金神竜ビエルネスと、炎神竜イグニアのいる場所を求めて情報収集をすることになった一行。だが、一切アテが無いこともあり一度ギルドへと戻ることに。ついでにビエルネスやイグニア自身の詳細、さらに神竜達に対抗できる兵器ともされる『アテナ』の情報もまとめて探していく事となった。
「まさかマルクが玉取られて帰ってくるとは思わなかった」
「背が縮んでいるのである」
「ウェンディに抜かされてないか?」
「ウェンディの前で玉とか言わないでくれます?」
「……?」
「分からなくていいわよ」
一行の帰りを快く受け入れているギルドメンバーだが、やはり1番驚かれているのはマルクだろう。錬金術を覚えねば戻せない、というのはセレーネとアイリーンから言われているが……それでも情報が欲しいマルクは、神竜関連の情報に加えて錬金術に関しての情報も欲しがっていた。ただ一つだけ懸念があったが、その懸念も解消する為にマスターであるマカロフに話を聞きに行くつもりだったのだが……
「という訳で、情報収集のために1度帰還しました」
「そうかそうか……」
「ギルドの書庫なら五神竜についての文献も見つかるのでは…と思い……」
「後錬金術の本を……」
「そんなものありゃせんわい」
あっさりと言ってしまうマカロフ。そのアッサリさにエルザもマルクも言葉に詰まってしまうが、諦めずに詰め寄っていく。
「しかし一応探すだけ探して……」
「あ、あるかもしれないじゃないですか…!」
「このギルド何回壊れたと思っておる、古い本や優先順位の低い本は残っとらんし確保できとらんわい」
エルザもマルクも、この言葉で理解してしまった。今まで何度か起こったギルドの爆発や崩壊、ついでに言うと天狼島での1件で借金返済のアテ……諸々の諸事情にてギルドに本は残っていなかったのだ。因みにレビィが個人で所有している本もあるが、今回調べる予定の五神竜の本は当然あるはずもない。錬金術に関しての本も、イシュガルでは名すら滅多に聞かない錬金術の本は彼女も獲得していなかったのだ。
「…しかし、そういう事ならセイバーが良さそうじゃな」
「……セイバー?セイバーって
「うむ、あそこは確か大陸一の図書館があったはずじゃ」
「へぇ…聞いたこと無かった……」
剣咬の虎、この大陸にて今は妖精の尻尾の次に大きなギルドでもある。
「成程…では貸して貰えるように書面を出しましょう」
「ですね、それで行きましょうか」
「む……エルザ、お前が手紙を書くのか…?」
「……?はい」
「……マルク、エルザの手紙を書くのを手伝ってやってほしい」
「…?まぁそれはいいですけど」
深刻そうな顔をしたマカロフに疑問を抱きながらも、マルクは了承した。この後……何故かお出しされる単語や言葉遣いが壊滅的すぎて、喧嘩を売ってるようにしか見えないエルザの手紙にマルクはひたすら修正を入れるのであった。
,
「いやぁ、久しぶりだったなぁギルド!」
「プーン」
「ルーシィちゃん久しぶり〜」
「そんなとこ歩いてると危ないよ〜」
時同じくして、ルーシィはギルドのメンバーと久しぶりに話をし…一度自宅へと戻ることとなった。久しぶりの我が家、ゆっくり寛ぎ疲れを取ろう…と思いながらルーシィは歩みを進めていく。
「てかあたしの部屋も久しぶりよね、大家さんに部屋の掃除は頼んであるんだけど……それでもあの時以来だよね〜」
「ぷぷーん」
「……あれからもう1ヶ月か〜、久しぶりの我が家……ただいま〜!」
返す者は誰もいないが、それでも挨拶というのは出てしまう者である。ルーシィはのんびり過ごすつもりで開けた扉を潜り、部屋の様子を確認する。
「よぉルーシィさん」
「スティング君、まずはお邪魔します…ですよ」
「すみませんお邪魔してます…」
「久しぶりだな」
「フローもそーもう」
「帰ってきたか」
「んだよ、帰ってきたのか…もうよ……」
「あたしの部屋ーッ!!」
返す者はいたしそしてなんなら男女混合かつ猫もいる。そこにはギルドの方で話が出ていた剣咬の虎の一同が集結していた。マスターであるスティング。スティングの相棒のレクター、そしてスティングと同じ滅竜魔導士のローグとクォーリ。ローグの相棒のフロッシュ。ルーシィと同じ星霊魔導士のユキノ、そして剣咬の虎前マスターの娘であるミネルバ……このメンバーが集結していた。
「な、なんであんた達がここにいる訳?」
「いやー、説明すると長くなるのですが……」
「大家さんに入れて貰ったんだ!」
「短っ!!?」
「フローもそーもう」
「部屋に入った方法じゃなくて、
ルーシィの当然の疑問。勿論何故ルーシィの部屋に…という意図もあったが、別ギルドの…マスターも一緒になっているのが疑問であったのだ。そもそも女性の1人部屋に男性が入るなという話なのだが。
「数日前に妖精の尻尾に行ったのですが……」
「誰もいなかったんだ」
「気になるだろう?『一人もいないのは何故か』ってな、マスターも、受付のミラジェーンさえもいねぇってな…他のメンバーは兎も角重要な人物さえもいない……当たり前だろう?疑問になるのは」
「………あ…!」
思い当たる節が1つ。白魔導士…ファリスに操られていた時の出来事である。その際にこのメンバーはやって来て、疑問に感じ街に滞在していたとルーシィは頭の中で辻褄があっていた。
「不用心に思ってな、数日様子を見ようという話になって……」
「宿を探していたらここの大家さんがこの部屋を紹介してくれたのだ」
「ここは宿じゃないし!」
「フローもそーもう」
「それにしても天下の妖精の尻尾の魔導士さんとは家とは思えない狭さですね」
「余計なお世話よ!気に入ってるのよ!!」
「気に入ってるといえばタンスの二番目の下着どれも派手で……」
「勝手に見ないでよ!!」
炸裂していくルーシィのツッコミ。疲れを取ろうと思っていた矢先に疲れる事が起こってしまっているが、部屋の中の物色は兎も角としてもギルドの様子を見てくれていたのは善意なのでルーシィは余り怒らないでいた。
「まったくもう…ユキノがついててなんでこうなるかなぁ…」
「すいません…」
「フローもそーもう」
「そう言えば…ほかの皆も帰ってきているのか?」
「あー……まぁ、色々あったけどなんとか」
事情が事情な為に余り正確には語れないが、無事に戻ってきているのは事実なのでルーシィは誤魔化しながら目を逸らして答える。
「よーし!!久しぶりにナツさんに会いに行くかー!」
「ハッピー君とシャルル君にも会いたいですしね!」
「フローもー」
そう言って、帰ってきた事の確認と久々に会いたい人物もいるという事でこの場にいた全員が妖精の尻尾に行く事となったのであった。
,
「丁度お前達の話をしていたところだったんだ。用事があったので、手紙を書いたのだが……取り越し苦労だったな」
ギルドに着いて、エルザと話していたローグ、ミネルバ、レクター。しかし、エルザの書いた手紙の原本を読んで顔面を引き攣らせていた。
「そしてこれが訂正したあとの手紙です……」
「…これで同じ手紙とはな……喧嘩を売ってるようにしか見えぬぞ……」
「文才無さすぎですね……」
マルクがげっそりしながら渡していたが、その余りの違いに恐怖すら感じる程であった。しかしエルザに一切悪気はなく、そして礼儀正しく書いた…つもりとはいえ気持ちは伝わるのでこれ以上は何も言えないのであった。
「………」
「……どした?クォーリ」
「いや、誰だあいつ。いたか?あんなの……なんか覚えあるし」
「いやここメンバー多いから忘れてるだけだろお前…いやでも確かになんか嗅ぎ覚えのある匂いだな」
「だろ」
そしてクォーリはマルクをじっと見て、そう呟く。スティングさえも気づいていない。当たり前だろう。性別が変わった、なんて誰も信じないのだから。
「何言ってんだお前、こいつマ」
「ナーツーさーん?ちょっとこっち」
「もがっ!?」
喋ろうとしたナツを、マルクは無理やり引っ張って移動させる。そして少し離れたところ…と言っても、周りのガヤに掻き消されるのも含めて滅竜魔導士の耳に入らない程度に離れた上で、話し始める。
「んだよ」
「事情説明すんの面倒ですし、もうこのまま知らねぇ奴で通しときましょうよ」
「何でだよ」
「どうせすぐに
「殴り飛ばしゃあいい」
「それはそうなんですけどね、イグニアとかビエルネスとか調べ物さっさと終わらせたいんで、無駄な時間かけないようにしましょうよ」
「しゃあねぇなぁ……」
納得してくれたナツに安堵しながら、マルクはナツと一緒に戻る。気づくと何故かクォーリが腹を抱えて笑っていたが、マルクは首を傾げるしか無かった。ナツも同じことを考えたようで、指をさしながらスティングに確認をとり始める。
「おい、なんかこいつ笑ってんだけどどうした?」
「何か中の親と話してたみたいっすよ、そしたらコレ」
「ヒー…!ヒヒッ……あー、笑った笑った……あー、なんだ…」
「「「………?」」」
「急に女装趣味に目覚めたのは驚いブフォッ!!すまんやっぱ無理!ハハハハハハ!!!」
マルクを指さしながら笑い転げるクォーリ。つまりは、気づかれてしまったのだ。中にいるドラゴン、フリーゾによって。
「ハハハハ………………………いやぁ、すまんな。まさか言うたらあかんかった?」
「………あぁ、親の方か。まぁ、出来れば……」
余り出てこないが、クォーリの親であるフリーゾはクォーリの魂に引っ付くような形で今も生存している。故にやろうと思えばクォーリの意識を引っ込めて、出てくることも可能なのだ。
「しかしまぁ、ちょっと見いひん間に様変わりしすぎちゃう?というか……そこのナツもそうやけど…ドラゴン臭いで自分ら…色んな匂いが混ざっとるけど、ナツに関しては…イグニールとよく似た匂いがするわ」
「……いや、申し訳ないけど事情説明はできない」
「あー……
良くないことを察知したのか、それでフリーゾは引き下がる。そしてしばらく無言になった後……いきなり顔を上げて左右を見渡していた。どうやら、クォーリが再び出てきたらしい。
「……で、俺達の『言えない事情』の為に使わせて欲しいところがあって……」
「確か剣咬の虎には、大陸一とも言える図書館があったじゃろ」
マルクのセリフをマカロフが引き継ぐ。ようやく本題に戻れたので、全員が改めて気を引き締め直す。
「よくご存知なもんですね、マスターマカロフ」
「セイバー大図書院は歴史的な我がギルドが誇る図書館です、ハイ」
「つまり、そこで調べ物がしたいって?」
「そうそう、今やってる仕事に関わんだよ〜それもマルクの言ってる『言えない事情』に関わってんだけどな〜?」
「………?」
「変な顔でフロッシュを見るな!!」
フロッシュにデレデレした顔をしながら、グレイは砕けた態度で接していた。フロッシュは何故自分が見られているのか分からない為に、首を傾げていたが。
「……大変申し訳ないのですが、セイバー大図書院は外部の方には公開していないのです」
「かてーこと言うなよ!俺達の仲だろ!」
「ユキノさんにそれ言っていいのルーシィさんだと思いますよナツさん」
「つーか図書館ってなんだ?」
「本がいっぱいあるところだよ、昔ウチにもあったでしょ」
「あ……そうなん…」
「急に興味無くしすぎ!!」
露骨にやる気をなくしているナツ。こう言った勉学の方面に対する興味は、ナツにはほぼほぼ無かったのだ。
「……まぁ、マスターである俺の権限で一時的に貸してやってもいいんだけどさぁ……ただで貸すのも面白くねぇ、1つ勝負で決めねぇか?」
「おっしゃー!燃えてきたぞ!かかってこいやスティング!!」
「やだなぁ、普通にケンカしても面白くないっしょ」
「いーや!面白ぇ!ホラ!やろうぜ!」
「ナツさんケンカしたいだけでしょ」
「まぁ…喧嘩したくねぇもんな、今まともに喧嘩したら勝てる体じゃねぇから」
煽るような顔で指をさすクォーリ。マルクは明らかに自分に向けられている言葉なのを即座に理解し、少しだけムッとした表情をしながらも視線は変えずに仕返しを始める。
「煽るだけしか無いのか?氷みてぇに思考回路が透き通った脳みそだな」
「売っていいのか?喧嘩をよ……可愛い顔に傷がブフォッ!!ダメだ言える自信ねぇよ面白すぎて」
「脳までツルツルの氷になったか?それとも寒さで口が動かねぇか?氷竜の滅竜魔導士だからか話す内容がツルツル滑ってんぞ、あぁ唇も凍って滑るから喋りづらいのか?」
「………やんのか?」
「先に煽ったのはそっちだろうよ」
「んじゃあ喧嘩を買ったって事でいいよなぁ?」
「残念だが返品対応だ、煽りで買ったんで煽りで返品だ」
「……」
「………」
「へへ、温まってきてんな……んじゃあこのままやろうぜ…5VS5だ!」
煽りあいをしている二人を見て、スティングはそのままナツ達へと向き直る。2人は煽りあいをしていたところからそのまま互いのギルドのメンバーが集まっている場所へと移動する。
「1回戦毎にゲームの内容も変える、但しゲームの内容とルールの指定はこっちで決める。あんた達が三勝した時点で大図書院を貸してやるよ」
「うむ……まぁゲーム内容に関してはこちらが無理を言ってる手前仕方ないか……」
「そこは仕方ないですもんね…」
「その代わりにメンバーは誰を選んでも良いってことにするよ」
「いいだろう、乗った!」
「頑張ります!」
全員がスティングのゲームの参加の意志を表明し、改めてゲームが始まる。最初に始まる第1回戦は━━━
「まずは1回戦!『エクシード人気投票』!!」
「セイバーからはフロッシュを出す!!」
「フロッシュ君!そのあざとい愛らしさで勝利を掴むのですよ!」
「フロー頑張る!!」
フロッシュ。エクシードではあるのだが、常にカエルの着ぐるみを着ている。あざとさと天然さで可愛いと評判なのだが、生憎男の子か女の子かは定かではない。
「いきなりエクシード限定ゲームですか!?」
「私、出ないわよ?」
「うむ……俺も愛らしさとは無縁だからな」
「………ふっふっふっ、愛くるしさにはオイラだって自信があるよ」
シャルルとリリーが辞退する中で、残されたエクシードはただ1人。そう、ハッピーである可愛さ勝負でなら彼もまた自信があったのだ。
「そうだ!!ハッピーはつえぇぞ!!」
「フロッシュが負けるはずがない!!」
「受けて立つよフロッシュ!」
「フローもそーもう!」
「ルールは簡単!マグノリアの住民達にどっちが可愛いか街角インタビュー!」
「マグノリアはハッピーのホームよ〜?いいのぉ?」
「ま……ヨユーだね」
この時、マルクはふと思っていた。『どっちかと言えばフロッシュ派が多いのでは無いか』と。因みにマルクは贔屓目で見ているので、一番はシャルルである。
そんなことを考えながら、街角インタビューは直ぐに終わった━━━
「勝者フロッシュ〜!!」
「よくやった!よくやったぞフロッシュ!!」
━━━フロッシュの大差で勝利していた。無論ハッピー派もいたにはいたのだが、『どちらかと言われれば』でフロッシュに投票する人が多かったのだ。
「これで1VS0」
「むぐぐ……」
「オイラ…人気ないんだ……」
「気にする事はねぇ!青っぽさならハッピーの方が強ぇ!」
「慰めなの…?それ……」
そして、1回戦を負けつつ次は2回戦がそのまま始まる。セイバーからはローグが、こちらからはグレイが出場である。
「2回戦!ローグと影踏み対決〜!」
「先に相手の影を踏んだ方が勝ちだ」
「ローグ〜、頑張って〜」
「へっ!任せろ!ガキの頃は得意だった!!」
グレイはいつものように脱ぎながら、前に出る……のだが、わすれている事が一つあった。それはローグの使う魔法である。
「グレイ様!ローグ様は影を使う魔導士ですよ!!」
「……あ…!」
「始め!!」
そして、ゲームがスタートするが……グレイは影自体を動かすローグに手も足も出ない状態であった。本来であれば相手の動きに合わせて行動するのだが…ローグは肉体を動かさずして影を動かせるのだ。
「汚ねぇぞ!全く踏める気がしねぇ!!」
「フフ…どうやら俺の勝ちのようだな……お前の影!貰ったぞ!」
そうしてそのまま、グレイの行動を読み影を踏もうとするローグ。だが、ここで咄嗟にグレイは機転を利かせて造形魔法であるものを作成する。それは……
「アイスメイクフロッシュ!!」
「うわー!?踏めねぇ!!なんて汚いヤツだ!!」
「……なんかいつもの造形魔法よりクオリティ高くないですか?いや、いつものも凄いんですけど」
「わかる、なんか妙にリアリティあるわよねあのサイズなのに……」
「今だ!!」
そうしてローグの意表を突いたグレイは見事ローグの影を踏み勝利を収める。妙に納得がいってなかったローグだが、渋々戻っていくのであった。
「グレイ勝利〜!」
「ぐ…これで1VS1だ」
「3回戦は私が相手です、ゲームはクイズです」
「頭を使う系なら私に任せて!」
そうしてユキノとルーシィはいつの間にか用意されていたクイズの席へと移動となる。問題は3問、どれもセイバー関連のクイズであり本来であればユキノが有利だが━━━
「第1問。剣咬の虎所属のオルガのフルネームは?」
「え……と…………」
「オルガ・ナナキア!」
「第2問。剣咬の虎で毎年開催されているお祭りといえば?」
「大食い祭り虎・虎・虎!」
「第3問。剣咬の虎所属のルーファスの必殺技…コゴエル……何?」
「コゴエル…?うーん……」
「凍エル黒雷ノ剣!」
何と問題文を全部聞いた上で、ルーシィが全て早押しに勝ちその上で全問正解を一発で叩き出すという結果となった。対してユキノはギルド有利のクイズで、普通に答えが分からず負けてしまっていた。
「勝者ルーシィ!これで1VS2!」
「何でセイバー有利のクイズで負けてんだよ……」
「す…すみません……」
「ルーシィさん凄いですはい!」
「一応記者やってたからね!」
そして4回戦。セイバーから出てくる相手はミネルバであった。その顔は自信が溢れており、余程勝利に確信が得られているようであった。
「4回戦は妾と大食い対決だ」
「出たー!お嬢の超有利分野ー!」
「ふふん…なら私が…マルク?」
出ようとしたエルザを静止し、マルクが出てくる。大食い勝負ならば自分が活躍できると踏んでの行動だった。ミネルバと同じくマルクにも自信が溢れていた。
「大食いなら俺の方が適任ですよ」
「当たり前の話だが、器を破損させないように…破れば即負けだ」
「えっ」
マルクの顔が驚愕に染まる。因みにマルクの作戦としては、暴食の力で全てを食らうつもりだったのだが……突如として追加されたルールに四苦八苦することになり━━━
「お嬢の勝利ー!」
「器さえ…器ごとさえいければ…!」
「負け惜しみはみっともないぞ」
こうしてラストバトルとなった。相手となるのはスティング。テーブルの上に肘を置き、腕を立てる。つまり最後のゲームは━━━
「5回戦…最後のゲームだ。『腕相撲』……俺に勝てたらあんたらの勝利だ」
「ンだよ、結局力比べかよ……かっかっかっ!負ける気がしねーぞ!」
互いの手を握り会う。腕相撲による力比べ、緊張が高まりながらも…審判役のレクターが手を上げる。それはゲーム開始の合図の準備。フライングすること無く、しかし相手より出遅れるわけにもいかない。2人の集中力が高まり続けていき━━━
「レディーッ!!!ファイッ!!!」
その声と共に、2人の腕に力が一気にこもる。ゲームとは関係なく『こいつには負けたくない』というライバル心が二人を強くする。そして次第に腕力どころか魔力も込められ始めていき……
「うおおおらぁぁぁぁ!!!」
「熱ィ!?ぐぐっ…白き力よ!炎を浄化せよ!!」
「ぬぐぐ……!?火竜の…腕相撲パワーッッッ!!!!」
「白竜の…腕相撲パワーッッッ!!!!」
「ぬおおおおお!!!!!」
ナツの炎が、スティングの白が互いに押し合う一進一退の攻防。腕相撲ながら、その白熱した戦いは周りのギャラリーさえも盛り上がらせていく。
「スティング様!」
「気合を入れぬか!!」
「ナツ!」
「ナツさん頑張って!!」
応援の声も入り、それが力となりさらに激しい一進一退の攻防となっていく。だが、より一層力が入ったのは……ナツの方だった。
「炎竜王の━━━!!」
「へ?」
「腕相撲パワーッッッッッ!!!!!!!!!!」
「ギルドを壊すなぁぁぁぁぁぁあああああ!!!」
ナツの超火力により、スティングは腕相撲勝負に負けていた。台にしていたテーブルどころか、ギルドの約半分が消し飛んでマカロフが叫んでいたが……最早後の祭りである。
「……流石だぜ、ナツさん」
「へっ…」
「約束通りセイバー大図書院を貸してやるよ」
「助かる」
「アー、まぁ一つだけ条件がある」
「おい!ゲームには勝っただろうが!!」
「簡単な話だ、ジェラールさんを連れてきて欲しい」
「……ジェラールを?」
スティングの提案したゲームに勝ったことで、大図書院を使えるようになった一同。しかし、スティングから新たに出された条件にジェラールを連れてくるようにと言われたエルザ。そのことを疑問に思いながらも、エルザはジェラールに連絡を取り来るように伝えるのであった。