【完結】ハリー・ポッターとラストレッドショルダー   作:鹿狼

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ニワトコ×本物AT×耐圧服=むせる
てかあと5話で終わんないよこれどうしよ何かいい方法わ



第七十一話 「継承者」

 瓦礫塗れの荒れ地になることを想定し、トランプリガーを装備させたバーグラリードッグが走る。

 予想通りだ、何処もかしこも大砲やミサイルで瓦礫塗れ。

 この戦場をスムーズに走れるのは戦車か、空飛ぶドラゴンぐらいしかいないだろう。

 なら、バーグラリーが負ける筈もない。

 

 我等を沈める有効打などあるまいと推測し、回避をおざなりにした密集艦隊。

 それはSFからの光学兵器(ロックガン)により、次々と轟沈させられていく。

 フレンドリーファイアを恐れるあまり、キリコの居座る軍艦へ向けての砲撃もできない。

 一方的な虐殺をしていた彼等は、一方的な一人の災害によって水底へ沈められていった。

 

 これだけ沈めれば十分か。

 キリコはロックガンを捨てる、戦車や生身相手には過剰火力だからだ。

 だがこれではATは丸腰、アームパンチしかできない。

 

「撃て! 奴は丸腰だ!」

 

 あの戦車!

 報告にあったキリコ・ブラッドが乗っているやつか!

 部隊長の指示により、装甲車両隊五十車両全てがキリコへ照準を向ける。

 

「あれはキリコだ! 破壊しろ!」

 

 ヤックスリーが指示を出し、死喰い人による爆破呪文や貫通呪文の雨霰が降り注ぐ。

 上陸するキリコに、鉄の雨が迫る。

 

「…………」

 

 雑な照準だ。

 キリコはかわす、呪いと機銃を躱していく。

 当たっても、全て弾かれる。

 呪いも反対呪文を、ピンポイントで撃ち込み相殺。

 

「お前達に構っている暇はない」

 

 ホットゾーンから離脱したATは、いつの間にか両肩にランチャーを搭載した『ショルダーミサイルポット』カスタムへと変化していた。

 誘爆を避け、弾幕の外からミサイルを叩きこむ。

 僅か一瞬にして、装甲車両隊の半数が全滅した。

 

プロテゴ(盾よ)!」

 

 ヤックスリーがミサイルを防ぐが、真後ろから飛来した装甲車両の破片に潰され絶命する。

 そして再びATの姿が変わる。

 今度は両手にヘビィマシンガン、両肩に長距離砲ドロッパーズフォールディングガンを装備。

 遠・中距離に特化したカスタムである。

 

 これがニワトコの杖の力。

 今まで不可能だった戦闘中での武装交換。

 死の秘宝はそれを可能にした。

 このバーグラリードッグは、その場に応じて瞬時に武装を切り替えることができるのだ。

 即ち、無数にあるATカスタム全てを相手取るに相応しい。

 

 ヘビィマシンガンが兵士も死喰い人も蹴散らし、流れ弾で更に死ぬ。

 フォールディングガンが口内に命中し、空中のドラゴンが次々に墜落する。

 これがキリコ。

 これが異能生存体。

 これが触れ得ざる者。

 

 死喰い人達は、軍隊はキリコの背中に、天使を見た。

 キリコだけを護り、キリコ以外全員殺す死の天使。

 ホグワーツ側に立つ不死鳥の騎士団と、ワンマンアーミーキリコに挟まれ、戦線は一気に硬直状態へともつれ込んだ。

 

「ハリー、今しかないよ!」

 

 戦場を俯瞰する能力をキリコに散々鍛えられたロンの観察眼が、絶対の好機を捉える。

 

「戦闘があそこに集中している今なら分霊箱を探しに行ける! これを逃したら動けなくなるぞ!」

「でも、皆が……」

「私達が戦っても大した戦力にはならないわ! 私達にしかできないことをやらなきゃ!」

 

 事実上仲間を見捨てることになる選択に、ハリーは戸惑う。

 だが二人の説得に、すぐさま決意を引き締めた。

 

「……分かった!」

「分霊箱の位置は分かるのかい!?」

「ルーナが見た目を教えてくれた、場所は分からないけど、知ってる人なら心当たりがある!」

 

 ヴォルデモートとの同調で気付いた、分霊箱の一つはホグワーツにあると。

 キリコのお母さんが残してくれた情報で、それが何かも分かった。

 『レイブンクローの髪飾り』は、此処の何処かだ!

 

「それって誰なの!?」

「灰色のレディだよ! ホグワーツのゴーストで、ロウェナ・レイブンクローの娘だ! だからハーマイオニーにも来てほしい」

「どうして?」

「説得するのを手伝って欲しいんだ!」

 

 灰色のレディは人間不信に陥っていた。

 何故なら形見の髪飾りをヴォルデモートに騙され、分霊箱化されたからである。

 

「僕は此処に残って指揮を取ってる! 皆の体勢を立て直さなきゃ……!」

「頑張ってくれ、ロン!」

 

 灰色のレディへと走り出すハリーとハーマイオニー。

 二人を見送ったロンは、戦場を見直す。

 キリコがでっかい船を沈めてくれたお蔭で、状況は大分マシになった。

 けど好転はしていない、仲間が死んだショックに、見たこともない兵器。

 僕自身も、キリコにメンタルを鍛えられてなきゃパニックになっていたと思う。

 

「……死喰い人が、少し後退してる?」

 

 鍛えられた観察眼が、妙な光景を目にする。

 

『ダンブルドア先生!』

『む? どうしたのかの、ロン』

『死喰い人が後退してます!』

 

 キリコから貰った無線機越しに連絡を取る二人、ダンブルドアは瞬時に、ヴォルデモートの狙いを察した。

 

 ……嵐か?

 空が暗い。

 今は夜で暗いのは当たり前だが、月明かりすらなくなっている。

 空を見上げると、分厚い雲で覆われていた。

 しかも雪まで降って来た。

 ……雪!? 今は春だぞ!?

 

「…………!!」

 

 真っ先に反応したのはキリコだ、彼は最もそれに敏感だったから。

 

「…………!!」

 

 次に反応したのはハリー、彼等に共通することとは。

 

「あやつめ! この混戦だからこそか……!」

 

 『吸魂鬼(ディメンター)に影響されやすい』

 空の暗雲は、全て吸魂鬼。

 疑心、暗鬼、恐怖、殺意、混沌。

 それらが犇めく今の地球は、吸魂鬼にとって最良の苗床。

 この一年間で繁殖に繁殖を重ねその数は……『一億』へと到達していた。

 

「何だ! 何が起きた!?」

「消える!? 皆何処へ行ったんだ!?」

 

 魔力を持たない者に吸魂鬼は見えず、ただの暗い霧にしか見えない。

 何が起きたのか、魔法使いだけが理解していた。

 マグル軍の大半が、一瞬で吸魂鬼化していたのだ。

 

 吸魂鬼は人の幸福な思い出を吸い、その魂を吸う。

 そして廃人になった犠牲者もまた、血を吸われた者が吸血鬼になるように、吸魂鬼に堕ちてしまう。

 

 しかし吸魂鬼化には時間が掛かるにも関わらず、彼等は一瞬で吸魂鬼化している。

 これは彼らが元々正気を失うほどの憎悪を持っていたのと、一億体もの吸魂鬼に、津波の如く魂を奪われたからだ。

 

 雪だるま式に増える吸魂鬼のハリケーンが、ホグワーツへと墜落する。

 落ちる空へ向けて杖を構えるダンブルドア。

 あれが落ちれば、生徒は全て全滅するだろう、それは阻止しなければならない!

 

エクスペクト・パトローナム(守護霊よ来たれ)!」

 

 彼の守護霊である不死鳥が翼を広げ、吸魂鬼を寄せ付けない巨大な結界を作り出す。

 

「むぅっ……!」

 

 しかし多勢に無勢、一億体もの怨念と絶望が結界を取り囲み、結界越しに魂を吸い取る。

 

「私達も守護霊を! エクスペ───」

「アアアアアア!!!」

「コロセコロセヨクモヨクモアアア!?!!!」

 

 シリウスに向かって放たれる機銃の一斉射、紙一重でかわすが、後ろの同じ味方を撃ち抜いて尚、掃射は止まない。

 

「味方を殺すのか!?」

「吸魂鬼に幸福を吸われ、絶望で正気を失っているんだ!」

 

 ヴォルデモートめ! よくもこんな真似を!

 怒りに満ちるシリウスとルーピンだが、怒りに身を任せても守護霊を出せるチャンスが来るわけではない。

 

「不味いの……限界かもしれぬ……!」

 

 マグルの攻撃をかわしながら守護霊を出し続けていては結界に集中もできない、ピキピキと亀裂が走り始める。

 普通の生徒だけではない、作戦の要であるキリコとハリーは吸魂鬼の影響を受けやすい。

 侵入されれば、全てが一貫の終わり。

 その焦燥感が守護霊の結界を保つ、最後の一線。

 それに限界が来たとき、魔法界の運命が決まっ───

 

エクスペクト・パトローナム(守護霊よ来たれ)!」

 

 不死鳥に並んで飛翔する、もう一羽の不死鳥。

 不死鳥が二匹!?

 一体誰の守護霊だ!?

 周りが混乱する中、ダンブルドアは狂おしい程に懐かしい感覚を、感じていた。

 彼の守護霊が不死鳥なのは、不死への憧れがあるから。

 では、彼と同じ憧れを抱いていた男は……?

 

「年をとったな……アルバス」

「おぬしが言えたことではあるまい、ゲラート」

 

 誰だあの老人は?

 そう思っていた彼等は、『ゲラート』の名前に戦慄した。

 ヴォルデモートの登場前は、史上最悪の魔法使いと呼ばれた男が、此処に居ることに。

 その魔法使いが、彼を倒したダンブルドアと普通に話していることに。

 

「……で、後ろの怖そうな連中は?」

「ヴォルデモートも神も魔法省も気にくわない、百戦錬磨の社会不適合者だ」

 

 ゲラートの時代に輝き、その輝きを忘れられない闇の魔法使い総勢三十名。

 彼らの参戦により、暴走するマグルが次々と抹殺されていく。

 

「余り殺すでない! この戦争が終わらなくなるぞ!」

「相変わらずの人道主義者だな貴様は! そんなんだから世界はこうなったんだぞ!?」

 

 ゲラートは思う、目の前の友が教師ではなく、指導者になっていればと。

 住み分けられ、ぶつかることもなければ進化することもない、停滞の泥沼に浸かった魔法界を救えたというのに!

 

「そういうお前は今さらなんじゃ!? お主こそ不死なんぞ目指さなければ世界を変えられたろうに!」

 

 ダンブルドアは思う、あの時不死など目指していなければ、儂等は友のままでいられたというのに!

 

「お前が言えた口か!?」

「自覚しておるわい! じゃからこんな阿呆なことをしとるんじゃろ!」

「違いない! なら阿呆以下の怪物にはご退場願おう! あんな自称神の好きにさせてたまるものか!」

「──ッ!」

 

 かつての親友、かつての敵で、今は味方。

 何とも奇妙な関係か、ダンブルドアに憎悪といった感情はなく、何とも言えないむず痒さがあった。

 これが何なのか、儂は知っている。

 まだ儂等の罪は、清算されていないのだ。

 一先ず預けられたツケを乗せて、二匹の不死鳥が空を翔ぶ。

 

「「エクスペクト・パトローナム(守護霊よ来たれ)!」」

 

 雲を割き天を割り、吸魂鬼の暗雲が地平線の彼方まで消えていく。

 賢者の片割れと元部下達はまさに百人力、即ち百人の生徒を後退させられるということ。

 

「負傷者は指定した場所まで下がらせて! 兄ちゃん頼む!」

「残念だなロニー坊や!」

「ジョージはもう行っちまったぞ!」

 

 忍の地図を持っていたお陰で、隠し通路に詳しくなったジョージが生徒を誘導する。

 もし今のマグル軍に治療室の場所がばれれば、毒ガスが撒かれかねない!

 無事避難していく生徒達に、吸魂鬼が消えたことに気付いた死喰い人が迫る。

 

「邪魔だ……!」

 

 その後ろから突っ込んできたバーグラリードッグが、彼等を薙ぎ倒しながらホグワーツ内部へと突撃する。

 フォールディングガンが迫撃砲のように陣形を崩し、ばらけた所へマシンガンを叩き込む。

 混乱と混沌渦巻く混戦は、キリコにとって一番闘い易い環境である。

 ヴォルデモートはハリーが戦うだろう、俺は俺の倒すべき相手の所へ急ぐだけだ。

 

(……ついに、行くか)

 

 ダンブルドアが回歴するのは、決戦前に交わしたキリコとのやり取り。

 ゲラートがワイズマンを知っていたこと、ワイズマンはホグワーツの何処かに潜んでいること。

 そして───

 

 

 

 

「……ダンブルドア、聞きたいことがある」

 

 ゲラートとの青春が全て茶番だったと知ったダンブルドアは、キリコの問いを呆然と聞いていた。

 今更何だろうか、いやワイズマンについてなのは分かるが、ゲラートも知らなかったことなど、儂はもっと知らない。

 

「バジリスクについてだが……」

「……秘密の部屋のヤツかの?」

 

 二年の時ハリー達によって打倒されたバジリスクだが、遺体はそのまま部屋に放置されている。

 下手に動かして第三者に利用されるのも……魔法省やホグワーツの余計なスキャンダルを恐れた人々の思惑によるものだ。

 

「あれの死体解剖はやったのか?」

「死体……解剖じゃと?」

 

 こういった事件があった時、マグルなら死体の検査などをやるのが普通だ。

 しかし基本非常識な魔法界で行われているかは、俺にとって賭けだった。

 

「まあ、やったが……」

「結果はどうだった」

「あのバジリスクは千年前に生まれた個体であり、バジリスクとしても最大級の種類じゃった」

「他には、何か呪文は掛かっていたか」

「うむ、服従の呪文の一種が掛けられておっての、制作者であろうサラザール・スリザリンの血を持つ者……『スリザリンの継承者』の命しか聞かぬようになっておった」

 

 これこそ、トム・リドルがホグワーツを恐怖へ陥れることができた理由。

 ……今更聞くことか?

 ダンブルドアは知らない、秘密の部屋で何が起きていたのか。

 

 キリコも気付かなかった、先程ハリーの運命を聞くまで。

 俺は勘違いをしていた、てっきりハリーも『スリザリンの継承者』だと思っていた。

 

「資格は『魂』ではなく『血』なのか」

「間違いない」

 

 断言するダンブルドアが、俺に確証をもたらす。

 資格は『言葉』でも『魂』でもなく、『血』だった。

 これが正しければ、俺の記憶に致命的な矛盾が発生する。

 

「……ハリーには『魂』と『言葉』はあるが、『血』はない」

「そういうことじゃ」

「だが、ハリーはバジリスクを操っていた」

「!?」

 

 ハリーは俺とバジリスクが戦っている最中蛇語で指示を出し、リドルとの命令の間でヤツを混乱させた。

 しかし、ハリーにバジリスクを従わせる力はない。

 ならば、あの時バジリスクが混乱した理由は何だ。

 目の前のダンブルドアが、混乱しながらも推測を重ねて行く。

 

「魂が疑似的な血となったのか……?

 それとも本当に血を継いでいる……?

 もしくは……」

「あそこに、スリザリンの後継者がもう一人居るとするなら」

「……まさか」

 

 ワイズマンが生身の体を持っているのは、ほぼ確実。

 そこから俺達を監視し、行動できる場所としてありえるのはホグワーツだけに絞り込む。

 最後のピースが、カチリと嵌る。

 ワイズマンが活動していたのは、遥か昔から。

 もしもホグワーツ創生に関わっていたとしたら?

 創設者との関わりがあったとすれば?

 スリザリンの継承者……否、スリザリンと同等だとすれば?

 バジリスクに直接声を掛けれる場所は?

 

 

 

 

 回歴する記憶を読みながら、キリコはホグワーツの下水管を走る。

 目の前に立ち塞がるのは、蛇の刻印が施された扉。

 

シュー……シュー……シュー……

 

 見様見真似で行った蛇語だが、存外上手く行ったらしく、錆が剥げ、鉄の軋む音と共に扉が開いて行く。

 そこには懐かしい光景が広がっていた。

 一本の長い通路に、張り巡らされた下水道。

 横たわるバジリスクは、既に白骨化している。

 人工的に作られた溜池、鎮座するサラザール・スリザリンの巨像。

 

 この部屋に奴が居るのか。

 ここが神の心臓なのか。

 教員全員で徹底捜索しても、何も無かったという。

 

 キリコは一つの推測をしていた。

 かつて神の啓示を受けた光の部屋、赤子のような声。

 そこは俺以外の侵入を許さぬ、聖域。

 あそこと同じなのではないか?

 何も無いのではなく、俺以外見付けられないのでは?

 俺にしかできない方法、それは……

 

「…………」

 

 全てが、仕組まれていたとしたら。

 『それは全ての事象に奴が関わっているという前提で組まねば、気付かぬ程に巧妙』

 キリコは自らの記憶を、全て思い出していく。

 

 一年の時、禁書棚へ本を返し、寮に戻ろうとした時。

 キニスが言っていた、僅かに聞こえた物音。

 バジリスクに向けてハリーが命令し、奴が混乱した時。

 ……あの声は、そう意識すればそう聞こえる。

 赤子の声に。

 一種の暗号、超音波。

 それを発したことはないが、ワイズマンと同類の俺が話せない筈がない……!

 

 息を吸い、記憶をトレスしながら、記憶のドッペルゲンガーになりきる。

 俺が俺と思えない声が、喉から放たれた。

 

「─────────────────────」

 

 轟音が静寂を貫き、穿たれた穴から水が排斥される。

 スリザリンの像を乗せる溜池の水が抜けて行き、水底が明らかになる。

 そこにあったのは、光の扉。

 神の国へと繋がる、天国の門。

 ……天国の門が、地下の地獄と一緒とはな。

 光の扉に降り立つと、キリコは全身を引っ張られる感覚に襲われた。

 姿くらましとは違う、あの時と全く同じ感覚。

 視界を包む閃光に、目を覆う。

 

 光が収まった。

 目を開けた。

 そこに、それはあった。

 そこに、ヤツは居た。

 

 電子基板のピラミッド、情報の摩天楼。

 巨大コンピューターに自らの意識を集約させた、神を僭称するモノ。

 

『 待 っ て い た ぞ   キ リ コ よ 』

「まさか、ずっと俺を見ていたとはな……ワイズマン」

 

 キリコは反射的に、マグナムを構えそうになっていた。

 今までの自分を弄び、今も尚弄ぶ神に対する怒りは、とっくのとうに限界を超えていたのだ。

 マグナムを構えなかった代わりに、摩天楼に飛び付くキリコ。

 かつての様に、収められた電子基板を引き摺り出していく。

 

『 止 め ろ キ リ コ 』

「貴様の話など聞く気はない……!」

 

 何か語ったところで何か変わる訳でもない、俺を迷わせるだけの戯言に興味はない。

 魔法も使い次々に基盤を抜き取り、神を破壊しにかかる。

 

『 そ う で は な い   意 味 の な い 行 動 は 止 め ろ と 言 っ て い る の だ 』

「…………」

『 そ れ は 世 界 中 の ネ ッ ト ワ ー ク を 繋 い だ 集 積 装 置 に 過 ぎ ず   私 で は な い 』

 

 ならお前は何処に居る。

 聞こうと上を見上げた時、そいつは視界に入った。

 摩天楼の頂上に立つ、人型のシルエット。

 

「……そういうことか」

 

 道理で、バジリスクを操れたわけだ。

 キリコはワイズマンの姿に見覚えがあった、歴史の教科書で何度も見た姿だった。

 

「お前は知らなくてはならない、避けられぬ運命を、全てはこの私の掌の上だったということを」

「…………」

「私を呼び寄せたのは他ならぬお前だということを」

「!?」

「そして、キニス・リヴォービアもまた、私の手足だったということを」

「なっ……!?」

 

(サラザール・スリザリンそのものの姿で、ヤツは神託を下す。

 祝福では無い、絶望を与える為だけの、傲慢な神託が降りる。

 そびえ立つ摩天楼が、俺の運命を絡めとっていく感覚に、俺は襲われていた。)




やはりこの転生は単なるリンカーネーションなどでは無かった。
明かされる戦乱の目的、企画者の配役。
そうか、4000年の知識を賢者の遺体に押し込め、銀河に再臨しようとする貪婪なる倨傲。
お前は安永を望まない、融和など認めない。
自らが作った血と鉄の中に楔を埋め込み、新たな支配と進化を望んでいる。
神と名乗って。
だが未だかつて真の神は名乗った事など無いのだ。
神は望まない、神は眠らない、神は恐れない。
例えそれが滅びであっても……
いいだろう、戦いの終着点は近いらしい。
そこにどれ程残酷な真実が隠されていようと、乗り合わせた船を降りる奴はいない。
次回、「野望のルーツ」
だが心せよ、お前が相手にするのはカオスを体現するあの男なのだから!




話数が足りないならOVAタイトルを使えばいいじゃない!
ゲラートの守護霊は独自設定です。
遂にラスボス戦……の前に伏線回収。
今回は生身なので、原作のようにあっさりは死にません。
流石にまた引き出死を繰り返す程、神も阿保じゃないよね。
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