「━━━開け!!白羊宮の扉!アリエス!獅子宮の扉!ロキ!」
「星霊魔導士の中でも数少ない同時開門遣い……しかも、今までにねぇ力も持ってるってのは聞いてらァ…!」
「あっそ!なら味わってよね!
突然始まった闇ギルド
「ちっ…まるで換装魔法…!が!!死ななければ問題は無い!全て、全て
ギルド『致命的な美徳屋』嫉妬担当!!テリブレイショー・インヴィディア!!てめぇを妬んで疎んで乗り越える!!」
「何だか騒がしい奴が相手だね…一先ず…援護頼むよルーシィ!」
「えぇ!防御は頼むわね!アリエス!」
「は、はいぃ!」
「女に囲まれて…いい気になってんじゃねぇぞ金髪ゥ!!」
相手に一直線に飛び込むロキ。テリブレイショーは粘着質な液状の何かを飛ばすが、ルーシィが矢を放ち的確に落としていく。落とした物が一切の効果を発揮していない様に見える為に、どういった魔法かが逆に不明となっているのが怖いところではあるが……
「全部落とせばいい!」
「私も防御に回りますぅ!!」
「助かるね……一気に決める!!|獅子王の輝き
「があああああああああ!!!!!?」
獅子の光が、炸裂する。凄まじい光と共に、咆哮と聞き違う程の轟音が鳴り響き相手を吹き飛ばす。言葉の勢いはあったものの、思ってた以上にあっさり倒せてしまったことに、ルーシィは逆に妙な不安があった。
「なんだ…?妙に呆気な━━━」
「ロキ!
「━━━へっ…!!」
「ッ!!」
吹き飛ばされながらも、ロキは相手が諦めず睨み返していることに気がついた。そして同時に、追撃のために更に拳に魔力を纏うが…相手の様子が先程までと変わっていることに気づく。だがそんな事で止まるわけにはいかない。ロキはそのまま、更なる追撃に移る。
「レグ━━━」
「遅ぇ!!!」
「ッ!ロキ!!」
突如として、闇のオーラのような物がロキを襲う。技を出す前に狩られたロキは直撃を受けてしまい、爆炎に飲まれていた。ルーシィが声を荒らげるが、爆炎から出てきたロキは膝を着いてはいたが無事であった。
「う、ぐっ……」
「へっ…直撃だったのによォ…星霊は人間よりも耐久性に優れてんのか?けっ、妬ましいぜ」
「今のは…属性こそ、違ってたが…!レグルス・インパクトそのものだった…!」
「えっ…!?」
駆け寄ったルーシィとアリエスが驚いていたが、その言葉を聞いたテリブレイショーはニヤリと笑みを浮かべていた。妬んでいた相手が自分に負けを認めたような気がして、心地よかったのだ。
「へっ……言っても問題ねぇから言ってやるよ……俺の魔法は
「そんな魔法が…だから、僕の光の属性に対して…闇属性の…!」
「そういうこったァ!!」
「けど!!受けないといけないなら…全力で攻撃を叩き込んでいけばいい!!……ロキは、回復に務めてて…!」
「ごめん、ルーシィ…!」
閉門され、星霊界へと帰るロキ。代わりに呼び出されたのはサジタリウスであった。そして、ルーシィは同時に星霊衣を変えて…自らの姿をタウロスの力が宿った物へと変えた。
「……へへっ、何がやりてぇんだ?攻撃を叩き込むんだろぉ?」
「星霊達の力と、星霊衣達との絆の力…!これで、あんたを倒す!」
「やァってみろよォ!!てめぇをボコボコにしてごめんなさいさせて、屈服させてやんよォ!!星霊の女共も一緒にさせて、並べて写真撮ってやろうかァ!?」
「……やっぱあんた、下品よ!!」
ロキを倒されてしまったルーシィ。しかし、彼女の闘志は燃え尽きるどころか更に燃え上がる。目の前の男に、これ以上好き勝手言われるのは…彼女とて我慢ができなったからであった。
,
「━━━いきなさい、我が信仰の獣よ!!」
「遅い!ミーティア!!」
こちらはジェラールと憤怒担当の男との対決。名をフォーラー・イラと名乗っているスキンヘッドのこの男は、ゴリラの様なモンスターを召喚してジェラールと戦わせようとするが……元とはいえ、大陸最強のメンバーと数えられる聖十大魔道の称号を持っていた男。ただの一撃で粉砕していた。
「…ふー……!…ふー……!!!」
「…どうした?自慢の魔法を即座に打ち破られて、怒っているのか?」
わざと煽るジェラール。しかしこれは、慢心から来るものではない。彼とて戦いで敵を煽るという行為は、しないように心がけている。しかし、今回はわざと煽っていた。
フォーラーは星霊魔導士に近い戦い方をするが、それは本質ではないとジェラールは考えていた。故に、本来の戦い方を引き出させた上で…完全に倒しきる。完全に負けさせた上でマホーグの居場所と皆の居場所を聞き出すつもりだったのだ。
「……………いいでしょう、その煽り乗るとしましょうか。しかし後悔しないことだ、私の魔法と呪法は…どちらも根本は感情のゆらぎ…!怒れば怒るほど!怒りを解消させればさせる程!!私は強くなるのだということを!!思い知らされる事に!!」
「……その上をもって、お前を倒させてもらう…!」
「いでよ信仰の獣!!そして燃えよ!我が怒り!!」
先程のゴリラの様なモンスターが再度現れ、そしてフォーラーの体が燃え始める。少し離れているジェラールですら熱を感じる程に、彼のからだは燃え盛っていた。しかし、それは彼自身を燃焼している…という訳では無いようで。魔力か呪力かは分からないが…それが体から溢れているのだろう、とジェラールは予想するのであった。
「…先程の様には」
「
フォーラーが言い切る前に、ジェラールから金色の矢が2本放たれる。それがモンスターとフォーラーに飛んでいくが…それは致命傷どころか傷を与えておらず、へし折られそして燃やし尽くされていた。いきなりの事にフォーラーは度肝を抜かれたが、ジェラールの連撃は止まらない。
「いきなり何を」
「三ツ星ミスラ!!」
「ぐぅ…!?」
まるで星の周りを囲う輪の様な金色の拘束具が、フォーラーとモンスターの体を縛る。しかし、そう何度も虚を突かれることは無い。一気に拘束を破壊しようと意識を向けたところで、ジェラールはその隙を上から突く。
「
「おごっ!?がっ…!!!」
両手両足に魔力が宿る。両腕の一撃ずつを持って鳩尾部分へと極大のダメージが与えられ、その後まるでほぼ同時攻撃と言わんばかりの速度で両足の蹴りがフォーラーの顎を狩る。
腕での攻撃の時点で、既にモンスターは狩られていたが…フォーラーには魔法が届ききって居ないのか未だに意識を保っていた。
「ぐっ…私の呪法は、魔法を怒りで燃やし…そして怒りを発散させるために体を頑丈に━━━」
「五芒星ペンタグラム!!」
広げた手を、ジェラールはフォーラーの腹部へと掌底のように勢いよく押し当てる。そこには星型が刻まれ、光り輝きフォーラーの体を焼く。だがこれも届ききっていないのか、まだ倒しきれていない。
「まだ意識があるか…!」
「いくら、やっても……無駄なことよ…!」
「だが、多少のダメージは期待できるようだな…!ならば…!六連星プレア━━━」
「無駄だと言っておろうがァ!!」
その巨大な叫びと共に、フォーラーの炎が爆発する。巻き込まれる前に離れたジェラールにはダメージはないが、拘束具は外されてしまっており、尚且つ相手の炎は止まることを知らぬ勢いとなっていた。
「はー…はー……!!!馬鹿なのですか貴方は!!何度も何度も無駄に攻撃をして!!!」
「……通じていない訳では無いからな、それに、連撃を入れる意味はあった」
「何だと!?何を根拠に…!」
「
「……は?」
フォーラーが、一瞬冷静になる。冷静になった瞬間に炎は消え、身体中のあちこちから…光が溢れていたからだ。それが何を意味するかを、フォーラーは即座に理解していた。
「まさか…!?」
「ジュピターは燃やされたようだからな、アマルテイアで3点…ペンタグラムで5点…強く打ち込ませてもらった……8つの光によって、栄華を沈めん!八星天王オクタグラム!!!」
8つの光の十字架が、フォーラーへと突き刺さる。怒りの炎を燃やしていれば、耐えきれたかもしれないが…怒りを忘れ焦ったのが不幸であった。怒りの栄華は沈められ、倒されるといった不幸が彼に訪れ━━━
「━━━━━━━━━━━━わけが、ないだろォォォォォォォォ!!!!!!!!!」
「なっ…!?こいつ…不死身か…!?」
再び炎が灯る。フォーラーの体を燃やし尽くすと錯覚するの程の熱が、ジェラールを焼く。汗はかいた傍から蒸発していき、唇は一気にひび割れる。水分という水分が、あっという間に消し飛んでしまったのだ。
「…熱いな」
「ぬおおおおおおおおおおおおお!!!!許さん許さん!!私をここまで怒らせるとは!!許さんぞ!!!!」
「…グランシャリオと、オリオン…最悪の場合は、セーマを当てるしかないか…?」
ダメージを受けていることは間違いないだろう。しかし、それが逆に疑問に感じる程に…今のフォーラーは元気としか言いようがなかったのだ。その叫びと熱は空間を震わせていき……少し、ほんの少しだけ…ジェラールが気づかないほど小さなヒビ割れが、現れたのであった。
,
「アハハハハハハァ!!私はァ!こっちですよォ!!」
「くっ…ちょこざいな…!」
こちらはエルザの戦い。幾つもの武器によるありとあらゆる攻め手を浴びせているが、その全てが未だに届いていなかったのだ。
色欲担当エストラス・ルクスシア。どれだけ攻撃を仕掛けようとも、相手は色んな動物へと自らを変えて攻撃を避けていた。エルザには一切の攻撃ができていなかったが、エルザ自身翻弄されきってしまいダメージ以上に疲弊の方が勝っていた。
「数も無駄、力も無駄……私にはァ…貴方の攻撃は届かないんですよォ……因みに━━━」
そう言いながらまたもや姿を変えるエストラス。しかし今度は動物の姿ではなく、人間の姿…しかも現れたのは……ナツであった。
「━━━あー、あー……ん゙ん゙ッ!こういう事も、出来んだよなぁ」
「ナツの姿に…!?」
「あー………
何かを確認したかったのか、納得していない表情で姿を変えていくエストラス。一体何がしたいのかエルザには全く分からなかったが、その姿は別の男へと切り替わる。
「………今度はグレイか」
「……こいつでもねぇのか…暴食…いや、あっちは違うか……ってなるとあと一人だから………
「ッ…貴様…!」
「……
グレイの姿へと移り変わり、そして…ジェラールの姿へと変わった。エストラスはエルザの反応から何かを感じたのか、ジェラールの姿のままで両腕を広げまるで通せんぼのような事を行っていた。
「どうだ?愛する男と戦う気分は……武器は振るえるか?足は動くか?お前はこの男を……切れるか?」
「━━━━高位
「……は?」
「確かに、ジェラールとは昔からの仲だ……」
グレイの滅悪を宿した氷の剣。エンチャントにより発揮される対悪魔の剣を構えて、エルザはジェラール……否エストラスを『見た』。その目には、一切の迷いが宿っていなかった。
「━━━しかし、それはそうとして…一度戦った仲なのと…また道を踏み外すようなら、連れ戻すために倒すのもやぶさかではないと考えているのでな…化けても無駄だ」
「……流石に
「まぁ、それ以前に目の前で化けられているなら…手加減する必要もない。それと、幾らか戦ってわかったことがある」
「……わかったことぉ?」
無駄だと分かったためか、元の姿へと戻るエストラス。その表情は怒りと、それを隠そうと理性を働かせるので手一杯といった形相であった。対して、エルザは不敵な笑みを浮かべる。
「戦いが苦手という風なことを言っていたが……なるほど、人や動物に化ける力があっても…それの戦闘能力の再現までは不可能な様だな」
「………はー、まぁ流石にバレますよねぇ……えーえー、そうですよぉ?私は、『今は』人に化けるしか出来ませんからねぇ」
「ふ、まるで今以外ではそれ以外のことができると言いたげだな?」
「『今は』絶賛別件仕事中ですからねぇ」
見るからに怒っている、と言わんばかりに口角を震わせているエストラス。好き勝手いわれるのが、よほど腹に据えかねていると言ったところだろうか。
「では…改めて貴様を斬ることで、その別件を出来ないようにしておこう」
「やれるもんなら!!!!」
こうして、再びエストラスとエルザの戦いは始まった。だがこの時エルザもエストラスも気づいていなかった。エルザが出した氷魔の剣。これが、ほんの少しだけ…空間にダメージを与えていることに。
,
「………ちっ、傲慢な奴だ。適応してきたか」
「やかましい!!!!」
そしてこちらはマルクと傲慢担当スペイルヴィ・アロガンティアとの戦い。マルクは越魔龍に悪魔の力、
そうして戦っている内に、マルクは相手の使用する魔法と呪法が何となくだが理解できるようになっていた。
「…」
「もうそれは通じねぇよ!!」
手を横に軽く振り抜くスペイルヴィだったが、マルクは魔力を固めたラクリマを目の前に飛ばしていく。その瞬間にラクリマは真っ二つに裂けて砕け散っていた。
これだけならば、風の魔法か呪法だと考えられるが…彼の使う技はそれだけではなかった。
「では…こうしようか」
「ちっ…!」
スペイルヴィは地面の土や小石を乱雑に拾い上げて、マルクへと目掛けて投げつける。精々か目眩し程度にしかならないものだが、マルクはそれを魔力によるブースト込で避ける。瞬間、先程までマルクのいた場所が連続して爆破していく。その攻撃方法は、まるで読めないでいた━━━
「━━━━なんて、細かく考えてたが…要は大雑把に考えればわかるんじゃ無いかと思い始めてきた」
「なんだと?」
「俺の体を真っ二つにしかけ、ラクリマを真っ二つにした魔法。そしてさっきの小石とか土の爆破……もしかして、造形魔法に近いイメージを具現化する魔法なんじゃないか」
「……………」
「呪法の方は………ま、攻撃を無かったことにするとかそんな感じだろうな……」
「それを、馬鹿正直に『はい』か『いいえ』で答えると思うか?」
「否定しなかったから、その前提でいかせてもらうわ」
「ちっ……傲慢な奴め」
スペイルヴィは肯定こそしなかったが、マルクの答えは凡そ当たっていた。彼の魔法は
彼が「これは剣である」と望んだ物は、どんな物であれ何でも切れる刃となる。マルクやラクリマを真っ二つにしたのは、手を薙ぐことで起こる空気の流れを刃に変えたのだ。
先程の爆発も、土や小石を爆弾に変えただけのこと。しかし分かったところで、マルクはただ大袈裟に避けるしかないのだ。魔力こそ問題ないが、彼は先に体力が尽きてしまうだろう。
「だから、短期決戦だ!!!」
「攻撃は効かん!!」
そして、呪法は傲慢の呪法。受けたダメージをなかった事にする呪法………と言うのも、1つの効果である。本命は、受けたダメージ分自らの呪力や魔力の上限値を上げていくのだ。つまり、受ければ受けるほど彼は強さを増していく。そしてこの呪法は…オンオフの効かない呪法、勝手に発動してしまうのだ。だが、受ければ上限値が上がり勝手に回復も行う。無敵、と言ってもいい呪法だろう。
だが勿論、何もかもが回復する訳では無い……彼には、痛みの経験が蓄積していくのだ。傷は回復しても、痛みが回復されない……それが彼の呪法の弱点なのである。
「全部喰らえばどうなるかなァ!?」
「その程度で止まるわけが━━━!!!」
暴食の力を乗せた越魔のブレスが、スペイルヴィを飲み込む。消し飛ばされた……と思った直後には、彼は何事も無かったかのようにブレスの跡地に立っていた。
「━━━ないだろう…!」
「今のもだめか……」
「舐めるなよ…この俺を…!!!正義は、この俺にある…!」
彼の呪法は、彼がどれだけ消し飛んでもその事実を認めない傲慢の塊である。だが傲慢とは、強がりでもある。彼には、消し飛ばされた痛みが身体中を駆け巡っている。それが残っているにも関わらず、彼は涼しい顔をしていた。
「舐めんなよ人攫い共が……何が正義だ…人に迷惑かける正義なんてのはァ…叩き潰して、食らってやんよ…!」
そうして2人は、全力で戦い始める。だが、越魔の圧と暴食の力…そして正義の力が、この空間を徐々に限界へと近づけていくのであった。
ジェラールに滅茶苦茶オリジナル魔法突っ込みました