【完結】ハリー・ポッターとラストレッドショルダー   作:鹿狼

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もうじきアズカバン編も終わりです、
ピーターか、シリウスか、スネイプか、
誰が消し炭になるのか楽しみにしていてください。


第三十話 「臨界(Bパート)」

学年末試験は散々と言う言葉も生温い程酷かった、本当にこれでもかと言うほど酷かった。

 

まずテストの出来が酷かったのは予想済みだし、いつものことだからそんなに気にしていない。

 

特筆して言うことと言えば、″呪文学″のテスト内容は″元気の出る呪文″を上手く掛けられるか。

だったんだけど、僕が掛けた結果普段表情筋が死んでるキリコが、部屋中に高笑いを響かせたもんだからクラスの皆が震え上がった…くらい。

 

あとはハグリッドの魔法生物学が物凄くつまらなくなってしまったこと。

というかテストだけじゃなく、授業自体がつまらなくなっていた。

あの日バックビークがドラコの腕を折ってから、授業内容は″レタス虫″を育てるだけになっていた。

そいでもってテスト内容は自分のレタス虫がテスト終了まで生きていればOK

 

…ちなみにレタス虫はレタスさえ食べてれば年中絶好調だ。

 

でもそんなことはどうでもよかった、僕は、…僕たちはテストが終わった時よりも大喜びしていた。

 

「うおおおお! お前さん達好きなだけ食え!」

「うわ!」

 

涙と鼻水でぐちゃぐちゃ&酒臭いハグリッドの力強いハグを回避する。

そう! バックビークの裁判に勝つことができたんだ!

正確には無罪じゃなくハグリッドが罰金を払うことになったから有罪だけど、ともかく死刑は免れた!

 

「奴ら驚いていたんだ、裁判が始まった途端裁判所が埋まるほどの署名を梟が運んできたんだからな」

「本当にありがとう、キニスが居なかったら駄目だったかしれないわ」

「いやいや、ハーマイオニー達が無実の判例を見付けてくれなきゃ、何万人集めてもダメだったよ」

 

あれから数ヵ月、僕はありとあらゆる手段で署名を集めまくった。

ホグワーツは当然として、週末のホグズミード広場を占領したり、イースター休暇の時はダイアゴン横丁の大通りを練り歩いた。

さらに先生達の署名も限界まで集め、ついにダンブルドア校長の署名もゲットしてやった。

でもやっぱり一番効果があったのはドラコのお父さんが死刑要求を変えたことだろう。

あ、あと何故かホグワーツにいたニュート・スキャマンダーさんの直訴状も忘れちゃいけない。

 

「それにしてもキニス、一体どうやったんだ? あのマルフォイの親父の証言を変えるなんて」

「簡単さ! ドラコがお父さんを説得するまで付きまとって、後ろからシンバルとホイッスルを鳴らし続けただけだよ、延々と」

「…へ、へぇ」

「それは…お疲れ様」

「うん、流石に一か月間ずっと説得するのは疲れたよ」

「説得…?」

「それ脅迫…もういいや何でも」

 

何で皆首を傾げているんだろう?

そんな訳で、お礼として夕飯をご馳走になっている、…まあ僕らでも食べれる物はそう多くないんだけど。

ゴツゴツしたロックケーキを紅茶で柔らかくしながら食べてる内に、いつの間にか外は暗くなってきていた。

 

「ううっそれでよ、バックビークは俺の気持ちが分かってるように―――」

 

完全に酔っ払っているハグリッドはさっきから″ハグリッドとバックビーク種族を越えた友情~ドラゴンの卵付き″を三回程繰り返している。

 

「…私疲れてきたわ」

「同感だね」

 

僕もそういった話は嫌いじゃないので最初の方は楽しく聞いていたけど、流石にハリー達同様顔色が薄茶色になりつつある気がしてきた。

いつ撤収するか…そんな会話を目線で始めようとした時、急に暖炉からふくろうが飛んできて手紙を落としていった。

 

「何だ急に?」

「ハグリッド宛みたいだけど…」

「見ろハリー、バックビークが飛んだぞ!…グゥ」

「…駄目みたい」

 

酔いつぶれたハグリッドが手紙に気づく様子は無かった、こりゃどうしたもんか。

 

「中身見ちゃって平気かな?」

「駄目に決まってるでしょ」

「あれ? これダンブルドア校長先生からみたいだ」

「ダンブルドア校長!?」

 

手紙の端っこに書かれたダンブルドア校長先生の名前をハリーが読み上げると、酔いつぶれていたハグリッドが大声を上げながら跳ね起きた。

 

「一体何の用で…ああすまねえ、せっかく来てくれたのに悪いが俺は校長の所へ行かなきゃいけねえ。

好きなだけ食ってていいからくつろいでいてくれ ヒック!」

 

慌ただしく小屋から千鳥足で歩いて行くハグリッド、そして小屋に残された僕たちはボー然としていた。

 

「…どうしよっか」

「食べると言われても、僕たちが食べれるものは大体食べちゃったし…」

 

ドドドドド

 

「おっと言い忘れてた!」

「おわぁ!?」

 

地鳴りを鳴らしながらUターンしてきたハグリッドは、小屋の端の箱を指さした。

よく見ると少しガタガタと動いている。

 

「これがどうしたの?」

「ああ、中にロンの鼠…スキャバーズだったか? まあそいつが入ってる」

「え!?」

「何でそんな所に!?」

「今朝なんか小屋の隅に居たからな、とりあえず捕まえ取ったんだ」

 

まさかのスキャバーズ登場に大喜びするロンとハリー、しかし滅茶苦茶不機嫌オーラを出している人がいるのに気付いていないようだ。

 

「おーい…ローン…」

「え、何!?」

 

僕が指を刺した方向を見たロンは、そこに腕を組んで睨み付けるハーマイオニーを見つけバジリスクに睨まれたみたいに硬直してしまった。

 

「…よかったわねえ、スキャバーズが見つかって、ロン?」

「え!? あ、うん、本当に良かったよ!」

 

違う、そうじゃ無い。

的外れの返事にハーマイオニーの顔はさらに険しくなっていく。

 

「でも私は何も良くないのよね、何でかしら?」

「えー、あー、その…」

「………」

「…ごめんなさい」

「よろしい、後でクルックシャンクスにも謝っておいてよね」

「猫にも!?」

 

ジロッ

 

「駄目だロン、今は言うとおりにするんだ」

 

ハーマイオニーの気迫に押され、やや涙目になってきたロンにハリーはアドバイスを送った。

 

「…分かったよ」

「言い方!」

「分かりました!」

 

ハーマイオニーはそこまでやってようやく納得してくれたらしい、…が、まだロンはちょっと涙目だ。

外を見ると、言い争っていたからか日が落ちる数分前といった感じになっている。

 

「皆、そろそろ帰らないと罰則が…」

「本当だ、もうこんな時間か」

「じゃあ帰りましょうか」

「ちょっとまってよ、まずスキャバーズを箱から出さな―――」

 

ドグオオオン!!

 

「「「「!?」」」」

「何だ今の!?」

 

外から聞こえて来た爆発音、何が起こったか確かめるために外へと飛び出す。

 

「どこから聞こえて来たんだ?」

「…もしかしてアレじゃない?」

 

ハーマイオニーが指さした方には、畑のかぼちゃが一個だけ派手に吹き飛んでいた。

 

「…かぼちゃ?」

「もしかしてシリウス・ブラックが…」

「ハリー、シリウス・ブラックの敵はかぼちゃなのかい?」

 

まあシリウス・ブラックは論外としても、何でかぼちゃが爆発したんだろうか。

目的も何も分からず畑で首を傾げる。

 

「爆発…爆発といえば…もしかして…」

「キニス、どうかしたの?」

「いや、爆発が得意なのって確か―――」

 

ガチャアァン!

 

今度は何だ!?

後ろから聞こえて来たガラスが割れるような音、そして振り返った途端、ロンが悲鳴を上げた。

 

「スキャバーズ!?」

「何あの犬!?」

 

ハグリッドの小屋の窓をぶち破って出て来た大きい影。

そこにはスキャバーズが入っている箱を咥えた、黒い大型犬がいた。

その犬はこっちを一瞥すると禁じられた森に向かって走り出してしまった!

 

「ど、何処に行くんだ!」

「ロン!」

 

それを追いかけ駆け出していくロンを三人でさらに追いかける!

息を切らしながら走っていくと、犬が暴れ柳の根っこから消えてしまった!

 

「消えた!?」

「見てあそこ、穴があるわ!」

 

どうやら犬はあの穴に逃げ込んだらしい、しかも何でか暴れ柳は眠ってるみたいに動かない。

その隙を狙ってロンは穴に飛び込んでしまった!

僕達もそれを追いかけようとした…が。

 

「うわっ!?」

 

横から信じられない速さで飛んできた太い枝を縄跳びのように避ける、柳はまた動き出してしまったらしい。

 

「どどどどうすんのさ!?」

「そんなこと言ったっ…きゃあっ!」

 

今度は幹をハンマーみたいに振り下ろす! 間一髪かわしたけど柳が収まる気配は無い!

というか早い! 何かいつもより圧倒的に早い!

 

「どうするのこれ! 全く隙が無いよ!?」

「何でこんなに元気なんだろう…」

 

あまりの速さに枝が分裂して見える柳を見ながらハリーは悲鳴を上げる、けどその悲鳴も柳の風圧で飛ばされていった。

 

「君達一体ここで何をしているんだ!」

 

後ろの方からルーピン先生が青い顔をしながら走って来た。

 

「先生!? どうしてここに!?」

「教員室の窓から、ロンが犬を追いかけて穴に入って行ったのが見えたんだよ」

「そ、そうなんです! ロンのペットのスキャバーズが…」

「大丈夫だ、ロンはちゃんと私が助けよう、勿論あの鼠もね。

さあ君たちは早く寮へ戻るんだ」

 

僕達に帰るよう言い聞かせると、「おかしい…何故こんなに暴れてるんだ…?」と呟きながら近くの小石を投げ飛ばした。

それが柳の根っこの小石に当たると、一気に元気を無くして止まってしまった。

 

「アレああやるんだ…ってハリー!?」

「ロンを助けなくちゃ!」

 

何で行っちゃうんだよ!

思わず叫びたくなったけど今更どうしようもないと気が付いた僕は、同じ顔をしていたハーマイオニーと一緒に穴へ飛び込んで行った。

 

 

 

 

何とか暴れ柳を突破し、泥と土と砂とルーピン先生の説教にまみれつつも辿り着いた場所は、ボロボロの壁に割れた窓など、まさにTHE廃墟といった場所だった。

 

「ここもしかして叫びの館じゃない?」

「言われてみれば確かに…」

 

方向も外装からの雰囲気も大体合ってる…けど何でこんな所に繋がってるんだろ?

とりあえず階段を登って行くと、一つだけドアが少し開いてる部屋があった。

隙間から除くとスキャバーズを握っているロンが居た!

 

「ロン! 大丈夫!?」

「ハ、ハリー…逃げるんだ…!」

 

何故かロンは怯えた様子だ、逃げるってどういうことだろう。

 

「罠だったんだよ…! あの犬が、あの犬が…!」

 

ふと足元を見てみるとさっきの犬の足跡が続いている、それを辿っていくと…

 

「!?」

「お、お前は…!」

 

―――手配書と全く同じ顔をしたシリウス・ブラックが立っていた。

 

 

 

 

「お前が…お前が父さんと母さんを裏切ったのか!」

「待つんだハリー、ここは私に任せるんだ」

 

ブラックに詰め寄っていくハリーを静止し、杖を向けながらブラックに近づいて行くが何かおかしい、するとルーピン先生はブラックとがっちりと親友のようなハグをした。

 

「一体何がどうなってるんだろう…」

「ルーピン先生は人狼だったのよ!」

 

そこからは何だか怒涛の勢いで話が進んでいた。

何でもルーピン先生はブラックと同学年で、そいでもってルーピン先生は人狼だから本当は入学できなかったけどダンブルドア校長先生が計らってくれた。

それが満月の時ルーピン先生を隔離する叫びの館であり、それがばれないように入口に暴れ柳を植えた。

あとスネイプ先生が昔ブラックに虐められていて、それでスネイプ先生がブラックと、その友達だったルーピン先生を憎んでるということを話していた。

 

「さあ友よ! 一緒にヤツを殺そう!」

「ああもちろ―――ぐあっ!?」

 

ハリーを殺そうとした瞬間ルーピン先生が地面に拘束される。

そして扉をぶち破って入って来たのはスネイプ先生だった。

 

「復讐は蜜よりも濃く、そして甘い。お前を捕まえるのが我輩であったらと、どれほど願ったか。今どれほど歓喜に満たされているか、お前には分かるまい」

 

そう語るスネイプ先生の目は、いつもグリフィンドール生やハリーに向けるような視線より、何十倍もの憎しみを燃やしていた。

 

「さぞ愉悦だろうな、いいとも、そこの鼠と一緒なら大人しく付いて行ってやる」

「違うんだスネイプ! シリウスは―――」

「黙れ人狼、貴様も引きずって行ってやる…アズカバンにな」

 

震えるブラックとルーピン先生を引きずって行こうとした時、スネイプ先生の前にハリーが立ち塞がった。

 

「何のつもりだポッター? 英雄ごっこはいい加減にしてもらおうか」

「…ブラックは分からないけど、ルーピン先生は敵じゃない、もしルーピン先生がブラックの仲間だったら僕はとっくに殺されていた!」

「それも人狼の作戦かもしれんぞ? さあ退けポッター!」

 

スネイプ先生は本気の怒りを含ませながら叫ぶけど、ハリーはどきそうにない。

それどころかスネイプ先生以上の迫力で反撃し始めた。

 

「人狼人狼…って、恥を知れ! 学生のころ苛められたくらいで!」

「黙れ! 苛められたくらいだと!? やはりあの男の息子だな!

どこまでも傲慢で自分を正当化しようとする! 誰のおかげで今ここにいると思っているのだ? 地に伏して感謝すべきだ!

にも関わらず貴様は! 貴様などその男に殺されていれば自業自得だったろうに!

さあ退け! 退くのだ!」

 

一体何が勘に触ったのか、今までとは別人のように怒り狂うスネイプ先生。

ハリーもその剣幕に呑まれてしまったのか、先生に向かって呪文を撃とうとしている!

 

エクスペリアームス(武器よ去れ)!」

 

スネイプ先生に向かって呪文が真っ直ぐに飛んでいく!

…けど。

 

「えっ!?」

 

呪文に向かって飛んできた何かが、呪文の横腹をぶち抜きながら壁に逸らしてしまった。

 

「何者だ!?」

 

スネイプ先生が叫ぶと、さっき呪文が飛んできた扉から人が現れた、それは―――

 

「キ、キリコ!?」

「………」

 

キリコが杖をこちらに向けながら、ゆっくりと歩いて来ていたのだった―――

 




敢えて問うなら答えもしよう
望む事はささやかなりし
この腕に掴み取れるだけの命でいい、あの胸に収まるだけの真実でいい
今こそ言おう、その名はピーター
ピーターこそ我が命、ピーターこそ我が仇
ハリー・ポッターとラストレッドショルダー、第三十一話『囚われざる者』
だが、最後はその名の如くに



有名なネタですが、忍びの地図には一瞬ニュート・スキャマンダーの名前が載っています。
よって矛盾はありません。
またピーターの語源は使徒ペトロです、彼はローマから脱出しようとしますが、戻ってきた結果磔になり処刑されます。
さて、ペティグリューの最後はどんなんでしたっけ…?
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