大魔闘演武に参加を決めた
そのブランクを埋めるために、海で合宿をする事にして魔力を開催までの三ヶ月間を特訓に当てる事にしたのであった。
そして、一日目が終了して二日目の特訓が始まって少し経ってから━━━
「うーん!充実してるなァー!!」
「俺達が本気で体を鍛えりゃ━━」
「二日間といえどかなりの魔力が上がりましたね。」
「この調子で三ヶ月間鍛えれば、この時代に追いつくことも夢ではなさそうだ。」
「うん!」
二日目間の特訓でも、成果を感じ取れている一同。三ヶ月もあれば、追いつくことなら可能というところまで来ていた。
「かーっかっかっかっ!見てろよ!他のギルドの奴ら!妖精の3ヶ月、炎のトレーニングの成果をなぁー!!」
「最初はたった三ヶ月?って思ってたけれど効率的に修行すればまだ三ヶ月もあるの?って感じね。」
「確かに……この調子で頑張れれば……」
「━━━姫!大変です!」
突然、ルーシィの足元から現れた人物。メイドの格好が特徴的な、処女宮の星霊バルゴである。
「どこから出てきてんのよー!!」
「お仕置きですね。」
「……そういや、ルーシィが7年間
「可哀想!ルーシィのせいで……ルーシィのせいで……」
「いえ、それは大した問題ではないのですが……」
顔を俯かせるバルゴ。その様子にただならぬものを感じ取った一同は、途端に静かになる。
「星霊界が滅亡の危機なのです。皆さん、どうか助けてください。星霊界にて王がお待ちです。皆さんを連れてきてほしいと。」
「おし!任せとけ!友達の頼みとあっちゃあ……」
「待って!星霊界に人間は入れないはずじゃあ……」
「星霊の服を着用すれば、星霊界にて活動できます。行きます。」
「ちょ、まだ心の準備が━━━」
途端に地面に展開された魔法陣から、光が溢れてその場にいた一同は星霊界へと送られる……残ったのは、ジェットとドロイ。そしてマルクだけであった。
「なんで俺達だけ……」
「おいてけぼり……?」
「……ん、あれ……?俺も……?」
取り残された3人は、とりあえずその日は帰りを待つことにした。しかし、結局1週間経っても帰ってくる気配はなかった。
1週間ほど経つと……というか、一日経過した頃からマルクの心配が極限にまで昂っていた。
「星霊界……それにみんなはどうなったんだ……」
「それに関してですが。」
1週間ほど経過した頃に、マルク達の後からバルゴが話しかけていた。1週間経っても、まだ星霊界は無事だということはわかって少しだけ安心していた。
「すいません、あれは嘘です。」
「……へ、嘘?」
「実は━━━」
そこから、本当の事情を話し出すバルゴ。実は星霊界の滅亡というのは嘘であり、本当はルーシィ達を招いてパーティをしているという話だった。
「え、あれ、何で俺達参加してもらってないの?」
「定員オーバーしてました……マルク様は、何故か駄目でした。」
「……まぁ、魔法を介するんだったら魔力は俺の分だけ吸い取ってしまってそのままスルーされたってのが考えられる理由なんでしょうけど……」
「ですから……安心しておいてください。三ヶ月経てば皆さん戻ってきますので。それでは。」
そう言ってバルゴは星霊界へと戻っていく。事情を説明された3人は、安心して、皆が帰ってくる三ヶ月後……大魔闘演武開催直前まで待つことにしたのであった。
そして、三ヶ月後。星霊界へと赴いた面子は全員帰ってきた。何故か、狐につままれたような顔をしているのが、妙に印象に残っていたが。
「……え?」
「みんな〜待ちくたびれたぜ〜」
「大魔闘演武はもう五日後だぜ!すげー修行してしたんだろうなぁ!!」
「星霊界での特訓なんてレアものでしょうしね!」
ジェット、ドロイ、マルクの期待が星霊界に行った面子の心に刺さる。
「「「おわった……」」」
「ヒゲー!!時間返せー!!」
後から聞いた話だと、星霊界の1日は人間界の三ヶ月に匹敵するらしい。
つまり、おあつらえ向きに三ヶ月という特訓期間は、一日で潰れたのであった。
「なんという事だ……」
「大事な修行期間が………」
「三ヶ月があっという間に過ぎた……」
「どうしよう……」
建物の壁にもたれながら、星霊界にいった面子はとても呆けていた。七年というブランクが空いた直後に、三ヶ月というブランクが空いたも同義なのだから。
「姫、提案があります。私にもっとキツめのお仕置きを。」
「帰れば。」
「大魔闘演武であと五日だってのに!」
「全然魔力が上がってねーじゃねーか!!」
「こればっかりは……最早タイミングが悪かったとしか。」
星霊達の、ルーシィ達の帰還を喜ぶパーティ。それを行ったが故に起きた悲劇。ただただタイミングが悪かったことこの上ないのだ。
「今回は他のみんなに期待するしか無さそうだね………」
「はぁ……」
「またリリーとの差が開いちゃうよ……」
「え!?」
「あんた気にしてたの……?」
全員が落ち込む中、エルザがやる気を出して立ち上がっている。このまま『何も出来ませんでした』というのは彼女の琴線に触れたのだろう。
「むうう!今からでも遅くない!五日間で地獄の特訓だ!!お前ら全員覚悟を決めろ!寝る暇はないぞ!!」
「ひぇぇ〜……」
ルーシィが、エルザの鬼気迫るやる気に少し怯えている中で、空から一話の鳩が降りてくる。
「ん?」
「ハト?」
「足になんかついてるぞ。」
「メモだ……」
「なぜ鳩に……」
「何々〜……?」
「『妖精の尻尾へ、西の丘にある壊れた吊り橋まで来い』……と、メモには書いてありましたが……」
「誰もいねーじゃねーか。」
「なんで喧嘩腰何ですか……」
「イタズラかよ……」
「だからやめとこって言ったじゃない。」
鳩に付けられていたメモ。そのメモに書かれている場所までナツ達はやってきたが、そこには誰もいなかった。ここ以外に指定した場所はなさそうだったので、イタズラかと思った一同は帰ろうとしたが━━━
「あれ、橋が光って……!?」
「これは……」
「橋が、直った!?」
「向こう岸に繋がったぞ!!」
壊れていた橋。唐突に治り始めたそれに、一同は警戒を一気に強めた。イタズラから、誰かの罠……ということも考えられたからだ。
「渡ってこいということか……」
「やっぱり罠かもしれないよ?」
「なんか、怖いです……」
「敵なら倒すだけだから、安心してくれ。」
エルザ以外少し怯える女子陣。マルクはウェンディの手を握って言葉無しで励ましていた。
そして、そのまま一同とともに森の奥へと進んでいく。しばらく歩くと……目の前に、黒いローブを羽織った三人組がいた。
「誰かいる!」
「皆さん気をつけて!」
と、声をかけたところで黒いローブを羽織った3人組は一同に近づく。チラリと見えた顔は、隠す気がなかったようで、その顔に一同は皆一様に驚いていた。
「来てくれてありがとう……妖精の尻尾。」
「ジェラール……」
「変わってないなエルザ……もう、俺が脱獄した話は聞いたか?」
「……あぁ。」
「そんなつもりはなかったんだけどな……」
「私とメルディで牢を破ったの。」
「私は何もしてない、殆どウルティア一人でやったんじゃない。」
三人組、その正体はかつて聖十大魔道だった男ジェラール、元
「メルディ……」
「ジュビア、久しぶりね。」
メルディと親しげに話すジュビア、ジェラールと話すエルザ……しかし、その光景を見ても警戒するものはいた。
「ジェラールが脱獄!?」
「こいつらグリモアの……」
「まぁ待て、今は敵じゃねぇ……そうだろ?」
「えぇ……と言ったところで、そこの坊やは信じてくれないんでしょうけど。」
「ま、マルク……」
ウェンディを庇いながら、マルクはメルディとウルティアを睨みつける。初対面ではあったが、同じ悪魔の心臓であるアズマと戦ったことのあるマルクは、関係なくとも二人を目の敵にしていた。
「……グレイさんが、敵じゃないって言うなら……今はそれを信じる。」
「えぇ……きっと、貴方は私の…悪魔の心臓が起こした事で怒っているのかしら。けど、今は貴方達と敵対する意思はないわ。
それに、そんなことを抜きにしても……私の人生で犯してきた罪の数はとてもじゃないけど一生では償いきれない。
だから、今はせめて私が人生を狂わせてしまった人々を救いたい……そう思ったの。」
「……」
「例えば、ジェラール━━━」
「いいんだ……俺もお前も闇に取り憑かれていた。過去の話だ。」
「ジェラール……お前、記憶が……」
エルザの問に、少し答えづらそうにしながらも、ジェラールは口を開く。
「……ハッキリしている、何もかもな。六年前……まだ牢にいる時に記憶が戻った。エルザ、本当になんといえばいいのか……」
「楽園の塔でのことは、私に責任がある。ジェラールは私が操っていたの。だから余り責めないであげて。」
「俺は牢で一生を終えるか死刑、それを受け入れていたんだ。ウルティア達が俺を脱獄させるまではな。」
「それって、なにか生きる目的ができた、ってことですか?」
ジェラールのが気になったウェンディは、ジェラールに問いかける。ジェラールはウェンディを見て、とあることを思い出したようだった。
「ウェンディ、そう言えば君が知っているジェラールと俺は……どうやら別人のようだ。」
「あ、はい!そのことはもう解決しました。」
「生きる目的……そんな高尚なものでもないけどな。」
「私達はギルドを作ったの。正規でもない、闇ギルドでもない独立ギルド
ウルティアが、自分達のことを『独立ギルド』と言ったことに対して一同が疑問を寄せる。
「独立ギルド?」
「どういう事?」
「連盟に加入してない?」
レビィ、ハッピー、シャルルが疑問を寄せる中、一同の中で唯一天狼組ではないジェットとドロイが知っていたのか、声を上げる。
「
「ここ数年で数々の闇ギルドを壊滅させてるギルドがあるとか。」
「なるほど……闇ギルドを壊滅させてはいるけど、正規でもない……だから独立ギルド。」
「私達の目的はただ1つ。」
「ゼレフ……闇ギルド、この世すべての暗黒を払うために結成したギルドだ。二度と俺達のような闇に取り憑かれた魔導士を生まないために。」
ジェラールが言い放った、魔女の罪の目的。その目的に感服する者もいる。事実、正規ではなし得ないことでもあるからだ。
「評議会で正規ギルドに認めてもらえばいいのに。」
「脱獄犯だぞ?」
「私達元悪魔の心臓だし……」
「それに、正規ギルドでは表向きには闇ギルド相手とはいえ、ギルド間抗争禁止条約がある。俺達のギルドの形はこれでいいんだ。」
ここまで話してから、本題に入ろうとウルティアが一歩前に出て、話し始める。
「……で、貴方達を呼んだのは別に自己紹介の為じゃないのよ。大魔闘演武に出場するんだってね。」
「お、おう。」
「会場に私達は近づけない。だから、貴方達に一つ頼みたいことがあるの。」
「誰かのサインが欲しいのか?」
「それは遠慮しておくわ。」
「毎年、開催中に妙な魔力を感じるんだ。の正体を突き止めて欲しい。」
ジェラールが言ったことに、皆は首を傾げる。その曖昧さもそうだったが、『妙な魔力』と言うのも気になるからだ。
「なんじゃそりゃ?」
「フィオーレ中のギルドが集まるんでしょ?怪しい魔力の一つや二つ……」
「俺達も初めはそう思っていた。しかし、その魔力は邪悪でゼレフに似た何かなんだ。それはゼレフに近づきすぎた俺達だから感知できたのかもしれない。」
「ゼレフ……」
ゼレフという単語に、複雑な思いを寄せるナツ。天狼島で出会っていたというのをマルクはあとから聞いていたため、心中は察していた。
「雲を掴むような話だが、請け合おう。」
「助かるわ。」
「妙な魔力の元にフィオーレ中のギルドがし集結てるとあっては、私達も不安だしな。」
「報酬は前払いよ。」
「食費!」
「家賃!」
「いいえお金じゃないの。私の進化した時のアークが、貴方達の能力を底上げするわ。」
「え?」
ウルティアの言ったことがイマイチ理解出来なかったナツ達。ウルティアはそのまま説明を続ける。
「パワーアップ……と言えば聞こえはいいけど、実際はそうじゃない。魔導士にはその人の魔力の限界値を決める器のようなものがあるの。例え、その器が空っぽになってしまっても大気中のエーテルナノを体が自動的に摂取して、しばらくすればまた器の中は元通りになる。
ただ……最近の研究で魔導士の持つその器には、普段使われてない部分があることが判明した。誰にでもある潜在能力、
時のアークがその器を成長させ、第二魔法源を使える状態にする。つまり、今まで以上に活動時間を増やし、強大な魔力を使えるようになる。」
「おぉーっ!!」
「……全然意味わかんねぇけど。」
「ただし……想像を絶する激痛と戦うことになるわよ。」
「ああああ……」
「目が怖い……」
「構わねぇ!ありがとう!ありがとう!!どうしよう!?段々本物の女に見えてきた!」
「だから女だって。」
「まだ引きずてやがったか。」
皆が強くなれると喜びに歓喜する中、ただ1人エルザだけはそれに混ざらずにジェラールを見ていた。
強くなれる以上に、なにか大切なことがあると言わんばかりに。