【完結】ハリー・ポッターとラストレッドショルダー   作:鹿狼

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やっとこさ第一章が終わりました。
しかしまだまだホグワーツは地獄に程遠い、
このSSはホグワーツがイギリスもろとも滅ぶまで終わらないのです。

地球が消えないだけマシと思え


第十三話 「脱出」

「また一年が過ぎた」

 

ダンブルドアは生徒達全員から見ることの出来る演説台に立ち話し始めた。

 

本来ならばあと数日間は絶対安静ということで、今行われている学年度末パーティーには出られなかったのだがキニスが無理やりマダム・ポンフリーを説得し参加できるようになった。

大広間の天井にはスリザリンの象徴、緑と銀そして蛇が書かれた飾りで埋め尽くされている、寮対抗杯はスリザリンの優勝で確定しているからだ。

既にスリザリン生達は七年連続優勝という快挙に喜びを隠せず嬉しそうに騒いでいる、かたやグリフィンドールはハリー達の減点のせいで最下位まで転げ落ち、どんよりとした雰囲気に包まれていた。

 

「今すぐご馳走にかぶりつきたいじゃろうが、その前に少し聞いて欲しい。

一年が過ぎ、空っぽだった君達の頭にも色々な物が詰まったのじゃろう、しかし新学期を迎える前に君達の頭がまた空っぽになる夏休みがやってくる

その前にここで寮対抗の表彰を行うとしよう、点数は次の通りじゃ。

第4位グリフィンドール、312点

第3位ハッフルパフ、382点、

第2位レイブンクロー、426点、

そして、第1位は475点でスリザリンじゃ」

 

スリザリン席から歓喜の声と地響きまで伝わってくる、他の寮、特にグリフィンドールの悔しさはすさまじかった。

責任を感じているのかハリー達は周りより一層暗そうな表情をしている。

 

「よーしよしよくやった、スリザリンの諸君。だがのぅ、最近の出来事も勘定に入れなくてはなるまい」

 

騒がしかった大広間は一瞬で静まり返る、その多くは戸惑いの表情を浮かべており、スリザリン生はかなり不安そうな表情をしていた。

ダンブルドアは生徒達を見渡した後再び話し始める。

 

「まずは…ロナルド・ウィーズリー、近年まれに見る素晴らしいチェス・ゲームを披露してくれたことを称えて50点を与える」

 

途端にグリフィンドールの席から天井が吹き飛ぶほどの大歓声が巻き起こった。

ロン本人は照れくさそうな顔をしていたが胸を張り誇らしげだ。

 

「次にハーマイオニー・グレンジャー、火に囲まれながらも論理的に、冷静に対処した頭脳を称えて50点を与える」

 

さらに強力な歓声が巻き起こる、ハーマイオニーは嬉し涙が止まらないようだ。

 

「さらにキニス・リヴォービア、友の為に恐怖を乗り越え、またその身をもって友を守ろうとしたその精神を称えて50点を与える」

 

まさかのハッフルパフへの加点、一瞬の沈黙の後俺達の周りもまた大歓声に包まれた。

キニスは自慢げな顔で周りに手を振っているが口から洩れているスパゲッティで色々台無しになっている。

 

「キリコ・キュービィー、強大な力に怯むことなく戦い、そして見事打ち破った力と信念を称えて50点を与える」

 

…俺もか、だが悪い気はしなかった。

ダンブルドアの声は途中からハッフルパフ生の声でかき消されており聞こえることは無かった、まあこれでハッフルパフはスリザリンを上回り1位になったのだから当然の反応だろう。

だが、この流れであいつが含まれない筈が無い。

 

「そしてハリー・ポッター、その完璧な精神力と並外れた勇気を称えて、60点を与える」

 

会場は興奮のピークに達している、グリフィンドールもスリザリンにあと一歩に迫ったからだ、ハリーの姿は押しかけた生徒のせいで見ることは出来なかったが十分予想できた。

 

「そして最後に、勇気には様々な種類がある。

中でも友人に立ち向かうのは敵に立ち向かっていく事と同じぐらい困難なことじゃ、よってネビル・ロングボトムに十点を与える」

 

これでグリフィンドールとハッフルパフが同点となった。

もうダンブルドアの言葉は一切届かない、会場は全て生徒達の歓声で埋め尽くされておりもはや誰が何を言っているのかすら分からなかった。

 

「さて、儂の計算に間違いがなければ飾りつけを変えねばな…前例もないがこうじゃろう」

 

スリザリンは1位からまさかの3位へ転落したせいで可哀想なほど静かになり、グリフィンドールを睨みつけている。

校長が手を叩くと緑と銀で飾られた大広間は消え去り、代わりに赤と金のライオン、黄と黒のアナグマが大広間を二分した。

つまり二寮が同時優勝したということだ、滅多に目立つ事が出来ないからか俺とキニスは涙を流しながら喜ぶ生徒達にもみくちゃにされまともに食事を楽しむことすらままならなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、とうとうホグワーツでの1年が終わった。

キニスに別れを告げた後、帰りのホグワーツ急行に乗り込もうとすると見覚えのある影がこちらに向かって叫んできた。

 

「キリコ、ちょっと待って!」

 

「…お前達か」

 

ハリー達三人は息を切らしながら走り、息を整えた後再び話し始めた。

 

「えーと、この前は助けてくれてありがとう。そしてずっと君の事を疑ってごめん!」

 

「…僕もごめんキリコ、悪かったよ」

 

「私も…ごめんなさい、あんなに心配してくれたのに疑ってしまって」

 

何だそんな事か、俺自身は気にして無かったのだがこいつらはずっと気にしていたらしい。

俺としてはこいつらが無事なだけで満足だが、ここはちゃんと返事をしておいたほうがいいのだろう。

 

「気にするな、無事ならそれでいい」

 

予想外の返答だったのかポカンとその場で突っ立っている、そういえばいつか礼を言った時凄まじく笑われた事があったが、俺が礼や心配をするのがそんなに意外なのだろうか。

意識が戻るのをしばらく待っていると、列車に乗るように諭すハグリッドの声が聞こえてきた。

 

「………」

 

「あ! ちょ、ちょっと待って!」

 

いつまでも動きそうにないので乗ろうとするが、またもや彼女に呼び止められた。

まだ用があるのか、振り向くと彼女は笑顔で叫んだ。

 

「新学期もよろしく!」

 

それに答える事はしなかった、ただ彼女はそれで満足してくれたようだ。

 

帰りの列車の中、俺は考えていた。

結局この1年大きな収穫は得られなかった、だが不思議と俺の心は満ち足りていた。

数十年ぶりに手に入れた掛け替えの無い友人。

それは本来目指していた事よりも嬉しいものだった。

しかしだからこそ、より決意を強くする。

この呪いを解かぬ限りあいつは必ず死んでしまう、それは確かだ。

俺を友達と、地獄まで付き合うと言ったあいつを死なせるわけにはいかない。

より強い決意と、久しぶりの暖かさを感じながら俺はかぼちゃパイの甘さを口の中に感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

学校から離れていく生徒達を見送りながら考えていた。

あの時放たれた閃光は間違いなく「死の呪い」じゃった。

しかしそれは彼らに当たることなく砕け散った、物理的な外傷だけで留まっておった。

それは素直に嬉しい事じゃ、大切な生徒が死なずに済んだのじゃから。

 

…じゃが、儂は素直に喜ぶことは出来なかった。

死の呪いが盾の魔法で防げるはずが無い、この程度で防ぐことが出来たら許されざる呪文にはなっておらん。

反対呪文が無い、当たれば必ず殺すことができるからこそ何よりも恐れられる呪いなのじゃ。

しかし、それは現に防がれておった。

 

…あり得ない訳では無い、原因など幾らでもあった。

あの杖はクィレルから奪って使った物、じゃから本来の力が出せなかった。

キリコの魔法のせいか杖にひびが入っておった、じゃから呪いが上手くいかなかった。

あの時、儂もとっさに「盾の呪文」を唱え、呪文を二重に張ることができた。

 

これだけ要因が重なれば、防げないことは無いかもしれん。

普通はあり得んが、あり得んこともまたありえる。

じゃが…ここまで都合よく重なるものじゃろうか、いくら偶然とはいえこれだけ起こるものじゃろうか。

 

シビル・トレローニーが予言した「異能者」、それはもしや…

 

いや、そう断ずるのはあまりに早すぎるじゃろう。

それにキニスとの仲も戻ってくれたようじゃ、ならば心配など要らんじゃろう。

それこそが何よりも最も大事な事なのじゃから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうか、我が君は…」

 

「…それは本当に残念な事だ」

 

「!? 何を言っている! そんな事など…」

 

「…無論丁重に保管している、失くす筈が無い」

 

「それは我が君からのご命令なのか?」

 

「分かった、では「日記」を誰かに持たせればいいのだな?」

 

「…ああ、では何時か」

 

 




ささやかな物が、炎の中から蘇った。
砕けかけた友情も、何処かへ置き去りにした愛も、秘密も。
かたや、あらゆる悪徳は違った。
全てが振り出しにもどった。
兵士は死んだ魂を温かな友情に包んで、泥濘と、硝煙の地に向かった。
次回「ダイアゴンYEAR-02」。
傭兵は誰も愛を見ないのか。


以上で賢者の石編は終了になります、次回まで少し時間が空くと思いますが、
クメン編(秘密の部屋)もまたよろしくお願いします!
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