「━━━━してや━━━!!!」
「分離
抜き取られた後に…マスターデュークは、完全体にするつもりだったアテナに致命傷とも思える一撃を与えて破壊しようとした。その中で、何かに目覚めたマルクはマスターデュークに殺意を向け…目覚めた力の一端をぶつけようとしたところで…何者かの手により転移。そして今、転移先でアイリーンによって力を分離させられていたのだ。
「かっ…!?」
「……ふぅ」
「……え?」
「こ、ここは…?」
「
「うむ…少し事情があり、転移させた」
転移して来た場所は魔陣の竜…つまりはエレフセリアのいるギルドであった。あの場にいた全員が転移させられており、エレフセリアが行った事は明白である。
「爺ちゃんそんな魔法も使えるのかー!?」
「ちょっと心配だったから準備してもらってたのよ…だからマルクの分離も間に合ったって訳…まぁそれはおまけみたいなもので…」
「アテナを救出せねばならんかったからな」
エレフセリアの視線は、アテナを見ていた。大きなダメージを受け眠っている彼女に思うところがあるのか、複雑そうな表情を見せていた。
「まだ生きておられるのですか?」
「うむ…まさかこんな形で再開するとは思わなかったがな………ついでにこいつらも転送しておいた」
そう言って視線を向けた先には……エルザ、ミネルバ、ジェラールの3人がいた。どうやら彼女達も錬金術士との戦いがあったようで、少し疲弊していた。
「ついでって……」
「すまない…迷惑をかけた……しかし、一つ聞きたいことが」
「うむ」
「貴方はアテナの場所を知らないと言ってましたよね?それを探す為に、セレーネはわざわざ大迷宮まで潜った」
「うむ…見つけたのはつい最近、まさか錬金術士ギルドにいるとは思いもせんわい」
つまりは今まで知らなかったという事。だが黄金の梟のマスターは彼の弟子と名乗る人物であり、その弟子から連絡が無いというのも変な話ではあるが……
「けど、あのギルドのマスターはアンタの弟子だ…って言ってたぜ」
「だった…じゃ、デュークはとうの昔に死んでおる」
「━━━━変な、話だ…なら、あの弟子は…誰なんだよ」
「ま、マルク…!か、体は…」
分離エンチャントによって少しの間意識を失っていたマルク。しかし意識を取り戻し、その瞳はエレフセリアを睨みつけていた。余裕が無い、というのもあるが…他にも色々な感情が渦巻いていた。
「あやつはワシの知るデュークではない。あれはデュークの姿をした別人…」
「…どういう事?」
「詳しく話してください」
「うむぅ…しかしのう…」
悩むエレフセリア。瞬間、アイリーンは持っていた杖を強く床に叩きつけて甲高い音を鳴らしていた。その音に全員が意識を向けて、驚いていた。
「彼らが聞きたいのは、厳密には100年クエストに関係の無いこと…それに既に巻き込まれている以上…話さなかったり『余計』な事をしたら…怒られるのは貴方よ?」
「うぐ……」
何かをしようとしたのか、エレフセリアに笑顔で圧をかけるアイリーン。その様子を一通り眺めた後、ナツは背を向けて扉に向かって歩き始める。
「俺は興味ねーからパス」
「ナツ!」
「話が終わったら教えてくれ、殴りに行く準備をしてるからよォ」
そう言ってナツは外へと出た。その様子を見たエレフセリアは、観念した様子で溜息をつきながらも……その顔は少しの覚悟で固まっていた。
「……よかろう。あれは150年以上前、魔導士ギルドができる前じゃ。ワシにはデュークという弟子がおった…とても才能ある若者じゃったが、当時の魔女狩りの恐れから魔の道を捨ててワシの下から離れた。その後しばらくして、魔導士ギルドが誕生し…魔女狩りという恐怖から身を守れる組織ができた…そして六神竜が現れ、我々の戦いは始まった」
「…既にこの時点で ……」
「あぁ、あいつは自分の事を才能がない…だなんて言ってたぜ」
「やはり偽物、という事だ……そして有効な策が手詰まりになった頃、ワシはかつての弟子デュークを訪ねた。デュークは錬金術士として成功しており、その頃黄金の梟を立ち上げたばかりじゃった。ワシは六神竜に対抗出来る兵器の開発を依頼した、デュークはかつての師のワシの頼みを快く受け入れてくれた……そして、アテナが誕生した」
嘘を言っているとは思っていなかったものの、アテナが六神竜に対抗できる兵器というのは本当の様で…改めてその強さを認識するに至っていた。
「その力は圧倒的であった…アテナはドラゴンをあっという間に屠れる程の強さを持っていた。それこそ、六神竜でもないドラゴンは…アテナの前には無力も同然だった」
「ちょっと待ってくれ!ドラゴンを倒せるってことは…」
「アテナには滅竜の力があるのか!?」
「うむ…だが、その力はあまりにも強すぎた……街は辺り1面炎の海になってしまう程凄まじく、ワシは当時のアテナに同じような事を何度も言ったが…あまりにも続きすぎた。それで、デュークの元に再び訪れたが…その時には既に奴は亡くなっていると伝えられたのだ」
どのような事情があったかは定かではないが、エレフセリアに嘘をつくメリット自体はないと考えられる為に…死んでいるという話は本当なのだろう。だが、不可解な点があることも事実であった。
「…それ、変でしょ。何でいきなり死んでるのよ…」
「じゃが…事実死んでることは確認できた。記録上の話じゃがな…仮に何故死んだことにしたのか…という話になるが…しかし、それは今は重要では無い」
「…重要なのは、偽物が居る…という事だな。ゴッドセレナもワールもいた以上…」
「うむ…錬金術で作られたと言うのがわかりやすいか」
マルクの話にミネルバも合わせていた。何故死んだかは重要では無い、重要なのは事実としてそこにいるのが何者なのかという話なのだから。
「…どちらにせよ、前のデュークとは別人。あんな男ではなかった」
「…で?あんたは弟子が死んだって聞いた後にどうしたんだ?」
「アテナを封印した……つもりじゃった。少なくとも、今まではそう信じていた。地中深くに魔法結界で封じ、時が来るのを待った。デュークの様な天才錬金術士が再び現れるのを……」
「……だが、あんたはドグラマグに心臓を食べられ封印場所の記憶が消えた。迷宮での一件で、残ってた心臓が破壊されさらに追い打ちをかけられた」
「うむ…だが封じられている以上、誰の手にも渡らぬと思っていた」
事実としてそうなのだろう。怠慢では無く、デュークに対する信頼とも言うべきか。どちらにせよ本人ですら解除不可能になってしまった封印を解く者は早々現れない…エレフセリアはそう考えていたのだ。だが━━━
「━━━私は自分で封印を破り、外の世界に出ました」
「アテナ!!」
そこに居たのは、意識を取り戻したアテナだった。未だ攻撃を受けた箇所…腹部に大きな穴が文字通り空いているのだが、それは問題ないのか平然と立っていた。
「も、もう大丈夫なのか!?」
「はい…それはいたわりという感情でしょうか?それとも機能の確認でしょうか?」
「心配してんのよ」
「なるほど……ご覧の通り、私は感情というものが理解できません。なのでエレフセリア様には多大なる迷惑をおかけしました」
「いや、それは……」
軽く頭を下げるアテナにしどろもどろになるエレフセリア。彼女を封印した事を気に病んでいたのか、どうやら彼女には強く出れない様であった。
「当時の私を封じる判断は正当な物です、問題ありません……私は封印を解除し、感情を探す旅に出た。私を封じたエレフセリア様の下には戻れませんし、デューク様は亡くなられていた…私は1人で生きるしか無かったの…まぁ人形が生きるというのも変な話よね」
「おかしくないよ……だって、生きてるじゃない」
ルーシィは微笑んでアテナにフォローを入れる。そのフォローが嬉しかったのか、無言で笑みを浮かべる。それに驚きがあったのか、エレフセリアは驚愕の表情を浮かべていた。
「……そうして、旅している中で色々やっている内に人が集まり…いつの間にか白魔術教団リベリアスが誕生したの」
「当時…黒魔導士ゼレフを信仰する教団アヴァタールが台頭していた…それに対を成す白い見た目のお前の強大な力に人々が集まり、信者が増えていった」
「………ん?それってつまり…アテナは教団の長じゃなくて崇められる存在だったって事…なの?」
「あ、確かにそうなるわよね……ん?」
「確かにこの見た目で強い力があれば神…もとい信仰対象とも取れるか……む…?」
「今、何か……?」
「変だった、様な…?」
マルクの言葉に全員が納得をしてから…ふと何かおかしかったような気がしていた。が、マルク自身は何も違和感がなかったので逆に皆の反応に首を傾げていた。だが、アテナはマルクの言葉に無言で頷いて肯定していた。
「そうね…教団と言っても何かを説いていた訳では無いわ。勝手に人が集まり、崇められていったの。けれど私はそれでは満足していなかった…私は感情が欲しかった……そんな時に現れたのが、今のデューク様」
「それって、死んだ筈の…?」
「私もそう認識していたし、実際その認識は間違えていなかった。彼は本当のデューク様ではなかったの。だけどそんな事がどうでも良くなる提案がされたの…『感情を錬成する方法が見つかった』と」
「で、リベリアスを抜けて今に至るって訳か……」
今となっては感情があると判明し、その理解をする事となったアテナ。だがそのアテナが偽物だと断じた皆が対面したデュークと名乗る謎の存在だけが浮き彫りになっていた。
「ワシは最近まで封じられているものだと思っとったし、偽のデュークがいることすら知らんかった……」
「彼は偽物ではありません、本物でもありませんが」
「…?そりゃどういう事だよ」
「『概念』よ。デュークという概念が具現化した存在…」
「全然意味がわからないのですが…」
スティングとユキノが頭を悩ませていたが、この場にいる全員も同じように頭を悩ませていた。アテナの言っていることが、文字通り理解不能だからである。だが、それ以上に理解不能な言葉が…アテナから発せられた。
「彼もまた、錬金術で作られた幻……黄金の梟というギルドその物が錬金術士…いや、金神竜ビエルネスの意思なの」
「……ぎ、ギルドが…錬金術士で…?」
「ビエルネスの意思…!?」
「ますます分からん!!」
「難しい話を省くとね…黄金の梟その物がビエルネスその物って事なの」
「その話自体が意味不明で難しいんだけど!?」
デュークは概念、ギルドはビエルネス。これを素直に『そうだったのか』と受け取れる人間は少ないだろう。仮に受け入れられたとしても、では何をどうしたらいいのかという話である。
「ギルド自体がドラゴンだと!?」
「擬態しているということか!?」
「いいえ、ビエルネスに本体は無い」
「そんな筈は…!?ワシは昔1度見た事があるぞ!?」
「正確には、『かつて体を持っていた』という事。しかし…今は概念として生きています」
100年クエストの内容、五神竜の討伐。その内の一体が本体がないという状態。しかし、セレーネがうっすらと気配を感じるというのもこれで納得がいく話である。無論、そもそもどうやって倒すのかという話にシフトするだけだが。
「お、おい…そんなのどうやって倒すんだよ」
「ギルドの破壊が倒した事となるのか…?」
「いや…そうはならないだろう……」
「じゃあどうすれば……」
「━━━なんだ?まだ話終わってなかったのかよ」
全員が悩む中で、そんな声が響く。一旦外に出ていたナツが様子を見に戻ってきたようで、その顔は満面の笑みを浮かべていた。どうやら途中から話を聞いていた様だが……
「そんなのぶっ飛ばせばいいんだって!かっかっか!!」
「いや、だからそれが無理だって話なの!!」
「無理では無いわ……倒す方法はある」
「え、あるの!?」
概念が倒せる。傍から聞いていると少し頭を痛ませてしまう言葉なのだが、それ以前に今回出てきた情報の量が多く全員が少し疲弊していた。エルザは少し考え、ルーシィとマルクに声をかける。
「ルーシィ、マルク。一旦情報をまとめてくれないか?」
「…そうね」
「そうしましょうか……えっと、まずはアテナの話ですね」
①150年以上前に、エレフセリアと弟子であるデュークの手によってアテナは生み出された。
②その後エレフセリアとアテナが紆余曲折起きている中でデュークは死亡、この時にエレフセリアはアテナを封印した。
③その後アテナは封印を自力で解除、世界を旅していく中でその見た目と力の強大さに惹かれた者達が白魔術教団リベリアスを結成。
④その後アテナはリベリアスを脱退し、現れたデュークによって黄金の梟に加入。
「━━━ここまでがアテナの話よね」
「……で、ここからが本題になるんですけど…」
「黄金の梟自体が錬金術士で、ビエルネス?」
「整理してもここが意味わかんない……」
「魔導士風に言えばエンチャントと言えばいいかしら?ビエルネスの体自体はもう無いの…その意思だけがギルドに取り付き、デューク様を作り…私の力を利用した」
アテナの言葉から分かることは、相変わらず『ビエルネスは体を持たない』という事である。重要なのはそこなのは間違いがない、後は倒せる方法さえあればいいのだから。
「……あー、何となくわかった…かも…?」
「え、今のでわかったんだマルク」
「……多分ですけどね。ビエルネス自体は滅竜されたって訳じゃなさそうですし、多分自分の体をギルドその物か…また別のものに錬成したんだと思います。それでギルドに意思を宿らせて…デュークを錬成、ただ本人を錬成するんじゃなくて…多分見た目と記憶くらいでしょうか…そこに自分の意思を乗せてる……的な感じだと思います。それならアテナの力も利用しやすいとか思ったんじゃないですかね…」
マルクはゴッドセレナとワールの事を思い出していた。彼らは人格諸共復活させられているようだったが、記憶の方も殺される直前くらいまではあるのでは?という雰囲気であった。ならば、デュークの肉体と記憶だけを錬金術で出した後に意識を載せること自体はおかしくは無いだろう、というのも理解出来ていた。
戦った時のゲンナイの煙は、吹き飛ばないように錬成されていたのだから、そのあとリの細かな調整はしやすいだろう。
「なるほどなー……ってあれ?ちょっと変だろ、なんでドラゴンが滅竜の力を利用すんだよ?ドラゴン同士で喧嘩でもすんのか?」
アテナの力を借りる、即ちドラゴンが滅竜の力を借りるに等しいのだ。それが少し意味不明だったのか、スティングは物申していた。事実、事情を詳しくしていなければナツ達も同じ反応をしただろう。
「五神竜は厳密には仲間ではないんだ」
「闇ギルドも纏めて『魔導士ギルド』って呼ぶみたいな感じ」
「あ、そういう…単に括りか」
「だが…奴らは互いに争っていた…ビエルネスがアテナを使い五神竜を殺そうとしていたのなら納得ができる」
肉体を無くしたことで他の五神竜との戦闘の回避、デュークに自らの意思を載せることで対五神竜の武器…アテナを手に入れる。こちらからは攻撃を仕掛けられず、相手は攻撃を仕掛けられるこの状況にナツ以外は困り果てていた。
「しかし…実体のないビエルネスは倒しようがない」
「なのに向こうは錬金術で人間を増やすことが出来る…」
「だから殴ればいいんだって!」
「それが無理だってなんでわかんないのかしら…」
「……方法は、あるの…ただ……」
「……ただ?」
アテナは言い淀んでいた。今日起こった出来事は、彼女を混乱させるのには十分な程に彼女の価値観に衝撃を与えていたのだ。
ないと思っていた感情があり、偽物とはいえ…あると思っていたデュークとの絆はまやかしだと気付かされた。それにより、どうすればいいのかと彼女は混乱していたのだ。
「…私には、自分がどうすればいいか分からない」
「ですが、あのデューク様は別人ですよ?」
「そなたの事も酷く扱ったのだろう?」
「やっつけましょう!!ハイ!」
「自由になんだよ!!」
「………自由?」
セイバーの面々から言われたことに、面食らった様な表情をするアテナ。今まで考えたことがなかったのだろう。感情を得ようとしたが故に今まで色々な事をしてきたのだ、その感情がある故に何をしたらいいのか分からなくなる…というのも皮肉な話である。
「貴方の欲しがってた感情はもう手に入ってたんでしょう?なら、自分の道は自分で決めなきゃ!」
「……ふふ、そうね。まずは私の本来の目的通り…ビエルネスを倒しましょう!」
「……で、ビエルネスを倒す方法とは?」
「………分離エンチャント、そして賢者の石です。分離エンチャントでビエルネスの意思を引き剥がし、錬金術の秘宝賢者の意思でビエルネスを実体化させて……殴る」
「やっぱ殴り倒すのね!」
結論としてはわかりやすい方法。しかしその結論を確実なものにするのは、また別の話。殴り倒すにしても、こちらはまた難しい話なのかアテナは少し困った顔となっていた。
「しかし問題は山積みよ、分離エンチャントを使える魔導士はそうはいないわ…私の知る限りでは1年ほど前にイシュガルで亡くなったそうよ」
「……それ多分私ね」
「……?」
静かに聞いていたアイリーン。アテナの話に軽く手を挙げて答えるが、アテナは頭の上に?を浮かべていた。人体錬成や魔法など擬似的な復活方法は幾らでもあるが、完全な人体復活はそうそう無いのである。
「…え、貴方が?」
「えぇ、今はタダの一般人だけど」
「どこの世界に、エンチャントだけで並大抵の魔導士をなぎ倒せる奴がいる訳?」
マルクの言葉に、アイリーンは眉を動かしてじっとマルクを見る。いきなりの事にマルクは少し困惑していたが、表情を少しも動かさないままにアイリーンは口を開く。
「………どうも、一般人のアイリーン・スーリアです。母親はそこのマルク・スーリア」
「悪かったですからその言い分やめてください……」
ニッコリと話しながらマルクを困らせるアイリーン。そしてついでにエルザも若干引いてしまっていた。アテナはアテナで深く考えてはいけないと思ったのか、気まずそうに視線をずらしていた。
「…いや、どちらにしてもこっちのクエストに巻き込む気ねぇぞ」
「…しかしじゃな、既にセイバーが巻き込まれておるんじゃが…」
「あれだよ、俺らは俺らで喧嘩売られたのを買うだけだから」
ナツとスティングの言葉に何も言えなくなるエレフセリア。何分ディアボロスを止めなかったのもあり、そこら辺を強く言えないでいたのだ。
「…だが、どちらにせよ」
「…はい、分離エンチャントならウェンディが使える」
「けれどその子はデューク様に魔力を抜かれてしまったわ」
ウェンディは分離エンチャントを使用する事が出来る。しかし、今現在はウェンディは力を抜かれて倒れてしまっていた。しかしその原因は文字通り力を抜かれただけ…ならばその力を入れ直すのが得策である。
「だったらまずはデュークを倒してウェンディを回復させる!」
「ついでに他の奴らもだ!」
「ローグもついで〜」
「……そう言えば、他の者達は倒れているのにマルクはどうして起きていられるんだ?」
「……そう言えば気にしてませんでした…まぁ、予測はできますよ予測は」
ローグ、ウェンディ、クォーリの3人は倒れたままでありそれはマルクも同じこと。だが、現時点ではマルクは起き上がっていた。マルク自身もあくまで予測という前置きを置いて話し始めるが……
「…多分、抜かれた魔力の種類、とかじゃないですかね」
「…種類?」
「魔力と言うよりも…本人の魔法も一緒に抜き取ったんだと思います。ローグは影竜の力を、ウェンディは天竜の力を…クォーリは氷竜の力を…」
「…お前も抜かれてたよな?」
「確かに俺は魔龍の力を抜かれました…けど、実際抜かれたのは越魔龍…進化した俺の力だけです。魔龍自体は使えます……つまりナツさんかスティングが抜かれた場合、雷竜と影竜の力だけが残って俺みたいに復活が早い…とかありそうな気がします」
つまりは、体内に他のアビリティ系の魔法を使える場合は抜かれても今のマルクの様に復活が早い可能性もあるのだ。厳密に言えばマルクの越魔で使う魔力を溜め込んでた部分を取られだけ、というのがあるのだが。
「…あれ、ウェンディ確かマルクの……」
「迷宮で使えるようになったんでしたっけ……自分で使っててなんですけど、魔龍の力って単なる属性違いでは無いよく分からない物なので…天竜の力を奪われた衝動が大きすぎたのかもしれません」
「…どちらにせよ、賢者の石を作れる錬金術士が思いつかない…攻め手がひとつ足りないわ」
「ならば妾達で巡るとしよう」
「この大陸は他よりも錬金術が盛んですしね!」
ミネルバとユキノがそう決める、スティングも乗り気なようで既にやる気満々の状態で魔力を漲らせていた。
「なら俺たちは…デュークを倒す!!」
ナツはそう宣言し、全員がやる気を見せていた。そして、やる気を見せているところにアイリーンがマルクに向かって何かを投げる。それをマルクは咄嗟にキャッチしていた。
「…なんなのこれ」
「さっき分離エンチャントで抜いた貴方の悪魔の力をラクリマに入れた物よ…戻したい時は破壊するだけでいいわ」
「…ありがと」
そう言って、マルクはポケットにそのラクリマを入れてウェンディを背負う。目的地は黄金の梟…ビエルネスを倒す為に、ナツ達は動き始める。
「よし…んじゃ行くぞ!!」
「「「おー!!」」」
こうして、ビエルネスを倒すための作戦が今動き始めたのであった。