FAIRY TAIL〜魔龍の滅竜魔導士   作:長之助

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正しい義の元に

男は傲慢である。根っこから頂点までその全てが傲慢であり、それ以外の何物でもない。故にそれ以上語ることはない。過去から今までも傲慢であり、これからも傲慢なのである。ただ、それだけなのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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殴り合い、殴り合い、殴り合い。3人の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)が1人の悪魔を倒す為にその力を披露する。その戦いはまさに苛烈。傲慢の力によって彼らが殴ったとしてもそのダメージは即座に消え去っているのだ。

 

「━━━傲慢を通り越して、もはや愚かだ。どれだけ無駄なことを繰り返す気だ?」

 

「てめぇを倒すまでだよ」

 

「嫌なら道を譲りやがれってんだ」

 

「ま……それでもてめぇはぶちのめすがな」

 

雷が迸り、炎が燃え盛り、鉄杭がそこらに刺さっているこの部屋。気力が満ち満ちているこの部屋で、4人全員の戦意は未だ欠片も掛けていなかった。寧ろ、増し続けているようにも感じ取れるだろう。

 

「つーかよォ……ここまで殴りあって、今更くっちゃべる気か?なァ、火竜(サラマンダー)

 

「それに関しちゃ同意だな…わかってんだろ、ナツ」

 

「おうよ……ここまで来たら…もはや言葉じゃねぇ、一気にいくぞ!!」

 

「…来るか、ならば…!」

 

全員の魔力が1段階引き上げられる。炎は雷を纏い、雷は赩へと変わり、鉄は影を落とす。そして悪魔はその身体を肥大化させ、獣へと姿を変えていく。四者四様、本気を出す。

 

「モード雷炎竜!!」

 

「モード鉄影竜!!」

 

「モード赩雷竜!」

 

滅竜魔導士3人が己を力を解放する中で、悪魔はその姿を獣へと変える。両手足は太くなり、さらに筋肉質なものに。毛が生え渡りその毛並みは白金を思い出させるほどの輝きをもった美しいものへ。

顔は鼻と口が少し顔の先に出ており、顔の周りには長い毛並みが生えわたる。それは王者の証、自らが唯一無二だと思える最強の姿。

 

「━━━魔呪法『正奪傲(セイダツゴウ)』!!」

 

その姿は二足歩行の獅子。白金とも言うべき美しい毛並みと、雄々しく猛々しい力強さの表現とも言うべき、獅子の姿であった。

 

「んだァ?ライオンになりやがって…ロキ以上にライオンじゃねぇか」

 

「ロキは獅子宮なだけでそのものではないだろうが…」

 

「でもタウロスは牛じゃねーか!!」

 

「……そういや確かにそうか」

 

「おいてめぇまでボケに回ったら面倒だろうがラクサス!!!」

 

3人のやり取りをじっと見つめている、傲慢担当スペイルヴィ・アロガンティア。まるで自分から攻めることは、ありえないと言わんばかりにその身体を動かそうとはしていかった。

 

「んだァ…?来るつもりがねぇってか?」

 

「━━━我が魔呪法、その効果は範囲内の『魔法』『呪法』『錬金術』『霊術』の使用禁止、又は除外だ」

 

「…わざわざご丁寧に説明するとは、随分な態度だな?舐めてんのか?」

 

「それで魔法の1つでも禁止すりゃあ俺達ァてめぇに手も足も出ねぇかも知んねぇのによ?」

 

「あァ!?俺は手も足も出すぞガジル!!」

 

「物の例えだ黙ってやがれバカ!!」

 

「いいや…全力を出せない貴様らを屠ったところで、それはこちらの勝利たり得ない。それに、禁止されるだけで魔力が垂れ流されるというものでもない。こちらは消耗しているのに対して、お前たちは消耗が少なくなるからだ」

 

いずれかの技術の禁止。錬金術は兎も角としても、他3つは魔力、呪力、霊力のいずれかを消耗する。その消耗が無くなるのだから、殴り合いの勝負に慣れている者達が相手ではあまりデメリットになり得ない……そう彼は考えているのだ。

 

「……で?それがどォしたってんだ」

 

「さっきからくっちゃべって……何が言いてぇ」

 

「ギヒ……会話して時間伸ばしてんのか?」

 

「いいや?何故説明したのか、それはお前たちに全力を出させ消耗をこちらと同等にさせるためだ。お前たちが消耗せずに、こちらが消耗するのは傲慢がすぎるからな。

そして俺自身も消耗を抑えるために…魔呪法の範囲を可能な限り絞り圧縮している。お前達が僅かでも消耗が少ないことは、傲慢だからだ。」

 

スペイルヴィの言葉の異常さ。それに警戒を高めるナツ達。言葉の端々から、謎の圧を感じる3人だったが…その圧を確かめるかのようにスペイルヴィは自身の片腕をもう片方の腕で撫でていた。それはほんの僅かだが…生えてきている毛並みよりも少し上、まるで空を撫でるかのような動きをしていた。

 

「身に纏う風のように、しかし同時に鎧のように堅固な物に。貴様らが力を解放したと同時に魔呪法の外殻をその身に纏わせたのだ。これにより俺は貴様らの魔法を無力化しつつ、圧縮硬化をした外殻によって…物理攻撃も極限なまでに減少させる」

 

「要は鎧をまとったって事かヨ」

 

「何だっていーよ…関係ねえからな」

 

「あぁ…ナツの言う通りだな」

 

「やってみるがいい…チンケなトカゲ狩り共が」

 

スペイルヴィのその言葉と同時に…3人が跳ぶ。ナツの雷炎が、ガジルの影から生える鉄が、ラクサスの赩雷が…それぞれスペイルヴィを仕留めようと確実なルートを辿り飛んでいく。

 

「雷炎竜の鉄拳!」

 

「鉄影棍!!」

 

「赩雷竜の崩拳!!」

 

三者の攻撃が顔面、鳩尾、背中へと突き刺さる……が、違和感。届いている筈の拳は、なにかに止められたかのように一切の衝撃すらスペイルヴィに伝わっていなかった。

 

「━━━甘いわ!!」

 

「「「━━━━ッ!!?」」」

 

逆にスペイルヴィが三者を軽く一蹴すると、見た目以上の威力があるのか3人は凄まじいダメージと共に吹き飛ばされていた。攻撃の勢いの弱さに対して、乖離しているレベルのダメージがそこに存在していたのだ。

 

「どうなってやがる…!?」

 

「…言葉の通りだろうよ」

 

「へっ…知るかよ…だったら言ってた鎧とやらを壊れるまで殴りゃいいだけだろうが!!あれ作ってんのは魔力と呪力なんだろ?だったら、あいつ殴り続けてたら消耗するだろうがよ」

 

ほくそ笑みながら、ナツは敵を睨む。ナツのような単純な者程スペイルヴィの苦手とする人物である。何も考えていないようで、時たま本質をすぐさま見抜く直感力。獣のような直感力に抜群の戦闘センス、それを持っている者が━━━

 

「━━━━1番厄介だな、ナツ・ドラグニル」

 

「へへっ、どんな小細工も俺には通じねーってこった」

 

……ここで1つ。スペイルヴィは忘れていることがある。この部屋にいる人数…彼本人を入れて4人…ではないのだ。正確にはガジルとナツと共に行動をしていたエクシード…ハッピーとリリーの存在である。しかし直接戦闘に参加しないのもそうだが、そもそも実力者としても見ていないので視界から消し去っていたのだ。

そして、彼はナツの事をケモノのような直感的に動く人物だと思っているが……どちらかと言えば、彼は悪ガキの方なのである。

 

「いくぞおおおおおおお!!!!」

 

「ふん……だが策もなく突っ込んでくるなど……」

 

「おいてめぇ何か策でもあんだろうな!!」

 

「あるに、決まってんだろうが!!!()()()()()()()()

 

「あいさーっ!!」

 

「なっ!!?」

 

ナツの言葉により、ハッピーはスペイルヴィの背中を掴む…(エーラ)の魔法は本来ハッピーの背中に生えるもの。そしてスペイルヴィの魔呪法は範囲内の魔法等を消すものなのだが……今回、身に纏うようにしてしまった結果、エーラが通常発動できるようになってしまっていたのだ。そして発動できることがわかった今…ハッピーによってスペイルヴィは高く上がっていた。

 

「ッ…!離せ猫!!」

 

「やっぱりなぁ、てめぇ攻撃は通じねぇけど掴むことはできんだなぁ?」

 

「へっへーん!オイラいっつもナツを担いでるからどんだけ暴れても、ちゃんと運べるよーだ!!」

 

「そんなことは知らん!!貴様離」

 

「じゃあ離すね」

 

そしてある程度高く飛んだところで、ハッピーはスペイルヴィを離す。そのハッピーの首目掛けて、今日に体を回したスペイルヴィが腕を伸ばすが……その間に割り込むように、雷光の速度でラクサスが現れていた。

 

「ッ!!」

 

「ダメージを受けないんなら…落としても、無いよな?ダメージは、よッッッ!!」

 

そして、その勢いのままにスペイルヴィを蹴り落とす。蹴りによるダメージはハナから期待していない。攻撃は全て彼が身に纏うように付けた魔呪法によって防がれ、魔法は無力化される。

だがしかし、魔法ではなく尚且つ全体的に強力な衝撃を体を与える攻撃ならばどうか?正確には攻撃ではなく落下ダメージだが、それでも強力無慈悲なことには変わりないだろう。

それに加えて自由落下そのものではなく、ラクサスの雷光の速度での蹴りである。その速度は凄まじいものであり━━━

 

「ゴッッッッッッッッ!!!!!!」

 

床にめり込むほどの勢いで、スペイルヴィを叩きつけていた。その様子を警戒しながら眺めていたガジルとナツだったが、ほんの数秒後…地面からまるで生えるかのように、スペイルヴィがめり込んだ床から怒りを顕にした顔で脱出してきていた。

 

「貴様、ら……!!」

 

「あー、あんま効いてねぇか?」

 

「全く効いてねぇよりかはマシだな……勢いをもっとつけりゃダメージを出せるってのはわかったな」

 

「貴様らに遊んでる余裕なんてあるのか…!?貴様らがこうやって無駄なことをしている限り貴様らが勝つ可能性は0でしかないんだぞ!!!」

 

「ほーん、一丁前に心配してくれてんのかぁ?」

 

「敵なのに俺たちの心配だァ気が利くじゃねぇか」

 

「貴様らッ…………!!!!!!!!!!

………………はぁ…」

 

煽るためにわざとらしく笑いながら言葉を返すナツとガジル。そのせいかスペイルヴィの獅子の顔面…その額には青筋が立っていた…が、その表情が突然冷静なものへと置き換わる。

 

「あ?」

 

「………貴様らのやりたいことはわかっている。こちらを煽り冷静な判断を下させないようにするためだろう。わざわざあのような猫を使ってこちらをバカにするところから始めるとは…思っていたよりも、妖精共は小賢しい手を使うようだ」

 

「何言ってんだハッピーは強いぞ」

 

「俺のリリーの方が強えに決まってんだろうが!!」

 

「……どうでもいいだろうが2人とも」

 

「……いいだろう、それだけ望むのであれば…これから貴様らを蹂躙してやる。もう先程のような不意打ちは通じないと……思い知れ………!!!」

 

その言葉と共に、獅子となっていたスペイルヴィの体が再びの変化を始める。下半身は本物のライオンのような四足に…しかし上半身はそのままに、さらに2本の腕が追加される。そしておまけと言わんばかりに体は肥大化しており、その大きさは優に5mを越えんとする勢いであった。

 

「さぁこい!!貴様らを…蹂躙してやる!!」

 

「へへ……燃えてきたぞ…!」

 

「化け物だな……」

 

「ギヒッ…悪魔らしいじゃねぇか」

 

仕切り直しの2回戦が今、始まる。

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