第2章 やはり俺の春休みは間違っている。 作:あらがき@北宇治高校
pixivでも『あらがき@材木座以下のss』というユーザー名で投稿しておりますが、こちらにも投稿させて頂きます<m(__)m>
ただ、pixivに投稿しているものに若干の修正を加える場合もありますので、ご了承ください。
こちらは、私が投稿した『第1章 案外俺の卒業式は間違っていない。』『第2章 やはり俺の春休みは間違っている。』の続編になります。
奉仕部三人組に加えて戸塚や葉山、三浦と過ごす大学生活が始まります。
まだハーメルンでの勝手が分かっておりませんので、取るに足らない部分は多々あると思いますが、よろしくお願いします。
感想、ご指摘など頂けると嬉しいです!
<追記>このssは一話完結ではないので、その点はご了承ください<m(__)m>
第3章 つまるところ、彼らは上手くやっている。
①何故か、比企谷八幡は介抱している。
―4月30日、キャンパスの最寄り駅付近の居酒屋―
「ひっきぃーー ヒクッ
ねーえー?
聞いてるぅー?」
「あぁ、聞いてるって。」
「ひっきぃ目が怖いよぉ~
あたしのこと嫌いなの~?」
いや、目つきの悪さは仕様だから。
そうやって、意図せずして短所を揶揄されんのは結構辛いんだが…。
「嫌いじゃねぇから。
ほら、さっさと家帰るぞ。
歩いて帰れる距離だろ?」
「やだ。」
それにしても、酔っ払ってる人間ってのは総じて面倒だ。
由比ヶ浜の場合、他人に暴力を振るったり、物を壊したりしないだけ随分ましな方ではあるのだが。
「じゃあ、どうすんだ?
早く帰らねえと終電なくなるし、お前を家まで送ってやれなくなるぞ。」
俺は千鳥足の由比ヶ浜に肩を貸している状態なのだが、それでもフラフラしていて危なっかしいことこの上ない。
「じゃーあ~泊まってけばいーじゃーん?」
おい!
大学生の男子に平然とそんなことを言っちゃうなんて、八幡、柄にもなく心配になっちゃうぞっ。
俺の知る限りでは、由比ヶ浜に尻軽女なんて要素はない。
とはいえ、コミュ力が高く、誰とでもすぐに打ち解けられて見た目も可愛いこいつのことだから結構モテるのだ。
確か修学旅行の前に戸部が由比ヶ浜は男子から人気があるって言ってたこともあった。
戸塚もこの前、「由比ヶ浜さん、サークルの男子から可愛いって評判だよ。」とか言ってたしな。
要するに、ただでさえ男を引きつけるんだから、ガードは堅くしておいて欲しいと思うのだ。
この由比ヶ浜の言うことや接し方が俺だけに対する挙措言動だなんて思い上がりは端からしていない。
恋人とは言っても、卒業旅行後に会ったのは入学式とサークルで二回と今日だけだ。
特に恋人らしいこともしていないと思う。
「お前ん家ワンルームだろ?
流石にそれはまずいんじゃないか?」
「なにがぁ?」
そこは察してくれよ!
こういうことは口に出して言うもんじゃねえだろ。
「とにかくだ!
帰るぞ。」
「じゃあ、おんぶして!
あたし、歩けない。」
由比ヶ浜は俺から少し離れて両手を広げる。
「分かったから。
ほらよ。」
「やったぁ~
ひっきぃ大好きだよ~」
由比ヶ浜は容赦なく俺に体重を預ける。
「はいはい。」
俺は酔っ払いを軽くあしらって、居酒屋の入り口付近にいる天使に声をかける。
「戸塚、俺、由比ヶ浜送って行くから、先に帰っててくれ。」
地上に舞い降りた天使は小走りで俺のもとへ駆け寄って来る。
「八幡、一人で大丈夫?」
おい、その上目遣いはやめろ。
常時、それだと俺の理性がもたない。
「大丈夫だ。
家に行ったことは一度あるし。」
「そっか。
じゃあ、よろしくね。」
「あぁ、またな。」
戸塚は手を振りながら、この世の物とは思えないような(素晴らしい)笑顔を俺に向けている。
一方、居酒屋の前にたまっている男どもは俺に冷ややかな目を向けていた。
「あいつ誰?
あんな目つき悪いやついたっけ?」
「てか、なんで結衣ちゃんをおんぶしてんの?」
「家まで送るとか言ってたけど、酔っ払ってる結衣ちゃんをお持ち帰りとかマジ最低だな。」
「あーあ。俺、結衣ちゃん狙ってたのになー」
その内緒話、しっかりと俺の耳元まで届いてるっつーの。
なんなの?
わざと聞こえるように言ってんの?
ますます、サークル内で孤立するのが目に見えてくるわ。
すると、由比ヶ浜は俺の肩に顎をのせて不機嫌そうに俺の顔を覗き込む。
「ひっきぃー
さいちゃんには優しいよね~」
「戸塚は天使だからな。」
「あたしだって、ひっきぃーの天使になりたーい」
由比ヶ浜は俺の背中の上でジタバタしている。
時々、攻撃も加えてきやがる。
「分かった!
お前は天使だから!
頼むから大人しくしてくれ!」
そう言うと、由比ヶ浜は満足したのか、騒ぐのを止めた。
「ったく…。
飲み会って何のためにあるんだろうな。」
今の状況を説明するためには、入学式後の三週間のいきさつについて触れておく必要があるか。
ちょっと長くなりそうだが、まず、俺と同じ大学に通っている知人をあげると…。
医学部の無いこの大学では最も難関な法学部に通う葉山がいる。
葉山と俺は基本的に同じキャンパスで授業を受けているが、学部が違うため英語以外の授業で見かけることは殆どない。
そして、てんs…戸塚と由比ヶ浜だ。
この二人は現代福祉学部に通っており、キャンパスは俺や葉山とは異なっていて、電車で1時間弱かかる距離にある。
しかし、戸塚が現代福祉学部とかドンピシャすぎるだろ。
もはや、存在が福祉と言っても過言ではない。
あと、三浦が経済学部で、戸塚や由比ヶ浜と同じキャンパスだ。
経済学部はチャラ経と言われるが、三浦はお似合いだと思う。
由比ヶ浜曰く、葉山を追っかけて大学を同じにしたらしいが、キャンパスが違うことに後々気付くことになり、落ち込んでいたらしい。
まあ、サークルが同じだから、あいつらはよく一緒にいるのだが。
ついでに言うと俺を含めてこの5人は全員同じサークルに入っている。
数あるテニスサークルの中でも割と真面目にテニスをやる『ウィニング』というサークルだ。
そもそも、俺はサークルに入る気などさらさら無かった。
ただ、由比ヶ浜に『戸塚』と一緒に三人でテニスサークルに入らないかと誘われたため、断ることが出来なかった。
仕方あるまい。
サークルに入るのを決めた数日後、英語の授業終わりに葉山に出くわし、「比企谷はサークルとか入るのか?」と聞かれたので、その旨を伝えた。
すると、「それなら俺も入ろうかな…なんてね。」とか言ってたのだが、結局、葉山も入ることになった。
葉山が入ったので、必然的に三浦も…ってわけだ。
男女合わせて計60人がこのサークルに所属しているのだが、4人も知り合いがいると新鮮味はあまりない。
活動を行うテニスコートは由比ヶ浜たちが通うキャンパスにあるので、俺と葉山は週に二回、電車で40分かけて移動しているのだ。
そして、由比ヶ浜は4月からキャンパスから徒歩10分くらいのアパートで一人暮らしをしている。
由比ヶ浜が授業を受けるキャンパスは実家から2時間弱かかるからな。
雪ノ下の家ほど仰々しくはないが、セキュリティーなどはしっかりしているようで、両親の由比ヶ浜に対する愛情が窺える。
それで、今日はそのサークルの新歓コンパだったってわけだ。
いくら真面目な方だとはいえ、所詮はテニサー。
リア充が蔓延るリア充のためのサークルであり、飲み会なんかも結構な頻度で行われている。
由比ヶ浜はあの性格だから、お酒も上手く断れずこうなってしまったのだ。
俺なんて、酒を飲まされるどころか席に着いていても、水さえ回ってこなかったぞ。
べ、別に輪に入れて欲しいなんて思ってないんだからねっ!
まあ、由比ヶ浜はそんなに酒癖も悪くないし、それほど気にしてはいないが、周りのゲスリア充どもが馴れ馴れしく由比ヶ浜にべたべたしてるのはどうも好かない。
葉山がある程度のところで間に入ってくれているおかげで懸念すべき事態に至ったことはないのだが。
俺は自分の独占欲が強いというわけではないと思っている。
ただ単に、酒という口実を媒介にしてセクハラめいたことをしようとするリア充の連中が気に食わないのだ。
由比ヶ浜を介抱したのは今日が二回目で、一回目は今日ほど酔いは回っていなかったようで、新居まで由比ヶ浜に案内してもらった。
その時は本当に家まで送っただけだった。
家の内装を見て、すぐに帰ったし。
今回はどうなることやら。
由比ヶ浜の家は駅からかなり近く、おんぶしながらでも15分程度で家の前に着いた。
とりあえず由比ヶ浜を下ろして中に入る。
俺は机とセットで備え付けられている椅子に腰を下ろし、由比ヶ浜はベッドに座る。
「水飲むか?」
「うん。
ありがと。」
眠そうにはしているが、割と落ち着いてきたようだ。
可愛らしいピンクのコップに水を注いで由比ヶ浜に渡す。
「由比ヶ浜、終電まであと30分しかないし、俺帰るわ」
「待ってっ!」
俺が立ち上がると由比ヶ浜は必要以上に強く俺の手を引っ張る。
「お、おい!」
予想以上の力で引っ張られたので思わず俺も体勢を崩しベッドに倒れ込む。
…って、これ相当まずいぞ。
「ひ、ひっきぃ…?」
由比ヶ浜は不安そうな目をして俺を見上げる。
俺は由比ヶ浜に覆いかぶさるような体勢になっていた。
第3章①をお読み頂きましてありがとうございます!
これから、第4章、第5章…と続いていきますが、全てこの第2章の作品として投稿していきます。
その方が章ごとに分けて投稿するより見やすいとのご指摘がありましたので。
これからも私の拙作をよろしくお願いします<m(__)m>