FAIRY TAIL〜魔龍の滅竜魔導士   作:長之助

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番外編更新です


100年クエスト前日譚

「こんな感じでどうかな?」

 

「素敵ですルーシィさん!」

 

「これで明日のパーティもばっちりね!」

 

ここはマグノリアのとある服屋。ルーシィが綺麗なドレスに身を包んでいるところを、同行しているメンバー……ウェンディ、シャルル、レビィ………そして何故かいるマルクに見せていた。

 

「いやー、まさかルーちゃんがKZ(ケムザレオン)文学賞を取るなんてねぇ」

 

「でも売れてないんだァ…本……」

 

「俺読みましたけど…面白いと思いますよ、うん」

 

「そうだよ!私も読んだもん!」

 

「レビィちゃん…!マルク…!」

 

感動しているような表情で、ルーシィはレビィとマルクを拝んでいた。まだギルド内では比較的本を読む部類の2人なのが、ルーシィにとっては救いだった。

 

「所で…なんで俺ルーシィさんのドレス選びに付き合うことになったんでしたっけ…」

 

「聞いてよもー!ナツ達も誘ったんだけどねー!?」

 

簡単に言えば、着いてこなかった…それだけの話である。ルーシィはナツを、レビィはガジルも誘っていたのだが…2人ははっきり言えばあまりドレスとかに興味を示さ無かったので着いてこなかったのだ。ルーシィとしては『異性から見た感想』が欲しかったとの事だが。因みにグレイはそもそも誘われていないし、タイミングが悪くジュビアも誘えてなかった。単にグレイをジュビア抜きで誘うと後で面倒なのが見えているからである。

 

「まぁでも綺麗だと思いすよ、ルーシィさんあんまり赤っぽいの着ないから新鮮な気もしますし」

 

「あれ、そうだっけ?」

 

「あ、確かにルーちゃん青とか緑とか…寒色系多いかも」

 

「よく見てるね、マルク?」

 

「あんた、女の体じっと見てるもんじゃないわよ?」

 

ジト目でマルクを見るウェンディとシャルル。マルクは肩身が狭い思いをしつつも、適度に反論を入れていく。

 

「風評被害だ…いつも着てたらイメージカラーくらいつくだろ」

 

「因みにウェンディのは?」

 

「少なくとも写真撮ってる」

 

「あんた二度とウェンディに近づかないで」

 

などというやり取りをしていると……外が騒がしいことに気づき始めたウェンディとマルク。滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)の聴覚で聞き取ったものではあるが、しかしマグノリアが騒がしくなるのは割といつもの事なので気にしないでスルーしていく……つもりだったのだが。

 

「……いや、流石に騒がしすぎないか?」

 

「え、何どうしたの?」

 

「なんか外が騒がしいような━━━」

 

マルクが言い終える前に、突如として服屋の壁が破壊される。そして、破壊された壁から現れたのは━━━

 

「あああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」

 

ナツと、ハッピーであった。彼らが騒がしくしているのはいつもの事であり、街を破壊するほど喧嘩をするのもいつもの事である。だが、今回は喧嘩と言うよりは何かから逃げているようであり━━━

 

「ナツ!?」

 

「ハッピーも……」

 

「なんで二人して逃げて……あ、エルザさん」

 

「え!?エルザさん!?」

 

「また何かやったのねあの二人」

 

ナツたちが通り過ぎたあと、エルザが2人を追いかけながら服屋へと入ってくる。明確にナツとハッピーを追いかけているのは、誰から見ても確実な話である。

 

「お前たちも来い!ナツとハッピーを捕まえるんだ!!全力でな!!」

 

「え」

 

火竜(サラマンダー)!!てめぇ自分のギルドのルールも守れねぇのかよ!!」

 

「俺はハッピーを捕まえよう!!」

 

「あ、ガジルさんとリリー…ルールって……」

 

マルクは一旦ガジルを追いかけながら少し考える。今まで散々破壊行為を行ってきている妖精の尻尾(フェアリーテイル)。しかしこうも大掛かりに追いかけ回している事を考えるに、2人が相当なことをしたのは間違いがない。

だが、所謂ほんとに悪いことに関してはナツも理解している筈である。それをやる程馬鹿では無いだろう。つまり、それ以外の部分。

 

「S級の依頼勝手に受けようとしたんですか?」

 

「あぁ!?もっとやべぇぞ!!」

 

「持っていったのは100年クエストの依頼書だ」

 

「━━━━」

 

マルクは絶句した。街が騒がしくなるほどに追いかけ回すのは…理解出来てしまったからだ。そして、それを認めるほど…ギルドも甘くは無い。信用仕事なのだ、ギルドというのは。

よって、服屋にいたウェンディ、シャルル、マルク。この3人はナツに同行、身体的事情からレビィはあまり激しく動けないので追いかけには参加せず…ルーシィは何がなにやら分からないままに家に帰ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁはぁ…!へへ、こっちまで来ればあとは家に帰るだけだ…!」

 

「何とかみんな撒けたね、ナツ………ってあれ、こんなとこ岩なんてあったっけ?」

 

少し時間は経過し……追いかけられていたナツとハッピーは、自宅に避難しようと考えていた。飛んでしまうと見つかる可能性が高いので、地面を走って帰っていたが…道中大岩があることに気づく。

 

「いや…無かったはずだけど…つーか朝ギルドに来る時なかっただろ」

 

「そうだね…落石してきたのかなぁ?」

 

「ま、壊しゃいいか……火竜の、鉄拳!!」

 

ナツは拳に炎を出しながら…一気に殴り掛かる。これで岩は壊れる…そう思っていたが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ナツさん!!捕まえましたよ!!」

 

「げぇ!?マルク!?」

 

「い、岩に化けてたの!?」

 

「前に見せたでしょ、悪魔の力の1つ…怠惰の姿ですよ!!」

 

「ず、ずりーぞ!!」

 

「早く依頼書返してください!!」

 

腕を掴み、離さないようにしているマルク。ナツは頑張って引き抜こうとするが、一向に離さない事に焦りを感じていた。どうやって離させるか、と考えた時にマルクがふと呟く。

 

「……もうそろそろ、街中に居ないって理解してみんなこっち側来ちゃうかもしれないですね」

 

「な、何ーッ!?」

 

「まずいよナツ!『アレ』されちゃうよォ!!」

 

「『アレ』はまずい!!まずいぞ!!」

 

「………『アレ』って何だ……」

 

謎の『アレ』に困惑しつつも、決して離さないマルク。急がねば、とナツは全身から炎を噴き出す。炎と熱によって、マルクの手を離させる算段である。だが━━━

 

「ハッハーッ!!モード悪魔龍!傲慢傲り(エレガンス・プライド)!!これで魔法は通じませんよナツさん!!」

 

「それずりーぞ!!」

 

「ナツー!もっと温度上げちゃえー!!」

 

「よっしゃあ!!!」

 

「ハハハハ!!!どんだけ炎出しても呪力の鎧は溶けませんよォ!!!」

 

漆黒の鎧に包まれながら高笑いをするマルク。だがマルクは知らなかった、ナツは1度だけ魔法を燃やしたことがある。イグニールの力を借りてると言うのもあったが…その気になれば、ということである。それ以前に━━━

 

「あ、あれ…なんかほんとに暑い……!?」

 

「どうだァ!?炎は熱くなくても周りはあっちーだろー!!」

 

「け、けどこれだけじゃあ離せないですよ!?なんせ今の俺は鎧を纏ってんです!!服が溶けても恥ずかしがることなんてないですからね!!」

 

「あっつぅーい………けどこれでも離さないんだ…」

 

汗をかいているハッピーとマルク。ナツは暑いのは耐性はあるが、このままではハッピーが消耗しきってしまう。そうなると後で飛べないという事態になれば、どこかで追いつくのは分かりきっている話である。乗り物はそもそも選択肢にない。そこで、ナツは1つ妙案を思いついた。

 

「…………あ!?あっちでウェンディの服が溶けてやがるぞ!!」

 

「はぁ!?今あんたウェンディの……あっ」

 

一瞬だけ意識が完全に別の方に向かうマルク。その瞬間に腕を引き抜かれ、逆に掴まれていた。そして、掴んでからナツはものすごく悪い笑みを浮かべていた。

 

「ギルドまで……ぶっ飛べぇぇぇぇぇぇぇぇええええええ!!!」

 

「うおおおおおおおああああああああああああ!!!!!?」

 

ぐるん、ぐるんっと、引っ張り回されながら…マルクは思いっきりぶん投げられる。ただ回すだけでは無い、回す際に動きに炎でブーストをかけた超高速回転によるぶん投げ。マルクは遠心力後からも借りて器用に吹っ飛んでいく。その隙に、ナツ達は家へと戻るところだけギリギリ見ながら、マルクはため息を着く。

 

「……はー、まぁこんなとこでいいかな。フリードさんは術式を書き終えてるだろうし、エルザさんも戻ってる筈…よっと…!」

 

モードを変え、翼のある強欲の姿へとなるマルク。上手く空中で羽ばたきながら降りて…後をエルザに任せるのであった。

……因みに念の為にその後周辺の捜索をしており、ウェンディが居ないことをきちんと確認するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、ルーシィのKZ文学賞のパーティの日。

ウェンディ、シャルル、マルクはパーティの後いつものメンバーと別れて帰っていた。当然夜であり、夜のマグノリアをゆったりと味わいながらゆっくりと家へと…正確には女子寮へと戻っていく。

 

「……いやぁ、楽しかったな」

 

「そうだね、アンナ先生ともゆっくり話せたし!」

 

「にしても…皆相変わらずなのよね…」

 

パーティと言えども妖精の尻尾(フェアリーテイル)のメンバーは変わらずであった。さすがに物を壊すほどではなかったが、騒ぎ立てたりはいつも通りであったのだ。

 

「まぁ、それが今の俺らのギルドだからさ」

 

「ふふ、確かに」

 

「……ま、居心地は悪くないわね」

 

「……そういえば、マルク…」

 

「…ん?どうした?」

 

ふと、空を見上げながらウェンディがマルクに呼びかける。釣られてマルクも空を見上げると、未だパーティを祝福しているかのように満天の星々が輝いていた。

 

「私ね、ちょっとだけ……将来を考えてたの」

 

「……将来」

 

「確かに…未来は何が起こるかわからない…けど、色んな願いがあって、いずれ来るものもあって……今日のパーティで色々あったから…うぅ…!」

 

顔を真っ赤に染めるウェンディと、つられて赤くなるマルク。シャルルは呆れた眼差しで見ていたが…グレイとジュビアの事であったり、ガジルとレビィの事であったり。しかし、それ以外にも色々思い出していたのだ。

 

「ルーシィさんの新しい本…今までの事を題材にしたらしくて…でも、それってギルドで色んな事があったからこそ…書けた物だよね」

 

「そうだな…」

 

「もし、妖精の尻尾が無かったら…ルーシィさんは本を書いてなかったかもしれない…私達だって…」

 

「……」

 

恐らく、妖精の尻尾というギルドが無かったら…ウェンディもマルクも六魔将軍(オラシオンセイス)の策略によって死んでいただろう。そして、マスターゼロを除く六魔将軍もまた…幸せな結末にはなっていなかっただろう。

 

「……俺らもそうだけど、ジュビアさんはグレイさんと出会わなかったろうし…エルザさんはジェラールと再会できなかったかもしれない」

 

「けど…ギルドに入って色んな事を経験して、それで心も体も強くなって…」

 

「……そうね、皆選び取れた。平和な未来を……」

 

「ギルドで仕事をしていく以外にも…私達も、なにかきっと…幸せを選び取れる日が…来るのかな、って」

 

「そう思ったわけか…」

 

停滞せず、先に進む。苦しいこともあるだろう、悲しい事もあるだろう。彼らにもそういった事は既に何度も起こっている。だがその分嬉しいことや楽しいこともある。

だからウェンディは成長出来たし、マルクも成長出来た。空に輝く星々が、彼らの幾つもの未来を示しているかのように…いくつも眩く輝いていた。

 

「……まだ、先は分からない。けど…俺らがもっともっと、成長出来るように…頑張っていこうな、ウェンディ」

 

「うん!」

 

「そうね…とりあえず…色々『はっきり』させておいた方がいいと思うわね」

 

「「…………」」

 

シャルルの言葉に顔を背けるウェンディとマルク。この後、彼らは100年クエストへと向かうのだが…その困難の道がどうなるかは、彼らにとっても未だ未知数であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

,

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……えへ、えへへ………」

 

「『久しぶりにマグノリアに来たい』と言われてどうしたのかと思ったら…」

 

「マルクの追っかけね……」

 

そして、ウェンディとマルクの後ろ…滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)の鼻と耳に勘づかれないように3人が着いていた。

ジェラール、メルディ、マホーグの3人であった。

 

「…そもそもマホーグ」

 

「な、何…」

 

「毎日こっそり後ろから着いていってるの、知っているからな…」

 

「ッ!?」

 

「ショートワープ乱雑に使って移動して…こっそり往復してストーカーしてるでしょ」

 

「こ、これは…ウェン…ディ、と…マルクの…そう…!見守ッ…見守り…!」

 

冷や汗をかきつつも、顔を赤くしているマホーグ。その様子にメルディとジェラールも苦笑するしか無かった。だが、別段呆れているわけでも怒っているわけでもなかった。

 

「…だが、どうにも気づかれているみたいだぞ」

 

「え…!?」

 

「いや…エルザ経由で聞いた話なんだが…」

 

「なんでそっちも知らぬ間にエルザに会ってる訳…?」

 

「……マルクが最近マホーグが後ろから着いてきてる事を気にしていたらしい。声を掛けないし、なんか本人満足そうだ…って事で声をかけて無かったとか…」

 

「ば、バレて……」

 

「いやバレてるよ、滅竜魔導士の感覚舐めたらダメだ」

 

「ヒィンッ!!?」

 

大きく驚くマホーグ。彼女の後ろから声をかけたのは、前にいたはずのマルク達であった。存在は気づかれていたようで、今回は話しかけに行ったらしい。

 

「マホーグ…別に遊びたいとか話したいとか…全然付き合うからな…?」

 

「だ、大丈夫!!大丈夫、だから…!」

 

「ホント変なのに好かれてるわよねぇ」

 

「でも、いい人だよ?」

 

マルクはうんうんと頷いているが、ふと思い出したように困った顔になる。それに気づいたマホーグが、少し不安そうな気持ちになるが…頑張ってマルクが言うまで耐え様としていた。

 

「あーでも…クエストに着いてくるのは…辞めて欲しい…見つかって変な勘違いされるのは嫌だろ?」

 

「へ……変な勘違い、って…?」

 

「……依頼したギルドの人間、その後ろから追っかけてくる人物って…だいぶ怪しくないか…?」

 

「「「………」」」

 

全員が一斉に目を伏せる。確かに怪しいのだ。受けた依頼の内容によっては、山賊とか盗賊とか闇ギルドのメンバーだと勘違いされかねない。マホーグも、言われて気づいたようで…少し落ち込んでいた。

 

「だから…見つけたら話しかけてくれ、話しかけてきてくれたら付き合える時はいっぱい付き合ってやるからな」

 

「ぁ……」

 

落ち込んだマホーグの視点に合わせて、マルクは屈んでほほ笑みかける。その笑顔に、マホーグは顔を赤くしており…メルディが何やら面白そうにニヤニヤしていた。

 

「マホーグ〜?ちゃあんと話しとかないと、好感度あげられないからね〜?」

 

「な、何ッ…を、言って…!?」

 

「……じゃ、今日はもう遅いし俺らは帰るよ」

 

「あぁ、またなマルク、ウェンディ、シャルル」

 

「またね〜」

 

そう言って、マルクはウェンディとシャルルを女子寮へと届ける。そしてそのまま家へと帰り……翌日、100年クエストへと向かったのであった。




マルクの現身長が160くらいだとしたらマホーグ150くらいの感覚です。そしてそこからほぼ普段背中曲げて、顔を俯かせがちなので更に小さく見えてます。
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