FAIRY TAIL〜魔龍の滅竜魔導士   作:長之助

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囚われた仲間

ギルティナ大陸フィランの街。そこで一同はアテナや黄金の梟(ゴールドオウル)についての情報を集めていたのだが、ナツ以外の仲間達が捕まってしまう。

ナツと着いてきていた剣咬の虎(セイバートゥース)の面々は、ナツを捕まえようとした炭鉱ギルドガガロックへと向かい……軽く〆ていた。

 

「も、もう勘弁してくれ〜…!」

 

「黄金の梟の連中に頼まれただけなんだよォ〜…」

 

筋肉質な大の男…だが魔導士どころか錬金術士ではない人物に、ナツ達が負けることは決してない。奇襲を仕掛けられたのなら手玉に取られる可能性はあるが、正々堂々どころかこちらから奇襲をして手玉に取られることさえありはしない。

 

「何の為に仲間を攫ったんだ」

 

「し…知らねぇよそんなこと〜…!」

 

「皆はどこにいる」

「黄金の梟だろ〜!?俺は妖精の尻尾(フェアリーテイル)の奴らを捕まえて来いって命令されただけなんだ〜!」

 

「ギルドの場所は」

 

「街を出て北に行けばすぐに見えてくる!!」

 

「よし…行くぞ!!」

 

「……待て」

 

向かおうとするナツに、ミネルバが声をかけ呼び止める。解放されるかと思ったのか安堵していたガガロックの男だが、呼び止めたミネルバに恐れるような表情を向けていた。

そして、ミネルバと共にセイバーの面々が改めてガガロックに向き直る。

 

「……ナツ、どうにも妖精のやり方はぬるいようだ…ふんっ!」

 

「ぐえっ!!」

 

「まだ隠してる事…あるよなぁ…!?」

 

「っ!」

 

ミネルバは男を蹴り飛ばし、地面に這いつくばらせる。そして、頭に足を乗せ体重をかけていく。だが、そのままトドメを刺そうという訳では無い。脅しである。

 

「妾は甘くないぞ…!」

 

「ナツさんの仲間に手を出してタダで済むと思うなよ…!」

 

「知ってる事…全部吐いて貰うぞ」

 

「やっちまったからなぁ、人攫いをよ。ここで…ボコしてやんよ、豚箱突っ込まねぇ代わりにな」

 

「ま、まぁまぁ…落ち着いて…!」

 

「いいえ!これは由々しき事態ですよ!」

 

「フローもそーもう」

 

「ひいい!?」

 

男は怯え、ミネルバは無言で笑みを浮かべる。そしてそのまま…ガガロックの蹂躙が始まった。ユキノとエクシード組二人、そしてナツ以外が暴れ回りギルドの建物ごと壊していく。余りの暴れ具合にナツでさえも若干引いており……

 

「…暴れたかっただけじゃねぇのか」

 

「嫌だなぁ!ナツさんじゃあるまいし!」

 

あっという間にガガロックは全滅し半壊してしまっていた。だが暴れてる最中に情報自体は取れていたので…ここまでしたのは、ほぼほぼ報復みたいなものである。

 

「おかげで皆が連れていかれた場所がわかったな」

 

「まさか別々の場所とは思いませんでしたね…」

 

「な!?暴れて正解だったろ!?」

 

「ついでにやれたわけだ、『手を出すとどうなるか』ってな」

 

「フローもそーもう」

 

「おいおい……まぁ…けど、一瞬ギルドの皆といる気がした」

 

「なんですと!?」

 

暴れているセイバーの面々を見て、ギルドの皆を思いだしたナツ。妖精の尻尾は基本暴れ回る事が多いので、そう思ってしまったのだろう。

 

「ミネルバはエルザに見えたし」

 

「わ、妾がエルザに…!?」

 

「ユキノはルーシィだろ?」

 

「私がルーシィ様に…?」

 

「レクターとフロッシュは、ウェンディとシャルルだ」

 

「え…?」

 

「フロー、シャルルになるー」

 

「ローグはグレイっぽかったし」

 

「俺がナツさんって訳か」

 

「お前はハッピーだ」

 

「なんでだよ!?」

 

「んでクォーリは」

 

「それ以上言うんじゃねぇぞ!?」

 

「マルクだ」

 

「聞こえてねぇのかてめぇはァ!!」

 

「そう考えると、このメンバーも悪くねぇ」

 

吠えて抗議をするクォーリとスティング。だがナツには一切関係ないと言わんばかりに話を進めていた。なんならミネルバは少し満足気であった。

 

「ハッピーみたいに『あい』って言ってみろよ」

 

「言うかーッ!!!」

 

「魚食う?」

 

「あい!………乗っちまったーッ!!」

 

「何やってんだマスターの癖に!!!」

 

「……ふざけてる場合じゃないぞ、ナツもだ」

 

スティングとクォーリがツッコミあっている中、ローグが脱線した話を戻す。元々は囚われた仲間を助ける為の行動だったのだ。つまりは、今から助けるために動く…そういう話である。

 

「あー…まぁ、皆なら大丈夫だろ」

 

「宿ではあんなに取り乱していたのにどうした?」

 

「勿論すぐ助けに行くけどよ、よくよく考えたら皆不意を突かれたって話だろ?俺の仲間を甘くみんなよ、って話だ」

 

ナツの言葉に、一同は改めて思い出す。探索でのチーム分けで、どのような別れ方をしていたか。不意を突かれただけであり、実力だけで考えればそうそう負けることがない組み合わせというのが、納得できる別れ方をしていたのだ。

 

「確かに…エルザさんはジェラールさんと一緒だし…」

 

「その気になれば問題が無い2人だな…」

 

「ウェンディ様、グレイ様、マルク様、マホーグ様…4人一緒と考えれば心強いですね」

 

「シャルルも」

 

「はい!シャルル様もです!」

 

そう、今話したメンバーは問題がないのだ。しかし、残ったメンバー…つまりはルーシィとハッピーの2人なのだが…これに関しては少しだけナツ以外のメンバーが心配していた。

 

「問題はルーシィ君とハッピー君ですね、ハイ」

 

「おい!あの二人をなんだと思ってんだ!」

 

「いやいや…ナツさん、囚われた美少女がどうなるか知ってるか?」

 

「……?」

 

「ちょっと恥ずかしい目に遭ってるかもしれないんだぜ…水着姿で全身擽られたりとか…」

 

「いや…妾ならもっとこう…」

 

「ちょっと!スティング様もミネルバ様もおやめ下さい!」

 

不埒な妄想をするスティングと、それに乗っかってより不埒な妄想を捗らせるスティングとミネルバ。そんな二人を見て、ナツはそのままどこかへと走り出す。

 

「なんて想像力がエロいギルドなんだセイバーは!!」

 

「知らんぞ、いらん噂流されても」

 

「あ!ナツさん!!」

 

「俺はルーシィとハッピーを助けに行く!ルーシィっぽいユキノとハッピーっぽいスティング!着いてこい!」

 

「ハッピーっぽくねぇよ!!」

 

だが、スティングとユキノは言われた通りにナツについて行く。その背を見ながら、ミネルバは残った4人にそれぞれ指示を出していく。

 

「……となれば、エルザっぽい妾がエルザとジェラールのところに行こう…」

 

「グレイっぽいローグ君と、ウェンディ君っぽい僕と、シャルル君っぽいフロッシュとマル」

 

「シャルルっぽいー」

 

「じゃねぇよ!!……まぁローグの方について行くさ」

 

「……気をつけろよ、お嬢」

 

「なーに、1番楽なコースではないか。エルザとジェラールだぞ?本当に助けが必要だろうか?」

 

こうして、セイバーの面々とナツによる捕まった者達の救出劇が始まるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「へっへっへ…随分とまぁ可愛い顔が揃ってんじゃねぇか…男と猫は要らねぇけど」

 

錬金術士ギルド黄金の梟。そこにグレイ、ウェンディ、マルク、シャルル、マホーグの5人は囚われていた。後ろ手に拘束され、ロープで拘束されてしまっていた。

 

「……ちっ、てめぇら何が目的だ」

 

「へへ、冥土の土産に教えてやるよ…魔導士の魔力ってのはすげぇ錬金術の素材になんだよ。特に滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)とやらの魔力はさらにな」

 

「んな事させるわけが…!」

 

「動けねぇだろ?魔封石を素材に使ったロープだぜ……にしても、こんな女がいるなんて話聞いてねぇけどな…誰か1人を女にしてほぼ動けねぇようにしたってのは聞いているが…」

 

グレイ達の前にいるのは錬金術士のサイ。グレイが戦った錬金術士で、5人を捕獲したのも彼なのだ。

 

「半裸の男はちげぇのはわかってるし…猫もちげぇ。ってなると残り3人だが……なるほど、そこの色々チビな奴か」

 

「チビ…!?」

 

とてつもなく失礼な勘違いをされてしまっているウェンディ。そして、当の入れ替えられた本人であるマルクは今の勘違いで青筋を浮かべてしまっていたが……怒りをそのままに表に出さないようにだけしていた。

 

「あ……あのー…?」

 

「あ?なんだ?」

 

「ここ、どこなんですか〜?」

 

「まぁ場所くらいは教えといてやるか…仮に脱出出来ても、土地勘がなけりゃ下手に移動できねぇしな…くく、ここは錬金術ギルド黄金の梟だ。てめぇらは捕まったんだよ」

 

「どうして〜、私達を狙ったんですか〜?」

 

「へ、魔導士の魔力ってのは貴重な錬金材料…上質な魔力はその分いい素材になるってな」

 

うっすらと、グレイ達は気づいていた。マルクは情報を引き出そうとしているのだと。本来なら怪しまれる事間違いないが、今は拘束されて身動き1つ取れない状態…そう思っているのと四面楚歌な状況も相まって、油断して喋っているのだ。事実としてマルク自身も魔法は使えないので、拘束具はきちんと仕事しているのだが。

 

「どうして妖精の尻尾の魔導士を狙ったんですか〜?ただ魔力を狙うだけなら〜、この大陸にもいる魔導士でいいと思うんですけど〜」

 

「くくく、俺はドグラ迷宮でその男と戦った。まぁそんときの事とか色々喋ったわけだ。そしたらマスターが興味を持った…そんだけだ」

 

それを聞き、マルクはグレイに目配せする。グレイは頷き、マルクはそれを確認すると軽くため息を吐き……心底腹が立ったような表情を表に出していた。

 

「はー……」

 

「な、なんだお前急に」

 

「不意突かれて捕まったとはいえ、逆に目的を調べられるかと思ってたが……なんかあんま知らなさそうだし……()()()()()()()()()()()()

 

そう言って、マルクは悪魔龍の力を解放する。魔封石で封じられるのは魔法であり魔力にあらず、そして魔力が無くなった訳でもない。つまり正式な魔力運用しているものではない呪法である悪魔龍は…問題なく使えるのだ。

 

「な、なな…!?姿が変わって…!?」

 

「モード悪魔龍…暴食喰らい(イーター・グラトニー)!!」

 

両腕と頭がドラゴンのように変貌していく。その変貌の仕方に周りの者達は怯えて離れ始める。対して捕まってる者達は、一切の焦りがなかった。

 

「まったく…どうせまともに情報聞いてなかったんだろうな…」

 

「ですね…」

 

「ま、おかげで助かったけど」

 

「あ、アホ…ばっ、かり……」

 

そしてマルクは両腕で器用に仲間達の拘束具を外してから、元の姿へと戻る。マルク自身を拘束していた魔封石の縄は、悪魔龍の解放時に既にちぎれており意味をなさないものとなっていた。

 

「………ん」

 

「どうした?」

 

「近くに……ローグとクォーリ…レクターとフロッシュも来てますね。多分捕まった俺達の救出に来てくれたんでしょうね」

 

「丁度いい…このまま暴れてやるとするか」

 

「はい!」

 

グレイのその一言により、形勢逆転した一同はそのまま黄金の梟内で暴れ始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…どう考えてもここが1番ハードコースだよな」

 

「だが、1番手っ取り早い方法を取れるぜ?このルートはよ」

 

「シャルルもそーもう」

 

「君はフロッシュですよ……しかし幾ら何でも2人で敵の本部に入るというのは…」

 

少し時間は巻き戻り…捕まったグレイ達を助けるために、ローグとクォーリ…それにレクターと何故か自身をシャルルだと言い張っているフロッシュが来ていた。

見つかる訳にもいかないのでコソコソしているのだが……

 

「分かっている…だが、ここが1番戦闘員も多い。救出できれば、何とかなるやもしれん」

 

「………」

 

「…どうしたクォーリ」

 

「いや…フリーゾがなんか…『ドラゴンの気配がする』ってよ」

 

「何…?いるのか、ドラゴンが」

 

「知らん、そんな気がするレベルのものらしいが…ここに滅竜魔導士が2人いるのは、何か策があるかもしれねぇぞ」

 

少し考え込むローグ。だが、ここまで来て引き返す選択肢は彼には存在していない。そして、クォーリ自身もそのつもりは毛頭なかった。

 

「だが、行くしかあるまい」

 

「だな……ん?」

 

そう言った直後、中から凄まじい音と振動が響いてくる。それがどういう事かは、2人にはなんとなく察しが付いていた。

 

「暴れてんな、中で」

 

「あぁ、暴れることが可能になったか…」

 

「じゃあ助け要らねぇだろ…と言いたいが、売られた喧嘩自体は買わないとな」

 

「では…俺達も乗り込むか」

 

隠れ忍び侵入するつもりだった2人、しかし中で暴れているとなれば話は別である。2人は何も気にせず中に入りこみ、進んでいく。少し進んだ先には、絶賛黄金の梟相手に暴れ回る捕まっていた筈のグレイ達がいた。

 

「捕まってたってのに、あいつら…」

 

「いい機会だ、もう少し暴れ回るとしよう…1人足りないがセイバーの滅竜魔導士の力を見せるとしよう」

 

「あーい、よっと!!」

 

クォーリが魔力を込めて床を殴りつける。その瞬間極寒の冷気が壁や床を伝っていき、グレイ達の周りから氷柱が生えていく。グレイ達は巻き込まれずに済んでいたが、黄金の梟達は見事に巻き込まれていた。

 

「「「ぎゃあああああああああ!!!!」」」

 

「こりゃあ…!」

 

「セイバーの…!」

 

「……ンだよ、こっちきたのか」

 

「おうよ…因みに他にもいるぜ」

 

「知ってる」

 

氷柱の影を伝って、ローグが凄まじい速度で移動していた。それは影ということもあり、黄金の梟達は何が起こっているかも分からないままに狩られ始めていた。

 

「……まったく、この程度とはな。錬金術士というのも…」

 

「さて!我々は移動してましょう!シャルル君!こっちへ!」

 

「うん!」

 

「何でアンタが返事してんのよフロッシュ!!」

 

「わ、私…もッ…ついて、いくね……」

 

避難するエクシード達と、万が一の為に護衛に着くマホーグ。巻き込む心配が無くなった為に、魔導士達はさらに強く暴れることが可能となった。

 

「魔導士如きがーッ!!ぐほっ!!」

 

「天竜の━━━!!」

 

「魔龍の━━━!!」

 

「「咆哮!!!!」」

 

肉弾戦においても、系統違いとはいえ自らの持つ技術においても…グレイ達は錬金術士に一切手傷を負うことなく、蹂躙していく。人数差では負けていても、個々の質においては圧倒的な差があるようで徐々に戦闘不能者が増えていた。

 

「錬金術が何だってんだ…こいつらてんで弱いじゃねぇか」

 

「直接的な攻撃力自体は無いみたいですからね…その代わり混乱させられますけど……ほんとに!!」

 

「だが油断するなよ」

 

「はっ!!油断も何もあったもんじゃねぇ!いらねぇよ、下っ端なんざ!上が出張ってきな!!ケチ付けたんだからな、そっちが!!」

 

「くっ…!?」

 

5人で暴れながら、殲滅していく。その光景を見ながら、サイはただ焦っていた。錬金術で対抗することは可能だろう。しかし、彼の得意とする錬金術では5人同時に相手取るのは難しいのを彼自身は理解していた。

 

「━━━オロオロ…これは随分やられてるねぇ?」

 

「━━━連れてきた材料に暴れられるとはみっともない」

 

「ッ!!」

 

だが、そこに新手が現れる。白塗りの顔に赤い線を入れた歌舞伎をイメージさせるような男と、全身黒づくめで顔さえ覆ってしまっている男の2人が現れたのだ。

 

「オロオロ…仕方ない」

 

「俺たちの出番か」

 

「ゲンナイさん!コウテツさん!」

 

「オロオロ…下がってな」

 

「材料…」

 

出てきた二人の男に警戒する一同。相手は錬金術士、今まで相手していたのは十把一絡げの者達だった。しかし今度の2人は…格が違う事を雰囲気で彼らは感じとっていた。

 

「聞いてるぜ?俺達を材料にするんだってな」

 

「オロオロ…サイ、喋ったのか」

 

「げ…だ、だって脱出されるとは思ってなくて…」

 

「言っていただろう…こいつらの中の一人は女に変えられた男…そしてその男は魔封石で封じることは不可能だと」

 

「うぐぐ……」

 

「全く…暫く()()()()()()

 

ゲンナイと呼ばれた男のその一声。その瞬間に、サイはおろか周りの者全てが煙となって室内を曇らせていった。余りの一瞬の出来事に一同は困惑するしか無かった。

 

「な、なにこれ?!周りにいた人達まで…!」

 

「け、煙になっていきます!!」

 

「オロオロ…」

 

「……煙の魔法か?」

 

「オロオロ…錬金術だよ、煙のね」

 

妖精と虎合わせた5人と、梟の2人は睨み合う。数だけ言えば有利だが、錬金術で何を起こされるかはまだ未知数。それに対して相手はこちらの情報を持っているかのような口ぶり。一同は警戒しながら、目の前の2人と闘うことを決めたのであった。

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