FAIRY TAIL〜魔龍の滅竜魔導士   作:長之助

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VS致命的な美徳屋(デッドリーバーチュー)後編

突如押して始まった闇ギルド致命的な美徳屋(デッドリーバーチュー)との戦い。ナツは強欲担当と宣う青髪の女性、アヴァルティア・コピディタスと戦い始めていた。

 

「火竜の咆哮ォ!!!!」

 

ナツのブレスが相手に向かって飛んでいく。しかしそのブレスは突如として吹き荒れる暴風によって、掻き消されてしまう。その暴風はピンポイントでナツのブレスの所だけ起こり、両者に被害はもたらされていない。

 

「おやおや、不幸ですねぇ」

 

「風の魔法かァ!?なら直接ぶん殴ってやらァ!!火竜の、鉄げふう!?」

 

拳に炎を灯し、殴りかかろうとした瞬間…ナツは盛大にコケてしまう。まるで何かに足を滑らせたようだが、しかし不思議なことにナツの足元には何も無いのである。

 

「だァー!!!めんどくせぇ!!」

 

「おやおや、随分と不幸なのですねぇ」

 

「うるせぇ!!どんな魔法かは知らねぇが…それよりも早く動けりゃ良いだけだ!!モード雷炎竜!!」

 

炎と雷、二種の力。ナツは構えを取りタイミングを見計らう。相手の魔法が何なのかは分からないが、上から叩き潰せばいいだけの話なのだ。簡単である。

 

「美しいですねぇ…炎と雷、どちらも何かを壊す力でありながら…人を生かす力…希望と絶望の象徴、本当に━━━」

 

「雷炎竜牙!!」

 

即座に後ろに回り込み、ナツは一撃で勝負を決めるつもりであった。攻撃力と速度が乗ったこの一撃は、破壊力が凄まじい物であり…人間ではまともに耐えきるのは難しいだろう。

 

「━━━美しい」

 

「なっ…!?」

 

━━━故に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。その雷は、気配でわかる。ラクサスの…もっと言うのであればナツが取り込んだラクサスの力の気配がしたのだ。

 

「てめぇ、マルクみてぇに魔法のコピーが出来んのか!!」

 

「えぇえぇ!!その通りです!!しかし彼の力は他を取り込みすぎたが故に劣化品!対してこちらは、一つに絞った分強力なのです!!」

 

「てめぇの中の気配がなんか強くなった……呪法か、その力…!」

 

「鋭いですねぇ…頭の回転はやはりいい方…余計な知識がない分、集中した時の回転力は侮れない…実はですねぇ、私、こっそり貴方達の事、見ていたのですよ」

 

「あァ?」

 

不気味な程に口角を上げるアヴァルティア。その気配にナツは警戒を強める。掴まれた腕を振り払い、距離を離す。何かを考えているのはわかったが、何をするのかは分からない。

 

「しかし…なるほど、魔法と言うよりも技術に近い様で…炎と雷を上手く合わせようにも、私ではこれに関しては劣化に近いでしょう…」

 

「何が言いてぇ」

 

「私、コピーできる魔法は一つだけじゃないのですよ…そして…()()()()()()()()()()()()()()()()

 

その言葉の瞬間、アヴァルティアの体が光り輝く。正確には、彼女の着ていた衣装が光り始める。この現象を、ナツはよく知っていた。この現象は、ある魔法で起こる現象。その魔法は……騎士(ザ・ナイト)

 

「━━━換装、炎帝の鎧」

 

「てめぇ…エルザの鎧を…!?」

 

「ふふふ、そうなのですそうなのです!ホルダー系の魔法も私はコピーができる!!!………ただホルダー系のアイテムを持っているわけではないので、そのアイテム自体を魔力や呪力で精製しないといけないのが難点ですが…というかこの人…鎧や武器を大量に持ってますねぇ…裸エプロンもあるのはどういうご趣味で…?」

 

「知らねぇ、ジェラールにでも見せるんじゃねぇか」

 

「そうですか愛する人に……いいですねぇ…」

 

恍惚とした顔に若干引くナツ。しかし、ホルダー系も可能となるとナツ自身かなり面倒だと感じていた。自分達を見られていたのであれば、良くも悪くもそのコピー先は自然と絞られる。

 

「…まぁ、恐らく思いついているでしょうが……出来るのですよ、こういうことも…!開け、獅子宮の扉…レオ!」

 

「━━━やろうか、ナツ」

 

「てめぇロキ本人か!なんでルーシィじゃねぇヤツに…!」

 

星霊魔法。星霊と契約し、その鍵を軸に星霊界から召喚する魔法。本来であれば、契約者以外から召喚するのはできないことなのだが……

 

「…?何を言ってるんだいナツ、契約したルーシィ以外に召喚できないのは知っているだろう?大体、この子がルーシィじゃないように見えるのかい?」

 

「んな…!?」

 

方法や理由は分からないが、つまりは似ても似つかぬ彼女をロキはルーシィだと認識しているらしい。そして、それを疑わない辺り恐らく説得しても無意味だろうとナツは推測する。ならばやる事はたった一つ。

 

「殴る!!」

 

「直情的で直線的で…うぅん…いい意味で青いですねぇ…!しかし、この炎帝の鎧は炎をある程度無力化できますが?」

 

「へっ、そんな簡単に防げるわきゃねーだろうが。俺の炎は…もっと熱いんだよ…!モノマネ野郎が防げねぇくれぇには……なァ!!!」

 

「やはり熱いね、ナツ」

 

超がつく程の高温が、一瞬で辺りに伝わっていく。汗さえも蒸発し、本来溶けないであろう物まで溶かしてしまうその高温。最早魔法でさえ下手なものではナツに届くことは無いのである。

 

「これは……」

 

「へっ…ほらな、やっぱり耐えられねぇ」

 

アヴァルティアの顔が真面目なものへと変わる。彼女が生み出した炎帝の鎧が溶け始めていたのだ。実物であればまた話しは違っていたのかもしれないが、あくまで魔力等で再現した別物ということなのだろう。

 

「ここがどこかもわかんねぇし……一気にぶっちぎってやんよ…!炎竜王の、崩拳━━━!!」

 

見る者が見ればイグニールの炎と見間違えてしまうかもしれないほどの高熱の炎が、アヴァルティアへと襲い掛かる。その熱量は、今ナツを閉じ込めているこの空間に明確な『負担』をかけたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

,

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「鬱陶しいぞ…!」

 

そして、場所は代わりグレイが閉じ込められている空間。ここでは致命的な美徳屋の怠惰担当セニティス・ピグリティアと、グレイの戦いが繰り広げられていた。

 

「んー……」

 

否、戦いと言うべきものなのだろうか。セニティスはただ横になっているだけであり、グレイの体に全く見えないほどの細い糸が巻き付けられて拘束する…そしてグレイは滅悪魔法を用いた造形魔法で糸をちぎる…先程からそれの繰り返しであった。

 

「たかが糸如きで俺を止められると思ってんのか!!」

 

「んぁー……思っ…………てる、よぉ………」

 

「見えなくてもなァ…!凍らせちまえば問題ねェ!!」

 

凍らせて、砕き…糸をちぎる。ただの作業である。しかしグレイは気づかない。セニティスの魔法であるこの糸…名を節制糸(テンパランストリング)と言い、糸に触れた者の『何かしら』を節制する魔法である。

言い方を変えれば、縛る魔法。その気になれば魔法や呪力の消費、視野狭窄等の使い方も可能。そして今グレイは視野狭窄へと陥っており、本人自身それに気がついていない。

冷静になれば、この程度であれば全体的に鋭い氷を鎧のように錬成するだけでいいのである。そうすれば、糸をちぎりながら進めるのだ。それに思い至らないように、視野狭窄へと陥らせている。魔法が行えない様に節制するのは簡単ではあるのだが、そうなると意識の『ズレ』に気づかれて逃げられる可能性があった為だ。つまるところ━━━

 

「……頭、冷やせば…?その氷……でさぁ………なぁんて……」

 

「うっせぇ!!!」

 

視野狭窄による短気化、そして糸の強度を落としてわざとちぎれやすくする。ちぎれやすくしてるのに気づかれればアウトではあるが、短期になっているところに煽りを入れて熱くさせる…足止めするだけならばとっくの昔に達成しているのだ。

……が、ここで彼女にとっても誤算が一つあった。怠惰担当でもある彼女が怠けて情報の接種を怠ったが為の自業自得なのだが━━━

 

「あんまり怒らせんじゃねぇぞ…!」

 

「い゛ッ…何……!?」

 

グレイの体から冷気が溢れ出す。その冷気に触れた瞬間に痛みを感じるセニティス。最初は凍結してしまったのかと思ったが、即座にそれは違うと判断づけた。自分によく効く魔法と考え、つまるところそれは━━━

 

「滅悪…!めんど……!!」

 

周り一面が氷始めていく。その氷は悪魔の力を明確に拒絶する。知ってか知らずか、その力は彼女の悪魔としての力も削いでいく。彼女の呪法は怠惰の呪法。彼女自身が動かないでいる限り、魔力呪力体力気力その他にもいろいろ全てが湧いてくる呪法である。

彼女はその呪法を魔法の糸に流して、グレイに触れさせることで怒りの長期化を計っていた。視野狭窄による短期化と同時に、呪法の効果を魔法で『怒り』一つに縛り更に魔法で視野狭窄をかけ、怒りの度合いも調節する事で、グレイをずっと適度に怒らせていたのだ。だがこうなれば話は変わってくる。『糸を斬らせ続ける』という視野狭窄は━━━

 

「呪法を通さず…糸の強度を上げて…!」

 

「━━━糸を切ってお前に近づくつもりだったが、面倒だ…()()()()()()()!!」

 

こうして放たれる滅悪の氷は、縛られること無くヒートアップしたGグレイの全力により…この空間に偶然にもダメージを与え始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

,

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「━━━━無駄ですよ、私のこの力からは…逃れられない…!」

 

「……油断していたな、精々がサブプラン程度の物だったんだが……」

 

同タイミングで……ウェンディとマスター・シンとの対決は、ウェンディの優勢で明確に進んでいた。『油断』とシンは言うが、もはや相性の差である。モード魔天竜のウェンディは魔の力を天に乗せている……つまるところ、魔力を食らう一撃が全体的に拡がっているのだ。マルクでも同じことは出来るが、それはどちらかと言えばついでで起こることである。

 

「こちらからの魔法は全て通じず、逆に魔力を奪い取られる始末…呪法を使おうにも天竜の力で居場所は関係なく攻撃され、もう1つの呪法を使う余裕はない……参ったな」

 

「近づくのも難しいですよ」

 

「……小さくとも、合理的な戦闘法を取れるのは厳しいな…この力を相手取るのは私ではなく別の者に任せるべきだったか…?『魔呪法』さえ使えたら良かったが……」

 

「…?魔呪法…?貴方何を言って━━━」

 

「「ッ!!!?」」

 

その瞬間、空間に2つのヒビが入る。一方からは炎が吹き出し、もう一方は巨大な氷柱が突き出していた。シンはヒビにこそ驚愕したが、その表情はすぐさま思考に入った顔へと変わっていく。

対してウェンディはその二つが誰によって生み出されたものかが、すぐに理解出来た。そして、その2つのヒビの間……そこにその2つよりも大きな亀裂が走る。そこからは紫色の魔力が噴き出し………()()()()()()

 

「━━━ウェンディ!!」

 

「マルク!!それに…!」

 

「全員無事か!?」

 

「何とかな!!」

 

「おらァ!!ぶち破ってやったぞォ!!」

 

「よかった!!」

 

「ナツー!!」

 

「ウェンディ!マルク!!」

 

「…!全員いるな!!」

 

この森に飛び込んできた仲間全員が、一同に介していた。対して向こうの方も各個撃破のつもりだったのか、不服そうな顔でシンを中心に集まっていた。

 

「マスタァ!申し訳ありませぇん!!まさか『溶かす』だなんて…!」

 

「こっちもぉ……まさか、滅悪の力が……ある、だなんてぇ…」

 

「ちっ…どうなっているエストラス…!色情魔は仕事も出来んのか…!」

 

「こーんな大量に空間作らせといて、自分の怠慢を擦り付けるだなんてぇ…傲慢にも程がありませんかぁ?」

 

「突破できる力が偶然あったァ?随分とまぁ…妬ましいなァ…!物語の主人公ってかァ?」

 

「……ふー…まぁ、いいじゃないですか…済んだことは」

 

互いに相手を睨みつける一同。そんな中で、シン1人が合点がいったように1人で頷いていた。

 

「なるほど…滅悪の力、暴食の力、そしてENDの力…増やす代わりに脆くなったエストラスの空間をその3つで突破した…というところか」

 

「よう、テメーがマスターか?」

 

「正解だ、ナツ・ドラグニル。いや、それとも…」

 

「俺ァその名前であってるよ、それ以外に名乗る名前はねぇ」

 

「そうか、ならそっちで呼ぶとしよう……さて先程の質問だが、Yesだ。ギルド以上に研究機関としての役目の方が大きいがね…評議会は通していない、邪魔だからだ」

 

「んな事ァ聞いてねぇよ……仲間、返してもらおうか」

 

ナツが真剣な表情でシンを見返す。シンは少し不思議そうな顔をしていたが、またもや合点がいったような表情を取る。それが少し、マルクの癇に障っていた。

 

「あの女か、いいだろう。但しタダというわけにはいかない、そこのマルク・スーリアを━━━」

 

『認めた回答以外は許さない』と言わんばかりに、マルクは越魔の力を解放してブレスを即座に放つ。直撃でもすれば、全員跡形もなく消し飛んでいただろう。しかしそのブレスは届くこと無く、逆に消し飛ばされていた。

 

「……あ、ぶなぁ……」

 

「人の話は聞くべきだと思うんだがね…助かったよ、セニティス」

 

「ナツさん!!」

 

「おう!」

 

問答は必要なし。マルクは越魔の力を出したまま、嫉妬の力を体から生えたラクリマへと移しブレスを放つ。それに合わせて、ナツも全力のブレスを放っていた。

 

「「合体魔法(ユニゾンレイド)!!炎竜王の黒炎魔(レイヴィエンド・イグニール)!!!」」

 

黒と赤が混ざりあった巨大なブレスが、敵ギルドに襲いかかる。呪法、錬金術、魔法の合わさった強大な一撃。先程防がれたのは、魔力による魔法のみだったからと即座に判断したマルクはナツとの合わせ技に挑んだ。何故なら、ナツの炎の本気は単なる攻撃以上に…熱でありとあらゆるものを溶かし燃やしてしまうのだ。

 

「……耐えられそうにないな」

 

「私が…!」

 

「任せよう、アヴァルティア」

 

「では…魔呪法……発動…!」

 

その瞬間、2人の合体魔法は着弾して大きな爆音をあげる。炎は燃え広がり、汗さえも蒸発させるほどの高熱が全員の体を焼く。爆炎は収まり、爆煙も徐々に晴れてくる。そこには倒れている人影が幾つもあった。

 

「やった!」

 

「…まだです」

 

「あぁ……おい、テメェら…起きてんだろ」

 

「━━━━正確には、今起きたところだがね」

 

そう言いながら、煙の中の人影は起き始めていく。まるで無傷と言わんばかりに、全員が何事もなく平然と立っている姿がそこにあった。

 

「今のが効いてねぇってのか!?」

 

「いや…今の攻撃は確実に通っていたはずだ…」

 

「……マス、タぁ………全員、殺…す……?」

 

「ふむ…マルク・スーリアとウェンディ・マーベルだけは生かしておけ、できるか?」

 

「ん……頑…張、る……」

 

「ッ…!七つの罪に裁かれよ!!」

 

「魔呪法…怠縛節(タバクセツ)…!」

 

「グランシャリオ!!」

 

セニティスが何が発動しようとした瞬間に、危険を感じたジェラールが地面に魔法を放つ。爆音、爆風、爆煙……『何か』を発動させたままだったセニティスだったが、爆煙が晴れる頃には…誰もいなかった。

 

「……1歩、向こう………早かった…かも」

 

「………誰かが奴らを魔法で移動させたか」

 

この場に残されたのは闇ギルドの7人のみ。その事実を認識した直後に、その7人は翻って帰っていく。突如として始まった闇ギルドとのバトルは、決着がつかないままに終わりを迎えるのであった。




オリジナル編のオリジナル要素出していきます。
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