FAIRY TAIL〜魔龍の滅竜魔導士   作:長之助

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悪魔研究機関

「━━━ここは…」

 

魔陣の竜(マギア・ドラゴン)です、皆さん無事ですか?」

 

突如として現れた謎の闇ギルド致命的な美徳屋(デッドリーバーチュー)。その構成員と戦っていたナツ達であったが、突如として移動させられていた。そこは原初のギルド魔陣の竜であり、つまりは移動させたのはエレフセリアであった。

そして一同を一番に出迎えたのは、錬金術と魔法によって生み出された存在…機械人形アテナである。

 

「……まぁ正確に言うと、私がここに転送するように伝えたのだけど」

 

「アイリーンさん!」

 

困惑している一同の元に、アイリーンが声をかけ注目を集める。しかし何故移動させたのか、という話なのだが…それを聞こうとする前にアイリーンとエレフセリアは一同の前に移動して真剣な表情で見ていた。

 

「……厄介なのに関わられたわね」

 

「アイツらのこと、知ってるんですか?」

 

「あぁ…ワシも噂では聞いたことがある程度だが…まさかこの大陸で根付いていたとは…」

 

「元はフィオーレ…イシュガルで悪名高い悪魔研究機関、その生き残りよ…あのマスターはね」

 

「…その言い方、まるでこっちの大陸で他のメンバーを集めたかのような」

 

「事実そうよ…だって彼は竜化する前の私と実質的な同期だもの…話したことはまるでないし、向こうは私のことは覚えてないでしょうけど」

 

つまりは数百年は前になるだろう。それほど前の存在が未だ生きている、それがどういう意味を指すか。マルクが感じ取った通り、人間ではなかったのだ。

 

「…やっぱり、悪魔だったか」

 

「純粋な悪魔か、と言われたら微妙なところだけど……まぁ概ねそうでしょうね。人間に敵対するドラゴンへの対策として悪魔への変貌を提唱した彼は、奴隷や罪人を材料に何人も犠牲を出していた…どうやってなったかは兎も角、彼もまた悪魔なのでしょうね」

 

「…なったかは兎も角って…どういう事だよ」

 

アイリーンの言葉から受け取れるのは、まるで人間から悪魔になるのは不可能…または彼女が知る限りではなることはなかったという事になる。滅悪魔導士でもあるグレイは、少し気になるのかアイリーンに尋ねていた。

 

「言葉の通りよ、方法なんて分からないもの。私が知っているのは元々が悪魔のパターンと、ゼレフ書の悪魔の様なパターン。生きたまま悪魔に変わったパターンなんて知らないもの…けど、今はそこは関係ないわよ」

 

「ワシも知らん…そもそもこの大陸にいたことさえ気づかなんだ…しかし、噂では聞いたことがあった。『悪魔へと進化できる』という噂の悪魔崇拝の宗教が流行っている、と。しかし成功者の話を聞かない事…仮にあるという前提で見ても、それらしい本拠地をこの大陸で構えられるとは思わんかった」

 

「……確かに」

 

ギルティナ大陸は五神竜が実質収めているような大陸である。なんなら100年以上前は六神竜だったのだ。そんな土地で、大それたことができるとは到底思わなかったのである。

 

「実際変なことをしていれば、逃がさないでしょうね…人間の味方のセレーネとメルクフォビアは兎も角…他はアクノロギアという前提を見ているもの、100%人間が逆らわないように潰すはずよ」

 

「……だが、現実として…『それ』はあった…五神竜の目をどうやってか掻い潜って…!」

 

「つーかよ、別に全員強えってだけでぜーんぶ見渡せる訳じゃねぇんだから地下にでも隠れてたんじゃねぇの?」

 

ナツが少しつまらなさそうに答えるが、可能性としてはそれがあるだろう。事実、この大陸にはこの間までドグラマグの迷宮があったのだ。隠れるにしてはうってつけの場所だろう。()()()()()()()()()()()()()

 

「…それは、どうなんでしょうね」

 

「100年前から今までは、ドグラ迷宮はワシが事実上見張っていた。それより前はドグラマグがいた…下手な輩は通すことは無い…そのはずだが……」

 

「……その真偽はともかくとして、だ。奴らに対抗する術…それを少し考える必要がある」

 

「えぇ…けど、まさか…当時の研究中の技術を完成させてたなんて…」

 

「…技術?そういえばなんか言ってたような……」

 

「━━━魔呪法、魔法と呪法の重ね合わせた技。彼はそれを完成させる事を研究としていたわ…現にそれは完成していた…」

 

「俺が戦ってたやつが発動させようとしてたやつか…」

 

思い返して、あの異様な雰囲気の事を思い出す一同。良く考えれば一人であの場の全員と戦おうとしていたのだ。それだけ強い力なのだろう…と考えたところで、マルクがふと思い至る。

 

「…いや、既に俺達は術中にいたのかも知れませんよ。その力の…」

 

「…?マルク、どういう事だ?」

 

「あの森の中…途中までは確実に全員一緒にいたはずなのに、いきなりみんな敵になってた。俺ですら、襲いかかられるまで全く気づかなかった」

 

滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)は五感がするどい。それに加えて、マルクには魔力感知能力が非常に高くウェンディは空気の動きに敏感である。だがそれでも一切気づかなかった。相手の特異な技の影響だとすれば、合点がいくことも多いのである。

 

「…それに、魔法かと思って俺の魔力を全開放しましたが…一切効かなかった。だが空間が壊れた時…全員が同じ位置にいた」

 

「……私が戦っていた相手…色欲担当…と言っていた気がする。そいつが何かしていた…様な口ぶりだったな」

 

「ちょ、ちょっと待って?視界が悪かったのは確かにそうだけど…それでも私達全員…マルクやウェンディ、ナツも気づかない間に分断できる技術レベルの技ってこと…?」

 

ルーシィが驚いていたが、全員同じ気持ちであった。そうなると感覚の類は一切信用出来ない。そして同時に相手の本拠地に乗り込む事は、誰が敵に成り代わっているかも分からなくなってしまうのだ。

 

「なーに!全員殴りゃ済む話だ!!」

 

「それに…俺に関しては対抗する術はある…相手が悪魔だってんならな」

 

「……滅悪魔法か」

 

戦っていた時だが…グレイの滅悪魔法、ナツの高出力の炎、マルクの越魔龍。少なくともこの3つは、あの空間に負担をかけていたことが分かっている。そのことに気づいたジェラールは、ある1種の仮説を立てていく。

 

「…異様な技ではあるが、同時にあくまで万能の力では無いという事か」

 

「……どういう事だ?ジェラール」

 

「奴らを含めた全員の攻撃で空間を割った、という事は…奴らのその技は俺達でも何かしらの負担をかけることが可能ということだ。ただ闇雲に魔法を放てばいいという話では無さそうだが……」

 

「……なるほど、作用する何かしらをすればいい、と」

 

「ナツさんは魔法を溶かせる、グレイさんは悪魔に弱点の滅悪魔法…俺は魔力でのゴリ押しか悪魔の力のフル活用……」

 

無い者達がいずれかの方法を取れればいい…と考えたが、それはあまりにも都合がよすぎる話である。対策されている可能性もある上に、そもそも現状分かっているのは例の空間だけなのだから。

 

「━━━━お困りの様だな」

 

「…今の声は…!?」

 

そう考えていた時…声が響く。しかし一同以外にこの場には誰もいないはずなのだ。全員が当たりを見回し始めた中で、上に『穴』が開く。

 

「その話、我らディアボロスも噛ませてもらおうぞ」

 

「……セレーネ!?それに…」

 

その穴から現れたのは、五神竜が一人…月神竜セレーネ。そして、セレーネが率いる滅竜魔導士ギルド、ディアボロスの面々であった。だが、それに加えてもう2人━━━

 

「ギヒッ…おいおい、こっちにもいんだぜ?」

 

「また何か面倒事に巻き込まれてるみてぇだな、お前ら」

 

「ガジルゥ!?」

 

「それに…ラクサスも…!?」

 

「二人とも来たんですか!?」

 

「正確にァ…こいつ(セレーネ)に連れてこられたんだけどな」

 

「ちなみに、俺もいるぞ」

 

「リリー!!」

 

━━━一同は確信した。『強力な助っ人がやってきた』と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

,

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「━━━なるほど、そういう事情か…ならばディアボロスにも悪魔退治…やらせてもらおうか」

 

セレーネは一部始終を聞き、そう返す。そう言いながら目線を移した所にいたのは、ディアボロスの面々であった。全員、既にやる気満々と言った風である。

 

「味方してくれるのはありがたいが…相手の技が問題だ」

 

「何、問題ないようにすればいい……史竜のレークと奪竜のダーツ、この2人で対策が無い者達に力を与えればいいだろう。それに、対策のパターンは増やせるぞ?」

 

「……と言うと?」

 

「スカリオンじゃ!!」

 

「どういう事よ、キリア」

 

「ぜーんぶ灰に変えれば良いんじゃ!!」

 

「…相手の技の基準としては、セレーネ地味た異常なレベルでの転移などの系統ではなく…他がどういう技かは分からないが、滅悪魔法以外でも対策できるのであれば、氷でさえも骸に変える骸竜の力は活躍できるだろう」

 

キリアの説明に補足するかのように、スカリオンは説明を入れていた。骸に…というよりかは、スカリオンの力で全てを灰にするという話である。

 

「ちなみに!!!!悪魔相手なら俺の裁竜も活躍できるぞ!!!!!!」

 

「あー、そんな能力あったな」

 

スァーヴァクも目立ちたいのか、スカリオンの前に立って自己アピールをしていた。どうやら、対策出来るかもしれないというのがディアボロスには何人かいるようである。

因みに、ミサキもブルーディメンションの応用が効くかもしれないということであった。

 

「因みに、私は参加しない」

 

「……1番参加してくれたら助かるんだけど…なんで?」

 

ルーシィがセレーネに尋ねていた。セレーネは空間を繋げることが出来るために、例え全員が同時に隔離されても対処はしやすいが…セレーネは指を1本ずつ立てて、ゆっくりと説明を始めていく。

 

「1つ、私が力を貸してもいいが…イグニアが動きを察知して動きかねない。そうなると第3勢力を呼ぶ可能性があり面倒…イグニア側が1人では無いというのは聞いている…イグニアの勢力の誰かしらが動くとしたら、恐らく隙を見て各個撃破されかねない…故に威嚇の名目で、動かず静観に徹しておく」

 

「いいじゃん逆に全員ぶっ飛ばそうぜ?」

 

「んなわけにいくかよ…」

 

「2つ、その上でイグニア自身が動いた時に対抗出来るのが現状私だけだ。何か起こされてもいいようにしたい…先も言った第3勢力が一緒にくれば、対応しやすいだろうしな」

 

「相性いいのはメルクフォビアだろうけど…」

 

「力を失った、って言ってたもんね……」

 

真に能力を失った訳では無いかもしれないが、どちらにせよ今すぐ全力を出せる可能性は低いだろう。イグニアの動きが分からない中で、イグニアの勢力を相手取る事になるのは危険である。

 

「でもそれだとイグニアの勢力から…何人いるかは分からないけど、全員相手取ることになるぞ?」

 

「あら、心配してくれるの?」

 

「さすがにな…」

 

「ま…イグニアは兎も角、滅竜魔導士でもドラゴンでも無い者達が…私…月神竜セレーネの鱗に傷をつけることは不可能だ」

 

その言葉に背筋を凍らせる様な威圧を感じながらも、少し安心する一同。イグニアが動くことになれば話は別だが、それ以外でなら安全という話である。

イグニアが動いた場合は……その時はその時である。

 

「ま、最悪私達も動くわ」

 

「アイリーンとエレフセリアがいてくれるのなら100人力ね」

 

「ふふ、滅竜魔法の始祖の力…見せちゃおうかしら」

 

アイリーンはセレーネに向けてブイサインを出して、協力する事を約束してくれていた。同時に…というか勝手にエレフセリアとアテナも協力することになってしまったのだが、エレフセリア本人はアイリーンとセレーネに強く出れないまま…勝手に決まったのであった。

 

「……で、だ……どうする?」

 

主語の無い問いをジェラールが発する。言わんとすることはすぐに理解できた、すぐに行くのか?という話である。無論、行くことに一同は異論は無い。

だが…何も考えがないままに飛び込むのも良くないという話である。相手が好きなように空間をいじってしまっていれば、先程の場所が水中にでも変貌していれば溺れてしまうからだ。

 

「そりゃあ出た瞬間に相手がいるなら、殴りゃあいいだけだ」

 

「んな簡単な話じゃあ………」

 

「いや、今回はナツの言う通りでいいかもしれない」

 

「はぁ!?マジで言ってんのかエルザ!!」

 

「あぁ……相手は私達に気取られないように離れさせる程の高度な技術を持っていた。だがそれは破壊可能でもある事がわかっている…なら、飛び込む前にでも全員が滅竜印…ならぬ滅悪印でも付けて魔法を放てば…」

 

「…相手は悪魔由来の力だから、同じように分けられても破壊できる…かもしれないと」

 

事実として、グレイ、ナツ、マルクの3人が破壊の要因だった。全員が干渉可能になるのであれば、たとえ強固な物にされたとしても破壊不可能になる程では無いとエルザは考えていた。

 

「…なら、飛び込む前に必要なのは……」

 

「前準備ってことですね」

 

そうして、レークとダーツ…そしてウェンディとアイリーンのエンチャントによって、全員に対悪魔との戦いの準備が行われるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

,

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゔっ……あ゙……!私、私は……?」

 

「私のォ…『愛』の魔法と色欲の呪法の出力を弱くさせて、意識の抵抗を下げてる訳ですがァ……」

 

「ここに、虚飾と憂鬱の呪法を応用させ…失敗作自身と重ねる」

 

エストラスとマスター・シンの呪法と魔法が、目の前の人物の意識を塗り替えていく。愛の魔法は、恋愛対象の変更…ただそれだけである。しかし、それはAをBに変える魔法でもあり0を1に変える魔法でもある。恋愛対象が居ない人物でも、勝手にエストラスの方で好きな人物を変えることが出来る魔法なのだ。但し、放たれるハートマークのビームのような物に当たらねば意味が無いのだが。当たればどのような人物であっても、絶対にエストラスを守ろうとするだろう。意識が飛んでしまうと難しいが。

そして、色欲の呪法。脳内に思考を麻痺させ多幸感を与える液体を噴出する魔法。この液体はすぐ蒸発するのだが、その蒸気を吸ってもならない。

 

「出力を弱くすることでぇ、脳内に中毒性を残さない程度の多幸感を与えつつぅ…恋愛対象をゆるーくマスターに変更ォ…で、いいんですよねぇ?」

 

「あぁ、後は虚飾を失敗作自身に重ねて精神的な汚染をかける。本来なら出来ない方法だがな…念の為に憂鬱で精神を弱らせた上で愛と色欲というわけだ」

 

虚飾の呪法、それは相手に『自分はここにいる』と別の場所に全ての感覚を集中させる呪法。五感まで作用する幻覚というわけである。憂鬱の呪法は、相手の精神をほんの一瞬だけ弱らせる呪法。受ければほんの一瞬だけ、相手はありとあらゆる物に絶望する。

 

「…………………ッ、あ…?ここ、は…?私、誰……」

 

「…自分のことがァ……分かってないみたいですけどぉ?」

 

「念の為に追い打ちで掛けたからか?しかし、それはそれで好都合というものだ……おい」

 

「…?私、ですか…?」

 

「お前は…私の部下だ。名をグラサス・グーラ……覚えておけ」

 

「グラサス…グーラ……はい…分かり、ました……」

 

「そしてお前は、悪魔研究機関兼闇ギルド致命的な美徳屋(デッドリーバーチュー)の暴食担当でもある」

 

「は、はい……わかり、ました………」

 

その受け答えを持ってして、シンは満足したのかそれとも別の用事でもあるのか…すぐさまどこかへと去っていった。エストラスはクスクスと笑いながら、目の前の人物を見ていたが…何故見られているのかは『彼女』には分からない。

 

「……………私、私…は…?」

 

グラサス・グーラの呼ばれたこの少女…真の名を、マホーグ・オロシ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。その事実を、マルク達は未だ知らないのであった。




ディアボロス10人とリリガジラクの3人追加で20人くらいまで膨らんで大所帯になりました。
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