FAIRY TAIL〜魔龍の滅竜魔導士   作:長之助

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今回からオリジナル編です
タイミングとしてはビエルネス終了からイグニア開始の間となりますが、単にそうってだけです
この編が終わったら様子を見てまた本編の方書いていきます


番外編:消えぬ紫瘢(しはん)は七つの罪
悪魔の囁き


これは過去の話。1人の少女の過去の話。過去から脱却し、未来へと歩むことが出来るようになった少女の昔の話。

 

「ちっ…色々と改造を施しはしたが……」

 

「劣化した力しか出てこないな。成功すればもっと強かったものを……」

 

「う、うぁ……」

 

少女には未来が見えた。変えられない訳では無い。未来が見えたら対抗する事が出来る。無論、彼女自身に対抗できる程の力があれば。

 

「おらっ!!

 

「ぎゃっ!!」

 

「……あ?ちっ、未来視か」

 

「んだよ、スカってんじゃねぇか」

 

「蹴ること予測されたんだよ。ま、完全に対抗できるわけじゃねぇから腹じゃなくて足に当たったけどよ」

 

少女はある施設に幽閉されていた。そして、そこで様々な実験に参加させられていた。無論…人道的なものとは程遠い悲惨なものであったが。当然、そんな施設ではまともな扱いは期待出来ない。彼女はその施設で失敗作扱いであり、より一層酷い目に合わされていた。

 

「ったくよう…素質だけは一番でけぇのにな」

 

「多少弄ったがゆえの成果とはいえ…年齢の割に遥かに多い魔力量、それに耐えうる体、現状想定より劣化した魔法とかを使っても出力がハンパねぇから並の魔導士なら歯が立たないだろうな…それでも、基準には満たねぇが」

 

「とりあえず飯食いに行くぞ、その後こいつまた虐めとこうぜ」

 

「だな」

 

少女は未だ幼かった。だが、幼いながらにここにいては殺されると悟った。ある日、彼女は脱走した。未来視がほんの少し先の未来を見せてくれたのと、幸運が彼女を逃がしてくれた。

 

「はっ…はっ…!」

 

「クソが!!どこ行きやがったあのガキ!!」

 

「探し出して捕まえろ!!殺られんのは俺らだぞ!!」

 

彼女は逃げた。逃げて逃げて……がむしゃらに逃げた。足は小石で裂けて、血が滲んだ。豆もできたが直ぐに潰れた。そうしてどこか分からないほどに逃げ回って……港に着いた。

 

「船…!お船……!!」

 

彼女は密航した。行先なんて分からなかった。知識はあったが、文字は教えられなかった。故にどこに行くかなんて分からなかった。着いた場所は…フィオーレ王国だった。だが、それも彼女には分からない。

 

「はっ…は…っ……」

 

彼女はどこともしれぬ場所で倒れた。そこに通りがかったのは一人の男……いつかの未来で、大鴉の尻尾(レイヴンテイル)を設立した男……イワン・ドレアーを設立した男であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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「━━━帰ら、ないとね。つ、ついて…いき……たい、けど………」

 

時は進み、場所はギルティナ大陸。マホーグ・オロシはフィオーレ王国へと帰る準備を進めていた。とある事情からギルティナ大陸で戦うハメになったのだが、それは終わった。後はジェラール・フェルナンデスと共に帰るだけ……その帰宅前日、1人で夜の街を歩いていたのだ。

 

「……マルク…」

 

憧れか恋焦がれか。想い人であるマルク・スーリアの事を考えながら、彼女は天を見上げる。新月の夜なのか、月は出ていない星明かりの元で想いに耽る。

 

「━━━まさか、こんな所で会うとはな」

 

「ッ!?だ、誰…ッ!?」

 

だが夜の静寂を、いつの間にか後ろにいた男がマホーグに声をかける。星明かりは雲に隠れ、暗闇の中顔は分からないでいた。だが、マホーグはひたすらに警戒していた。彼女の未来視は、相手の攻撃を読む物。意識すれば使えないことは無いが、攻撃されそうになれば、勝手に未来を見せてくるのだ。その必要がなかった。

 

「…忘れているのか、まぁ幼かったからな…」

 

「な、何…!?何の、話…!?」

 

「………ふむ、まさかと思っていたが…暴食に適応できる様になったのか。どうやら『本人』の近くに居たおかげのようだが…気配的に、もう1人くらいは適応出来そうだが…出来れば本人が欲しいな」

 

「は、話…進めない、でッ…!」

 

男はマホーグの事が見えていないと言わんばかりに、話を進めていく。警戒しながらも、マホーグは頭を回していた。声からして若くない初老の男。そんな知り合いは自覚してる範囲内で、彼女にはいない。何より━━━

 

「な、なんで…『暴食』知って…!それ、は……!」

 

「私が『元』だからな。大元だ。実験のおかげで適応しやすくなっていたか…なんという幸運だ……本体が捕まるまで…代わりの代表にでも、なってもらおうか」

 

「何ッ…の、事か…知らない、けど…!」

 

「知らなくていい。()()()()調()()()()

 

「は━━━!?」

 

その瞬間、マホーグの意識は闇に落ちた。そして、その場には初めから誰も居なかったと錯覚してしまうほどの一瞬で…マホーグとその男は姿を消したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「……マホーグがいない?」

 

「あぁ…てっきりマルクの寝床にでもいってるものだと思っていたが…」

 

「違うだろさすがに…でも心配だな」

 

翌朝、マルクとジェラールはナツ達を交えて話していた。だが当然女性陣や男性陣は知らなかった。何せ1人で散歩していたのだから。

 

「…まさか、攫われたか?」

 

「いや、それなら大なり小なり抵抗の跡が残っているはずだ…しかし、そのような気配は微塵もなかった」

 

「確かに戦闘後みたいな魔力の残滓は感じないし……万が一無抵抗で攫われたって可能性も有り得るけど、朝からそんな感じの話は流れてこないし…」

 

マルクは『最悪』の事を考えたが、水場による事故や何かが起こったという話も聞いていなかった。だがまだ発見されていないだけかもしれない……ナツ達はそう考えて、一旦捜索する事にしたのであった。

 

「━━━とは言ったものの」

 

「情報…ないね」

 

「流石にここまでないとちょっと分からないわね」

 

マルク、ウェンディ、シャルルの3人は1度休憩を入れていた。探し始めて既に1時間、マホーグの姿はどこにもなく情報さえも見つからないままだった。

大きな街という訳では無いので、このまま情報が見つからなければ街の外へ出たということになってしまう。

 

「けど何も言わないままだなんて…」

 

「それこそ連れ去られてる方が分かるけど……」

 

「マホーグが手も足も出ないなんてことはありえない…それこそ未来視の力があるし…正面から負けることは滅多にない。魔封石をつけられた可能性もあるけど…」

 

結局として、もはや手詰まり。1度戻るかどうか考えていた矢先…3人に近づく人影があった。マルク達はその人影に気づき、少しだけ視線を向ける。

 

「━━━何か、お困りかな?」

 

「…誰よ、あんた」

 

声をかけてきたのは、スーツ姿の初老の男。丁寧そうな物腰は、見る人物に不快感を与えることは基本ないだろう。身長は3人と比べれば遥かに大きく、彼が中腰になってようやく同じ身長と言うべきか。

 

「何者というわけでも……ただ、何か困っているようだったのでね」

 

「えっと…友達を探してて…女の子で…身長はこのくらいで……」

 

ウェンディが説明している中、男は少し大袈裟なくらいに反応を示していた。興味深そうな表情を浮かべ、うんうんと頷く。顎に手を当てて、考えているような素振り。()()()()()()()()()()()とマルクは思っていた。

 

「ふむ…その女の子なら先程見ましたよ。街の外に行ってましたね…ボロボロだったので声をかけようかと思いましたが、私の足では到底追いつくことは出来ず…これから街の警備の方に伝えるつもりだったのです」

 

「本当ですか!?マルク!居たって!」

 

「あちらの方です…!少しばかりなら案内できますので…行きましょうか」

 

「はい!」

 

「……待てやおっさん」

 

警戒した表情で声をかけるマルク。先陣を切ろうとマルク達に背を向けていた男はピタリと動きを止め、視線を向けぬまま背を向けていた。だが、何故かウェンディはその男に薄ら寒さを覚えていた。

 

「……何か?」

 

「…普通の人間なら誤魔化せるけどな、俺はごまかせねぇぞ」

 

「マルク…?」

 

「ちょっと、あんた何を……」

 

()()()()()()、おっさんただの人間じゃねぇな…何者だ、答えろ。こっちを向くんじゃねぇぞ…向いたら非が無くとも殺す、関係ない話をしようとしても殺す」

 

マルクは戦闘態勢を整えていた。マルクの周りに浮かぶ7つの黒い塊。その内の一つに手を付けて警告を行う。呪力を持つ以上、まともな人間では無い。どんな理由があれ、警戒するに越したことはないのだ。

 

「………やはり暴」

 

相手が振り向こうとした瞬間に、マルクは暴食の力をハンマーに変え上から下に振り下ろした。警告した以上、マルクの望む回答ではないと感じたので、マルクは殺しにいった。呪力を持つ以上人間ではなく悪魔、それもゼレフ書の悪魔の何かだろう。暴食のハンマーなら、振り下ろせば直線上のものは全て無くなる。そのため一撃必殺に向いているのだ。だが……()()()()()()姿()()()()()()()()()

 

「━━━全く、やはり暴食か?いつも私を困らせる…だが貴様の力は他の力も持っているのか…素晴らしいな…そんなのがここまで育つとは…!」

 

「「ッ!!」」

 

「なッ…!?今確実に…!」

 

「私の呪法の力の一つだ。どういうものかは自分で考えるといい」

 

魔法であれば、マルクはすぐに気がつく。呪法にしても幻覚の類なら、マルクは魔力を感じとれる力が他の者よりも長けているので幻覚だということに気がつくはずなのである。

 

「五感に…いや、脳に作用するのか…!?」

 

「さて、どうだろうな。どちらにせよいい力だ…今のは呪法と錬金術の合わせ技か?なるほど、そういう発現の仕方も…おっと」

 

「天竜の咆哮!!」

 

マルクとその男性の間にウェンディはブレスを放つ。マルクを落ち着かせる為もあるが、目の前の男が少なくとも純粋な一般人では無いという確信だけはあった。

 

「……ふふふ、なるほどな。その少女だったか、もう1人は」

 

「もう1人、だと?」

 

「かなり長い時間をかけねばならないが…本体のお前の傍にいた事で、暴食への適応が高まっているようだ」

 

「……」

 

言っている言葉の理解はできない。しかし、狙いは自分とウェンディだということは理解できた。今ここで二人一緒に逃げるのは簡単である。だが先程の自称呪法の効果が計り知れない以上、後ろから攻撃される可能性もある。

そこまで考えてから…マルクは1つの結論を出す。

 

「ウェンディ!シャルル!みんな呼んできてくれ!ここで足止めする!」

 

「っ…わかった!!」

 

「あんた、死ぬんじゃないわよ!!」

 

「逃がすとでも……む…」

 

『傲慢の鎧』を纏い、『嫉妬の銃』を右手に持ち、『憤怒の盾』を右腕に取り付け、『暴食の剣』を左手に持つ。悪魔龍としての力も使いつつ、錬金術による悪魔の力の解放も混み。確実に仕留める組み合わせで、マルクは戦いを挑む。

 

「4つ……いや、残り三つも持ち合わせているが使わないだけか?」

 

「教える気は無いし、ウェンディが戻ってくるまでに仕留める」

 

「私を仕留めれば『彼女』は戻ってこないぞ」

 

「生憎、そこら辺は考えがある。情報を人質のように扱っても、意味は無い」

 

「そうか…ならば…ここで連れ去るとしよう」

 

「やってみやがれ…!」

 

マルクは一気に踏み込んで、剣を振るう。だがそれは先程と同じ呪法で避けられてしまい、また同じようにマルクの後ろ側に立っていた。だが、気配をマルクは既に追えていた。

 

「甘いっての!!」

 

「ッ!!」

 

視線を向ける前に後ろに銃口を向けて、器用に嫉妬の弾丸を放つ。当たれば直撃の箇所が消えぬ炎で燃え盛る弾丸。その力の強さを分かっているのか、咄嗟に男は体制を崩してまで避けていた。

 

「ふんっ…!このくらいはやってもらわねばな…!」

 

「ぐおっ!?」

 

だが、直後にマルクは吹き飛ばされていた。魔法は通じないので呪法かと思ったが、どうにも違う気がしていた。そして、何かをぶつけられたと思われる鎧の箇所は崩壊していたのだ。

 

「ちっ……なんだ今の……」

 

「魔法が通じない…というのは魔力を通さないのか、はたまた魔力を通した魔法で起こった物理現象さえも通さないのか謎だったのでね…呪力で応用したのだ」

 

「………あれか、四つ首の番犬(クワトロケルベロス)のバッカスさんが使ってたな……劈掛掌(ひかしょう)、だったか」

 

「それに近いな。単純ながら技術を要求する技でね、使いこなせれば…頑強な鎧は簡単に壊せるというものだ」

 

「……」

 

マルクは男に視線を向けつつも、破壊された箇所の傷を改めて確認する。ダメージこそあるが、動けないほどではなく…内蔵や骨などに異常は起こっていなかった。

 

「いけるな…」

 

「ほう、やれるとでも?」

 

「やるんだよ…!」

 

「ふむ…学んだか学んでないかは兎も角…」

 

男は予想した。鎧で防ぎきれないなら、盾で防ぐだろうと。だが盾で受けるのならば、本来の劈掛掌を使う事も可能…そして、さらにその上位の技でさえも。

故に、敢えて構えて一撃が到達するのを待つ。

 

「━━━敢えて名付けるとするならば、劈掛・呪霊魔錬拳(じゅれいまれんけん)

 

そう呟くと同時に、飛び込んできたマルク目掛けて必殺の拳が放たれる。マルクはそれを読み、憤怒の盾を構える。だが男はそれも予見する。故に、盾を破壊する方向性へと変える。『破壊は可能か?』『破壊した後力の再発動は可能か?』それを少ない労力で判明できるので、存分に力を振るう。

 

「ぐぅ……!?」

 

「魔力、呪力、霊力…それらを錬金術によって一つにまとめあげる。だが敢えてすぐ錬成を解除する事により力の反発が起こり、少ないエネルギーで爆発的な力を生み出す……筈なのだがな」

 

男がマルクを一瞥すると、マルクは膝を着いているものの盾は壊れていなかった。壊せない物、という判断を下しマルクを捕えるための別の策をそのまま考え始めようとして……違和感に気づく。

 

「ふふふ……何のために憤怒の盾にしたと思ってんだ……」

 

「何?」

 

「今から見せてやんよ、力の真髄…!」

 

マルクはそう言いながら、憤怒の力を再錬成して銃口があまりにも大きな巨大な銃を作り出す。男は頭を回し、近しい存在を導き出す。この際『それ以外』の答えは必要が無いのだ。

 

「魔導砲か…!?まさか、与えた衝撃をエネルギーに…!」

 

「受ければ怒る!八つ当たりで発散させて貰うぜ!!」

 

凄まじいエネルギーが放たれる。それは男がマルクに与えようとしたエネルギーそのものなのだが、改めてその大きさをマルクは思い知った。男は避けようとするが、時すでに遅し。

放たれた衝撃波は男を捉え、大きく吹き飛ばしていた。

 

「このままトドメを刺す…!ッ…!?」

 

暴食の剣を銃へと変え、嫉妬と暴食の二丁拳銃にするマルク。そのまま飛んでいる男に向けて連射するつもりだったが…途端に体に力が入らなくなる。

自分では全く制御が出来ないままに気持ちが沈み、それに合わせて体の力が抜けていく。その状態はすぐに解消されたが……その時点で既に男は姿を消していた。

 

「逃がしたか…けど………ちっ、わざとか…」

 

マルクは少し集中して…男の魔力の気配を辿る事が出来ていた。わざとだと思われる程にくっきりと残されており、恐らく誘われているのだろうとマルクは直感で察していた。

 

「マルクー!!!」

 

「大丈夫ー!?」

 

「皆来たか……」

 

そして、入れ替わるようにしてナツ達がマルクの方へとやって来ていた。少しほっとしたマルクだったが、一旦起きた事を説明する為にマルクもナツ達の方へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

,

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「━━━マホーグが攫われた、という事か」

 

「相手は人間…純粋じゃないですけどね。呪力を持っていたから…むしろ人間部分の方が少ない可能性だって…」

 

「魔力、呪力…霊力まで使って来るなんて…」

 

「錬金術っぽい気配もあったので4つですね…とんでもない奴でした」

 

事情を説明したマルク。全員が頭を悩ませていた。この件、仲間が攫われたというのもあり放っておくのは論外なのだが…問題として、マルクとウェンディも狙われているかもしれないという事が頭を悩ませていたのだ。

 

「俺ァ行くぞ!!」

 

「勿論俺も行く……が、マルクが居なきゃ場所が分かんねぇ」

 

「相手はとんでもないやつですし…魔法で罠張ってる可能性だってあります」

 

「私も行きます…!私だけお留守番なんて、絶対に…!」

 

仲間を放っておくのは、論外である。マルクとウェンディは自らが狙われていると分かっていながらも、挑むつもりであった。力がなければ無理を言ってでも留守番だった可能性もあるが、2人にはきちんと力がある。全員ウェンディの言葉で2人を連れて行くことに改めて納得していた。

 

「…だが、どう考えても罠だ」

 

「けど、行かないと…まずくない?単に人質として連れてくるなら…マホーグじゃなくていいもの」

 

ルーシィの言葉に頷く。マルクは男がウェンディを見て『もう1人』と言った事が気にかかっていた。マルクが1人、という考え方もできるが…どうにもその雰囲気ではなかったのだ。

つまり、マホーグが1人目……という可能性である。

 

「…ギルドと…ディアボロスにエレフセリアさんに手紙を飛ばしておこう」

 

「そうですね…今回は明らかに100年クエストに関わらない出来事だ、エレフセリアも許してくれるでしょう」

 

「なぜそう言い切れる?」

 

マルクが放った一言に、ジェラールが尋ねる。ジェラールからすれば100年クエストの扱いはかなり丁寧にやらなければいけないこと、依頼主の了承無しに動くのは危険では無いのか…という話である。

 

「わざわざ他人使って人質攫うなんて事せずに、俺達のいる街を攻撃すればいいからな。それをしない時点で残った五神竜…イグニアでは無い」

 

「…それは、あくまで想像でしかないと思うが」

 

「それと…強いとはいえ、何と言うか…雰囲気がイグニアとは反りが合わないような気がした…」

 

残された最後の1頭である炎神竜イグニア。ナツに執心しているのは間違いがないのだが、ならばナツと直接的な関わりが薄いマホーグを攫うのはおかしな話である。攫うとしたら、ルーシィや同じギルドのメンバーの方が釣れやすいからだ。無論、そんな事関係なしにマホーグを助けに行く気ではあるのだが。

 

「ま、違うかったら違うで後で説明すればいいでしょ…ビエルネスの時と同じ…巻き込まれちゃったのでOKって事で」

 

「…焦りすぎんなよ?マルク」

 

「俺は焦ってなんて……いや、すいません多分焦ってます」

 

「…気持ちは分かる。相手は得体の知れない存在だ」

 

「とりあえず行こうぜ…この先に、な」

 

ナツがそう言って先導を行く。他のメンバーはそのままついて行くことになり……五神竜とは違う新たな戦いに向けて、一同は覚悟を固めるのであった。

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