ていとくが、いっぱい!   作:deckstick

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5時間目、経営。
現実……? いえ、知らない子ですね。


教えて、香取先生!-5

 あの後、外にいた足柄、榛名、羽黒を鑑定。【眷属】の内容が同じであることを確認したあと、香取とジジイを連れて、宝珠の中へ。

 

「……お主、よほど榛名が好きじゃったんじゃなぁ」

 

「契約済みの艦のうち4人が榛名。更に羽黒も3人、それ以外でも戦艦2人に重巡2人ですか。

 ここまで偏っているのは珍しいですね」

 

「最初から明石がおるのも珍しいがの」

 

「そうですね」

 

 なんか好き放題言われた気がするけど、結局、艦娘の眷属の称号の内容が全員同じだった事は確認できた。艦娘が暗視系の魔導具を使えば夜間の索敵能力や命中力が向上する……要するに劣化熟練見張員(劣化理由は妖精による視線増加がないため)的な効果がある事は知られているらしいから、少なくともそれに似た効果は得られるだろう事、それに不老不死対策として早急に召喚魔法を習得する事は、確定したと言っていい。

 装備の妖精との契約が無かったためこれは後でという事で、次は、施設の状態を確認することになった。

 というわけで、最初に来た食堂で。

 

「食堂はレストラン風の建物。広さは十分ですが、やはり電気系が最低限ですね」

 

「異世界からの提督が最初にする設備改造は、大抵が電気工事じゃからなぁ」

 

「このままでは冷蔵庫を置いても使う事ができませんから、早めの電気系改修をお勧めします。

 コスト軽減のために、椅子の入れ替えも行った方が良いでしょう」

 

「あ、はい」

 

 次に、寮を見て。

 

「拡張が難しいタイプを引いたのぅ。

 当面はこれを使うとしても、早めに次をどうするか考えるべきじゃな」

 

「それよりも、布団や枕が問題です。先ほどの椅子もですが、これらを宝珠の機能で維持するのは負担が大きい上に、今後艦娘を増やす際に問題となるでしょう。

 支給可能な品にも椅子や布団がありますから、早めに入れ替える事をお勧めします」

 

「あ、はい」

 

 次、通常倉庫。

 

「お主……高速建造材、高速修復材、開発資材もため込み過ぎじゃ。

 いや、ゲームじゃったわけじゃし、理解はしてやれるがの」

 

「少なくとも高速修復材は、放置すると劣化することが確認されています。

 現時点で使えなくなるほどの劣化は確認されていませんが、10年ほど放置すると効果がなくなるのではないかと言われていますので、在庫管理には注意が必要です」

 

「ついでに言っておくが、現状の倉庫1個で艦娘2人分以上の負担になっておるし、管理の手間も増えるからの。

 無暗に在庫を抱えない事も、運営では重要じゃ」

 

「あ、はい」

 

 入渠施設というか、風呂。

 

「これはまあ、普通じゃな。

 比較的拡張もしやすいやつじゃから、とりあえずはドライヤー用の電気工事かの。

 余裕があれば、明石用に処置室も増やすと良いじゃろう」

 

「そうですね。給湯設備も強力ですし……この容量の物であれば、他の施設にある給湯設備を削除して、こちらを使う方が良いかもしれません」

 

「この手の設備は、小さいとコストが割高じゃからなぁ。大きいと絶対的なコストが大きくなるのじゃが。

 この辺は、普段の利用量やらを見ながら調整していくとよいぞ」

 

「は、はあ」

 

 庁舎という名前の、執務室や事務室っぽいやつ。

 

「これはまた、見事に何もないの」

 

「艦隊これくしょんの家具をある程度お持ちなら、執務机を出すことも出来るでしょう。家具コインを資材として使う事で、生成で家具を得る事も出来ますし。

 必要なものはさほど多くありませんから、必要と好みでどの様にしていくか考えればよいのではないでしょうか」

 

「艦隊の規模やらが大きくなると、もっと大きい事務所が必要になるじゃろうが……まあ、その時はその時じゃからな」

 

「はあ」

 

 最初に目覚めた家。

 

「これは普通じゃな。

 とりあえず、冷蔵庫やパソコンを置きたいなら、電気工事と通信関係の整備が必要じゃな」

 

「提督によっては、もっと広い家に住みたいと思うそうです。

 それ自体は構わないのですが、宝珠の機能で作成する場合は相応の負荷が、建築業者等に依頼する場合はお金や業者が出入りする転移装置等が必要となります。

 どちらも利点と欠点があるので、よく考えてから動くようにしてください」

 

「あ、はい」

 

 資材倉庫。

 

「ふむ、随分と貯めこんでおったようじゃな……」

 

「当分は維持のための資材には困らずに済みそうですね。

 有機物と無機物用の倉庫は、必要に応じて追加する必要がありますが」

 

「見ただけで分かるんですか?」

 

「普通は分からないのですが、異世界からの提督の宝珠には、保有する資材と家具コインを収められるだけの倉庫が作られます。

 初期の倉庫1棟あたり1種10万までですから、12棟という事は最大12万、5種ですから20万を超えているものが複数あることは確実だと判断できます」

 

「ちなみに言っておくと、艦娘が維持のための必要とする量はゲームの昼戦1回分の燃料弾薬、それに少々の鋼材で1週間分くらいらしいの。

 多少の変動はあるそうじゃが、提督ギルドで目安量のリストを作成しておるから、参考にするとええじゃろう」

 

「あ、はい」

 

 なんか、設備というか箱みたいなもの色々?

 

「ああ、やはり発電設備はこれですか」

 

「予想通りじゃが、余裕は小さそうじゃな。

 照明を全部点けるだけで7割ほど使用するかの?」

 

「ええと……そうですね、8割近いと言ってもいいでしょう」

 

「それはいかんの。

 というわけじゃ。電力関係に手を付けるなら、まずは発電設備や照明をどうにかせんといかん。細かい計算はしておらんが、全ての照明を点けると一般家庭の1件分も残らんはずじゃからな。

 LEDへの換装もお勧めじゃが、そもそもこの発電機は15kVA程度しか出せんからの。これだけの建物を一般家庭3件分程度の電力で賄うのは無理な話じゃ。早めに追加なり入れ替えなりを考える事になるじゃろう。

 これでも艦娘2人分近い負荷がかかる魔力喰い虫じゃが、過負荷でダウンしたら復旧には結構な時間がかかるからの。余裕をもって準備した方がええぞ」

 

「はあ」

 

「ガスは設備を追加するまでは大丈夫じゃろうし、上水と下水は様子を見るしかない。

 あとは、ゴミ処理の箱が見当たらん程度かの」

 

「それは無い事も多いようですし、仕方ないでしょう。

 上下提督、早めにゴミ処理設備を設置するべきです。

 少量ですが資材も回収できますし、外で処分するには指定ゴミ袋の購入や分別作業といったコストが発生します。何より、外のゴミ捨て場はあまり大きくありませんから」

 

「そうですか、覚えておきます」

 

「うむ、こんなもんじゃろう」

 

「では、次へ参りましょうか」

 

 最後? 生成施設。

 

「2つ。うむ、建造ドックは追加しておらんかったのか」

 

「生成物を販売しない提督は減らす場合もありますから、問題ないでしょう。

 この施設は、普通は都度用意する必要がある生成や契約用の魔法陣が常に用意されたような状態となっていますし、行使者に魔法の技能も必要としません。

 更に契約妖精に任せる事で、提督の時間を縛らずに提督の特性での生成が可能です。

 練習も兼ねて、本来の手順で少々やってみましょうか。実験も兼ねて【資材/有機物】と【資材/無機物】をいくつか持ってきていますから」

 

「あー……はい、お願いします」

 

 知らない資材を使わせてもらえるのは、ありがたいな。

 というか、有機物と無機物の組み合わせで生成ができるって事か。

 

「それでは、まず、神の任務を確認しておきましょう。

 達成できる可能性は低いですが、新アイテム生成指令という任務があれば、遂行中にしてください。榛名さん、やり方は分かりますか?」

 

「す、少しお待ちを……はい、大丈夫です」

 

「では、確認を……問題無いようですね。

 このように神の任務は、遂行中にしている状態で達成条件を満たさなければ、報酬を得られません。同時に遂行中にすることができる数は一般的な提督が5個、特定の神の任務をクリアした提督や異世界の提督の多くで6個となりますから、注意が必要です」

 

「ゲームの任務と同じ仕様なのか……」

 

「内容は若干異なっているようですが、そのようですね。

 では、生成を始めましょう。最初は有機物を1つだけ使用します。装備や艤装を生成するわけではないので、開発資材は使いません。

 あくまで原則ですが、開発資材1個で装備、5個で艤装の生成に対応するようです。レシピと呼ばれる投入量はほぼ艦隊これくしょんと同じようですね。建造と大型艦建造の区別は無く、使用する資材の量で得られる艦が変化しますし、あらゆる生成で失敗の可能性があります。

 なお、ごく低い確率ですが、生成でほぼ全ての艦娘の艤装が得られる可能性があるようです。イベント報酬やイベント限定ドロップと言われる艦娘も、生成で得られた例がありますから」

 

「生成は色々違っていると覚えておけば、とりあえずはいいかな」

 

「そうですね。

 では、こちらを。これは魔法陣の中にあれば問題ありませんから、持ったままでも適当に置いても構いませんが、上下提督は魔法陣中央へ進んでください」

 

 なんか、少し大きくて黒いサイコロみたいな直方体を渡されたが……これが、有機物の資材か。

 ……臭いは無いし、思ったよりも硬いな。

 とりあえず適当に置いて、中央に行く……って。

 

「えらいゲーム的だなおい」

 

 中央に行ったら、現れたもの。

 それは空中モニターで、表示は『有機物×1』と『開始』のボタンでした。

 その表示はいたってシンプルで、こんな非現実的なものがある世界はきっと特別な「あの、提督?」はっ!?

 

「……すまん榛名。なんか現実逃避してた。

 ええと、これを押せばいいのか、ですか?」

 

「ええ、それを押せば、生成が始まります。

 終わるまでは魔法陣から出られませんが、使用するものが有機物1個ですから、そう長いものは出来ないでしょう。いざとなれば、高速建造材で時間を短縮できますし」

 

「わかりました」

 

 しっかし、本気でゲームっぽいな。

 んじゃ、ぽちっとな……うん、表示が変わったな。

 

「残り時間1分と、中止ボタン?」

 

「成果物を諦める事になりますが、何らかの事情が発生した場合は中止することが可能です。実際は魔法陣から出た場合も中止扱いになるので、あまりうろうろしない事をお勧めします。

 寝相の悪い方が魔法陣から出てしまった、という事故もありますね。時間が0になっても、受け取るまでは外に出てはいけませんから」

 

「それは悲惨だな……寝る気になれるくらい長時間ってことですよね?」

 

「はい。なお、長時間の生成には睡眠や食事以上に、トイレの問題が付き纏います。生成の称号による特殊なものでは24時間を超えるものも確認されていますので。

 ですから、お金に糸目をつけない場合は高速建造材が、恒常的に生成する場合は宝珠の設備と妖精が重宝されます」

 

「それは……確かにそうでしょうね」

 

「そろそろ完成したようですので、品物を取り出しましょう。

 ボタンが取得に替わっているはずです。それに触れれば、中央の円の中に品物が現れます」

 

「ええと、これですね」

 

 うん、残り時間が0になって、中止のボタンが取得のボタンに替わってるな。

 勝手に出ないのは……真ん中で寝てると合体するから、なんかね。

 で、ぽちっとな……

 

「やっぱり初回からこれか!」

 

「お約束を外さぬ男じゃのぅ」

 

 いや、可能性があるとは思ってたけど!

 なんで1回目がふりふりな女性用下着なんだよ!!

 

「はぁ……なんというか、まあ、世の中はこんなもんか。

 要りますか?」

 

 なんか小さめなサイズな気がするけど、叢雲がデレるほど仲良くなってないし、萩風やユーに渡したらそれはそれで問題がありそうだし。つまり、ツンで殴られるか、デレの照れ隠しで殴られるか、色々弄られるかの3択だ。

 となると、人に押し付けるに限るよな。

 

「さすがにワシは要らんぞ。

 このサイズじゃと、駆逐艦あたりかの?」

 

「うちだと叢雲、萩風、ユーくらいですけど、渡したら殴られたりしそうですし。

 えーと、香取さんの艦隊で、使いそうな娘はいますか?」

 

「そうですね……心当たりは無いのですが、もしかしたら気に入るかもしれません。

 ですが、よいのですか?」

 

「説明のお礼という事で。正直、持っていても使わないですし」

 

「そういう事でしたら。

 このお礼は改めて行うという事で、もう一度やってみましょう。次は、これを」

 

「はい」

 

 モノはさっきと同じ有機物1個と、マーブル模様のもの……これが無機物の資材か。

 今度はパンツじゃありませんように!

 

「……30分。よかった、とりあえずパンツじゃなさそうだ」

 

「少々時間がありますね。

 ここまでで、何か質問はありますか?」

 

「そうですね……維持に魔力が必要とは聞きましたけど、具体的な負荷がどの程度か聞いていいですか?

 

「わかりました。

 復習になりますが、負荷は維持コストで表し、コスト1につき魔力が0.01減ります。実際の減少は端数切り上げになるようですから、コスト1から100で魔力が1減ると考えてください。

 その上で提督が実際に負担するコストですが、特に建物は材質や大きさでコストが変わりますから、この宝珠内の物を参考に1つあたりのおおよそのコストを挙げていきましょう。

 まず、鎮守宝珠との契約が1000です。これには秘書艦や最低限の空間が含まれています。

 秘書艦を除く艦娘との契約が20、妖精との契約が1です。装備も装備の妖精との契約が必要となるので、この分のコストも計算する必要があります。

 庁舎、提督の住まい、食堂の建物は100から200、寮が恐らく300くらいのはずです。

 入渠設備は全体で700を超えていますね。建物と風呂部分、給湯設備までであれば300少々のはずですが、治療用の風呂型入渠ドックが1つあたり100、これが4つありましたので。

 装備や高速修復材などが入っている倉庫は1棟40前後、資材倉庫は120前後でしょう。

 設置されているライフライン系の設備は、ガス設備の13から下水処理設備の78までとバラバラです。早めに何とかすべき発電設備は、39のものが配置されています。

 ところどころにあった樹木が空気の浄化装置になっていて、食堂の裏にあった大きな樹が123、食堂横や住居と庁舎の間にあった中くらいのものが40です。

 この生成設備は130くらいでしょう。

 宝珠や材質などによって多少差があるのですが、主要なものはこのくらいですね」

 

「かなりかかっているものですね……そりゃ60近い負荷がかかるわけだ」

 

「ちなみに、布団と枕の合計で300くらいですね。加えて食堂の椅子も全部で200くらいのコストがかかっているはずです。

 これを普通に購入できるものに替えるだけで、容量6倍の発電設備を2つと複数の発電設備の電力を合計して配分する設備、これらを設置する空間も追加できるでしょう」

 

「それは……布団とかって随分と高くないですか?」

 

「コストの決まり方が原因ですね。管理単位として1つのものにつき、5の固定コストが発生しますから。

 例えば渡り廊下でつながる2つの建物があったとして、これを1つの管理単位で扱えば200のコストとなるなら、2つの管理単位で扱えば合計205のコストになる、という事です。

 作成したものは大掛かりな改変が不可能ですからある程度の分割は必要になりますし、増築の場合は増やす部分を別として扱う必要があるのですが、これは置いておきましょう。

 重要な事は、1つとして扱えない場合は別のものとして扱う必要があり、そこに固定のコストが発生する、という事です」

 

「つまり、椅子や布団は運んだりできるから、1つ1つにコストが発生する……?」

 

「そうです。特に布団は、掛布団、敷布団、枕の3つが別のものとなりますので。

 小さなものですと固定以外のコストがかからないようですが、それでも大きな負担です」

 

 つまり、1人分で15のコストが発生するって事だな。俺と艦娘で合計……19人分の布団セットで285。つまり艦娘14人分。

 

「……うん、これは本気で入れ替えを検討するべきか」

 

「布団は今なら21人分まで支給可能ですから、手続きをお勧めします。

 次は、宝珠による能力の補助について説明しましょう。

 これは単純に、宝珠のレベルが1上がるごとに、鑑定で見える能力に1加える事が可能なポイントが得られる、というものになります。これはSPと表記され、スフィアポイントやスペシャルポイントなどとも呼ばれています。

 一般的な提督であれば魔力に全て割り当てるのが良いと言われていますから、まだポイントがあるのであれば、割り当てる事で余裕ができるでしょう」

 

「えーと……これって、榛名が調べられるのか?」

 

「はい、提督。

 提督のSPは、残り75です!」

 

「って事は、今は80だから倍近くにできるのか……」

 

「いやいや、ちょっと待つのじゃ。

 称号で魔力が増える効果じゃが、これはSPで増やした分も対象になるのじゃ。つまり、称号の効果で25%ちょい増えた結果が80じゃな。元は60とかそれくらいのはずじゃから、75も増やしたら倍以上になるじゃろう」

 

「……うわぁ」

 

 なんという魔力お化け……って、倍で160、まさか200は超えない、よな?

 極振り提督が100から200って言ってたわけだから、一応常識的な範囲ではあるようだし、設備のコストを考えるとそこまでふんだんに使えるわけでもなさそうだ。

 うん、舞い上がれるようなレベルじゃないな。落ち着こう、俺。




前話あとがきでステータスが必要かと言いながら、コストはやたら細かく決めていくスタイル。
これが後々作者の首を絞めるのは、この凡人の目をもってしても見通せるわははははは(白目
各建物の簡単な図面まで作成して、床面積やら壁面積やらも使ってコストを算出している模様。馬鹿だな、こいつ(自嘲
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