ふ、ふふ……ふハハハハ!」

 

「……私の謝罪、何か間違っていたか?」

 

「………」

 

「……えっ、と……」

 

あまりの事にエレフセリアは笑い、そしてミサキとレークは答えなかった。間違っているかと言われたら、間違っている。だが明確な答えがあるかと言われれば…それもまた否であり、答えようがない質問であった。

 

「セレーネよ…ワシからも謝罪させてくれ。人間は不条理にドラゴンの命を奪ってきた。お互い様だったんじゃな…すまなかった」

 

「その話は風呂でもしたと思うが……間違っておるか?」

 

「いいえ、確かにしてました。人間も竜も同じだと」

 

「まぁ…改めて言葉にして明確にする…それもまた大事なことではあるので」

 

そして、散々に笑った後に…エレフセリアは頭を下げて謝罪をしていた。セレーネは不思議そうな顔をしていたが、改めて全員はドラゴンも人間も同じという結論に至るのであった。

 

「……さて、ともういいかな」

 

「…?どうした、マルク」

 

マルクが喧嘩を終えて一同の前に来る。エルザは不思議そうにしていたが、マルクは構わず進行していく。

 

「もう1つ、終わらせる話があります……頼む」

 

「うむ」

 

マルクはセレーネに頼み、ゲートを開いてもらう。そこから1人の人物が…全員の前に姿を現す。その姿に、見知った者達…特にエルザは驚愕の表情を浮かべていた。

 

「なっ…!?」

 

「……知らない人も、いると思うから…改めて…アイリーン・ベルセリオンよ。元スプリガン12(トゥエルブ)の1人…今は……」

 

「何故貴女が生きている!!」

 

驚きのあまり、叫ぶエルザ。アイリーンの方も、冷静そうに見えて少しだけ震えていた。全員に緊張が走る中で、マルクは敢えて無視して話を進めていく。

 

「この人はアルバレスとの戦争の時に、俺とウェンディ…エルザさんと戦った人です。その時に色々あって…実はウェンディの中に意識と彼女の魔力だけが残ってました」

 

「なっ…ウェンディどうしてそれを黙って……いや、私が混乱するからか…済まない……」

 

「い、いえ…!」

 

「……それを昨日…まぁ方法の説明は重要じゃないんでは省略しますけど、新しい肉体にその意識を移しました。このままいても、ウェンディの魔力と押し合って大変な事になりそうだったので」

 

マルクの説明を静かに聞く一同。事情を知ってるメンバーは落ち着いてるが、知らないメンバーからしたら何が何だか分からない状況である。

 

「…それで、事実上の蘇生…か」

 

「ね、ねぇエルザ…この人って…」

 

「……私の、血縁上の母親だ。そして同時に…滅竜魔法の始祖でもある」

 

エルザの言葉に、妖精の尻尾(フェアリーテイル)のメンバーも、他のメンバーも驚愕の声を上げる。エレフセリアでさえ、驚いていた。

 

「……2人で、一旦話し合っててください。最期があんな別れ方なんてダメだって俺がエゴを通したんです。エレフセリアとセレーネだって和解できたんだ、だから……お願いします」

 

頭を下げるマルク。エルザは少し困っていたが、しかし申し訳なさそうなアイリーンを見て、ほんの少しだけため息を着く。そして、向き直り…近づいていく。

 

「……2人で、話そう」

 

「……えぇ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

,

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2人は、ディアボロスから少し離れた草原へと来ていた。しかし、会話することも無いままに2人で座り込んで数分が経過していた。

 

「……ね、ねぇ━━━」

 

「━━━私が親と呼べるのは、マスターただ一人…それは変わらない」

 

遮るように、視線を合わせないままエルザは話し始める。エルザが話し始めたので、アイリーンは口を噤んでエルザの話を遮らないようにする。

 

「しかし…貴方が母親だと現れた日からずっと…『もしかしたら一緒にいれたんじゃないか』とさえ思った」

 

「……」

 

「けど…貴方はギルドに刃を向けた。侵略して、そして仲間を…家族を傷つけた許されない敵だった」

 

「ッ……」

 

「けど、あの時に見た顔は……優しいと思えた。だから、今までの貴女への印象は…悲しい人、だった」

 

声音に、怒りも恨みも…何も無い。無論ギルドを狙われた怒りはあるものの、それは既に解消されており…エルザにはアイリーン個人に抱く恨み事は存在していない。それは、アイリーンも察していた。

 

「…私は貴女の事をずっと覚えていくつもりだった」

 

「……それは、どうして?」

 

「私の母……だって、何となくあの時に感じてしまったから。なら、母だった貴女の事を…覚えていよう、そう決めたんだ」

 

「……今は、どう思ってるの?」

 

「……正直、そこまで決めた覚悟をひっくり返されたような感じがした。けど、怒りはないんだ…驚いただけで……」

 

「……」

 

「……人間とドラゴンだって、和解できる…あの光景を見せられた後で考えると…人間同士が和解できなくてどうする、って気持ちがある。けれど、貴女と家族だと言われても…すぐに受け入れて仲良くするのは…難しい」

 

そこまで喋った後で、エルザはアイリーンと目を回せ…そして彼女の手を握る。それは優しく包み込まれる者で…アイリーンは、直感で改めて感じていた。『エルザは娘なのだ』と。同時に、殺し合いまでした相手を受け入れることが難しいというのも、理解していた。

 

「━━━だから、これからゆっくりと…話し合って、貴女の事を聞かせてほしい」

 

「あ……!」

 

「私は貴女の事を何も知らない、貴女もきっと私の事は何も知らない…けど、敵では無い……それがわかっているなら…後はお互いの事を知る為に、話し合う…それだけじゃないか」

 

エルザがアイリーンに向ける笑顔は、とても優しかった。アイリーンは、肩の荷がおりたような、胸のつっかえが取れたような…楽になった様な感覚だった。だが、それは堰き止めていた物を吐き出させるように…彼女に涙を流させていた。

 

「えぇ…!えぇ…!!これから、ゆっくりと……!!」

 

「これから…宜しくお願いします、『アイリーン(お母さん)』」

 

「えぇ……ありがとう…ありがとう…『エルザ(私の娘)』……!!」

 

今日、ドラゴンと人間…母親と娘が話し合い和解することが出来た。これは各人に取って小さな1歩だが、進歩のある1歩だと感じていたのであった。

 

 

 

━━━五神竜、残り二体━━━




予め言っとくと大分原作と違いますが、流石にアイリーンを100年クエストに本格的に参加させるのは無法なのでしません。錬金術より無法な人参加させたら終わりです。
後ちなみに種族としてはきちんと人間になってます。
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